何かを得て、それを活用し、便利になって、使わなくなったものが失われる。
そうやって人は長い時間をかけて進化してきたのだな、と納得させられる本です。
得るもの、失うものは、当然その時代における外部環境
(地理的環境、他の生命との関係など)との相互関係で決まりますので、
私たちはたまたまそのような過程を経て、今ここにいるんだな、
と改めて感じさせられました。
そしてこれからも、長い時間をかけて進化していくんだな、
しかも科学・技術を含めた環境との相互作用によって獲得と喪失を繰り返すんだな、
と思いました。
人という種に関心のある方にはお薦めです。
進化論について興味をもたれた方は次の書物もお薦めです。
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」「延長された表現型」
スティーブン・ピンカー「人間の本性を考える」
ダニエル・デネット「ダーウィンの危険な思想」
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」
また脳について興味を持たれた方は次の書物もお薦めです。
アントニオ・ダマシオ「感じる脳」
ジョセフ・ルドゥー「シナプスが人格をつくる」
V.S.ラマチャンドラン「脳のなかの幽霊」
2008/3/9読了
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喪失と獲得: 進化心理学から見た心と体 単行本 – 2004/10/1
ダブルポイント 詳細
- 本の長さ460ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2004/10/1
- ISBN-104314009683
- ISBN-13978-4314009683
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登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2004/10/1)
- 発売日 : 2004/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 460ページ
- ISBN-10 : 4314009683
- ISBN-13 : 978-4314009683
- Amazon 売れ筋ランキング: - 147,978位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年5月18日に日本でレビュー済み
約3万2000年前のショーヴェ洞窟や1万5000年前のラスコー洞窟の絵と自閉症(サヴァン症候群)の少女ナディアが描いた絵の共通項を取り上げる件は刺激的である。
それは、概念化能力には欠けるが傑出した写実的能力を持つということである。
つまり、「記憶」とは何かに係ってくる。
概念化の欠如は、逆に正確に記憶することを可能とする。
最初の視覚的印象を単純に受け止めるだけなのである。
他の子は、「ウマ」を見たときそれを「ウマ」というカテゴリーの表象と見て描く。記憶を断念して考えて描いている。
と考えると、洞窟の画家たちは言語を持たなかった。
ナディアは、8歳を過ぎてから集中的教育の結果として僅かの言語を獲得したがその時、描画の技量が部分的に消えてしまった。
無垢の眼が失われて芸術的技巧がそれに取って代わったのである。
洞窟絵画は、1万1000年前の氷河時代の終わりに終わってしまう。
記憶能力の喪失と抽象的思考の出現である。
これと同様のことが感覚と知覚についても言えるだろう。
「知覚」には、概念が介入しているのである。
そして、「感覚」は受動的な状態ではなく値踏みという能動的作用である。痛みを「受けている」ではなく、痛みを「感じている」のである。
ナディアは、絵を描くということ自体に喜びを感じていたようだ。制作するが人に見せないというのが自閉症の画家の特徴だそうだ。
現代の我々は、読むことで知ることを喜ぶことができる。
記憶と概念については、視覚のみでなく五感全部に言えるのではないだろうか。
進化心理学という視点からの斬新な見解が面白い。
それは、概念化能力には欠けるが傑出した写実的能力を持つということである。
