歴史の浅い米国は、「邪悪な日独枢軸国を破壊し、民主化によって世界トップの経済モデル国家にした」という、愚かな自負心を拠り所に,中南米、ベトナム、アフガニスタン、イラク、……を「破壊」し「米国流イデオロギー」を押付けた。しかし、日本・ドイツの実態は、戦前の社会共同体(集産主義)の上に「米国流」という建前を被せただけで、自力復興する高度な潜在力まで失ってはいなかった。一方、イスラーム世界もまた、広い血縁関係によって強固に団結した「ムスリム共同体(ウンマ)」という集産主義を維持していたものの、日本・ドイツほど自力復興の力を持ち合わせていなかった。
著者は、西暦622年前後に、預言者ムハンマドを暗殺者から守り、遷都ヒジュラを助けたとされるアンサーリー(援助者の意)の名家出身で、米国歴史教科書編纂者である。9.11テロ以降、欧米が著者達ムスリムのアイデンティティを貶めたことにより、その怒りが過激なイスラーム原理主義を呼び覚ましたと主張している。「口伝承」「記憶」「記録」を集大成し、著者の哲学解釈を交えながら、廃れたアイデンティティの復活を全世界へ宣言するつもりだったのだが、以下4点の濃厚な「イスラーム社会混乱史」を描くことになった。
【宗教軍事集団】ジハードは、皇族神道・村神道を信じ、祖国のために命がけの戦闘を挑んだ大日本帝国軍と同じか?
イスラームとは、アラピア語で、神に「服従」する意味であり、信者は、①神の代わりに労働をする存在、②労働により得た収入や物資の一部を神(預言者)に捧げなければならない。ユダヤ教と、その分流であるイスラーム教に共通するこの掟は、共同体を軍隊に徴兵するアラブ商人の頭目にとって都合が良かった。聖典クルアーンを絶対の法律とし、犯す者・汚す者には容赦の無い刑かまたは死による償いを求め、命を懸けて戦わせた。最高指導者「カリフ」は、統率する共同体「ウンマ」を強者の宗教軍事集団に変え、暴力による宗教侵略を「正義」と正当化し(ジハード)、商売ネットワークを拡大させた。異教徒(異宗派)との闘争は、正義と正義の際限の無い卑劣な戦いになった(アサシン派暗殺集団)。1000年前に、皇族神道・村神道を信じ命がけの戦闘に挑んだ大日本帝国軍の幻想を見た思いだ。
【文明破壊の繰返し】王朝交替のたびに文明破壊を繰返した中国史「易姓革命」と同じか?
日本の権力闘争史と同様、イスラーム世界も、聖戦(異教・異宗派)→繁栄→腐敗⇒聖戦→繁栄→腐敗⇒……の宗教勢力闘争による文明破壊(混乱)を繰返した。「神に選ばれた聖職者が交代で信者を指導する」という思想は、成り上がり者の支配者(宗教指導者)を正当化できた。宗教軍事集団(僧兵)を「骨抜き」にした信長や、キリスト教を弾圧制限し神道と仏教を並存させた秀吉、家康のおかげで、宗教聖戦を食い止め比較的文明破壊を免れた日本と異なり、イスラーム世界史には、宗教集団の横暴に鉄槌を下す輩は現れず、宗教軍事集団を野放しにしてしまった。王朝交替のたびに文明破壊を繰返した中国史「易姓革命」と類似の世界観が見える。
【ギリシャ文明放棄】12世紀「宗教閉塞哲学」が、ギリシャ文明遺産を放棄。代わって西欧が相続しルネサンスを開花
11世紀から12世紀、十字軍遠征、モンゴル侵略により、要衝小アジア・中東を越えて、西欧、地中海、中近東、インド、中華にまたがる文明と商流の壮大なネットワークが形成された。その頃、スンナ派最高神学者「ガザーリー」は、聖典クルアーンと矛盾する結論に達した数学や自然科学を不要と切り捨てた。イスラ-ム帝国アッバス朝が所有するアラビア語のギリシャ図書は放棄され、この時からイスラーム文明が停滞することになった。皮肉なことに、キリスト教による戦乱や宗教焚書でギリシャ図書を失い、文明が停滞していた西洋が、アラビア語ギリシャ図書をラテン語へ翻訳し流布したことで、イスラーム世界に代わって、ルネサンス文明開花、宗教革命が興り、科学技術の革新を迎えた。
【イスラーム分裂】米国流民主化(個人主義)は、ムスリム共同体を個人レベルに分解した。
9.11テロ以降、個人の権利を最優先とする軽薄な欧米流「民主化(世俗化・個人主義)」の押付けが、米国より遥かに長い歴史の流れの中で脈々と受け継がれてきた共同体の尊厳を、「民主主義」という薄っぺらなラップで覆い隠し、低俗な個人レベルの社会に粉砕した。そして、彼らのアイデンティティを貶めた怒りが、過激なイスラーム原理主義を呼び覚ましてしまった。現在、いくつかの惨めな敗北の歴史を辿るうちに、
