大塚久雄先生の「欧州経済史」とか、マルクスの「資本主義的生産に先行する諸形態」とかを大昔に勉強した世代の人間にとっては、初めて知る「お話」が満載で驚くばかりです。個人的には英国中心の経済史観からの見直しが出来たようで、非常に満足かつ楽しい本でした。
本書の内容については、他のレビューアー諸氏が詳しく述べているので触れませんが、17世紀の英国の私掠船(海賊船)の乗船記録が残っているので、併せて読まれると裏が取れて面白いと思います。
ダンビア著『最新世界周航記』(上・下2巻)で岩波文庫に入っています。中南米から東南アジア・中国南部にわたるスペインの交易船と英国の海賊船の航路や交易品(積荷)、寄港地の先住民や植民者の生活などが具に観察されています。
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1493――世界を変えた大陸間の「交換」 単行本 – 2016/2/25
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世界の今の姿は、過去に生きた人間たちの欲望がぶつかりあって形づくられた帰結だ。
コロンブスのアメリカ大陸到達後、銀、病原菌、タバコ、じゃがいも、ミミズ、ゴムノキ、そして人間が世界を行き交いはじめ、グローバル化が本格的に進行していった。
今となっては非難の的となっているコロンブスではあるが、いわゆる「コロンブス交換」が果たした功績は大きい。
農業革命も産業革命も、ひいては西洋優位の世界も、コロンブスがいなければ、今とは異なる経路をたどったに違いない。
スペインやイングランドからの入植者、アメリカ大陸の先住民、アフリカから奴隷として連れてこられた人々、中国から海を渡った人々――彼らは変わりゆく世界で、いったい何を夢見たのか?
前作『1491――先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(NHK出版)で、「アメリカ大陸史の定説を変えた」「歴史の教科書を書き直すべきだ」と各紙誌に絶賛され、一躍脚光を浴びた敏腕ジャーナリスト、チャールズ・C. マンが再び筆を執った。
厖大な文献と綿密な現地取材をもとに、激動の世界をいきいきと描き出した圧巻のノンフィクション。
□――□――□――□――□――□――□――□――□
★タイム誌2011年度ベスト・ノンフィクション部門第1位★
「本書は、我々の住む世界がいかに成り立っていったかを説明するにあたり、大陸を越え、世紀も超える数々の事実をうまく組み合わせて語る模範例だ」(ワシントンポスト紙)
「どんな賢人でもこの本には驚かされるはずだ。前作『1491』に引き続き、読者の世界を見る目は変わるだろう」(サンフランシスコ・クロニクル紙)
ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、パブリッシャーズ・ウィークリー、ファイナンシャル・タイムズ、ニューヨーカー、サイエンスなど各紙誌でも絶賛!
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コロンブスのアメリカ大陸到達後、銀、病原菌、タバコ、じゃがいも、ミミズ、ゴムノキ、そして人間が世界を行き交いはじめ、グローバル化が本格的に進行していった。
今となっては非難の的となっているコロンブスではあるが、いわゆる「コロンブス交換」が果たした功績は大きい。
農業革命も産業革命も、ひいては西洋優位の世界も、コロンブスがいなければ、今とは異なる経路をたどったに違いない。
スペインやイングランドからの入植者、アメリカ大陸の先住民、アフリカから奴隷として連れてこられた人々、中国から海を渡った人々――彼らは変わりゆく世界で、いったい何を夢見たのか?
前作『1491――先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(NHK出版)で、「アメリカ大陸史の定説を変えた」「歴史の教科書を書き直すべきだ」と各紙誌に絶賛され、一躍脚光を浴びた敏腕ジャーナリスト、チャールズ・C. マンが再び筆を執った。
厖大な文献と綿密な現地取材をもとに、激動の世界をいきいきと描き出した圧巻のノンフィクション。
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★タイム誌2011年度ベスト・ノンフィクション部門第1位★
「本書は、我々の住む世界がいかに成り立っていったかを説明するにあたり、大陸を越え、世紀も超える数々の事実をうまく組み合わせて語る模範例だ」(ワシントンポスト紙)
「どんな賢人でもこの本には驚かされるはずだ。前作『1491』に引き続き、読者の世界を見る目は変わるだろう」(サンフランシスコ・クロニクル紙)
ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、パブリッシャーズ・ウィークリー、ファイナンシャル・タイムズ、ニューヨーカー、サイエンスなど各紙誌でも絶賛!
