書店店頭で書名を見ただけで面白い本であることを瞬時に判断し、中身もろくに見もしないで即、そのまま買い物カゴに入れ、さらに店内の探索を続けました。
帰宅後、一番最初に読んだのはまえがきとあとがきで、感動と喜びのあまり涙なしには読めない。
それだけで満腹になってしまいました。
旅館の女将からこんなものがあるんですけど、と見せられた明治時代の国史大辞典初版の予約者芳名録。そして、それがきっかけで興味を持って取材を始めた著者。そして、それをきっかけにして次から次へと広がる人の輪。今回の著書を出版した出版社の編集者と著者との出会い。不思議なえにし。なにもかもドラマチックで、感動的です。そして、当時の明治の市井の人々の民度の高さ。出版不況とか書店の経営が苦しいとか色々な状況があるなかでのカンフル剤です。
そして、このような著書との出会いがあるのも書店の店頭ならではことで、とてもじゃないが、思いもよらない､予測のつかない書名だけに、ネット上の文字列の検索では、このような本との出会いはありません。
本書の内容そのものも興味津々の連続ですが、本書に記載された著者の5年にもわたる取材の過程を通して関係者の調査とそのいきさつや展開の醍醐味を味わえるのもあたかも自分がその執筆にかかわっているような気にさせられる一級の喜びです。
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