制御工学のゼミで教授と学生数人で輪読した懐かしい本です。(正規のゼミではなく、教授主催の自主ゼミだったと記憶しています)
実際に読んだのは、1〜3章と7〜10章(4・5章は拾い読み程度だったと思います。)ですが、数学を専門としない工学部の学生でも証明を追うことができたくらいに丁寧に書かれています。
工学系向けの薄い関数解析のテキストを読んで理解したような気になるよりも、本書でひとつひとつ自分の手を動かして証明や例・問を追っていった方が身につきます。
当時は、制御理論の論文を読み漁るのに関数解析の知識が必要になったのですが、工学部の講義科目には関数解析はありませんでした。初めは教授から『
Functional Analysis (Classics in Mathematics S.)
』『
Perturbation Theory for Linear Operators (Classics in Mathematics)
』のハードカバー版を渡されて、ひとりで読んでいたのですが効率が悪く、『
関数解析 共立数学講座 (15)
』の輪読会に救われました。
他にもいろいろと関数解析の本を手に取りましたが、結局、読み進めたのはこの本だけでした。
元々読もうとしていた制御理論の論文はほとんど英語のものだったので、教授から渡された吉田先生と加藤先生の黄色い本は、英語でどのように表現されるのかというのを理解するのに役に立ちました。また、本書では扱っていない定理などを参照する為に辞書的に拾い読みをしました。
加藤先生と黒田先生は同門(師弟)であるためなのか、読み比べるのに困難はありませんでした。
本の内容とは関係ありませんが、定理の証明など、活字を小さくして行間もつめてギッチリ書かれている部分が結構あるので、TEX組版の数学書を読みなれている人には敬遠されてしまうかも知れません。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
関数解析 共立数学講座 (15) 単行本 – 1980/11/1
黒田 成俊
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥5,390","priceAmount":5390.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"5,390","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"%2BW1ZCJUirFCSJFOeRRTBx4GHju6anWpdTHBQm6qNAU30oyWq0vZFoxo1%2F434Tuo4fKWrxkdc512xbOUBltZK9RLro5PutAAD83kDO0ZE5vspnZHHxFAFsZ0eIXU0%2FRF0","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}]}
購入オプションとあわせ買い
本書は関数解析の入門書である。
関数解析の理論自体は抽象的なものであるが,その起源は積分方程式など解析学の具体的な問題に根ざしている。そして,現在における関数解析の魅力の一つは,その広い応用性にあるといっても過言ではないであろう。なかでも,本書で注目するのは,種々の関数空間を舞台とする関数解析の応用である。解析学の諸問題を関数空間における問題として捉え,関数解析的な考え方・手法の活用を計ることは,偏微分方程式論への応用を要として,近年急速に普及しつつある。いまや関数解析は解析学の諸分野はもとより,数理物理・数理工学を含む応用数学の諸分野においても,必須の道具となりつつあるようにみえる。このような状況のもとで,関数空間における関数解析を重視する立場に立つ入門書には,なお存在理由がありうると考え,本書を執筆した。
しかしながら,本書は関数解析の応用を論じた本ではない。入門書であるからには,読者が関数解析の基礎理論を一通り修得されることを第一の目標にしている。本書で著者なりの配慮を試みたのは,説明のなかで関数空間での応用への足がかりを固めながら,段々に抽象的理論に進むようにしたことである。その結果,本書の構成はやや変わったものとなった。第1章,第3章を除いて,前半第6章までは,専ら関数空間の話である。そこでは,Fourier解析の初歩に比較的多くの頁をさきつつSobolev空間に到り,最後にLaplaceの方程式のDiricblet問題を論じて,関数解析的方法の有効性を示した。後半第7章以下では,線形作用素論を中心に,関数解析の基礎理論を述べた。前半の材料は,後半でも例として活用されている。
説明は丁寧を旨とし,例や例題を多く入れて理解を助けるように努めた。実際の応用に基づく例を多く入れられなかったのは,著者の経験不足のせいである。前半が長くなり,後半との頁数のバランスがやや悪くなってしまった。その結果,第12章ははしょることになり,また述べておいてもよかったことで,割愛したものもある。正則半群,Dunford積分による作用素解析,凸性に関する事項,などがそれである。また,商空間のことが全くぬけてしまった。これらのことは,必要に応じて他の書物で補っていただきたい。
