NHKの番組で、植物の驚くべき能力について知ったばかりですが、科学的に、植物の五感を動物と対比して同じDNAが動いていながら、機能的には違う働きをしていて、面白いです。
科学的にというのがミソですね。例えば、植物にクラシックを聴かせるとよく育ち、ロックを聴かせると萎れるとかの、ロマンティック(疑似科学的)な論とは距離を置いていて、私的には好感が持てます。植物には残念ながら聴覚はないのです。音波の振動は検知できそうですが。
NHKでの、虫に葉を食べられると、天敵を呼ぶ化学物質を出すという説明では、植物には意思があるように勘違いしそうですが、それは昆虫との共進化と説明しています。
植物が虫に葉を食べられた時に出す物質は他の葉に防御反応を伝えるためで、それを検知して緊急参集する(笑)虫の天敵の昆虫が進化に有利になった結果に過ぎない。
この説明が進化論的には納得できます。
ただ、植物には太陽の光や重力を検知して芽や根の伸びる方向を変えたり、食虫草のように、葉に触れた虫の大きさを検知して葉を閉じることもできます。短期記憶も持っています。
そのメカニズムには、もちろん科学的に解明されていることも多くて、植物には脳はないけれども、私の理解した範囲では動物の脊髄反射や免疫のような無意識の反応に似た能力があります。
メカニズムの一つを紹介すると、重力を検知するのは動物の耳の平衡感覚を司る機能に似ていて、根と茎の維管束の周りの組織に重りのような密度の高いものがあって、その偏りで植物は重力を知ることができます。
短期記憶も手続き記憶で、食中草は葉を閉じるにはエネルギーがいるので、小さい虫では割が合わず、ある程度大きい獲物を知るために、2カ所にある時間続けて触れると、大きい虫と判断して、葉を閉じる。そのメカニズムは、細胞のカルシウム濃度である閾値に達することで判断しています。
類書の中では、科学的で客観的だと思います。お勧めです。
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植物はそこまで知っている: 感覚に満ちた世界に生きる植物たち (河出文庫) 文庫 – 2017/3/4
ダニエル・チャモヴィッツ
(著),
矢野真千子
(翻訳)
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見てもいるし、覚えてもいる! 科学の最前線が解き明かす驚異の能力! 多くの感覚を駆使して生きる植物たちの「知られざる世界」。
【目次】
プロローグ
1章 植物は見ている
植物学者ダーウィン
生長をやめないタバコ
日の長さを測る
分子遺伝子学から見た植物の視覚
概日リズムの進化的な起源
2章 植物は匂いを嗅いでいる
エチレンの信号
食の好みにうるさい寄生生物
葉は盗み聞きするのか?
植物はコミュニケーションしているのか?
3章 植物は接触を感じている
ハエトリグサの罠
水圧で葉を動かす
接触によって活性化する遺伝子
植物とヒトの「感じ方」
4章 植物は聞いている
音楽と植物の疑似科学的な関係
植物にもある「難聴」遺伝子
植物の進化に聴覚は必要か?
5章 植物は位置を感じている
上か下かを知る遺伝子を探せ
ヒトの耳石、植物の平衡石
宇宙での実験
釣り合いをとりながら育つ
6章 植物は憶えている
ハエトリグサの短期記憶
長期記憶、またはトラウマ
エピジェネティクス
世代を超えて伝わる記憶
知能をともなう記憶?
エピローグ
【目次】
プロローグ
1章 植物は見ている
植物学者ダーウィン
生長をやめないタバコ
日の長さを測る
分子遺伝子学から見た植物の視覚
概日リズムの進化的な起源
2章 植物は匂いを嗅いでいる
エチレンの信号
食の好みにうるさい寄生生物
葉は盗み聞きするのか?
植物はコミュニケーションしているのか?
3章 植物は接触を感じている
ハエトリグサの罠
水圧で葉を動かす
接触によって活性化する遺伝子
植物とヒトの「感じ方」
4章 植物は聞いている
音楽と植物の疑似科学的な関係
植物にもある「難聴」遺伝子
植物の進化に聴覚は必要か?
5章 植物は位置を感じている
上か下かを知る遺伝子を探せ
ヒトの耳石、植物の平衡石
宇宙での実験
釣り合いをとりながら育つ
6章 植物は憶えている
ハエトリグサの短期記憶
長期記憶、またはトラウマ
エピジェネティクス
世代を超えて伝わる記憶
知能をともなう記憶?
エピローグ
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2017/3/4
- 寸法10.7 x 1.3 x 15 cm
- ISBN-104309464386
- ISBN-13978-4309464381
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商品の説明
著者について
ダニエル・チャモヴィッツ
遺伝学者。イスラエルのテルアヴィヴ大学の植物学の教授、同大学のマンナ植物バイオ科学センター所長。米国のイェール大学のポスドク当時、COP9シグナロソーム遺伝子群を発見、世界的に注目されている。
遺伝学者。イスラエルのテルアヴィヴ大学の植物学の教授、同大学のマンナ植物バイオ科学センター所長。米国のイェール大学のポスドク当時、COP9シグナロソーム遺伝子群を発見、世界的に注目されている。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2017/3/4)
- 発売日 : 2017/3/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4309464386
- ISBN-13 : 978-4309464381
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 124,372位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2023年7月10日に日本でレビュー済み
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2019年8月6日に日本でレビュー済み
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是非立ち読みでもいいので、読まれることをお勧めしたいです。
兎に角、工学系の私としては、知らない事ばかりで、とても面白かったです!!