①「ムスリム共同体」守護の原理主義を貫く闘争か、
②「個人資本主義(世俗化)」による贅沢もやむなし
か、両者対立の破滅的混乱に陷った。分裂した両者とは、イラク/ユーフラテス川を境界に、①東のペルシャ(シーア派)と②西のアラブ(スンナ派)である。
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イスラームから見た「世界史」 単行本 – 2011/8/29
タミム・アンサーリー
(著),
小沢千重子
(翻訳)
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混迷を続けるイスラーム世界の成りたちが見えてくるとともに、歴史への複眼的な視座を獲得するための、“もうひとつの世界史”
- 本の長さ685ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2011/8/29
- 寸法13.8 x 3.6 x 19.5 cm
- ISBN-10431401086X
- ISBN-13978-4314010863
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商品の説明
著者について
タミム・アンサーリー●アフガニスタン出身、サンフランシスコ在住の作家。「サンフランシスコ・ライターズ・ワークショップ」ディレクター。アメリカにおける複数の世界史の教科書の主要執筆者であるとともに、「サンフランシスコ・クロニクル」「LAタイムズ」「Encarta.com」 などに寄稿。著書に『West of Kabul, East of NewYork』、共著にニューヨークタイムズ・ベストセラー『The Other Side of the Sky』ほかがある。
小沢千重子●1951年東京生まれ。東京大学農学部卒。現在ノンフィクション分野の翻訳に従事している。訳書にルーベンスタイン『中世の覚醒』、クロスビー『数量化革命』『飛び道具の人類史』、デントン『動物の意識 人間の意識』、ローズ『原爆から水爆へ』(共訳)(いずれも紀伊國屋書店)ほかがある。
小沢千重子●1951年東京生まれ。東京大学農学部卒。現在ノンフィクション分野の翻訳に従事している。訳書にルーベンスタイン『中世の覚醒』、クロスビー『数量化革命』『飛び道具の人類史』、デントン『動物の意識 人間の意識』、ローズ『原爆から水爆へ』(共訳)(いずれも紀伊國屋書店)ほかがある。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2011/8/29)
- 発売日 : 2011/8/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 685ページ
- ISBN-10 : 431401086X
- ISBN-13 : 978-4314010863
- 寸法 : 13.8 x 3.6 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 20,141位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 210位世界史 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2020年2月5日に日本でレビュー済み
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2018年8月16日に日本でレビュー済み
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地図上のイスラーム世界そのものと外との関係史を理解したいと思えば、おそらく現在ある書籍としては最良の1冊。
内容が暗示されているような感の表紙デザインもまた素晴らしい。
一般論でいえば、歴史出版物は近代以降、西洋全盛の中でナショナリズムとセットで爆発的に増えているわけで、日本はそういった時代に西洋からのあらゆるものを輸入し、追いつけと努力してきたわけで、結果的に実質上西洋にくくられても何ら不思議ではない価値観の国になっていると言っても間違いではないでしょう(反動は常にありますが)。言葉を換えれば隠れ西洋人と言われてもなんら不思議ではない。
