本書を理解するにあたって、数学や科学の素養は特に前提とされない。
それが必要となる箇所では注意深く、また無理のないように読者を導いていくつもりである。・・
本書の内容は専門家にしかわからないようなものではないが、
どんな場合でも形骸化した中味のない説明に陥らないよう努力した。(本文より抜粋)
以下↓ 次のような内容(はじめに)で始まります。
・・・本書は5部に分かれている。
第1部では、情報、計算、力学とカオス、進化という複雑系研究の基礎を成す4つの主題について、
その歴史と内容を概観する。
第2部から第4部までは、
これら4つの主題が複雑系科学にどのように織り込まれているかについて検討する。
そこでは次のようなテーマ(8つ)が取り上げられる。
①生命や進化をどのようにコンピューター上でシュミレートできるか。
②それとは逆に、自然界のシステムのふるまいを説明するために、どのような計算の概念を導入できるか。
③ネットワークの新しい科学によって、社会共同体、インターネット、生物の代謝系などの
さまざまなシステムのあいだに共通性が見出されつつある点。
④自然界の複雑性をどのように測定するか。
⑤複雑系科学が、生物系に対する私たちの見方をいかに変えつつあるか。
⑥そのような新たな見方を、どのように知能を持つ機械の設計に役立てられるか。
⑦複雑なシステムのコンピューターモデリングの見通しと、そんなモデルにつきまとう落とし穴について。
⑧より大きな問いになるが、複雑系科学を統一する一般原理の探求について。
オートポイエーシスは、生命の謎を解く、唯一のではないにしろ、少なくとも1つのカギなのである。
全体的に親切に(混乱は混乱のまま)まとめられていますが、第5部<結論>冒頭の詩に至っては、
これはもう文系の仕事でしょう・・。
カオスを14行に閉じ込めてしまおう。
そしてそこから脱出させてみよう。
身をよじって洪水や火事や悪魔になったふりをさせてもよかろう。
もっとも私の気分が向けばだが。
神聖なる怒りのなかで秩序と混じり合い結合するまで、
その本性と形なき形をおさえつけて、
この甘き秩序の枠に押し込もうとしても、
彼の巧妙な設計がそれを許さないだろう。
そして、私の忍耐と、
彼の傲慢さと、私のみじめな労苦の年月が過ぎ去る。
やっと彼をつかまえた。
彼は未知の単純さ以外の何ものでもない。
私は彼に告白させたり、質問したりすらしないだろう。
ただ良きものにするだけである。
エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー
(1923年に女性として初めてピューリッツァー賞を受賞した、アメリカの女性詩人)
複雑系の秩序形成の鍵は体内をかけめぐる情報、と言えばそうなのですが、
この複雑な世界は「人間(いのち)の集合(コミュニティ)の法則」に貫かれているはずで、
私のいのち、他のいのち、、カオスの中にあっても自己を統御し、
連続的または変異創造的に古代から続く、共生的で本質的なつながりの共同体を創造し続けること、
そこにこそ複雑系科学のゆくえ、新たな秩序形成の知恵があるということでしょうか・・。
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ガイドツアー 複雑系の世界: サンタフェ研究所講義ノートから 単行本 – 2011/11/25
メラニー ミッチェル
(著),
高橋 洋
(翻訳)
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「複雑系」とはいったいなんだろうか? 20世紀の終わりに学問の新潮流として話題を呼んだその世界を概観する入門書。複雑系研究の総本山であるサンタフェ研究所に所属する著者が、同研究所で1年間にわたって行なった一般向けの講義をベースに、複雑系という広大な領域の諸問題をわかりやすく解説する。
- 本の長さ576ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2011/11/25
- 寸法14 x 3.2 x 19.5 cm
- ISBN-104314010894
- ISBN-13978-4314010894
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商品の説明
出版社からのコメント
【著者からのコメント】
本書に取り上げてきた科学の多くはまだ産声を上げたばかりだが、かくも野心的な目標を実現するという将来の展望があるからこそ、複雑系は真に魅力的な研究分野だといえる。
そして一つ確実にいえることがある。どんな偉大な科学の場合にも当てはまるが、これらの目標を追求するには、主流科学から定義のはっきりしない未踏の領域 に分け入ることによって、被るかもしれない失敗や非難をいとわずに挑戦する意欲と、冒険的な知的精神が必要である。作家で冒険家のアンドレ・ジッドの言葉 を借りれば、「新たな土地を発見するためには、いったん海岸線から離れなければならない」のだ。