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- 本の長さ811ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2016/2/25
- 寸法13.6 x 4 x 19.6 cm
- ISBN-104314011351
- ISBN-13978-4314011358
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商品の説明
著者について
【著者】チャールズ・C. マン (Charles C. Mann) ジャーナリスト、サイエンスライター。 「アトランティック・マンスリー」誌、「サイエンス」誌などに特集記事を寄稿。米国物理学会、アルフレッド・P. スローン財団などの機関から数々の賞を受賞している。前作『1491――先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(NHK出版、2007年)は全米の話題をさらい、米国科学アカデミー・コミュニケーション賞を受賞。続編となる本書『1493』もベストセラーとなり、「タイム」誌の2011年度ベスト・ノンフィクション部門で第1位を獲得した。
【訳者】布施由紀子 (ふせ・ゆきこ) 翻訳家。 大阪外国語大学英語学科卒。訳書に、マン『1491』、ドブズ『核時計零時1分前』、デイヴィス『人間ものがたり』(以上、NHK出版)、タース『動くものはすべて殺せ』(みすず書房)、スナイダー『ブラッドランド』(筑摩書房)ほか多数。
【訳者】布施由紀子 (ふせ・ゆきこ) 翻訳家。 大阪外国語大学英語学科卒。訳書に、マン『1491』、ドブズ『核時計零時1分前』、デイヴィス『人間ものがたり』(以上、NHK出版)、タース『動くものはすべて殺せ』(みすず書房)、スナイダー『ブラッドランド』(筑摩書房)ほか多数。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2016/2/25)
- 発売日 : 2016/2/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 811ページ
- ISBN-10 : 4314011351
- ISBN-13 : 978-4314011358
- 寸法 : 13.6 x 4 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 398,522位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2016年9月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年5月26日に日本でレビュー済み
マラリアと奴隷貿易の関係とか、ジャガイモと人口増加の関係とか、意外な因果関係があるのが面白い。グローバリゼーションによって人間の生活は便利になったが、疫病菌とか、飢饉とか、戦争とか、環境破壊とか、被害も被ってきた。人間というのは結局、狭い世界にいても、広い世界に行っても、やることは同じなのだろう。
2016年8月16日に日本でレビュー済み
生態学において、恐竜絶滅以降最大の出来事は、コロンブスがアメリカ大陸に到達して多くの種や作物が大陸を超えて行き来しだした「コロンブス交換」である。
それまでは地域ごとに生態系は進化を遂げてきたが、コロンブス以降は世界全体が一つの生態系となる「均質新世」が出現した。
それは生態系の変化にとどまらず、政治体制や社会の変化、そして世界史全体の動きを大きく決めることになった。
ヨーロッパ人はアメリカ先住民やアフリカ人奴隷をいとも簡単に征服していったかのように教科書では語られがちだが、本書では随所でそれが事実に反することを例証している。
アメリカ原住民との戦闘は困難が多く、入植者が敗走していくことも珍しくなかったし、アフリカ人奴隷はしばしば逃亡し、組織して入植者の施設や住居を攻撃していった。
