和書での可換環論の本といえば、永田さんの本と、この松村のが有名。
永田さんの本は、永田さんの本らしく、「飛び」が多く、読み進める
のが困難になることがしばし。松村さんのほうは、簡単ではないにせ
よ、「むちゃぶり」はなく、きちんと考えればきちんと行間は埋まって
いく感じはあります。
通常、可換環論を勉強する人は、他の分野、とくに代数幾何を勉強した
いがための前提知識を身につけようという人が多いと思います。よく
若い人(学部の1〜2年)の人で、可換環論の本をマスターしてから
ハーツホーン等へ、というのがいますが、お薦めでない。代数幾何と
可換環論は車輪の両輪みたいなもので、一方が分からずして、もう一方
も分からず、その逆も真なり。代数幾何の本の読み進めをベースに、
必要な知識を適宜可換環の本で補うのがよいかと。これは、代数幾何の
命題の証明に可換環論が必要なこと、可換環論の命題の”意味”をしる
には代数幾何の素養が必要なこと、によります。
ちなみに、この本は、リードさんというイギリスの数学者により英訳され
ケンブリッジ出版局(?)から英語でも出版されています。共立さんの
商売の邪魔をする気はないですが、将来研究者を目指されるかたはそちら
を読んだほうがよいかと。ちょうど大学3〜院1くらいで、英語での数学
に慣れることは必要なので。
あと、おなじ松村さんは、英語で「commutative algebra」なる本もだして
います。可換環のほうよりもトピックを絞りみ、代数幾何の勉強に必要
かつ十分な話題を盛り込んだかんじ、といえます。アタイヤ・マクドナルド
じゃ情報量すくないし、ザリスキーサミュエルは古いし、ブルバキはあれだし、
永田さんのlocal ringじゃ、ノイローゼになるし、、、なんて人には最適だ
った時代がありました(あったみたいです)。ただし、あしむらくは絶版中。
絶版中。
(補足)
(スキーム論に基づく)を勉強したいなら、の一つのパターンとして。
イメージとしては、数論的代数幾何を将来やりたいという前提で、
とりあえずハーツホーンを理解したいという前提で。
まあ、第一章を読み始める分には、大学3年の代数学(群、環、体)
の知識と、若干の超越拡大の知識があれば、大体大丈夫だとは思います。
なので、永田さんの可換体論、藤崎さんの体とガロア理論。後者は分厚
いのですが、本当に色々書いてあるので、類体論含めた数論をやる人
にはすごくいいとは思います。むしろ懇切丁寧すぎ。永田可換体は、
行間も広めなので、自分の頭で考えて”代数の地頭”良くする訓練には
なると思います。ただ、例が少ないとか、ちょっといただけない部分は
ありますね。”例を作る鬼”みたいな永田さんにとっては、そんなの自分で
考えろ、という感じなのかもしれませんが。
(続く)
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復刊 可換環論 単行本 – 2000/9/1
松村 英之
(著)
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可換環論はそれ自身美しく深い理論であると共に、代数幾何学や複素解析幾何学の大切な基礎となるものです。本書は『共立講座 現代の数学 4.可換環論』として1980年10月に初版が発行されましたが、多くの読者からの要望を受け、単行本に改装し発行したものです。
- ISBN-104320016580
- ISBN-13978-4320016583
- 出版社共立出版
- 発売日2000/9/1
- 言語日本語
- 本の長さ372ページ
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
可換環論について解説したテキストブック。「可換環と加群」や「素イデアル」などについての説明をはじめとする11章で構成し、代数幾何学への応用にも意を用いて詳述した一冊。1980年刊の復刊。
登録情報
- 出版社 : 共立出版 (2000/9/1)
- 発売日 : 2000/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 372ページ
- ISBN-10 : 4320016580
- ISBN-13 : 978-4320016583
- Amazon 売れ筋ランキング: - 429,231位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 550位代数・幾何
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年1月10日に日本でレビュー済み
This book was later translated into English by Dr Miles Ried. By all appearances, you might want to read the English edition rather than the Japanese original. For those suspicious of it, I would like to cite the preface of the English edition as follows:
"In publishing this English edition I have tried to make a rather extensive revision. Most of mistakes and insufficiencies in the original edition have, I hope, been corrected, and some theorems have been improved. Some topics have been added in the form of Appendices to individual sections. Only Appendices A, B and C are from the original. The final section, §33, of the original was entitled 'Kunz' Theorems' and did not substantially differ from a section in the second edition of my previous book Commutative Algebra (Benjamin, 2nd edn 1980), so I have replaced it by the present §33. . . . "
"Dr Miles Ried has done excellent work of translation. He also pointed out some errors and proposed some improvements. Through his efforts this new edition has become, I believe, more readable than the original. . . . "
For this reason, I rated the book as four-star, more's the pity. Incidentally, if you had no command of English enough to read the English edition, you would not major in math, nor would you study math, from the outset.
