　文庫本に較べ、単行本は表紙からして本の作りが秀逸です。活字も読み易く、三井永一さんの挿絵の迫力も増しています。内容に関してはこの著者の「ちょっといい話」の味付けを基に、明治以降の２３人の人物評伝に絞り、しかもその「ぜいたく」な面を突出して描いているので、少々マニアックな面が出ています。その面では退屈なものもありますが、内田百閒・西条八十・堀口大学・鹿島清兵衛等の人物とその環境に関しては読ませました。又、福地桜痴、第一書房創立者の長谷川巳之吉などに関しての知識は得るところが多くありました。
　しかしながら、この著者の人物伝は、誉める傾向が強く、あまり対象者の人間的な欠落を取り上げることがありません。その分、その人物への掘り下げが浅くなるのは当然で、この書物などは特にその傾向が強くなっています。又、歌舞伎役者等の演劇人を取り上げると、著者の専門分野だけに、あまりにも話がマイナーになりその業界に興味の無い読者には付いていけなく傾向があります。

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ぜいたく列伝 (人物文庫 と 3-1) 文庫 – 2004/4/1

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戸板 康二

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ぜいたく列伝 (人物文庫と 3-1) 文庫 – 2004/4/1

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