アメリカ原住民を壊滅させ、同時に入植者を大いに苦しめたのは、アフリカ・ヨーロッパからアメリカ大陸にひそかに持ち込まれてしまったマラリアや天然痘などの病原菌であった。
特にアメリカ原住民は免疫を全く持っていなかったため、大勢が病に倒れることとなった。
そして原住民もヨーロッパ人も労働力として期待しづらい状況にアメリカ大陸がなった際に、労働力として一気に注目されてしまったのが(当時は決して割安でなかった)アフリカ人奴隷であり、これがアメリカ大陸に黒人が大量にいる現在の状況を作り出したのである。
アメリカ大陸をまたいでヨーロッパとアジア(中国)とでまず交換されていったのが、銀と絹・陶磁器であった。
中国では信用にたる貨幣が存在しなかったので銀が必要であった(この銀はスペイン領の南米で掘られた)一方、中国の絹や陶磁器はヨーロッパではまだ製造できない素晴らしい品物であった。
同時に、悪い土地でも高い収量が得られる作物であるジャガイモ・サツマイモやトウモロコシがアメリカ大陸から中国に入って広く普及し、これが現在の中国の膨大な人口の基礎になったという。
人が増えて更なる食べ物や売り物(タバコ等)が必要となるため、次々と森林が伐採されて畑にされていき、それが土壌破壊を起こして畑を削り・・・という環境破壊の悪循環もここにおいて始まった。
ヨーロッパの二つの革命、農業革命と産業革命もコロンブス交換が基礎にある。
ヨーロッパの農業変革と人口増の背景には、ジャガイモの導入と普及、もう一つにペルーのチンチャ諸島から運ばれたグアノ(鳥糞石)の肥料の導入が挙げられる。
しかしアンデスには膨大な種のジャガイモがあるのに対し、ヨーロッパで育てられたのはほんの数種だったため、病気で壊滅する「ジャガイモ飢饉」も引き起こされることとなった。
産業革命の背景にあるのはゴムである。タイヤ、機械のベルト部分、絶縁処理、バルブ等の密閉処理と、ゴムはいたるところで使われており、鋼鉄・化石燃料・ゴムという産業革命の三つの基礎原料のうち、唯一ヨーロッパと北米で取れないものだった。
ゴムノキはブラジル原産だが、ヨーロッパからアジアに持ち込まれ、今や東南アジアの生態系を支配するまでになっている。
コロンブス交換の考え方はクロスビーが提起したものであり、 ヨーロッパ帝国主義の謎―エコロジーから見た10~20世紀 においては西欧優位の理由として考察されている。
内容はかなり広範に詰め込まれており、また必ずしもコロンブス交換とはつながらないサイドストーリーも多めの700ページの大著だが、目から鱗の視点が多く楽しく読める本である。
「グローバリゼーション」を開いてしまった最初で最後であるコロンブス以降何が起きたのか、壮大な世界史をぜひ楽しんでもらいたい。
それまでは地域ごとに生態系は進化を遂げてきたが、コロンブス以降は世界全体が一つの生態系となる「均質新世」が出現した。
それは生態系の変化にとどまらず、政治体制や社会の変化、そして世界史全体の動きを大きく決めることになった。
ヨーロッパ人はアメリカ先住民やアフリカ人奴隷をいとも簡単に征服していったかのように教科書では語られがちだが、本書では随所でそれが事実に反することを例証している。
アメリカ原住民との戦闘は困難が多く、入植者が敗走していくことも珍しくなかったし、アフリカ人奴隷はしばしば逃亡し、組織して入植者の施設や住居を攻撃していった。
アメリカ原住民を壊滅させ、同時に入植者を大いに苦しめたのは、アフリカ・ヨーロッパからアメリカ大陸にひそかに持ち込まれてしまったマラリアや天然痘などの病原菌であった。
特にアメリカ原住民は免疫を全く持っていなかったため、大勢が病に倒れることとなった。
そして原住民もヨーロッパ人も労働力として期待しづらい状況にアメリカ大陸がなった際に、労働力として一気に注目されてしまったのが(当時は決して割安でなかった)アフリカ人奴隷であり、これがアメリカ大陸に黒人が大量にいる現在の状況を作り出したのである。
アメリカ大陸をまたいでヨーロッパとアジア(中国)とでまず交換されていったのが、銀と絹・陶磁器であった。
