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ハックルベリー・フィンの冒けん 単行本 – 2017/12/19
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★オリジナル・イラスト174点収録。
★訳者 柴田元幸の「作品解題」付き。
「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょうしたとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょうもあるんだけど。
それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
——マーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より
■タイトルの表記について(本文「解説」より)
ハックはまったくの無学ではないし、学校に行けばそれなりに学びとるところもあるようだから(まあ六七(ろくしち)=三十五と思っているみたいですが)、もし漢字文化圏の学校に通ったとしたら、字もある程度書けるようになって、たとえば「冒険」の「険」は無理でも、「冒」は(横棒が一本足りないくらいのことはありそうだが)書けそうな気がするのである。
- 本の長さ558ページ
- 言語日本語
- 出版社研究社
- 発売日2017/12/19
- 寸法13.8 x 3.7 x 19.5 cm
- ISBN-104327492019
- ISBN-13978-4327492014
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
柴田元幸さんが語る「ハックルベリー・フィンとトランプ大統領の共通点」
ハックルベリー・フィンはどれくらい漢字が書けるか? そんな奇問を考え抜いた柴田元幸さん。結果、〈「険」は無理でも「冒」は(横棒が一本足りないくらいのことはありそうだが)書けそうな気がする〉と、アメリカ文学の金字塔は新たな訳題で生まれ変わった。
「原文での綴り間違いなどを日本語に移すなら漢字が書けるかどうかに相当するんじゃないかと思い、ハックの語り口に寄り添って一語ずつ考えていきました」
こんな具合だ。〈すこしは文しょうも書けたし、九九(くく)も六七(ろくしち)=三十五まで言えたけど(中略)どのみちさんすうなんてキョウミない〉
カタカナや傍点を駆使した文章はかなり独特ながらも読みやすい、絶妙なバランスを保っている。
「この小説の最大の魅力はハックの“声"の伸びやかさなので、それを活かす訳文を目指しました。少年の語り口がこれほど自然でしなやかな小説は滅多にない。少年小説の原点であり、現代に至るまでベストの一作でもあります」
柴田さんが「今こそ読んでほしい」と思うのには、もうひとつ意外な理由が。
「ハックの態度に一貫している脱権威、脱知性というのは自由を尊ぶアメリカの真髄です。彼はどんな時も自分が正しいと思い込むことなく、手探りで道徳観を作っていく。一から国を造り上げたアメリカの“らしさ"が一番良い形で現れたような小説です。ところがこの脱権威、脱知性こそトランプが言っている事そのものなんです。ハックの精神が一番悪い形をとるとトランプが席巻するアメリカになる。実は表裏一体なんですよね……。悪い形ばかり目を引きがちな今だからこそ、アメリカの真の良さってこれなんだ、と広く読まれればと思います」
1885年に刊行された本作で、ハックは黒人奴隷を逃がすことの是非について葛藤する。当時の規範ではそれは“悪"だからだ。
「ハックは自分を社会の半端者と捉えていて、自分に正義があるなんて一切思わない。そのフラットな目線ゆえの辛辣な風刺も多くて、ある事故の死者が黒人だけと聞いた優しい小母さんが、誰もケガしなくて良かったと言う場面など、こういう無意識の差別は今もあるのでは? と思わされます」
ニガーという語の頻出が差別的と批判されることもあり様々な読解が可能な文学史に残る傑作――などと身構えず、「とにかく面白い。敷居は低くて奥が深い」というこの1冊で“良きアメリカ"に触れてみたい。
評者:八馬祉子
(週刊文春 2018年1月25日号掲載)著者について
マーク・トウェイン(Mark Twain, 1835―1910) アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州フロリダ生まれ、同州ハンニバルで育つ。本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)。西部・南部・中西部の庶民が使う口語を駆使した作品によってその後のアメリカ文学に大きな影響を与えた。『トム・ソーヤーの冒険』(1876年)のほか数多くの小説や随筆を発表、世界各地で講演も行ない、当時最大の著名人の一人となる。無学の少年ハックルベリー・フィン自身の言葉で語られる『ハックルベリー・フィンの冒けん』(イギリス版1884年、アメリカ版1885年)はなかでも傑作とされ、アーネスト・ヘミングウェイは『アフリカの緑の丘』で「今日のアメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評した。
■訳 者
