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ゾウがすすり泣くとき---動物たちの豊かな感情世界 (河出文庫 マ 6-2) 文庫 – 2010/4/2

5.0 5つ星のうち5.0 6個の評価

動物にも人間のような感情はあるのか? ときにゾウは涙し、ゴリラは歌う。長い間、その存在が否定されてきた動物の感情を、多くの実例、エピソードをもとに論証し、欧米で大論争を巻き起こした話題の書。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2010/4/2)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/4/2
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 411ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4309463312
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4309463315
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 6個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2010年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「動物に感情があると論じることは、長らく科学界ではタブー視されてきた」とする本書の前提に、まず多くの日本人は違和感を感じるだろう。
長年犬と暮らしてきた評者にとっても、犬に感情があることは論じるまでもない自明なことだと感じていた。
好物の餌をやれば喜んでいるようだし、出かけるときは寂しそう、戻ってくると嬉しそうになついてくる。
親戚の子供が来て自分より可愛がられていると少しすねた表情を見せるし、仲間が死んだときは悲痛な声で吠えていた。
それらが全て人間の思い込みだとは到底思えないし、人間と同様とまではいかなくても基本的な感情が動物にあるのは疑問の余地もないと思っていた。
本書の序盤は、人間と動物をはっきり区別するキリスト教の生物観を背景として、動物に人間と同様の感情を見出すのは悪しき「擬人主義」として非難の対象とされてきた経緯を説明する。動物は反射はするが痛みは感じないとして、残酷な動物実験も平然と行われてきた。
この擬人主義批判の歴史は、西洋精神史の一側面として、興味深く読める。
そして本題である本書で例示される動物の感情表現の幾多の事例は、感情の存在を認めるどころか、動物の感情の豊かさを如実に伝えている。
動物は人間と同じ言語を持たないだけで、嬉しい時もあればつらい時もある。身内を失えば嘆くし、強敵が現れれば恐怖も感じ、誰かを守るために勇気を出して闘うときもある。
そんな動物たちが身近にいると知れば、この世界は人間にとっても、動物たちにとっても、もっと面白いものになるに違いない。
33人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2011年10月22日に日本でレビュー済み
僕たち日本人は長い人類の歴史の中でも最も恵まれているといっていいほど恵まれている。
僕のような平民のなかで貧しい部類に入る者でも古代エジプトの国王より、中世の皇帝よりよい医療を受けられる。チョコレートのような遠い国の原産のおいしいものを食べることもできる。自分の足を使うことなく、何百キロと移動することも、移動しなくてもその場所を映像で見ることもできる。最新の科学によって、宇宙のかなたから元素にいたるまで知ることができる。これはすごいことで、今まで誰もできなかったことを僕たちは毎日なし得ているのだ。

しかし、それは本当に大切なことなのだろうか。僕たちは人間である前に「いきもの」だ。

テレビで見る動物たちは、自分たちの文化を持っていない。でもその代わり彼らには深い絆がある。その親の面倒見のよさに今の日本人はかなわないだろう。愛という以上にまるで運命のように自分の生を捧げる。人間には家に幼い子供を置いて、パチンコのために外出してしまう薄情な母親がいる。子供のためにチョコレートを置いていくかもしれない。でももし僕がその子供なら甘いチョコレートよりも、優しいお母さんの方がいい。

この本の主題は、動物たちにも感情はあるのだ、ということだ。僕たち日本人には「なにを今さら。」というところだが、アメリカの学会では、動物は人間と違って感情がないのだとされていて、動物の感情を含んだような発言はタブーでさえあるようなのだ。そういう点ではアメリカは遅れた国だとも言えるだろう。
アメリカの動物行動学界でそれらが否定される背景には、アメリカ人のほとんどがキリスト教徒であることと、動物が人間と共通した存在になってしまうと動物実験や肉を食べることがし辛くなるということがあるらしい。
そのために動物に感情がある証拠がない、と言って否定されるのだそうだ。分かりやすく言うと彼ら自身で「わたしはうれしい」とか「わたしは悲しい」とか言わないからということだ。

それは言わないだろう。これからもずっと言わないと思うよ。ボクは!。

しかし、たとえば人間が幸せを感じたり、ものを表現したりするのに言葉が必要だろうか。血のつながらない異性が僕の隣に座って僕の目を見ながら、背中に手を回してきたとして、その人が僕の「恋人」以外の何なのだろう。僕のほうも相手の肩に手を回して、二人がそのままじっと動かなかったとして、それは何かに恐怖して動かないのか、幸福感に身をゆだねているのか分からないというのか。
人間だって自分の感情を始終口にしているわけでもないのに、動物には言えというのだ。

とにかくこの本の前半の多くの部分が古い体質に凝り固まった学会に対する批判にあてられていて、特に日本人にとっては挫折しやすいかもしれない。著者にとっては本意ではないかもしれないが、第三章から読み始めることをおすすめしたい。

僕の読後感は、このようなドキュメンタリーでよくある、知識の充足感ではなく、心の満足感だった。
第三章以降のほとんどが動物たちのエピソードで、心の温まるような話や微笑ましい話が多かったことと、著者を含む多くの研究者の動物に対する理解が感じられたからだ。
本当に大切なことって何だろうと考えさせられた。科学とか宗教とかいう前に、僕たちが社会とか家族とかの群れで生きる生き物だということだ。それに動物たちもそのほかの生き物もきっとみんなおんなじだ、という想い。わけ隔てなく、みんなこの宇宙という深海に沈む潜水艦に、ノアの箱舟のように必要だから生きているのだ。

ノアはいまのアメリカのキリスト教徒たちをどんな想いで見ているのだろうか。
26人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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