~ すばらしい本に出会った。愛情にあふれた一冊である。
著者は東大を卒業してカリフォルニアに渡り、臨床医として副題にある「ジャングル病院」=郡病院(公立病院)で無保険者や貧困層のための医療に取り組んできた。同時に核磁気共鳴画像(MRI)の研究では世界的権威の一人でもある。
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本書では、日本の医療の改善のために、アメリカ医療のどこがどのように優れているのか、医師一人一人の行動や人生観から、その背後にある医療制度についてまで、克明に記している。
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端的に言えば、医師(M.D.)が医学ではなく医療に高い優先順位を与えたのがアメリカ医療の強さの秘訣と言うことになるだろうか。患者さんのために誠実に全力を尽くすことに臨床医の能力評価の基準があるとい!うことでもある。全ての制度はそのためのモノとして過不足なく設計されていることも分かる。
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そして、アメリカの力の根源が、多様性の確保と生存の保障の両者にあるということに、医療も医学も大きく影響されているという。
顧みて、最近の日本に欠けたモノについても苦言を呈している。全ての医師必読と言える。そして、いつ何時、患者さんとして医師と接することになるかも知れない全ての愛書家にとっても大切な本である。
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そして、最近のカリフォルニア州の財政危機の報道に接すると、遠い日本にいても、誠実な医師達と、困窮した患者さん達は、どうなるのであろうかと、「ジャングル病院」の行く末が心配になってしまう。~
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アメリカ臨床医物語: ジャングル病院での18年 単行本 – 2003/7/1
中田 力
(著)
- 本の長さ165ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2003/7/1
- ISBN-104314009462
- ISBN-13978-4314009461
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
長年カリフォルニアで臨床医として活躍し、多数の研修医を育てた日本人医師が見た、カリフォルニア医療の実態と臨床医たちの群像。体験を語りながら日本が犯した致命的な失敗を明確にし、日本医療改革への提言をおこなう。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2003/7/1)
- 発売日 : 2003/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 165ページ
- ISBN-10 : 4314009462
- ISBN-13 : 978-4314009461
- Amazon 売れ筋ランキング: - 452,104位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 416位総合診療・プライマリケア
- - 123,106位文学・評論 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2003年8月9日に日本でレビュー済み
米国で医療に携わる日本人医師から、日本の医療制度の問題点を明解に解き明かされた貴重な著書である。
小生も米国の東西(ニューヨークとサンフランシスコ)に17年暮らしていた間、小児科から消化器科まで数多くの医師の診療を受け、子供の急病で救急車(巨大な消防車も必ずついてくるが)にも世話になった。
日本に帰り、その医療制度に接するたびにその不便さが気に掛かっていたが、それは患者にとって今何をする事がベストかという視点が優先されていない事のように思われる。
本著にあるように、患者の希望で病院や医師を代えるとき、今までの検査結果などの資料を全て前の医師が送ってくれるが、日本ではそのような医師同士の積極的な情報交換は見られなかった。
また米国の医師は2年に1回!は資格を更新しなければならず、カリフォルニアにおいては毎年の資格確認があるとのこと。日本では一度資格を取得し開業してしまえば、特に定期的な資格審査は無いと聞く。 この辺で、最新医療知識を備えずして開業する医師が多いのが現実と実感する。
是非、著者の経験を生かして日本医療を改善して欲しいと熱望する。
小生も米国の東西(ニューヨークとサンフランシスコ)に17年暮らしていた間、小児科から消化器科まで数多くの医師の診療を受け、子供の急病で救急車(巨大な消防車も必ずついてくるが)にも世話になった。
日本に帰り、その医療制度に接するたびにその不便さが気に掛かっていたが、それは患者にとって今何をする事がベストかという視点が優先されていない事のように思われる。
本著にあるように、患者の希望で病院や医師を代えるとき、今までの検査結果などの資料を全て前の医師が送ってくれるが、日本ではそのような医師同士の積極的な情報交換は見られなかった。
また米国の医師は2年に1回!は資格を更新しなければならず、カリフォルニアにおいては毎年の資格確認があるとのこと。日本では一度資格を取得し開業してしまえば、特に定期的な資格審査は無いと聞く。 この辺で、最新医療知識を備えずして開業する医師が多いのが現実と実感する。
是非、著者の経験を生かして日本医療を改善して欲しいと熱望する。
2003年12月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を読むと、アメリカの医師養成システムの優れた所がよくわかる。日本が取り入れるべき点は多々ある。
ただし、医療システム全体としてはどうか。貧富の差が医療の差に直結するようなシステムを是とすべきか。
最近、日本のネット上でも、アメリカで暮らしながら患者の立場になっている人の声を見ることが珍しくない。一部の富裕層を除いて、日本の医療の方がきめ細かく費用も格段に安いという声が多い。著者は非常に優秀な医師であるようだが、日米で患者の立場になったことはあったのだろうか。また、著者は日米以外の国の医療については知識があるのだろうか。
日本の医学教育、医療システムをより良いものにしていくためにアメリカの現状は多いに参考になる。その意味では価値のある本ではある。
ただし、医療システム全体としてはどうか。貧富の差が医療の差に直結するようなシステムを是とすべきか。
最近、日本のネット上でも、アメリカで暮らしながら患者の立場になっている人の声を見ることが珍しくない。一部の富裕層を除いて、日本の医療の方がきめ細かく費用も格段に安いという声が多い。著者は非常に優秀な医師であるようだが、日米で患者の立場になったことはあったのだろうか。また、著者は日米以外の国の医療については知識があるのだろうか。
日本の医学教育、医療システムをより良いものにしていくためにアメリカの現状は多いに参考になる。その意味では価値のある本ではある。
2004年3月25日に日本でレビュー済み
この本を読んで、臨床医の養成という点ではアメリカのシステムの方が日本より優れているように思いました。メディカルスクール4年間のうち3年間を病院で実践的に教育するというのは知りませんでした。日本にも取り入れてほしいと思いました。
2003年11月24日に日本でレビュー済み
私がもう2,3年前だったら評価 星5つにしたかもしれない。アメリカの医療現場を面白おかしく書いて読ませる本である。ただしアメリカ全体の医療制度についてはあまり詳しくない。4000万人の医療保険のない人が存在することについての疑問は語られない。「ジャングル病院」いくところのない人たちのための病院という存在に対する疑問は語られない。それでいて相手,これは日本のことだが,その欠点についてはお見通し。典型的な,アメリカナイズドされた立場からの発言が目立つ。両国の単なる比較は意味がないばかりでなく危険である。医療技術は世界共通だが,疾病はローカルだ、というのが私の考えである。また当然医療システムもローカルなもので、日本のほうがアメリカより数段上である。比較するときは医療技術-医療システムと合わせて観察すべきである。何でもアメリカはもう卒業してほしい。同種の本がまた1つ増えた。反面教師として読むとつい。少し辛口すぎたかな。