読者の皆さん! ともに複雑性の新たな大地を探検できる日がいつかやってくるのを心待ちにしながら、ここに本書を閉じることとする。
(本文第19章末より)
【著者紹介】
著者 メラニー・ミッチェル
ポー トランド州立大学教授(コンピュータサイエンス)。サンタフェ研究所客員教授。ミシガン大学博士課程在籍中、師ダグラス・ホフスタッター(『ゲーデル、 エッシャー、バッハ』著者)の指導の下、人間の類推機能を模倣するコンピュータープログラム「COPYCAT」を共同開発する。英米で評価の高い本書『ガ イドツアー 複雑系の世界』は、2009年のアマゾン・コム科学書ベスト10、2010年に英国王立協会推薦科学図書として選ばれ、同年のファイ・ベー タ・カッパ・クラブ(全米優等学生友愛会)科学図書賞を受賞した。邦訳に『遺伝的アルゴリズムの方法』(東京電機大学出版局)がある。
訳者 高橋 洋(たかはし・ひろし)
同志社大学文学部文化学科哲学及び倫理学専攻卒。IT企業勤務を経て翻訳家。
共訳にクラインマン『八つの人生の物語――不確かで危険に満ちた時代を道徳的に生きるということ』(誠信書房)がある。
本書に取り上げてきた科学の多くはまだ産声を上げたばかりだが、かくも野心的な目標を実現するという将来の展望があるからこそ、複雑系は真に魅力的な研究分野だといえる。
そして一つ確実にいえることがある。どんな偉大な科学の場合にも当てはまるが、これらの目標を追求するには、主流科学から定義のはっきりしない未踏の領域 に分け入ることによって、被るかもしれない失敗や非難をいとわずに挑戦する意欲と、冒険的な知的精神が必要である。作家で冒険家のアンドレ・ジッドの言葉 を借りれば、「新たな土地を発見するためには、いったん海岸線から離れなければならない」のだ。
読者の皆さん! ともに複雑性の新たな大地を探検できる日がいつかやってくるのを心待ちにしながら、ここに本書を閉じることとする。
(本文第19章末より)
【著者紹介】
著者 メラニー・ミッチェル
ポー トランド州立大学教授(コンピュータサイエンス)。サンタフェ研究所客員教授。ミシガン大学博士課程在籍中、師ダグラス・ホフスタッター(『ゲーデル、 エッシャー、バッハ』著者)の指導の下、人間の類推機能を模倣するコンピュータープログラム「COPYCAT」を共同開発する。英米で評価の高い本書『ガ イドツアー 複雑系の世界』は、2009年のアマゾン・コム科学書ベスト10、2010年に英国王立協会推薦科学図書として選ばれ、同年のファイ・ベー タ・カッパ・クラブ(全米優等学生友愛会)科学図書賞を受賞した。邦訳に『遺伝的アルゴリズムの方法』(東京電機大学出版局)がある。
訳者 高橋 洋(たかはし・ひろし)
同志社大学文学部文化学科哲学及び倫理学専攻卒。IT企業勤務を経て翻訳家。
共訳にクラインマン『八つの人生の物語――不確かで危険に満ちた時代を道徳的に生きるということ』(誠信書房)がある。
著者について
ポートランド州立大学教授(コンピュータサイエンス)。複雑系研究の総本山サンタフェ研究所の客員教授を務める。著書に、“An Introduction to Genetic Algorithms”(MIT Press, 1998)ほか。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2011/11/25)
- 発売日 : 2011/11/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 576ページ
- ISBN-10 : 4314010894
- ISBN-13 : 978-4314010894
- 寸法 : 14 x 3.2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 111,040位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 25,382位ノンフィクション (本)
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2018年10月2日に日本でレビュー済み
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2014年5月24日に日本でレビュー済み
しかたないけど、もう少し踏み込んでもよかったかなあ。ちょっと物足りないです。
2012年2月18日に日本でレビュー済み
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帯の表記には複雑系理論の「本格的入門書」とあるが、全くの初心者にはやや難しいだろう。むしろ、すでに何か啓蒙的書物を読んで興味を惹かれ、もっと複雑系を知りたいと思う人や、「複雑系科学ってすごいけど、全部信じてしまっていいの? 問題はないの?」と感じている人にこそ、本書は最適な(良)書だ。
