酒とギャンブル。そして女と文章。
うだつの上がらない怪人のような老人に、なぜにこれほどまでに惹かれてしまうのか。
本書は、とくに苦悩しながら、この老人の日々の呼吸にむせ返りながらも読み進めてしまい
いつの間にか、またその世界にいたのだ。
私は、仲の良い職場の同僚よりも、この大昔の奇怪老人の気持ちの方を深く知ってしまっている。
その恐ろしいほどのパワーに震えながら、また本を開いてしまうのである。
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死をポケットに入れて (河出文庫 フ 3-3) 文庫 – 2010/8/3
老いて一層パンクにハードに突っ走るBUKの痛快日記。五十年愛用のタイプライターを七十歳にしてMacに替え、文学を、人生を、老いと死を語る。カウンター・カルチャーのヒーロー、R・クラムのイラスト満載。
- 本の長さ234ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2010/8/3
- 寸法10.6 x 0.9 x 14.9 cm
- ISBN-104309462189
- ISBN-13978-4309462189
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商品の説明
著者について
1920-1993 ドイツ生まれ。3歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。
シンガーソングライター、音楽評論家、翻訳や小説など、様々な分野で活躍。著書『渋谷公園通り』『ロメオ塾』他/訳者ブコウスキーの一連の作品他、ハニフ・クレイシ『ぼくは静かに揺れ動く』『パパは家出中』など。
アメコミの狂える大巨人。あのブコウスキーの小説挿し絵やジャニス・ジョップリン『チープ・スリル』イラストでも有名。ビッチでファッキューなダーティ・スカムカルチャーの大魔王。スケベで孤独な現代人にエロジーを捧げまくる腐れ外道なお下劣じじい。
シンガーソングライター、音楽評論家、翻訳や小説など、様々な分野で活躍。著書『渋谷公園通り』『ロメオ塾』他/訳者ブコウスキーの一連の作品他、ハニフ・クレイシ『ぼくは静かに揺れ動く』『パパは家出中』など。
アメコミの狂える大巨人。あのブコウスキーの小説挿し絵やジャニス・ジョップリン『チープ・スリル』イラストでも有名。ビッチでファッキューなダーティ・スカムカルチャーの大魔王。スケベで孤独な現代人にエロジーを捧げまくる腐れ外道なお下劣じじい。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2010/8/3)
- 発売日 : 2010/8/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 234ページ
- ISBN-10 : 4309462189
- ISBN-13 : 978-4309462189
- 寸法 : 10.6 x 0.9 x 14.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 49,035位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5位英米文学(日記・書簡)
- - 201位河出文庫
- - 2,128位楽譜・スコア・音楽書 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブコウスキーの読書量や、書くことへの努力や執着がすさまじいことがこの本からは伝わってきます。
哲学にもかなり精通しているようで、本人の噛み砕き方は非常にわかりやすいです。
シェイクスピアやトルストイが嫌いと言い切る姿はカッコよく、真似して言ってみたくもなりますが、
凡人が大した理由もなく言ってたらとてもダサくなりそうです。
ブコウスキーはただ嫌っているのではなく、作家としてわかり合おうと向き合った結果、
相容れなかったのでしょう。
いつも他人を寄せ付けなかったり嫌っているように話しているけど、
文章からは優しさや人のことを気遣っていたり気にかけている姿が滲み出ています。
この辺の姿からセリーヌに共感しているのもうなずけます。
目の前で起こっている出来事にうんざりしているときの
蚊帳の外にいる別の誰かとの静かな会話ややりとりがかっこよく、味がありました。
本人はかもめのジョナサンのように神格化されるのを怖れていたけど、そりゃそうなるよ!
魅力的すぎるもの。
哲学にもかなり精通しているようで、本人の噛み砕き方は非常にわかりやすいです。
シェイクスピアやトルストイが嫌いと言い切る姿はカッコよく、真似して言ってみたくもなりますが、
凡人が大した理由もなく言ってたらとてもダサくなりそうです。
ブコウスキーはただ嫌っているのではなく、作家としてわかり合おうと向き合った結果、
相容れなかったのでしょう。
いつも他人を寄せ付けなかったり嫌っているように話しているけど、
文章からは優しさや人のことを気遣っていたり気にかけている姿が滲み出ています。
この辺の姿からセリーヌに共感しているのもうなずけます。
目の前で起こっている出来事にうんざりしているときの
蚊帳の外にいる別の誰かとの静かな会話ややりとりがかっこよく、味がありました。
本人はかもめのジョナサンのように神格化されるのを怖れていたけど、そりゃそうなるよ!