史観については、その歴史の長さと人口分布から、西洋史観と中国史観(どちらかと言えば現在マイナーですが)がある程度認知された現在の2代派閥でしょう。
この本は立ち位置をイスラーム世界に置きながらも、間違ってもイスラーム至上主義に陥ることなく、特に偏りもなくたんたんと“世界史”を織り上げています。
また、記述分量バランスにおいては、イスラーム圏の人の一般的価値観を他者に理解してもらうためでしょうか、イスラーム成立期について多めに割いています。内容を咀嚼する上で、効果を高めているように思われます。
翻訳も良くできているのではないでしょうか。最近は、歴史の本の翻訳ものがすごく粗くできている場合が多いように思います。特に、日本語の素養が大分あやしい人たちが訳しているとひしひし感じさせられることが非常に多い為、個人的に好感が持てます。
難しい記述もなく、近年何かと話題にも上るイスラーム・イスラーム圏ですが、世のニュース・あやしい断片的な情報に翻弄されている人にお勧めしたい本です。
※【追記】評価を後日★4つ→★5つに変更しました(他の本に対する評価とバランスが取れなくなった為)
内容が暗示されているような感の表紙デザインもまた素晴らしい。
一般論でいえば、歴史出版物は近代以降、西洋全盛の中でナショナリズムとセットで爆発的に増えているわけで、日本はそういった時代に西洋からのあらゆるものを輸入し、追いつけと努力してきたわけで、結果的に実質上西洋にくくられても何ら不思議ではない価値観の国になっていると言っても間違いではないでしょう(反動は常にありますが)。言葉を換えれば隠れ西洋人と言われてもなんら不思議ではない。
史観については、その歴史の長さと人口分布から、西洋史観と中国史観(どちらかと言えば現在マイナーですが)がある程度認知された現在の2代派閥でしょう。
この本は立ち位置をイスラーム世界に置きながらも、間違ってもイスラーム至上主義に陥ることなく、特に偏りもなくたんたんと“世界史”を織り上げています。
また、記述分量バランスにおいては、イスラーム圏の人の一般的価値観を他者に理解してもらうためでしょうか、イスラーム成立期について多めに割いています。内容を咀嚼する上で、効果を高めているように思われます。
翻訳も良くできているのではないでしょうか。最近は、歴史の本の翻訳ものがすごく粗くできている場合が多いように思います。特に、日本語の素養が大分あやしい人たちが訳しているとひしひし感じさせられることが非常に多い為、個人的に好感が持てます。
難しい記述もなく、近年何かと話題にも上るイスラーム・イスラーム圏ですが、世のニュース・あやしい断片的な情報に翻弄されている人にお勧めしたい本です。
※【追記】評価を後日★4つ→★5つに変更しました(他の本に対する評価とバランスが取れなくなった為)
2020年7月15日に日本でレビュー済み
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まだと途中ですが、これまでギリシャ、ローマと来ていた世界史観が、がらっと覆されます。
本当に歴史は都合のいいように作られて来たんだなと痛感します。
本当に歴史は都合のいいように作られて来たんだなと痛感します。
2019年9月14日に日本でレビュー済み
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語り口が平易で、歴史用語も註に頼らず、文章の中で説明してくれる。実に読みやすい。よく見る日本の学者さんが書いた新書的なものとは一線を画す面白さだった。
個人的には、イスラム教とは世俗的な日常の生活まで規定する教えであること、ウンマという共同体概念に関すること、ウラマーというイスラム法学者集団に関する記述がとても分かりやすくありがたかった。
筆者はアメリカ在住のアフガニスタン生まれのイスラム教徒だそう。その筆者なりの推測や、価値判断が前面に出てくる箇所もあって、嫌う人(特に歴史の専門家の方)もいるだろう。ズタボロに批判される人物や王朝もあるし、最終章ではホメイニに関して狂信とか狡猾といった言葉を使っている。けれど、それも読みやすさの一つになっているかなあと思った。少なくとも、わたし程度の低い知識のものにとっては、知識の羅列や、精密な分析を書かれるよりはずっと読みやすく、お陰で読了できた。