柴田 元幸(しばた もとゆき) 翻訳家、東京大学文学部名誉教授。東京都生まれ。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソンなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。マーク・トウェインの翻訳に、『トム・ソーヤーの冒険』『ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―』(新潮文庫)、最近の翻訳に、ジャック・ロンドン『犬物語』(スイッチ・パブリッシング)やレアード・ハント『ネバーホーム』(朝日新聞出版)、編訳書に、レアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。文芸誌『MONKEY』、および英語文芸誌Monkey Business 責任編集。
★2017年、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : 研究社 (2017/12/19)
- 発売日 : 2017/12/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 558ページ
- ISBN-10 : 4327492019
- ISBN-13 : 978-4327492014
- 寸法 : 13.8 x 3.7 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 83,664位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,927位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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作者がどれほどこの作品を愛しているのか、伝わってきます。
日本語への意訳や今の話し言葉に合わせた翻訳、リズム、最高です。
これは柴田さんのハックフィンとも形容せずにはいられない、世界文学です。
読み終えた後にどうハックフィンを捉えなおすかは読み手にゆだねられています。
あとがきまで同じ語り口で、読み手に解釈を強要せず、オープンクエスチョンで押しつけがましくないところは、柴田さんが主人公と同化してしまったと思うほど。
アメリカ文学の面白さが全部入っている気がしました。とてもお勧めです。
なんで、いんちき公爵と王様の芝居をここまでしつこく書いてしまうのかとか、いろいろとどうでもいいようなことが書かれているけど、そこはそれ、結局、笑って過ごしてしまうのが、この物語の可笑しさでもあるんだな。最後の10章はいらない!ってヘミングウェイなんかも言ってたようだけど、個人的には、ここはなかなかに面白かった。いんちき公爵とインチキ王様の出番よりは面白かった。
”漢字まじりのひらがな文”の多用で、読者としてはそこそこしんどかった部分も無きにしも非ず!だったけど、そこはそれ、ハックの気分になれば、なーんってこともなかったはず。
このほんやく、しばたセンセにとっても、大冒けんだったはず。
小学一年生でも読める文体です。スタイルです。とにかく、ひどく読みにくい。
しかし、がまんして読みすすめると、慣れてきてどんどん読みやすくなってきました。
そして、最後には、ひらがなの中にあるカタカナって、こんなにも読みやすいことにはじめて気づきました。
カタカナにするだけで、いちいち「分かち書き」にしなくても、細かく句読点や傍点を打たなくても、
読みやすくなることを発見しました。
考えてみると、英語は、アルファベットだけです。ひらがなだけの日本語みたいです。
驚かなくても、よかったみたいです。
それにしても、漢字をろくに書けないというのに、ハックって結構難しい単語を知っています。
勘違いや間違いに満ちあふれた豆知識。笑っちゃいました。思わず吹いちゃう、何度も何度も。
でも、これは著者がわざと書いた意図的な冗談だと思います。
著者は、駄洒落好きのシェイクスピアのまねをしていると確信しました。
それにしても、「厄介(トラブル)」という超難しい単語が、これでもかこれでもかと、
何度も登場します。
14頁、132頁、149頁、151頁、157頁、158頁、218頁、229頁、230頁、260頁、
264頁、268頁、278頁、331頁、345頁、367頁、384頁、390頁、391頁、393頁、
394頁、427頁、431頁、474頁、476頁、478頁、511頁、520頁、525頁、529頁
なぜ、何度も、著者はこの「厄介(トラブル)」という単語を出したのでしょうか。
意図が分かりません。
ヤッカイもののハックがこんな難しい「厄介」という漢字を知っているのが不思議です。
この本は、「ハックとジムの旅」(530頁の柴田先生が手書きした地図参照)の紀行文です。
ハックは結構、歴史や文学を知っています。感心するほどです。誤認混同の知識ですけれど。
もしかしたら、これも読者を笑わそうとする、著者の意図的なものかもしれません。
たとえば、279頁のさしえ「ボストン湾のヘンリー八世」も笑えます。
王様が湾に投げ込もうと手に持っているのは「ウーロン・ティー」の箱。
あれれ、ボストン茶会事件って、茶は茶でも、紅茶でなかったっけ?
