書名に“若者”とあるが、読んでみると実際は“高校生”と考えて問題ない。
本書は、著者が1998年から2001年にかけて、近畿4府県の高校生(96名)を対象に行ったポピュラー音楽との関わり方についての調査及びその分析について書かれている。
高校生が好きな音楽について語る場合に、場所や状況などの「空間」に合わせて、まるで服を着替えるように、その「好み」を使い分け、場合によっては本音の部分を隠している場合さえあること。その「空間」は、「フォーマルな空間」「セミフォーマルな空間」「インフォーマルな空間」に分けられ、さらにそれぞれの音楽の嗜好の使い分けとして「スタンダード」「コモン・ミュージック」「パーソナル・ミュージック」の三つに大別され、「空間」に応じて嗜好の表出が行われていること。こういったことが明らかにされている。さらには、その「使い分け」の背景にある音楽的な状況、人間関係などにも切りこんでいる。
調査はすでに10年以上も前のものであり、本書が刊行されたのも6年以上も前であるため、高校生の好きな音楽ジャンルや具体的に名前が挙げられたミュージシャンなどが現在とは明らかに違っているし、視聴方法に関しても大きな変化(CDから配信)が生じている。ただ、私自身の高校時代(調査時点より約20年前)と比較すると、大きなくくりで考える限り、その行動や心情が理解しがたいものではない。ということは、現在にも通じる部分があるような気がしてならない。
また、単に音楽の嗜好だけでなく、カルチャー・サブカルチャー全般に関しても、類推を可能とする結果もあるように思われる。
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音楽をまとう若者 単行本 – 2007/2/16
小泉 恭子
(著)
現代の若者は他者と関わり、居場所をはかるために、ポピュラー音楽を「道具」としてどのように活用しているか。フィールドワークを通し、彼らの音楽行動の実像に迫る。
日本の高校生を対象に教室からコスプレ集会まで、多様な演奏・聴取行動を追った調査を通し、彼らが場所や状況に応じ「好み」を使い分ける方法とその理由を描く。そこから見えてくるのは「パーソナルの自己防衛」を基本とする、彼らのアイデンティティ構築戦術である。著者のアイデンティティ構築と音楽行動の関わりに迫る意欲的研究。
日本の高校生を対象に教室からコスプレ集会まで、多様な演奏・聴取行動を追った調査を通し、彼らが場所や状況に応じ「好み」を使い分ける方法とその理由を描く。そこから見えてくるのは「パーソナルの自己防衛」を基本とする、彼らのアイデンティティ構築戦術である。著者のアイデンティティ構築と音楽行動の関わりに迫る意欲的研究。
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社勁草書房
- 発売日2007/2/16
- ISBN-10432665323X
- ISBN-13978-4326653232
登録情報
- 出版社 : 勁草書房 (2007/2/16)
- 発売日 : 2007/2/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 242ページ
- ISBN-10 : 432665323X
- ISBN-13 : 978-4326653232
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,024,781位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 393位若者文化
- - 23,880位教育学一般関連書籍
- - 44,198位楽譜・スコア・音楽書 (本)
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