中国では信用にたる貨幣が存在しなかったので銀が必要であった(この銀はスペイン領の南米で掘られた)一方、中国の絹や陶磁器はヨーロッパではまだ製造できない素晴らしい品物であった。
同時に、悪い土地でも高い収量が得られる作物であるジャガイモ・サツマイモやトウモロコシがアメリカ大陸から中国に入って広く普及し、これが現在の中国の膨大な人口の基礎になったという。
人が増えて更なる食べ物や売り物(タバコ等)が必要となるため、次々と森林が伐採されて畑にされていき、それが土壌破壊を起こして畑を削り・・・という環境破壊の悪循環もここにおいて始まった。
ヨーロッパの二つの革命、農業革命と産業革命もコロンブス交換が基礎にある。
ヨーロッパの農業変革と人口増の背景には、ジャガイモの導入と普及、もう一つにペルーのチンチャ諸島から運ばれたグアノ(鳥糞石)の肥料の導入が挙げられる。
しかしアンデスには膨大な種のジャガイモがあるのに対し、ヨーロッパで育てられたのはほんの数種だったため、病気で壊滅する「ジャガイモ飢饉」も引き起こされることとなった。
産業革命の背景にあるのはゴムである。タイヤ、機械のベルト部分、絶縁処理、バルブ等の密閉処理と、ゴムはいたるところで使われており、鋼鉄・化石燃料・ゴムという産業革命の三つの基礎原料のうち、唯一ヨーロッパと北米で取れないものだった。
ゴムノキはブラジル原産だが、ヨーロッパからアジアに持ち込まれ、今や東南アジアの生態系を支配するまでになっている。
コロンブス交換の考え方はクロスビーが提起したものであり、 ヨーロッパ帝国主義の謎―エコロジーから見た10~20世紀 においては西欧優位の理由として考察されている。
内容はかなり広範に詰め込まれており、また必ずしもコロンブス交換とはつながらないサイドストーリーも多めの700ページの大著だが、目から鱗の視点が多く楽しく読める本である。
「グローバリゼーション」を開いてしまった最初で最後であるコロンブス以降何が起きたのか、壮大な世界史をぜひ楽しんでもらいたい。
2016年6月19日に日本でレビュー済み
『1493――世界を変えた大陸間の「交換」』(チャールズ・C・マン著、布施由紀子訳、紀伊國屋書店)は、厚さが4.2cmある単行本ですが、ジャーナリストらしい語り口に乗せられて、一気に読み通してしまいました。
アメリカ大陸とユーラシア大陸、アフリカ大陸の間で、生物や文化の交換(いわゆる「コロンブス交換」)が盛んに行われた結果、各地の生態系が変容を遂げ、経済面でも変化が起きて、今日に繋がるグローバリゼーションが大きく進んだ過程がダイナミックに描き出されているからです。
「大西洋を渡った船は、人間だけでなく――あるときは意図的に、あるときは偶然に――植物や動物も運んでいった。コロンブスの大陸到達後は、何十億年もの昔からたがいに離れていた生態系が突如として出会い、入り混じることになった。クロスビーはこの過程を『コロンブス交換』と名づけ」たのです。こうした交換によって、トウモロコシがアフリカに、サツマイモが東アジアに、ウマとリンゴがアメリカ大陸に、そしてルバーブ(ショクヨウダイオウ)とユーカリノキがヨーロッパに伝えられたというのです。
「(マラリアのせいで)人口の多い安定した植民地を建設することはできなかったので、ヨーロッパ人は、アジェモール、ジョンソン、ロビンソンが『収奪専用国』と名づけたものを作り上げた。象徴的な例は、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』に描かれたあの忌まわしいベルギー領コンゴだ。あの国では高い襟の服を着込んだ少数のヨーロッパ人が、鎖につながれた裸の奴隷――『病と飢えの影』――をおおぜい使って、内陸部で採った象牙を港へ運び出すための鉄道を建設させた」。
「アダム・スミスは奴隷制をたいそうきらっていて、自分が嫌悪を感じるこの制度が道義に反するばかりではなく、経済的にもばかげていることを証明しようとしていた。・・・アメリカ大陸の奴隷制は(アフリカやローマのそれとは)ちがう。たいていの場合が終身刑に処せられたようなものだった。自由を勝ち取れる望みもなく、生涯にわたり、厳しい環境で苛酷な労働を強いられる。ここには、スミスが示したような、効率的な労働を妨げる要因がかつてないほどにはっきり表れていた」。奴隷制を嫌悪したというアダム・スミスを好きになってしまいました。
