現在の情報技術、およびそれがもたらす現象を、思想史に落とし込み考えてみる、という趣旨。この方法に則った思考としては、それなりに一貫性があるのだろうが、この手の思考の掛け金は現代の現象を思想的伝統から十全に捉えなおすことができているかという点にあろう。
大まかにいえば、インターネットメディアとマクルーハン、グーグルと汎知運動そしてハイデッガー、ビッグデータと19世紀西洋における測定、SNSとルーマンといったところ。その後で人工知能とロボット、情報社会の倫理を論じる。
マクルーハン、ルーマンへの言及はそれなりに分かる。さほど詳しくないが、これらの論者が依って立つところが私自身が多少は分かっているからかもしれない。マクルーハンの場合、オーラルー活字ー印刷ーテレビと来るのだが、内容よりも伝達手段こそが情報の価値を決めるというもの。プリントメディアの没落など、首肯できる。ルーマンの場合、観察者が組み込まれてしまった観察対象、その観察対象すなわち社会を論じることの不可能性、その結果生じるコミュニケーションの分化だろう。ネットによる細分化された社会、という点が説明できる。また、情報倫理の話は整理がされている。ただし、伝統的な倫理ということだろうが。相互理解という意味でのコミュニケーションを可能にすることに重きを置くハーバーマス、国体の和辻、コミュニケーションの総体である社会の外側とつながることを求めるルーマンということらしい。つまり、掛け金が回収できている。
その反面、そもそも情報社会とは必要な概念なのだろうか。つまり、ネットやそれに付随する現象は、新自由主義、対テロ戦争等々と同様に現代社会の一つの側面であり、それ以上でもそれ以下でもないのではないか。情報社会とは、結局のところ技術先行的な現象に、何らかの思想的重厚さを糊塗し、そうすることにより成立する虚構であり、あくまでも現代世界への付随的概念とは言えないのか。つまり、情報社会に思想的内実は欠落しているのではないか。そこを、思想から位置づけようとすることに無理がある。その結果、どうしてもそれは取ってつけたような読後感を受けてしまう。
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情報社会の〈哲学〉: グーグル・ビッグデータ・人工知能 単行本 – 2016/8/27
大黒 岳彦
(著)
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マクルーハンの「これまでの人類史とは、主導的メディアが形作ってきたメディア生態系、メディア・パラダイムの変遷の歴史であった」とする〈メディア〉史観の下、Google、ビッグデータ、SNS、ロボット、AI、ウェアラブル、情報倫理といった具体的で個別的な現象を分析の俎上に載せ、不可視のメディア生態系を暴きだす〈哲学〉。
- 本の長さ372ページ
- 言語日本語
- 出版社勁草書房
- 発売日2016/8/27
- ISBN-104326154381
- ISBN-13978-4326154388
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商品の説明
著者について
大黒 岳彦(だいこく たけひこ)
1961年香川県生まれ。東京大学教養学部を卒業後、東京大学理学系大学院(科学史科学基礎論専攻)博士課程単位取得退学。1992年日本放送協会に入局(番組制作ディレクター)。退職後、東京大学大学院学際情報学府にて博士課程単位取得退学。現在、明治大学情報コミュニケーション学部教授。専門は哲学・情報社会論。著書『〈メディア〉の哲学――ルーマン社会システム論の射程と限界』、『「情報社会」とは何か?――〈メディア〉論への前哨』(ともにNTT出版)等。
1961年香川県生まれ。東京大学教養学部を卒業後、東京大学理学系大学院(科学史科学基礎論専攻)博士課程単位取得退学。1992年日本放送協会に入局(番組制作ディレクター)。退職後、東京大学大学院学際情報学府にて博士課程単位取得退学。現在、明治大学情報コミュニケーション学部教授。専門は哲学・情報社会論。著書『〈メディア〉の哲学――ルーマン社会システム論の射程と限界』、『「情報社会」とは何か?――〈メディア〉論への前哨』(ともにNTT出版)等。
登録情報
- 出版社 : 勁草書房 (2016/8/27)
- 発売日 : 2016/8/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 372ページ
- ISBN-10 : 4326154381
- ISBN-13 : 978-4326154388
- Amazon 売れ筋ランキング: - 301,163位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年3月3日に日本でレビュー済み
さまざまな種類の括弧やらイコールやらハイフンやら難しい語句(漢字、横文字、ラテン語、古典ギリシャ語、ドイツ語、なんであれ)をちりばめて、まあ読みにくいこと。彼は文中で学者と知識人とを分けているのだが、当の彼ご自身は、どう好意的に見ても学者ではない。彼がそのキャリアの中で哲学研究をちゃんとやってこなかったことが、語句の選び方や参考文献の参照の仕方など随所にあらわれてしまっている。どうして勁草書房はこれの出版を決断したのか。
2018年1月4日に日本でレビュー済み
「インターネットによって網羅された情報社会は(マクルーハン悲願の)地球村でもなければ、(ルーマンが主張するような)ゲゼルシャフトでもない。時代に即したガイドラインもなく、アプリやロボットで遊んでるなかで実はデータを吸い取られているだけの我々には、いまいちど、哲学が必要だ」要は、たったこれだけ。あまつさえ、山括弧、ダッシュ、スラッシュ、「首肯」「剔抉」「撞着」「韜晦」「惹句」「恢復」「開鑿」「瀰漫」「庶畿」「肆意」「孰れ」「濫觴」「私淑」「譂脱」などのあまり使われない語がやたらと目につく。いみじくも本書に記されているような「万人が効率よくしかも愉しみながら学ぶ」という点で、橋本大三郎や八木雄二の著作に学ぶことは多いのではないだろうか。筆者がわざわざご自身でわかりにくくされてらっしゃる。残念www