魅力的すぎるもの。
2017年5月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
訳書の標題『死をポケットに入れて』は、次の文章から採られている。「わたしは死を左のポケットに入れて持ち歩いている。そいつを取り出して、話しかけてみる。やあ、ベイビー、どうしている?いつわたしのもとにやってきてくれるのかな?ちゃんと心構えしておくからね。」オリジナルの標題を直訳すると、『船長が昼飯に出ている間に、船員たちが船を乗っ取った』となると思うが、誰が船長で船員が何を意味するのかが解らない。もう一度読み直すしかないが、改めて読む返すほどの誘引力は本書にはない。訳書の標題は魅力的で、適切だと思う。むしろ、75歳の評者は、この標題につられて本書を購入したというのが真実である。
ブコウスキーの人生の断片、71歳から1年半の間が、33日分の随筆風日記として綴られている。競馬なしでは生きられない生活であり、馬券購入法、競馬場風景に加えて、絶え間ない飲酒と酔っ払いの様相が描かれている。その間に浮かぶ断想を、マッキントッシュのワードプロセッサを使って執筆している。日記の執筆は自分自身を救い出すためであるとして、世間の殆どの人たちは死に対する用意ができていないとして、自分自身の生きざまはこんな風だと語る。競馬場通いの合間に、生活の糧を得るために心の移ろいを書いている雰囲気であり、社会的な抗議を含む断章はない。
ブコウスキーは、若いときから、お喋りはまったく苦手であったらしい。他者と考えをぶつけ合ったり、魂のやりとりをすることを徹底して忌避し、自分はただの石の塊だと考えていたという。両親に刃向かい、学校に逆らい、そして善良な市民になることに抵抗してきた。「誰であれ、わたしの生き方を妙にいじくりまわして欲しくなかった。今もして欲しくない」と断じる。こうしたつむじ曲がりの、手に負えない頑固者の近くに生息した人たちは、多くの迷惑を被ったに違いない。反社会的な存在ではないので、それはそれで憎めない人物であるともいえる。友人にはなりたくないが、興味深い人格ではあり、こんな人生もありかとの羨望の念も湧かない訳ではない。
ロバート・クラム(Robert Crumb)が描いた銅版画風のイラストレーションが挿入されている。日記の中で文字によって描かれたブコウスキーの生活が、写実的な絵として表現されている。これは素晴らしい!描画されたブコウスキーの特徴的な人間像は、読むものの心中に刻み込まれる。
ブコウスキーの人生の断片、71歳から1年半の間が、33日分の随筆風日記として綴られている。競馬なしでは生きられない生活であり、馬券購入法、競馬場風景に加えて、絶え間ない飲酒と酔っ払いの様相が描かれている。その間に浮かぶ断想を、マッキントッシュのワードプロセッサを使って執筆している。日記の執筆は自分自身を救い出すためであるとして、世間の殆どの人たちは死に対する用意ができていないとして、自分自身の生きざまはこんな風だと語る。競馬場通いの合間に、生活の糧を得るために心の移ろいを書いている雰囲気であり、社会的な抗議を含む断章はない。
ブコウスキーは、若いときから、お喋りはまったく苦手であったらしい。他者と考えをぶつけ合ったり、魂のやりとりをすることを徹底して忌避し、自分はただの石の塊だと考えていたという。両親に刃向かい、学校に逆らい、そして善良な市民になることに抵抗してきた。「誰であれ、わたしの生き方を妙にいじくりまわして欲しくなかった。今もして欲しくない」と断じる。こうしたつむじ曲がりの、手に負えない頑固者の近くに生息した人たちは、多くの迷惑を被ったに違いない。反社会的な存在ではないので、それはそれで憎めない人物であるともいえる。友人にはなりたくないが、興味深い人格ではあり、こんな人生もありかとの羨望の念も湧かない訳ではない。
ロバート・クラム(Robert Crumb)が描いた銅版画風のイラストレーションが挿入されている。日記の中で文字によって描かれたブコウスキーの生活が、写実的な絵として表現されている。これは素晴らしい!描画されたブコウスキーの特徴的な人間像は、読むものの心中に刻み込まれる。
2007年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やはり「町で一番の美女」が一番良い作品であることはまちがいない。