つまり、「記憶」とは何かに係ってくる。
概念化の欠如は、逆に正確に記憶することを可能とする。
最初の視覚的印象を単純に受け止めるだけなのである。
他の子は、「ウマ」を見たときそれを「ウマ」というカテゴリーの表象と見て描く。記憶を断念して考えて描いている。
と考えると、洞窟の画家たちは言語を持たなかった。
ナディアは、8歳を過ぎてから集中的教育の結果として僅かの言語を獲得したがその時、描画の技量が部分的に消えてしまった。
無垢の眼が失われて芸術的技巧がそれに取って代わったのである。
洞窟絵画は、1万1000年前の氷河時代の終わりに終わってしまう。
記憶能力の喪失と抽象的思考の出現である。
これと同様のことが感覚と知覚についても言えるだろう。
「知覚」には、概念が介入しているのである。
そして、「感覚」は受動的な状態ではなく値踏みという能動的作用である。痛みを「受けている」ではなく、痛みを「感じている」のである。
ナディアは、絵を描くということ自体に喜びを感じていたようだ。制作するが人に見せないというのが自閉症の画家の特徴だそうだ。
現代の我々は、読むことで知ることを喜ぶことができる。
記憶と概念については、視覚のみでなく五感全部に言えるのではないだろうか。
進化心理学という視点からの斬新な見解が面白い。
2020年2月8日に日本でレビュー済み
【概要】
・進化心理学者によるエッセイ集
・キリストがどうして奇跡を起こせるふりをしたかとか、氷河期の驚くほど写実的な壁画と言葉を持たない自閉症の少女の絵の類似性とか、体毛を失ったから火を発明したとか、さまざまな問題を進化心理学の視点から読み解く
【感想】
・内容はとても説得力があり、そうなのかもと信じさせられる
・キリストがユリゲラーと同じだったとか、キリスト教の国でそんなことを書いても大丈夫なのかと心配になった
・子供は洗脳から守られるべきであり、自由なココロで考えたときに選択しないこと(割礼とかカルト宗教とか)を選択させることはどんな屁理屈をこねても正当化できなく、子供には科学を教えるべきという著者の話には共感できる
・翻訳の日本語が日本語としてこなれていないため、読むのに苦労する。
・最初から読み始めると面白いところに到達する前に読むのをあきらめてしまうかも。
・それはもったいないので(エッセイ集で順番に読む必要はないので)、興味のあるところだけ読めばよい
・進化心理学者によるエッセイ集
・キリストがどうして奇跡を起こせるふりをしたかとか、氷河期の驚くほど写実的な壁画と言葉を持たない自閉症の少女の絵の類似性とか、体毛を失ったから火を発明したとか、さまざまな問題を進化心理学の視点から読み解く
【感想】
・内容はとても説得力があり、そうなのかもと信じさせられる
・キリストがユリゲラーと同じだったとか、キリスト教の国でそんなことを書いても大丈夫なのかと心配になった
・子供は洗脳から守られるべきであり、自由なココロで考えたときに選択しないこと(割礼とかカルト宗教とか)を選択させることはどんな屁理屈をこねても正当化できなく、子供には科学を教えるべきという著者の話には共感できる
・翻訳の日本語が日本語としてこなれていないため、読むのに苦労する。
・最初から読み始めると面白いところに到達する前に読むのをあきらめてしまうかも。
・それはもったいないので(エッセイ集で順番に読む必要はないので)、興味のあるところだけ読めばよい
2016年4月24日に日本でレビュー済み
読み物としては一流で楽しいものになっています
心理学系のものの考え方で綴られているので
何かと何かが関連しているように思えこれが興味深いところまでは共感できますが
したがってこれらに因果関係があるとして結論を導くのはどうなんでしょう
というわけでこう考えるとするとこんな面白い結論になりますというお話を見てみたい人向けですね
なんとなくゴールデンタイムのTV番組のネタに似ているところもあります
心理学系のものの考え方で綴られているので
何かと何かが関連しているように思えこれが興味深いところまでは共感できますが
したがってこれらに因果関係があるとして結論を導くのはどうなんでしょう
というわけでこう考えるとするとこんな面白い結論になりますというお話を見てみたい人向けですね