「ジャガイモとトウモロコシが伝播する前、そして効率的な施肥方法が見つかる以前、ヨーロッパの生活水準は、今日のカメルーンやバングラデシュとほぼ等しく、ボリビアやジンバブエよりも低かった。ヨーロッパの平均的な農民が一日に口にしていた食べ物の量は、アフリカやアマゾンの狩猟採集社会の人々よりも少なかった。改良品種の作物を施肥効果のきわめて高い肥料を使って栽培する工業的単一栽培は、何十億人もの人々を――最初はヨーロッパの、それから世界各地の人々を――マルサスの罠から救い出した」。マルサスは、どんなに努力をして食料供給量を増やしたところで、結局は供給量の増加が追いつかなくなるほどの人口増加を招いてしまうだけだと述べました。この状態が「マルサスの罠」と呼ばれるものです。
「コンキスタドール(スペインのアメリカ大陸征服者)は、みずからの支配の正当性をゆるぎないものにするため、征服した人々の支配者階級の女性を妻や妾にした。コルテスとピサロも、そうした前例を作った先駆者に数えられる。彼らの子は、異なるふたつの文化を受け継ぐひとつの世代を形成し、新しい植民地でもっとも有力な住民となった」。
「奴隷貿易が続けられた数世紀のあいだ、逃亡は頻繁に起こり、しばしば成功した。逃げたアフリカ人やその子孫は先住民集団に混じり、南米の広範な地域に散らばって暮らしていた。多くはアフロ・インディオの政体――極小国家――を形成し、中にはスペインから事実上の独立を勝ち取ったものもあった。彼らは自由を求めて粘り強く戦い、米国の独立宣言の何十年、いや何百年も前に、アメリカ大陸に広大な自由地域を作りあげていたのである」。この歴史的事実を知り、大いに勇気づけられました。
本書は、「コロンブス交換」、とりわけ奴隷貿易について学ぶのに、恰好の歴史書です。
アメリカ大陸とユーラシア大陸、アフリカ大陸の間で、生物や文化の交換(いわゆる「コロンブス交換」)が盛んに行われた結果、各地の生態系が変容を遂げ、経済面でも変化が起きて、今日に繋がるグローバリゼーションが大きく進んだ過程がダイナミックに描き出されているからです。
「大西洋を渡った船は、人間だけでなく――あるときは意図的に、あるときは偶然に――植物や動物も運んでいった。コロンブスの大陸到達後は、何十億年もの昔からたがいに離れていた生態系が突如として出会い、入り混じることになった。クロスビーはこの過程を『コロンブス交換』と名づけ」たのです。こうした交換によって、トウモロコシがアフリカに、サツマイモが東アジアに、ウマとリンゴがアメリカ大陸に、そしてルバーブ(ショクヨウダイオウ)とユーカリノキがヨーロッパに伝えられたというのです。
「(マラリアのせいで)人口の多い安定した植民地を建設することはできなかったので、ヨーロッパ人は、アジェモール、ジョンソン、ロビンソンが『収奪専用国』と名づけたものを作り上げた。象徴的な例は、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』に描かれたあの忌まわしいベルギー領コンゴだ。あの国では高い襟の服を着込んだ少数のヨーロッパ人が、鎖につながれた裸の奴隷――『病と飢えの影』――をおおぜい使って、内陸部で採った象牙を港へ運び出すための鉄道を建設させた」。
「アダム・スミスは奴隷制をたいそうきらっていて、自分が嫌悪を感じるこの制度が道義に反するばかりではなく、経済的にもばかげていることを証明しようとしていた。・・・アメリカ大陸の奴隷制は(アフリカやローマのそれとは)ちがう。たいていの場合が終身刑に処せられたようなものだった。自由を勝ち取れる望みもなく、生涯にわたり、厳しい環境で苛酷な労働を強いられる。ここには、スミスが示したような、効率的な労働を妨げる要因がかつてないほどにはっきり表れていた」。奴隷制を嫌悪したというアダム・スミスを好きになってしまいました。