樹木同士が助け合う、子育てに似た行為、光を感じるだけではなく、臭い、味、触覚、記憶までもあるとは!!
庭木の手入れも大切なのだと思いました。
兎に角、工学系の私としては、知らない事ばかりで、とても面白かったです!!
樹木同士が助け合う、子育てに似た行為、光を感じるだけではなく、臭い、味、触覚、記憶までもあるとは!!
庭木の手入れも大切なのだと思いました。
2021年10月4日に日本でレビュー済み
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専門性にうんざりせず、物語を聞くように読み進められ、植物の環境適応のメカニズム研究が、遺伝子レベルの調節も含めてシステマティックに理解できる。植物研究を志す高校生必読かも!
2022年10月21日に日本でレビュー済み
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植物に未知な部分が多いが、擬人化は危険。
2021年9月30日に日本でレビュー済み
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私はこの著者の主張を100%信じています。もちろん量子力学の本を読んでいなければ一笑に付していたでしょうが・・・。
2018年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても興味深く、一気に読むことができた。
その理由は、
①無理のない分量と構成
1章 植物は見ている
2章 植物は匂いを嗅いでいる
3章 植物は接触を感じている
4章 植物は聞いている
5章 植物は位置を感じている
6章 植物は憶えている
エピローグ 植物は知っている 〜167頁
②理路整然とした著者の思考
③簡潔でわかりやすい訳文(常体)
④余計な物語を読まされる必要がない
⑤変に擬人化していない
⑥興味深い古今東西、宇宙での実験結果
⑦遺伝子レベルでの人との比較
⑧植物と人との感覚の違い
⑨ハエトリグサの短期記憶
ある時間内での2点接触で閉じる
⑩植物には、「手続き記憶」(人は他に「意味記憶」、「エピソード記憶」)がある
⑪植物の長期記憶と「エピジェネティクス」(遺伝子発現制御機構学)
本書でのヒストンとクロマチンの説明はイメージしやすい
⑫植物の生きる知恵?は、ある種の知性と言えるか?
⑬植物の知性?と人の知性に共通する部分と違う部分は何か?
⑭植物研究が、人工知能研究に役立つことがあるか?(⑫〜私のつぶやき)
等である。
その理由は、
①無理のない分量と構成
1章 植物は見ている
2章 植物は匂いを嗅いでいる
3章 植物は接触を感じている
4章 植物は聞いている
5章 植物は位置を感じている
6章 植物は憶えている
エピローグ 植物は知っている 〜167頁
②理路整然とした著者の思考
③簡潔でわかりやすい訳文(常体)
④余計な物語を読まされる必要がない
⑤変に擬人化していない
⑥興味深い古今東西、宇宙での実験結果
⑦遺伝子レベルでの人との比較
⑧植物と人との感覚の違い
⑨ハエトリグサの短期記憶
ある時間内での2点接触で閉じる
⑩植物には、「手続き記憶」(人は他に「意味記憶」、「エピソード記憶」)がある
⑪植物の長期記憶と「エピジェネティクス」(遺伝子発現制御機構学)
本書でのヒストンとクロマチンの説明はイメージしやすい
⑫植物の生きる知恵?は、ある種の知性と言えるか?
⑬植物の知性?と人の知性に共通する部分と違う部分は何か?
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等である。
2020年9月20日に日本でレビュー済み
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植物の奥深い意味にただ感嘆。
難しい箇所もありましたが
興味深く読めました。
確実に植物への考えが変わりました。
難しい箇所もありましたが
興味深く読めました。
確実に植物への考えが変わりました。
2020年7月31日に日本でレビュー済み
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高校の生物の教科書をもう一度読みたくなる、とても興味深い一冊でした。
細胞壁という単語がでてきてこんなに(ひとりで)盛り上がったことはないです。これがあれか!という感じがとてもあり、センター試験くらいの知識があれば「あー!あったあった!それがこれなんだ!」という風になると思います。
そんなことのために宇宙で実験をしてるんだ!?と思うようなことも結構でてくるのですが、植物を知れば人間を知ることにも繋がるのでしょうね。
この本にもし続編とかあればよみたいですね。
細胞壁という単語がでてきてこんなに(ひとりで)盛り上がったことはないです。これがあれか!という感じがとてもあり、センター試験くらいの知識があれば「あー!あったあった!それがこれなんだ!」という風になると思います。
そんなことのために宇宙で実験をしてるんだ!?と思うようなことも結構でてくるのですが、植物を知れば人間を知ることにも繋がるのでしょうね。
この本にもし続編とかあればよみたいですね。