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不思議のひと触れ (シリーズ 奇想コレクション) 単行本 – 2003/12/22
- 本の長さ361ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2003/12/22
- ISBN-104309621821
- ISBN-13978-4309621821
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商品の説明
商品説明
なかでも、220編余りに及ぶという短編小説の数々は、「アメリカ文学史上最高の短編作家」と激賞されるほど評価が高い。本書収録の10編は、その中から厳選し、新たに訳出されたものである。ある女性の私生活を覗き見した男の奇妙な体験を描いた怪奇小説「もうひとりのシーリア」。子どもの心に潜む残酷さを捉えた「影よ、影よ、影の国」。言葉を話す石像と主人公とのやりとりがユーモラスな「裏庭の神様」。その味わいは、じつにバラエティー豊かで、改めてその力量に驚かされるものばかりだ。
とりわけ、スタージョンの魅力を伝えるのは、表題作と「孤独の円盤」の2作である。人魚とUFOというSF的な要素は、ここでは、人間そのものを捉えるための道具だてにすぎない。その上でスタージョンは、人魚を介して恋に落ちる男女の心暖まる情景を、UFOという不可思議を目撃してしまった者の疎外感を、巧みな筆致でありありと浮き上がらせるのである。その見事なまでの手腕は、読み手の持つ既存のSFのイメージをたやすく覆すに違いない。本書との「ひと触れ」は、SFの果てしない可能性との出あいを約束しているのである。(中島正敏)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2003/12/22)
- 発売日 : 2003/12/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 361ページ
- ISBN-10 : 4309621821
- ISBN-13 : 978-4309621821
- Amazon 売れ筋ランキング: - 512,192位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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SF翻訳家、書評家、アンソロジスト。
1961年2月2日、高知県高知市生まれ。高知市立追手前小学校、土佐中・高等学校を経て、京都大学文学部文学研究科卒(英語アメリカ文学専攻)。
1986年、マリオン・ジマー・ブラッドリー『惑星救出計画』でSF翻訳者デビュー。訳書は、バリントン・J・ベイリー『時間衝突』『ロボットの魂』(以上、創元SF文庫)、P・K・ディック『ザップ・ガン』、コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック』『航路』など約100冊。共訳書に劉慈欣『三体』三部作、『円』『球状閃電』『超新星紀元』、『カート・ヴォネガット全短篇』全4巻(以上、早川書房)など。
編訳書に、シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』『輝く断片』(河出文庫)、コニー・ウィリス『最後のウィネベーゴ』(河出書房新社)、『マーブル・アーチの風』、(早川書房)など。
スタージョン「ニュースの時間です」、テッド・チャン「商人と錬金術師の門」、劉慈欣「流浪地球」(共訳)の翻訳により、第36回、第40回、第54回星雲賞海外短編部門を受賞。ベイリー『時間衝突』、劉慈欣『三体』『三体Ⅱ 黒暗森林』で星雲賞海外長編部門受賞。
〈小説奇想天外〉の翻訳SF時評「海外SF問題相談室」を皮切りに、各紙誌にコラム・書評を連載。〈本の雑誌〉新刊SF時評は1990年から(二度の中断をはさみ)継続中。
2004年3月に豊崎由美との共著『文学賞メッタ斬り!』を刊行。
2008年からアンソロジストとしても活動。創元SF文庫『年刊日本SF傑作選』(日下三蔵と共編)とその後継の『ベストSF』(竹書房文庫)、『不思議の扉』(角川文庫)の各シリーズや、『ゼロ年代日本SFベスト集成』全2巻、『時間SF傑作選 ここがウィネトカなら、きみはジュディ』などのSFアンソロジーを編纂。責任編集の河出文庫『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』全10巻で、第34回日本SF大賞特別賞、第45回星雲賞自由部門受賞。
著書に『20世紀SF1000』、『新編 SF翻訳講座』、『50代からのアイドル入門』、『現代SF観光局』など。
1995年4月に開設したウェブサイト(http://www.asahi-net.or.jp/~KX3M-AB/)の日記は、その一部が、『狂乱西葛西日記20世紀remix SF&ミステリ業界ワルモノ交遊録』にまとめられている。
ツイッターのアカウント(@nzm)は、http://twitter.com/nzm/
日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ、日本SF作家クラブ会員。「ゲンロン 大森望 SF創作講座」主任講師。
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トップレビュー
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「閉所愛好症」の逆転劇も小気味いい。「不思議のひと触れ」にしろ、「ぶわん、ばっ」にしろ、健気な弱者が最後に報われるところは、読後にさわやかな印象を残す。「裏庭の神様」も、よくできたファンタジー。登場人物の等身大のアメリカ小市民が、いきいきと描かれている。
でも解説を読んで、5回も結婚・再婚し、7人も子どもがいたってのにもビックリした。
「孤独の円盤」については,作品集「一角獣・多角獣」小笠原豊樹翻訳にて既読でしたが,本作収録の白石朗翻訳もとても良いです。
本作品集のうち,私のお気に入りは「タンディの物語」です。
子どもが中心人物として描かれる作品が二編「影よ,影よ,影の国」「タンディの物語」収録されていますが,これがいずれも素晴らしい。こどもの心の動きを見事に描写しています。そして「タンディの物語」では,更に一歩踏み込み,自らの子どもの変化を静かに,幸福に,おびえとともに見つめ続ける母親の気持ちが,じわじわと伝わります。
また,「タンディの物語」では,冒頭の1章がユニークです。この物語のレシピが記載され,それが何のことなのかさっぱりなのですが,物語が進むにつれて,ああ巧いなあと思わせる展開をみせます。
そのほかの作品も充実しており,お得な感がある作品集となっています。
では,表題作「不思議のひと触れ」から印象的な部分を抜粋します。
「どこにでもいる平凡な男に,不思議のひと触れが加わると,ほら,見てごらん。ほんのちょっとしたことでいい。たった一度でもいい。そしたら,そこから先,彼の人生は死ぬまでずっと本物なんだよ」
といっても曲者スタージョンにかかればありふれたプロットがたちまち不可思議な佇まいになる。
丹念に紡がれた文章を夢中で追っているうちに味わい深い結末と出会った。
どんな孤独にもおわりがある。
スタージョンという作家はジャンルにとらわれなかった人なんだなと改めて感じた。
入り口の広い作品がメインで収録されているので、SFファンのみならず、ファンタジー・幻想小説を好みとしている方にもオススメです。
どこか孤独で、やさしく、そして夢見るようなスタージョンの世界に浸りましょう。
枕元に置いておいて、就寝前にふと読み直そうと思った時、いつでも読み直せるようにしておきたい一冊です。
でも勧めたり勧められたりには不向きかな…
いつの世にも置いててほしい作品だとは思う。
孤独の円盤について
"どんな孤独にもおわりがある"
には"止まない雨はない"類を感じたんだけど、他の解釈はあるんでしょうか。
かつてこの著者に救われた人が沢山いただろうな〜
スタージョンは、アメリカでは、PKディックと並べて語られる重要作家として評価されている。
より進化したSFをあたりまえのように読んでいたから、その目では、SFとして発想や表現が素朴と感じる部分があった。「『雷と薔薇』は『渚にて』よりも前に、核の冬を書いた」と解説で読んで初めて、すごさを察した。SFとしてはともかく、ふつうに小説として、短編として、味わいがあった。
「どんな孤独にも終わりがある」という、まきこまれ型ストーリーの優しさに浸った。『もうひとりのシーリア』が忘れられないオチだった。