なお、「はじめに」で提起される歴史の見方、第1章の「ミドルワールド」という言葉を使った地政学的な分析、この二つだけでも読む価値がある。
個人的には、イスラム教とは世俗的な日常の生活まで規定する教えであること、ウンマという共同体概念に関すること、ウラマーというイスラム法学者集団に関する記述がとても分かりやすくありがたかった。
筆者はアメリカ在住のアフガニスタン生まれのイスラム教徒だそう。その筆者なりの推測や、価値判断が前面に出てくる箇所もあって、嫌う人(特に歴史の専門家の方)もいるだろう。ズタボロに批判される人物や王朝もあるし、最終章ではホメイニに関して狂信とか狡猾といった言葉を使っている。けれど、それも読みやすさの一つになっているかなあと思った。少なくとも、わたし程度の低い知識のものにとっては、知識の羅列や、精密な分析を書かれるよりはずっと読みやすく、お陰で読了できた。
なお、「はじめに」で提起される歴史の見方、第1章の「ミドルワールド」という言葉を使った地政学的な分析、この二つだけでも読む価値がある。
2020年1月14日に日本でレビュー済み
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本書を読んで先ず悟るのは、我々が習ってきた世界史がいかに一方的な西欧史観による偏った世界史だったかということ。全く別な進んだ文明、世界史があったことを改めて知らされた。また、現在に至るまで尾を引いて世界平和の脅威となっているイスラム世界内のスンニ派とシーヤ派の対立をも、そもそもの始まりから説き起こして明解に説き明かしてくれる。そしてかつて西欧社会に先駆けて先端的文明を発展させてきたイスラム社会が、十字軍の侵略から始まる数百年のこれとの抗争の結果没落していく過程も透徹的に描かれており、衰退の陰には不毛の内部抗争があることを知らされる。さらに付け加えれば本書の日本語訳はこの種の書の翻訳にありがちな生硬さがなく極めて読み易い。著者、訳者共に極めて頭脳明晰であることがうかがえる、最近稀な貴重な作品だと絶賛する。
2019年1月3日に日本でレビュー済み
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大変勉強になっています。毎日一生懸命勉強させていただいています。実に良い本です。
2019年10月16日に日本でレビュー済み
イスラームについて中東に関する本などである程度知識があるつもりでしたが、この本を読むことで教義や体制の内容についてかなり詳しくなれたように思います。全体を俯瞰して見ると、時代や立場によって教義の捉え方もかなり違うものだなと思いました。
アフガニスタン出身で世俗主義の著者が、イスラームを客観的に見た視点と主観的に見た視点を交えて歴史が書かれていて、書名通り「イスラームから見た」歴史と西洋から見た歴史の両方から世界史を眺めることができたような気がします。
イスラームの前史から現代に至るまで、イスラーム以外を考える上でも様々な情報を得られる一冊だと思います!
アフガニスタン出身で世俗主義の著者が、イスラームを客観的に見た視点と主観的に見た視点を交えて歴史が書かれていて、書名通り「イスラームから見た」歴史と西洋から見た歴史の両方から世界史を眺めることができたような気がします。
イスラームの前史から現代に至るまで、イスラーム以外を考える上でも様々な情報を得られる一冊だと思います!
2017年12月24日に日本でレビュー済み
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16世紀までの世界史において重要な事は大体コンスタンティノープルから東で起こっていた、と認識すべき。
イスラームにも自発的に現代的な聖典解釈と科学の萌芽があったことが(それが『論争』に負けて退潮してしまった経緯も含め)面白い。
歴史は様々な偶然の上に成り立っている。
イスラームにも自発的に現代的な聖典解釈と科学の萌芽があったことが(それが『論争』に負けて退潮してしまった経緯も含め)面白い。
歴史は様々な偶然の上に成り立っている。