最新SF長編連作 "Ilium" "Olympos" で初めてこの作家を知り、あまりの面白さに他の作品も読んでみようと、この本を購入しました。
収録作全て初出が10年以上前の作品であるためか、どの作品も確かにどこかで見たような印象は拭えません。
が、普通でない状況下の普通とはいえない登場人物たちの行動・心情を描く筆致は、暗く皮肉なユーモアと切ないほどの愛情に満ちて、臨場感溢れる粋な描写を味わいました。
中でも『最後のクラス写真』には最初の3行で鷲掴みにされて、最後まで唸りっぱなし。よくこんなアイデアが湧くな、よくこんな文章が書けるなぁ。
異郷の闇の世界を狂おしい密度で描く『バンコクに死す』の原題は "Dying in Bangkok"。die でも death でもなく、dying。怖くて、悲しい。
表題作『夜更けのエントロピー』は抽象的なタイトルとは裏腹に、真摯な「人間が生きていくこと」の物語。
ジャンルを超えて多作ぶりを発揮しているダン・シモンズ、しばらく追っかけてしまいそうです。
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夜更けのエントロピー (奇想コレクション) 単行本 – 2003/11/23
- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2003/11/23
- ISBN-104309621813
- ISBN-13978-4309621814
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
保険調査員のオレンジファイルにつづられていた事故の事例は、愛と死と苦い笑いに満ちている。いつか彼の娘も事故に遭遇する時が…。「偶然」に翻弄された人たちの不思議な運命を描いた傑作短編集。日本オリジナル編集。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2003/11/23)
- 発売日 : 2003/11/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 349ページ
- ISBN-10 : 4309621813
- ISBN-13 : 978-4309621814
- Amazon 売れ筋ランキング: - 854,240位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2003年発表の日本オリジナルの短編集。全体的にお話は陰鬱で一気に読み通すのには疲れます。
ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
、
ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
のような、小学校の教師であったダン・シモンズが妄想した驚異で悲しい物語たちといった趣ですね。
2005年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この手のお話には大体2種類あって、一つはごく小さな事象がどんどん大きな話になって行く拡散系と、すごく大きな話から始まって、実は小くて意外な結末へ近づいていく収束系。で、この本の話はほとんどが後者であることに気がつきます。時や場所はいろいろ。薄ら寒い東ヨーロッパや混乱を極める東南アジア、近未来のテーマパーク…。でもそれらは作者の用意した一点の結末を飾る舞台装置に過ぎない事に、読んだ後で気がつく訳です。一貫して余計な説明を省いた手法も、逆に想像力を刺激します。素晴らしいのは『ドラキュラの子供たち』『バンコクに死す』。個人的には表題作『夜更けのエントロピー』がお勧めです。逆に『ベトナムランド優待券』『ケリー・ダールを探して』では、この分野でスティーブン・キングに一歩譲る気がしました。純粋なホラーとは言えないが、しばし物語の世界を旅する事が出来る本です。
2004年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大人のSF・ホラーファンだったら、これを読め。必読。
子供は読んじゃダメだけど。
特に、「最後のクラス写真」にはひっくり返った。いや、全然
すごい展開じゃないんだけど、そもそもどうしてこんな話を
書こうなんて発想できるんだ?
どの一編をとっても、すごい。
傑作短編集。
子供は読んじゃダメだけど。
特に、「最後のクラス写真」にはひっくり返った。いや、全然
すごい展開じゃないんだけど、そもそもどうしてこんな話を
書こうなんて発想できるんだ?
どの一編をとっても、すごい。
傑作短編集。
2009年12月7日に日本でレビュー済み
この作家さんの本はこれが初めてなんですが、この本に限って言えば、ちょっと表現がグロテクスで読み慣れない女性にはきつかったりもします。でも人間の闇というか残酷な一面を描く力はある人なのでしょう。
タイトルになっている「夜更けのエントロピー」は皮肉っぽいユーモアの表現の上手さがあったし、「ケリー・ダール」はグイグイひっぱる力があるし、「最後のクラス写真」は読み始めからは想像もつかない温かい気持ちにさせるし、確かに不思議な気持ちにさせる作品群と言えるでしょう。ただ、自分の本棚に置いておきたいかと問われると・・・NOです。
タイトルになっている「夜更けのエントロピー」は皮肉っぽいユーモアの表現の上手さがあったし、「ケリー・ダール」はグイグイひっぱる力があるし、「最後のクラス写真」は読み始めからは想像もつかない温かい気持ちにさせるし、確かに不思議な気持ちにさせる作品群と言えるでしょう。ただ、自分の本棚に置いておきたいかと問われると・・・NOです。
2004年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「ケリー・ダールを探して」なんかの雰囲気は好きだけど、
どうも世界が狭いんだよな
早川のSF傑作選とかの劣化版を読んでいるような感じ
新鮮味が無い
サイズは単行本サイズのくせに
ハードカバーじゃなくてぺらぺらの表紙なのが個人的にいや
全体に古く感じる
10年前ならおもしろいと思ったかもね
どうも世界が狭いんだよな
早川のSF傑作選とかの劣化版を読んでいるような感じ
新鮮味が無い
サイズは単行本サイズのくせに
ハードカバーじゃなくてぺらぺらの表紙なのが個人的にいや
全体に古く感じる
10年前ならおもしろいと思ったかもね
2012年5月3日に日本でレビュー済み
兎に角各短編で取り扱っているテーマが幅広い。戦争、ホラー、SF,ファンタジーとやたら色々手を変え品を変え読者を翻弄する。それもただ扱っているだけでなく全て佳作から傑作になっていて凄い。特に状況描写にその才能を感じました。例えば舞台が東南アジアになったら東南アジアの雰囲気が如実に伝わってきたり舞台が東欧になったら東欧の薄暗さが伝わってきたり山岳地帯の話になったら山の空気が伝わってきたりとその才能をキングが畏怖するだけのことはあるなと感じました。
読んだ人それぞれ面白かった作品が違うと思いますが、個人的な白眉は「黄泉の川が逆流する」。デビュー作で(多少手をいれたそうですが)これだけの物を書いたのは驚嘆に値する。
ホラー、SF、ファンタジー、クライムノヴェル、戦争小説、スリップストリーム、何でも書ける本当に天才に思える作家の格好の短編集。この人を最初に何を読むか迷う人はこれからがいいかも。
読んだ人それぞれ面白かった作品が違うと思いますが、個人的な白眉は「黄泉の川が逆流する」。デビュー作で(多少手をいれたそうですが)これだけの物を書いたのは驚嘆に値する。
ホラー、SF、ファンタジー、クライムノヴェル、戦争小説、スリップストリーム、何でも書ける本当に天才に思える作家の格好の短編集。この人を最初に何を読むか迷う人はこれからがいいかも。
2009年7月5日に日本でレビュー済み
SF、ダーク・ファンタジー、ホラーのどれでもなく、どれもが入り混じった短編集。表題作のみ、純文学系。「バンコクに死す」は、死と快楽の濃密な描出にくらくらした。「ドラキュラの子供たち」にチャウシェスク体制下前後のルーマニアの闇が描かれているのが、印象的だった。背景は事実に取材しているのだろう、迫力がある。
全般的に、迫害されたりダメージを受けたりした子供がよく登場する。総じて陰鬱な後味である。
全般的に、迫害されたりダメージを受けたりした子供がよく登場する。総じて陰鬱な後味である。