著者は最前線の研究者だが、自らの専門(のみ)を絶対化せず、より広い視野を持とうとする。前書きでは、サイバネティクスやシステム科学等の後続として複雑系科学が登場したと触れるが、本文の最後では前者に何が足りなかったかが(著者の視点から)記される。つまり、進展著しく見える複雑系科学も、前者の抱えた問題を同じように孕み、その克服こそが今後に向けた最重要な課題であると(著者は)考えるのだ。複雑系科学の適用された幅広い学問分野と、各分野の辿った歩みへの関心―この空間的・歴史的に広域まで届く視野なくして、課題克服は難しいと(著者は)思っているはずだ。
そんな(博識で洞察力のある)著者により、読者は複雑系科学が成し遂げた(遂げつつある)驚きの成果や、それにも拘わらず(そうだからこそ)立ちはだかる多様で興味深い課題の概要を(贔屓目なく)案内され、さらに遠出したければ、巻末には豊富な参考文献も付く(索引や訳者の丁寧な註もありがたい)のだ。何とも行き届いている。
「遺伝的アルゴリズムを用いて自動的にセル・オートマトンのルールを設計する」という章がある(11章)。著者の研究領域だ。この言葉だけで敷居が高いが、読めばだいたいは分かる(分からせてくれる著者に感謝!)。これで設計されたものを計算機で実行しプリントアウトした図は、それだけ眺めてもプログラムが一体何をしているのかが(読者ではなく、著者にも)分からない。ところが、これを粒子(素粒子)の衝突図としてみると、私達にも理解出来る明確な規則性が突然浮上する! 元の課題は粒子等には何の関係もなかったにも拘わらず、なのだ。
では、ここでの“粒子”とは一体何か? もしかしたら、(拡張された)粒子性とは私たちの世界の(隠れた)成り立ちを明らかにする本質性を持つかもしれないのだ。では、その拡張とはどうなされればいいのか? 著者はこうして、“粒子”だけでなく“情報”や“計算”やら、はたまた未だ捕捉されない言葉(概念)等の拡張を志し、ここから複雑系科学を真に記述する言語が生まれると考える。これこそが、サイバネ等の先達の理論が成し遂げられなかった、複雑系科学・一般原理(包括的な説明理論)への途なのだ。
こうして、何とも志高き場所へと本書(著者)は誘う。若ければ(学生の読者は)、その誘いに乗る価値は十分ありそうだが。
著者は最前線の研究者だが、自らの専門(のみ)を絶対化せず、より広い視野を持とうとする。前書きでは、サイバネティクスやシステム科学等の後続として複雑系科学が登場したと触れるが、本文の最後では前者に何が足りなかったかが(著者の視点から)記される。つまり、進展著しく見える複雑系科学も、前者の抱えた問題を同じように孕み、その克服こそが今後に向けた最重要な課題であると(著者は)考えるのだ。複雑系科学の適用された幅広い学問分野と、各分野の辿った歩みへの関心―この空間的・歴史的に広域まで届く視野なくして、課題克服は難しいと(著者は)思っているはずだ。
そんな(博識で洞察力のある)著者により、読者は複雑系科学が成し遂げた(遂げつつある)驚きの成果や、それにも拘わらず(そうだからこそ)立ちはだかる多様で興味深い課題の概要を(贔屓目なく)案内され、さらに遠出したければ、巻末には豊富な参考文献も付く(索引や訳者の丁寧な註もありがたい)のだ。何とも行き届いている。
「遺伝的アルゴリズムを用いて自動的にセル・オートマトンのルールを設計する」という章がある(11章)。著者の研究領域だ。この言葉だけで敷居が高いが、読めばだいたいは分かる(分からせてくれる著者に感謝!)。これで設計されたものを計算機で実行しプリントアウトした図は、それだけ眺めてもプログラムが一体何をしているのかが(読者ではなく、著者にも)分からない。ところが、これを粒子(素粒子)の衝突図としてみると、私達にも理解出来る明確な規則性が突然浮上する! 元の課題は粒子等には何の関係もなかったにも拘わらず、なのだ。
では、ここでの“粒子”とは一体何か? もしかしたら、(拡張された)粒子性とは私たちの世界の(隠れた)成り立ちを明らかにする本質性を持つかもしれないのだ。では、その拡張とはどうなされればいいのか? 著者はこうして、“粒子”だけでなく“情報”や“計算”やら、はたまた未だ捕捉されない言葉(概念)等の拡張を志し、ここから複雑系科学を真に記述する言語が生まれると考える。これこそが、サイバネ等の先達の理論が成し遂げられなかった、複雑系科学・一般原理(包括的な説明理論)への途なのだ。
こうして、何とも志高き場所へと本書(著者)は誘う。若ければ(学生の読者は)、その誘いに乗る価値は十分ありそうだが。
2012年9月27日に日本でレビュー済み
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サンタフェ研究所などで現在も多彩な研究を展開する研究者による複雑系研究を俯瞰する入門書。著者は、ホフスタッター(「