予備知識としては,読者が大学教養課程程度の微積分に習熟し,加えて関数論の初歩(留数による積分計算あたりまで)に関する知識をもっておられることを仮定した。関数空間を重視する以上,Lebesgue積分は積極的に使用する。しかし,数学以外が専門の読者にはLebesgue積分は難物のようなので,本書で必要な範囲を付録にまとめ(これもやや我流),本文中では付録を丹念に引用するように努めた。Lebesgue積分未修の読者も,付録を手がかりに読み進まれ,その活用法を覚えられることを期待する。
関数解析の理論自体は抽象的なものであるが,その起源は積分方程式など解析学の具体的な問題に根ざしている。そして,現在における関数解析の魅力の一つは,その広い応用性にあるといっても過言ではないであろう。なかでも,本書で注目するのは,種々の関数空間を舞台とする関数解析の応用である。解析学の諸問題を関数空間における問題として捉え,関数解析的な考え方・手法の活用を計ることは,偏微分方程式論への応用を要として,近年急速に普及しつつある。いまや関数解析は解析学の諸分野はもとより,数理物理・数理工学を含む応用数学の諸分野においても,必須の道具となりつつあるようにみえる。このような状況のもとで,関数空間における関数解析を重視する立場に立つ入門書には,なお存在理由がありうると考え,本書を執筆した。
しかしながら,本書は関数解析の応用を論じた本ではない。入門書であるからには,読者が関数解析の基礎理論を一通り修得されることを第一の目標にしている。本書で著者なりの配慮を試みたのは,説明のなかで関数空間での応用への足がかりを固めながら,段々に抽象的理論に進むようにしたことである。その結果,本書の構成はやや変わったものとなった。第1章,第3章を除いて,前半第6章までは,専ら関数空間の話である。そこでは,Fourier解析の初歩に比較的多くの頁をさきつつSobolev空間に到り,最後にLaplaceの方程式のDiricblet問題を論じて,関数解析的方法の有効性を示した。後半第7章以下では,線形作用素論を中心に,関数解析の基礎理論を述べた。前半の材料は,後半でも例として活用されている。
説明は丁寧を旨とし,例や例題を多く入れて理解を助けるように努めた。実際の応用に基づく例を多く入れられなかったのは,著者の経験不足のせいである。前半が長くなり,後半との頁数のバランスがやや悪くなってしまった。その結果,第12章ははしょることになり,また述べておいてもよかったことで,割愛したものもある。正則半群,Dunford積分による作用素解析,凸性に関する事項,などがそれである。また,商空間のことが全くぬけてしまった。これらのことは,必要に応じて他の書物で補っていただきたい。
予備知識としては,読者が大学教養課程程度の微積分に習熟し,加えて関数論の初歩(留数による積分計算あたりまで)に関する知識をもっておられることを仮定した。関数空間を重視する以上,Lebesgue積分は積極的に使用する。しかし,数学以外が専門の読者にはLebesgue積分は難物のようなので,本書で必要な範囲を付録にまとめ(これもやや我流),本文中では付録を丹念に引用するように努めた。Lebesgue積分未修の読者も,付録を手がかりに読み進まれ,その活用法を覚えられることを期待する。
- ISBN-104320011066
- ISBN-13978-4320011069
- 出版社共立出版
- 発売日1980/11/1
- 言語日本語
- 本の長さ345ページ
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 関数解析 共立数学講座 (15)
¥5,390¥5,390
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り14点(入荷予定あり)
¥4,620¥4,620
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り12点(入荷予定あり)
¥4,950¥4,950
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り9点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 共立出版 (1980/11/1)
- 発売日 : 1980/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 345ページ
- ISBN-10 : 4320011066
- ISBN-13 : 978-4320011069
- Amazon 売れ筋ランキング: - 249,636位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 669位高校数学教科書・参考書
- - 4,403位数学 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
30グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年11月12日に日本でレビュー済み