ただ、ブコウスキー好きを周りに言いたい人には受け無い作品かもしれません。
むしろ、あまり人には言いたくないがブコウスキーに関心がある人にはもってこいだと思います。
老いという中でつっぱりながらも、弱さを否定することもない強さ=ありのままをさらけだした文章が好感をもてます。
改めて、ブコウスキーは小説家ではなく詩人であること。
文章より言葉を大事にしているひとだというかわいさを感じます。
ただ、ブコウスキー好きを周りに言いたい人には受け無い作品かもしれません。
むしろ、あまり人には言いたくないがブコウスキーに関心がある人にはもってこいだと思います。
老いという中でつっぱりながらも、弱さを否定することもない強さ=ありのままをさらけだした文章が好感をもてます。
改めて、ブコウスキーは小説家ではなく詩人であること。
文章より言葉を大事にしているひとだというかわいさを感じます。
2013年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
競馬や執筆、死についてなど思ったままにブコウスキーが綴った日記。暴言、下ネタなんでもありなのに、不思議と一つの作品として成り立っている。こんな男でも書くことへの愛は変わらなかった。他人の日記はたいていつまらないものだが、この日記は群を抜いて楽しめた。
2013年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブコウスキー最晩年の日記風エッセイ。競馬と創作に明け暮れる日々がリアリスティックに綴られます。個人的には彼が購入したMacintoshコンピューターを、とても愛玩している事がとても興味深かったです。ずっとタイプライターで書いてきた彼が、自由に校正、加筆、修正が加えられるコンピューターに、とても愛情を込めた描写が散見されます。でも、なれないPCなので、色々と失敗もあるのですが、それすらも、リアルに描写されていて、思わず声を出して笑ったりしました。
でも、ブコウスキーをこれから読む方や、ほかの作品を読んでおられる方は、本作は最後に読む事をおすすめします。説明するのはとても大変なので、あえてしませんが、良い意味で参考にしていただけたら、と思います。
でも、ブコウスキーをこれから読む方や、ほかの作品を読んでおられる方は、本作は最後に読む事をおすすめします。説明するのはとても大変なので、あえてしませんが、良い意味で参考にしていただけたら、と思います。
2011年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全編孤独なにおいが漂っているのを感じたのは私だけでしょうか。
良くも悪くも「孤」のにおいをまとう人種には、「あるある」とうなずける詩的表現が満載です。
逆に、こんな社会でうまくいかなさそうな人によく作家務まったなー、と心配にもなります。
芸風なんですかね、器用なんですかね。
独りの人間は、読後に何らかの生命力が得られると思いますよ。
良くも悪くも「孤」のにおいをまとう人種には、「あるある」とうなずける詩的表現が満載です。
逆に、こんな社会でうまくいかなさそうな人によく作家務まったなー、と心配にもなります。
芸風なんですかね、器用なんですかね。
独りの人間は、読後に何らかの生命力が得られると思いますよ。
2021年7月27日に日本でレビュー済み
日記風のエッセイというか、エッセイ風の日記というか、なんとも表現し難いエッセイらしき文章が並んでいるが、おそらくブコウスキー自身は日記感覚でこの文章を綴ったに違いなく、誰かに読ませる気で書いたのではなかったはずだ…という意味において、自身の研ぎ澄まされた直感を大切にし、本能的な直感そのものに忠実に従ったうえで書き連ねて行ったのだろうと推測される本作品だが、その文章のひとつひとつから浮かび上がってくるイメージは「酒、ギャンブル、セックス」ではなく、「クラシック音楽、競馬、コンピューター」であった。それらを生活の糧としつつ、老境に入ったブコウスキーは死を身近なものとしたことによって(=死をポケットに入れたことによって!)、大いなるエネルギーを得た。そして、この文章を生み出したのである。その結果、読む者に生命の持つ力を感じさせてくれる一冊となっている。