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共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること 単行本 – 2010/4/22
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「利己的な遺伝子」などのメタファーがもたらした現代の競争社会。利己的動機と市場の力のみに基づく社会は、富を生み出すことはできても、人生を価値あるものとするような相互信頼は生み出せない。
世界的に著名な動物行動学者が、チンパンジーやイルカなどの豊富な実験や観察例を引きながら、「共感」が進化史上哺乳類に共通の特性であることを明らかにする。そして、壁にぶつかってしまった極端な利益優先社会を、「共感」を基盤とする新たな社会とするよう提唱する。
われわれは、人間と動物が心を通わせたり動物同士が助け合ったりする場面になぜか心惹かれるが、動物たちのあいだでは、信頼や公平さの感覚、互恵的行為が見られる。また、ミラーニューロンの発見で、他の個体の動作を模倣したりする「共感」の神経生理学的基盤が得られた。「共感」は人間が新たに獲得した特性ではなく、脳の古い層の作用なのだ。
いまや、生物や進化を考えずに政治や経済は語れない。なぜなら社会は人間から成り、人間は進化の歴史の上にあるのだから……。そして「共感」にも長い進化の歴史の裏づけがある。
「これは、人間の優しさの生物学的ルーツについての大切でタイムリーなメッセージだ」
--------デズモンド・モリス(『裸のサル』の著者)
「共感」が進化の歴史の中で、生存のためにどれほど重要な価値を持っていたかがもっとよく理解できれば、人間の特質をより寛大により正確に捉え、それに基づいたより公正な社会の建設に向けて、私たちは力を合わせられる、とドゥ・ヴァールは言う。
さまざまなエピソードや皮肉の効いたユーモア、鋭い知性に満ち、素人にもわかりやすい文体で書かれた本書は、われわれが迎えている困難な時代における必読書だ。
- ISBN-104314010630
- ISBN-13978-4314010634
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2010/4/22
- 言語日本語
- 寸法13.5 x 2.5 x 19.5 cm
- 本の長さ368ページ
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商品の説明
著者について
フランス・ドゥ・ヴァール
動物行動学者。霊長類の社会的知能研究で世界の第一人者として知られている。現在、ヤーキーズ国立霊長類研究センターのリヴィング・リンクス・センター所長、エモリー大学心理学部教授。その著書は15か国語以上に翻訳されて広く人気を博し、霊長類学者として世界でも抜群の知名度を誇る。2007年には『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれている。著書に『利己的なサル、他人を思いやるサル』(草思社)、『あなたのなかのサル』(早川書房)などがある。
柴田裕之
早稲田大学・アーラム大学(米国)卒業。主な訳書に、リゾラッティ他『ミラーニューロン』、ジェインズ『神々の沈黙』(以上、紀伊國屋書店)、ガザニガ『人間らしさとはなにか?』(インターシフト)など多数。
西田利貞
1941年生まれ。日本モンキーセンター所長、京都大学名誉教授。理学博士。チンパンジー研究の第一人者。国際霊長類学会会長(1996-2000)、日本霊長類学会会長(2001-2005)などを歴任。2008年に人類起源研究の分野で最高の賞とされるリーキー賞を受賞。著書に『人間性はどこから来たか』(京都大学学術出版会)、『チンパンジーおもしろ観察記』(紀伊國屋書店)など多数。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2010/4/22)
- 発売日 : 2010/4/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 4314010630
- ISBN-13 : 978-4314010634
- 寸法 : 13.5 x 2.5 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 258,764位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,780位生物・バイオテクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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本書では、「共感」という感情の働きが霊長類などにも観察できるという事実が、著者自身の観察体験の他、霊長類研究者による数多くのエピソードで語られている。「共感」は仲間の心の中を洞察する能力があって初めて生まれる。このことはミラーニューロンの発見や、心の理論が霊長類でも成り立ちうるという観察結果から十分推察される。しかし、しばらく前までこのような「擬人化」は一部の科学者たちからヒトの立場を(動物並みに!)貶めるものとして忌み嫌われ、非難されてきた。しかしもはやそのような非難は全くあたらない。
「共感」を含む人間性の起源が極めて古く、霊長類にまで遡り得ることは、著者による『道徳性の起源 ボノボが教えてくれること』(紀伊国屋書店)だけでなく、日本の霊長類研究者である西田利貞著『人間性はどこから来たのか-サル学からのアプローチ』(京都大学学術出版会)でも詳しく実証されている。その西田利貞氏が本書の「解説」で述べているように、ヒトの「共感」能力は、爬虫類や哺乳類時代からの生物進化でヒトが獲得してきた極めて起源の古い脳の「入れ子」構造に基づいている。「共感能力」だけでなく、「道徳」や「宗教」の原型も、霊長類に見られて少しも不思議ではないと、本書を読んで確信した。