「ジャガイモとトウモロコシが伝播する前、そして効率的な施肥方法が見つかる以前、ヨーロッパの生活水準は、今日のカメルーンやバングラデシュとほぼ等しく、ボリビアやジンバブエよりも低かった。ヨーロッパの平均的な農民が一日に口にしていた食べ物の量は、アフリカやアマゾンの狩猟採集社会の人々よりも少なかった。改良品種の作物を施肥効果のきわめて高い肥料を使って栽培する工業的単一栽培は、何十億人もの人々を――最初はヨーロッパの、それから世界各地の人々を――マルサスの罠から救い出した」。マルサスは、どんなに努力をして食料供給量を増やしたところで、結局は供給量の増加が追いつかなくなるほどの人口増加を招いてしまうだけだと述べました。この状態が「マルサスの罠」と呼ばれるものです。
「コンキスタドール(スペインのアメリカ大陸征服者)は、みずからの支配の正当性をゆるぎないものにするため、征服した人々の支配者階級の女性を妻や妾にした。コルテスとピサロも、そうした前例を作った先駆者に数えられる。彼らの子は、異なるふたつの文化を受け継ぐひとつの世代を形成し、新しい植民地でもっとも有力な住民となった」。
「奴隷貿易が続けられた数世紀のあいだ、逃亡は頻繁に起こり、しばしば成功した。逃げたアフリカ人やその子孫は先住民集団に混じり、南米の広範な地域に散らばって暮らしていた。多くはアフロ・インディオの政体――極小国家――を形成し、中にはスペインから事実上の独立を勝ち取ったものもあった。彼らは自由を求めて粘り強く戦い、米国の独立宣言の何十年、いや何百年も前に、アメリカ大陸に広大な自由地域を作りあげていたのである」。この歴史的事実を知り、大いに勇気づけられました。
本書は、「コロンブス交換」、とりわけ奴隷貿易について学ぶのに、恰好の歴史書です。
2016年5月14日に日本でレビュー済み
南北アメリカ大陸と、ユーラシア大陸とが大きく繋がった、
クリストファー・コロンブス(作中ではコロンと表記)の
1492年の新世界到達。それ以降、新旧両世界では動植物に
始まり、人類・病原体・貴金属・武器などが奔流のように
行き来するようになる―いわゆるコロンブス交換。
本書はそのコロンブス交換を詳述した大著である。
トウモロコシやジャガイモはもちろん有名だが、
本書はそこに留まること無く、ゴムノキや中国が欲した
通貨用シルバーにも焦点を当て、世界が近代に向かうにあたり
どれだけの影響を及ぼしたか、鮮やかに描いている。
語り口も歴史書的に時系列に年表展開していくのではなく
豊富な現地取材で見聞きした内容から入っていくなど
その長さが苦にならない工夫も凝らされている。
世界史もこういう切り口から入れば、エンタテイメントだ。
クリストファー・コロンブス(作中ではコロンと表記)の
1492年の新世界到達。それ以降、新旧両世界では動植物に
始まり、人類・病原体・貴金属・武器などが奔流のように
行き来するようになる―いわゆるコロンブス交換。
本書はそのコロンブス交換を詳述した大著である。
トウモロコシやジャガイモはもちろん有名だが、
本書はそこに留まること無く、ゴムノキや中国が欲した
通貨用シルバーにも焦点を当て、世界が近代に向かうにあたり
どれだけの影響を及ぼしたか、鮮やかに描いている。
語り口も歴史書的に時系列に年表展開していくのではなく
豊富な現地取材で見聞きした内容から入っていくなど
その長さが苦にならない工夫も凝らされている。
世界史もこういう切り口から入れば、エンタテイメントだ。
2016年8月16日に日本でレビュー済み
コロンブスのアメリカ到着と時を同じくして始まった世界規模の交流(?)。
1500年頃の世界史を読んでいるつもりがいつの間にか現代の南米や東南アジアの社会に繋がって驚きです。
あまりのぶ厚さに躊躇しましたが、構成が上手く中盤からはページをめくる手が止まりませんでした。
1500年頃の世界史を読んでいるつもりがいつの間にか現代の南米や東南アジアの社会に繋がって驚きです。
あまりのぶ厚さに躊躇しましたが、構成が上手く中盤からはページをめくる手が止まりませんでした。