"In publishing this English edition I have tried to make a rather extensive revision. Most of mistakes and insufficiencies in the original edition have, I hope, been corrected, and some theorems have been improved. Some topics have been added in the form of Appendices to individual sections. Only Appendices A, B and C are from the original. The final section, §33, of the original was entitled 'Kunz' Theorems' and did not substantially differ from a section in the second edition of my previous book Commutative Algebra (Benjamin, 2nd edn 1980), so I have replaced it by the present §33. . . . "
"Dr Miles Ried has done excellent work of translation. He also pointed out some errors and proposed some improvements. Through his efforts this new edition has become, I believe, more readable than the original. . . . "
For this reason, I rated the book as four-star, more's the pity. Incidentally, if you had no command of English enough to read the English edition, you would not major in math, nor would you study math, from the outset.
2022年10月6日に日本でレビュー済み
1980年にこの教科書(復刊前のもの)が出版されて以来、可換環論はずいぶん進歩し、いろんな教科書が書かれて来ましたが、ホモロジー代数を用いた本格的な可換環論への入門書として本書が一番のおすすめであることには変わりないと思います。明快な論理で書かれていて間違いも少なく、依然として定番教科書の座を占めています。大学の数学科3年生までに習う標準的な内容を一通り学んだ人なら読めるように書かれていますが、ホモロジー代数を学んだことが無い人は他の本で補いつつ読む必要があります。8章までは可換環論とその関連分野(代数幾何学、組合せ論・多元環の表現論(の一部)など)を学ぶ大学院生以上の人には標準的な基礎知識になると思います。Bruns-Herzog は例が豊富で良い本ですが、初学者には厳しいです。この本の次に読むべきでしょう。Atiyah-Macdonald はホモロジー代数に根差した部分に触れていないので、楽に読める分、現代的可換環論の大事な部分は学べません。この本の前に読んでいるといいかもしれません。なお、Cambridge から出ている英語版のペーパーバック版の方が書かれた時期が新しく、内容も増補されています。
2019年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
辞書として良いです。
Hartshorne を読み進めている方ならば、
幾何的な世界と代数の世界の融合を図っているところでしょうが、
Hartshorne では、可換環に関する基本的な例や性質については省略しているので、
Hartshorne を読み込むための辞書として、これを持っておくと良いと思います。
松村単体では、幾何的な世界は開けにくいのですが、
Hartshorne の辞書として用いることで、Hartshorne の世界が具体的に何をしようとしているのか、
Hartshorne の言葉が具体的に何をさしているのか、などといった事がわかるようにかかれています。
Hartshorne はいわずもがな原著で読むべきですが、
松村の Commutative Ring Theory では、英文に冠詞の間違い(致命的)がみられますので、
松村は日本語で読むことをおすすめします。
( あるいは、Hartshorne の参照している (Commutative Algebra) の方 )
追記
付置環のあたりから、
話が複雑になればなるほど、体論を省いたこの本では、不十分に感じることがある。
環というのは、体を緩めたものであり、
どのように緩めたのか、という環論の導入からきちんとするには、
結局は永田の「可換体論」で環を勉強することになるとは思います。
単なるハーツホーンの辞書としてでなく、環論をきちんと理解したい方は、
パラドクスではあるが、結局、永田、可換体論の方が良い。
(ので、行き着く先は、永田可換環論となる)
Hartshorne を読み進めている方ならば、
幾何的な世界と代数の世界の融合を図っているところでしょうが、
Hartshorne では、可換環に関する基本的な例や性質については省略しているので、
Hartshorne を読み込むための辞書として、これを持っておくと良いと思います。
松村単体では、幾何的な世界は開けにくいのですが、
Hartshorne の辞書として用いることで、Hartshorne の世界が具体的に何をしようとしているのか、
Hartshorne の言葉が具体的に何をさしているのか、などといった事がわかるようにかかれています。
Hartshorne はいわずもがな原著で読むべきですが、
松村の Commutative Ring Theory では、英文に冠詞の間違い(致命的)がみられますので、
松村は日本語で読むことをおすすめします。
( あるいは、Hartshorne の参照している (Commutative Algebra) の方 )
追記
付置環のあたりから、
話が複雑になればなるほど、体論を省いたこの本では、不十分に感じることがある。
環というのは、体を緩めたものであり、
どのように緩めたのか、という環論の導入からきちんとするには、
結局は永田の「可換体論」で環を勉強することになるとは思います。
単なるハーツホーンの辞書としてでなく、環論をきちんと理解したい方は、
パラドクスではあるが、結局、永田、可換体論の方が良い。
(ので、行き着く先は、永田可換環論となる)