ゲーデル,エッシャー,バッハ―あるいは不思議の環
」など)の大学院生として複雑系研究の草創期にこの領域に参加し、以来つねに複雑系研究の最先端に身をおいてきた。そうした内側からの視線も含めて、複雑系研究が、どのような背景から芽生え、発展し、また批判にさらされてきたのかをコンパクトに概観している。読み物として平易であり、ウィットにあふれていて楽しい。また、批判者も含め、複雑系に関わる人々への視線がフェアであるのも心地良い。
筆者の専門領域に引きずられて、若干、離散的な対象の研究の記述への偏りがあるようにも感じるが、むしろ新鮮で驚きを持って楽しく読める。ウルフラムの「新しい科学」をここまで正面から平易に解説しようと試みている入門書は他にないかもしれない。
結びは、冒頭で広げた風呂敷をたたみきれているとはいえないが、それは、複雑系科学という領域そのものの現況を素直に表現しているともいえる。
複雑系を学ぼうとする方に、最初の1冊として強く薦められる快著。文句なく☆5つです。
筆者の専門領域に引きずられて、若干、離散的な対象の研究の記述への偏りがあるようにも感じるが、むしろ新鮮で驚きを持って楽しく読める。ウルフラムの「新しい科学」をここまで正面から平易に解説しようと試みている入門書は他にないかもしれない。
結びは、冒頭で広げた風呂敷をたたみきれているとはいえないが、それは、複雑系科学という領域そのものの現況を素直に表現しているともいえる。
複雑系を学ぼうとする方に、最初の1冊として強く薦められる快著。文句なく☆5つです。
2012年5月30日に日本でレビュー済み
複雑系の動物園もしくはデパートのような一冊です。
ガイドツアーと称するにふさわしく、初心者にも分かりやすく、複雑系の奥深さを感じることができます。
この学際的で、発展途上な学問領域を大きく育てていければいいなと思いました。
ガイドツアーと称するにふさわしく、初心者にも分かりやすく、複雑系の奥深さを感じることができます。
この学際的で、発展途上な学問領域を大きく育てていければいいなと思いました。
2012年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自然科学以外の分野で、さまざまな問題、例えば脳細胞の情報伝達、人間の社会科学的行動、アリのような社会性動物の行動、などを統一的に説明する理論がいまだ存在しない。本書は、それらの問題を解決する「複雑系」に関する入門書である。具体的事例を含め、数多くの研究者の研究成果が掲載されており、複雑系について学びたい者にとって、最適の書物であろう。現状は、模索状態のようだが、近い将来、アインシュタインの相対性理論に相当する、複雑系理論が構築されることを期待したい。若ければ、サンタフェ研究所へ勉強に行きたいところである。
2012年1月19日に日本でレビュー済み
グッジョブ、メラニー!
四部にわたって、複雑系研究の様々な分野へと道案内してくれる優れたレビューだ。1996年にワールドロップの『複雑系』という翻訳本が出たが、その後の研究の展開と進展を手っ取り早く知りたいと思う読者の希望を叶えてくれる。カオス、情報理論、計算理論、遺伝学や進化論など、一通りのことは知っている読者なら、第一部をとばして先へ進めるし、さらに「自己増殖機械」、「遺伝的アルゴリズム」「セル・オートマトン」などの予備知識がある読者なら、面白いところだけ拾い読みしていっても十分に楽しめる。筆者がもっとも勉強になったのは、第四部の「ネットワーク思考」だ。
評者は、実は著者メラニー・ミッチェルに一度会って話を聞いたことがある。1991年、彼女がまだポスドクのフェローだった頃で、本書第三部で出てくる「コピーキャット」という類推プログラムの実演と解説をしてもらった。その後、サンタ・フェ研究所と深い関わりを持った彼女の、手際のよい「ガイドブック」を読んで、十分に楽しませてもらった。
四部にわたって、複雑系研究の様々な分野へと道案内してくれる優れたレビューだ。1996年にワールドロップの『複雑系』という翻訳本が出たが、その後の研究の展開と進展を手っ取り早く知りたいと思う読者の希望を叶えてくれる。カオス、情報理論、計算理論、遺伝学や進化論など、一通りのことは知っている読者なら、第一部をとばして先へ進めるし、さらに「自己増殖機械」、「遺伝的アルゴリズム」「セル・オートマトン」などの予備知識がある読者なら、面白いところだけ拾い読みしていっても十分に楽しめる。筆者がもっとも勉強になったのは、第四部の「ネットワーク思考」だ。
評者は、実は著者メラニー・ミッチェルに一度会って話を聞いたことがある。1991年、彼女がまだポスドクのフェローだった頃で、本書第三部で出てくる「コピーキャット」という類推プログラムの実演と解説をしてもらった。その後、サンタ・フェ研究所と深い関わりを持った彼女の、手際のよい「ガイドブック」を読んで、十分に楽しませてもらった。