なんとなくゴールデンタイムのTV番組のネタに似ているところもあります
2011年1月21日に日本でレビュー済み
最初読み始めた感想は形而上学的でつまらないというものでした。これから読む人はエッセイ集なのでどこからでも読めるので、ぜひ第2部を読んでほしい。
第7章ではラスコーの壁画が、自閉症の子供が書く絵とそっくりであることが示されます。普通の子供は訓練を受けない限り写実主義的には絵を描くことはないというのは現代人にとって分かりにくくなってる事実でしょう。
第13章ではキリストの話です。2世紀ごろの本の中で「ペテン師と手品師」が水をワインに変える芸をしてたというのも興味深いが、イエスが死の瞬間語ったとされる言葉の著者の解釈は、イエスの真の人間性を捉えているようで非常にリアリティがあります。
第15章はさらに痛烈であるかもしれません。
彼は子供に何を教えるべきか、基本的な原則から演繹していき、それは科学を教えるべきだと結論付けます。それ以外の様々な宗教を信じ込ませることは虐待ですらあると主張します。非西欧的価値観を持つ文化を守りたいと考える文化多元主義者なら激怒するかもしれませんが、それなら著者のつきつける疑問に答える義務があるでしょう。
第7章ではラスコーの壁画が、自閉症の子供が書く絵とそっくりであることが示されます。普通の子供は訓練を受けない限り写実主義的には絵を描くことはないというのは現代人にとって分かりにくくなってる事実でしょう。
第13章ではキリストの話です。2世紀ごろの本の中で「ペテン師と手品師」が水をワインに変える芸をしてたというのも興味深いが、イエスが死の瞬間語ったとされる言葉の著者の解釈は、イエスの真の人間性を捉えているようで非常にリアリティがあります。
第15章はさらに痛烈であるかもしれません。
彼は子供に何を教えるべきか、基本的な原則から演繹していき、それは科学を教えるべきだと結論付けます。それ以外の様々な宗教を信じ込ませることは虐待ですらあると主張します。非西欧的価値観を持つ文化を守りたいと考える文化多元主義者なら激怒するかもしれませんが、それなら著者のつきつける疑問に答える義務があるでしょう。
2004年12月31日に日本でレビュー済み
意識の進化的説明で有名なハンフリーによるここ20年ぐらいのエッセー集でいろいろなテーマのものが混じっている.
サブタイトルには進化心理学から見た心と体とあるが,進化心理学の本ではなく,進化心理学に造詣の深い著者による自由な発想による人の心に関するエッセー集である.
はじめの何章かは意識に関するものでこの手の意識に関する本を読みつけていない人にはなかなか読み続けるのがしんどいところもあるが,そこを越えるとなかなか面白いエッセーがたっぷり収録されている.
多重人格障害,洞窟壁画に見られるクロマニヨン人の心と自閉症児が書いた絵,プラセボ効果にかかるエッセーなど面白いものが続く.
イエスキリストがどのような心理的な内景とともに教祖となっていったのかをユリゲラーの例などひいて仮説構築しているところなども(この本がキリスト教圏内で出版されていることを考えてみても)読みどころのひとつである.
このエッセー集の最大の売りは通説に安易にのらないハンフリーの姿勢だと思う.人の心をまっすぐ考え抜く自由な思考が生み出すフレッシュな息吹を感じます.
サブタイトルには進化心理学から見た心と体とあるが,進化心理学の本ではなく,進化心理学に造詣の深い著者による自由な発想による人の心に関するエッセー集である.
はじめの何章かは意識に関するものでこの手の意識に関する本を読みつけていない人にはなかなか読み続けるのがしんどいところもあるが,そこを越えるとなかなか面白いエッセーがたっぷり収録されている.
多重人格障害,洞窟壁画に見られるクロマニヨン人の心と自閉症児が書いた絵,プラセボ効果にかかるエッセーなど面白いものが続く.
イエスキリストがどのような心理的な内景とともに教祖となっていったのかをユリゲラーの例などひいて仮説構築しているところなども(この本がキリスト教圏内で出版されていることを考えてみても)読みどころのひとつである.
このエッセー集の最大の売りは通説に安易にのらないハンフリーの姿勢だと思う.人の心をまっすぐ考え抜く自由な思考が生み出すフレッシュな息吹を感じます.