関数解析の言葉に慣れ親しむには、
本書が不可欠ではないかと思います。
私は関数解析の専門家ではありませんが、本書以外に良いモノはあまり知りません。
離散的なコンピュータ上で動く関数論によって、
有限要素法などの数値計算のアルゴリズムを実装するには、
ソボレフ空間などの概念をよく理解することが好ましいですが、
本書はそれらの概念についてよく書かれていまして、
とても参考になります。
もっておいて損はない名著だと思います。
(本書は、集合位相論などを無駄に強要される数学科の学生よりも、
ラプラス変換、フーリエ変換などを扱い、実際にものを見ている工学者あるいは、
コンピュータサイエンティストなどにとって、非常に動機づけがわかりが良いように感じます。)
本書が不可欠ではないかと思います。
私は関数解析の専門家ではありませんが、本書以外に良いモノはあまり知りません。
離散的なコンピュータ上で動く関数論によって、
有限要素法などの数値計算のアルゴリズムを実装するには、
ソボレフ空間などの概念をよく理解することが好ましいですが、
本書はそれらの概念についてよく書かれていまして、
とても参考になります。
もっておいて損はない名著だと思います。
(本書は、集合位相論などを無駄に強要される数学科の学生よりも、
ラプラス変換、フーリエ変換などを扱い、実際にものを見ている工学者あるいは、
コンピュータサイエンティストなどにとって、非常に動機づけがわかりが良いように感じます。)
2020年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
和書にしては行間や背景が紹介されており、本の見た目程難解ではなかったです。
2018年4月22日に日本でレビュー済み
この本以外で関数解析を勉強した学生でも参考文献として聞いたことはあるはず。和書としてはこれ以上レベルの高い関数解析の本はないと思う。証明も美しい。関数解析は微分方程式を解くための道具としての側面もある(むしろこちらの方が強いと思うが)ので、ソボレフ空間についても丁寧に解説がなされている。ただし、証明になると文字が小さくなるのが難点。ただし、関数解析を勉強する上で重要なルベーグ積分に関する記述は最後の方に必要最小限にとどまっているので、猪狩先生著の実解析入門を始め数多くの名著があるので、それらで勉強することをお勧めする。
2014年7月28日に日本でレビュー済み
ヒルベルト空間の基礎やフーリエ解析、ソボレフ空間、閉写像定理、
コンパクト作用素やスペクトル分解といった関数解析の基本的な概念
を丁寧に解説したとてもよい本だと思います。ただ証明になると字が
細かくなるのには悩まされました。それにもう少し、概念の意義の
ようなことについて説明してもらえたらもっとよかったと思います。
入門書としては少し話題が豊富だと思いますが、コンパクト作用素
については書いておいて欲しいので、これくらいの分量はしょうが
ないのだと思います。他の和書に比べてわかりやすいと思いますので、
とてもお勧めです。
コンパクト作用素やスペクトル分解といった関数解析の基本的な概念
を丁寧に解説したとてもよい本だと思います。ただ証明になると字が
細かくなるのには悩まされました。それにもう少し、概念の意義の
ようなことについて説明してもらえたらもっとよかったと思います。
入門書としては少し話題が豊富だと思いますが、コンパクト作用素
については書いておいて欲しいので、これくらいの分量はしょうが
ないのだと思います。他の和書に比べてわかりやすいと思いますので、
とてもお勧めです。
2013年1月2日に日本でレビュー済み
ベーシックな関数解析の基礎理論から、Fourier解析・Sobolev空間・スペクトル分解定理といった応用の一端まで取り扱った好著。
Sobolev空間・スペクトル分解定理の辺りはどうしても内容が薄い側面はあるが、日本語としてこれらのテーマを論じられているということに価値があると思います。
とはいえ基礎理論部分は行間もなく、読みやすさゆえか、関数解析の面白さをテンポよく感じることができたと思います。
関数解析の定本と言えば、こちらか「 関数解析 (岩波基礎数学選書) 」であるが、評価日時点においては、入手性からこちらを推します。
Sobolev空間・スペクトル分解定理の辺りはどうしても内容が薄い側面はあるが、日本語としてこれらのテーマを論じられているということに価値があると思います。
とはいえ基礎理論部分は行間もなく、読みやすさゆえか、関数解析の面白さをテンポよく感じることができたと思います。
関数解析の定本と言えば、こちらか「 関数解析 (岩波基礎数学選書) 」であるが、評価日時点においては、入手性からこちらを推します。
2014年9月1日に日本でレビュー済み
関数解析の入門書となっていて、関数解析の基礎理論を修得することを目的とした本です。
2019年8月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
レベルが高すぎて理解できませんでした。基礎を学習しなおしてもう1度トライしてみます。