チンプも人とほとんど同じように同盟、裏切りなどの多様な政治活動をすることを
世界に広く知らしめた霊長類学者です。
今回の著作はなんでも10年かけて書いたということですが、内容としては、
チンパンジーも他者の感情に共感し、慰め行動をとること、
ゾウ、イルカなども共感をもって他者に接する、
アカゲザルなどでも妬み行動もあれば、
同時に公平な取り扱いを受ける選択行動をする、
など、人間で社会的に、あるいは実験的にすでに観察されてきた社会行動と
基本的に同じであるという膨大な研究を概説しています。
そして、エンロンのように弱肉強食の20世紀型の資本主義に変わって、
これらの21世紀はもっと共感を重視する時代になるべきだ、なるだろう、
と結論しています。
僕はドゥ・ヴァールの動物行動の知識は尊敬しますが、
人間社会についての考察は、あまり評価しません。
社会的に共感がもっと重要だという指摘は同意できるのですが、
それは自発的な組織が活性化するべきだということは意味しますが、
政府が福祉を充実させるということとは直結しないと思うからです。
しかし、本書の価値は、人間の親社会行動と同じものが、
あるいはその原型がすでに哺乳類に広く見られるという事実の提示にあります。
その意味で、既存の研究を知ることは大変に有益であることは間違いありません。
そうかと思うと、チンパンジーの凶暴性を人間の凶暴性に重ねることには抵抗が少ない。「自然も人間も悪」という考えはすんなり受け入れられるらしい。それに、自己利益の追求や生存競争が「自然な」姿だとか、進化の「必然」だとかいう話も大好きだ。
なにがなんでも動物に思いやりの心があるなんて認めたくないから、動物が「慰め」や「お礼」をしている「かのように見える」理由を一生懸命考える。その態度がこの学問分野を鍛えているのは事実だけれど、やっぱり私は日本のサル学の擬人主義が「好き」だし、イヌやサルにも心があると思っていたい。もっとも日本人はイヌやツルの恩返しという「おとぎ話」を安易に信じすぎだと言われればそれまでだが。
著者は欧米の霊長類研究者のなかでは最も擬人主義寄りの立場を採る。もちろんキリスト教圏の出版だから、その主張を通すための辛抱強く懇切丁寧な記述は涙ぐましいばかり。
その上で、『最終的にはキリスト教に問題がある』とか、ますます過密になってくる『これからの世界の最大の問題は、自分の国や集団や宗教に対する過剰な忠誠心だ』と言い放つ。カッコいいぞ。
科学が宗教を殺したと言われて久しいけれど、まだまだ科学は宗教に呪われたままだ。
おまけ:本書のキモは「動物の共感能力についての膨大な証拠事例の紹介」だが、手っ取り早く「骨子だけ」を知りたい人は『解説』を開いて西田利貞先生の要約を読めば足りる。
やや想論的なところがある気がしましたが、「利他」の心の働きが生き物の生存戦略の一種であるという主張がとても興味深かったです。
「弱肉強食」だとか「生物は本来利己的。他者を押しのけて生きるのが自然な姿だ」という主張が強くなっている昨今、「共感」や「弱者への配慮」も、実は生き延びる力であると言われた気がして勇気づけられるような思いでした。
そのように、共感と同情と嫉妬が哺乳類にとってデフォルトであることを踏まえた上で、著者はそれを考慮に入れない新自由主義経済への批判を展開している。確かに、自然主義的誤謬を犯した社会ダーウィニズムは唾棄すべきだし、「利己的な遺伝子」というレトリックが行動の動機にもそのまま適用される訳ではないとする「動機の独立性」の指摘は重要だ。生物学と心理学を混同してはいけない。
だが経済成長それ自体は人間の感情とは独立した物理的な条件と制約によるところも大きい。ことによっては、共感や嫉妬を抑制せねばならない場面だってあろう。経済学と心理学もまた、混同してはならない面があるのだ。文明社会の維持発展には原始的生活以上に自律と節制を要する。人間の性質を踏まえない経済は暴挙だが、経済の性質を踏まえない社会論議もまた不毛だ。実際、著者自身の努力と成功に対するスタンスも、居住地であるアメリカ社会と出身地であるヨーロッパ社会との間で揺れ動いている。筆致も若干感情的になっているが、良識ある経済学者と著者との対話があればぜひ読みたい。
道徳性と同様、共感もヒト特有の能力とみなされることが多い。しかし、じつはけっしてそうではないことを、ドゥ・ヴァールはさまざまな例を挙げながら力説していく。
ドゥ・ヴァールの論点で重要なのは、共感にも連続性とレベルがあるということである。共感は、わたしたちの祖先が類人猿と枝分かれした後に生じたものではない。そうではなく、共感の萌芽は哺乳類の系統と同じくらい古いものである。しかもその能力は、(「情動伝染」に加えて「他者への気遣い」、さらに加えて「視点取得」というように)進化の歴史にしたがって積み重ねられてきたのだ。それゆえ、ラットにはラットの、チンパンジーにはチンパンジーの、ヒトにはヒトの、共感能力があるといえる。ヒトの共感能力は、ほかの生物種と基盤を共有しつつ、そこから高度に発達してきたものなのである。
ところで、ドゥ・ヴァールの著書の真骨頂といえば、(自説を裏づける)多種多様な動物の行動例を紹介しているところにあるだろう。『チンパンジーの政治学』や『仲直り戦術』(どうぶつ社)とちがって、本書では特定の生物種の行動をじっくり解説しているわけではない。しかしそれでも、自己鏡映像認知をするゾウや、チンパンジーにおけるあくびの伝染など、興味深い紹介例は尽きない。このあたりの展開はやはりドゥ・ヴァールなればこそ、というところだろうか。
最後に、これまたドゥ・ヴァールらしいところであるが、本書が2009年という「時代」に書かれたものであることにも留意したい。アメリカでいえば、ハリケーン・カトリーナにリーマンショック、そして日本では、その後に東日本大震災が起きた。いまあらためて、わたしたちはよりよい社会をつくるべく、共感についてどう考えるだろうか。