この本には、挿絵が174点もあるので、漫画本として挿絵だけを探して
パラパラ拾い読みして見るのもたのしい本です。
巻頭に、読者に酷な「告」があるのも、おもしろい。
「この話に主題を探すものは起訴される。教訓を探す者は追放される。構想を探す者は射殺される。
著者の命により」
「射殺」とは、おそれいりました。でもね、そう言われると、よけい探したくなるのが、
へそまがりの読者心理です。
兵站(へいたん)部長に射殺されるのを覚悟で、「もくじ」の言葉から主題と構想を探してみました。
イソップ童話じゃないから、教訓は不要です。追放は、いやですから。
思うに、この本の「主題と構想」は、金。奴隷の売買に使われる通貨です。
なぜ自分はそう思ったのか、「もくじ」の言葉を引用します。
第16章 「水上の通貨——ケアロを通過」
第24章 「王の衣装に身を包んだジム」
第25章 「悪しき投資」
第26章 「ハック、金を盗む」
第27章 「迅速な売買と僅かな利益」
第29章 「王、金の消滅を説明」
第36章 「大きな数字」
終章 「囚われ人に金を払う」
「王、金の消滅を説明」なんかは、
まるで現代の仮想通貨謎の消滅事件での「社長、コインの消滅を説明」みたいです。
第36章の「大きな数字」って、「千ちょう(ぼうてん)ドル」(453頁)。超大きな数字です。
「厄介(トラブル)」という単語が繰り返し出てくる理由も、お金の話が何度も出てくる理由も、
最後の最後で一気に分かりました。
「あんたじぶんのカネ、いつでもとりに行けるよ。あれはあんたのおやじさんだったのさ」(528頁)
「本つくるってのがこんなに厄介(トラブル)だってわかってたらそもそもやらなかったし、これからもやる気はない」(529頁)
ただ、かの柴田元幸氏が精魂込めて翻訳したトムソーヤとハックの両冒険が揃った以上、「そりゃ読まなくちゃ」と順に読んだ。
トムの話も面白く読め、ポリーおばさんの愛情には涙もしたが、続編でもある本作=ハックとジムの冒けんには心が揺さぶられた。
人間という悲しい生き物は、どの時代のどの国においても、自分と異なる部分のある人々を蔑み迫害することに何の疑問も持たない愚行を繰り返している。
出生地・血筋・人種・宗教・誰を愛するか、ある差別が非常識と認知されても、平気で違う概念の差別を産み出し続けている。その愚かさに、少年ハックルベリー・フィンが「自分一人の力」で「理屈ではなく自分の心の声」で、気づき乗り越えていく姿は、130年近い時を経ても読む我々に強いメッセージを与えてくれる。
ある意味では、我々は130年たっても、ハックの姿に教わり続けなくてはいけない哀れな生き物だということなのかもしれない。
全編通して、飄々としたユーモアに溢れる作品だけに、抹香臭い道徳論からは得られない、深い気付きを
与えてくれる。
やっと手に取って読むことができました。ハック好きの私としては、期待感と不安感も少しだけありましたが。。。
読み始めたら、びっくりの連続でした!
原書を(楽しく)読んだのはずいぶん前のことで、こまかいことは忘れていましたが、
この新訳を読んではっきりとわかったのは、「私はここまで理解していなかった!」ということ。
何はともあれ、トウェインさんの書くことに間違いはないと思って読んでしまっていましたし。。。
ハックやトムの発言が、これほどまでに「ツッコミどころ満載」だったとはつゆ知らず。。。まんまとひっかかっておりました!
柴田先生が語注でつっこんでくださったおかげで、その箇所に気づきました。
それが、まるで漫才の「ぼけ」と「つっこみ」の掛け合いのように思えて、ますます読むのが楽しくなりました。
本来なら、読者がその都度ツッコミを入れたり、またはその発言の間違いや勘違いや混同がおかしくて笑いのネタになるんでしょうが、日本人の(しかも現代の)読者にはそれはあまりにも無理な相談です。その点で、作者の意図(笑わせたい、または、けむに巻きたい)を完璧にくんだ訳書だと言えると思います。
もちろん、ハックやトムの発言が「正しい」ところもあります。そこは、しっかりと、そしてしみじみと訳されていました。とりわけ、ハックの本音の部分が、痛々しいくらい切なかったです。まさかラストで泣くとは思いませんでしたが、今回は涙が出ました。元気そうに挨拶して、また冒険の旅に出ようとしているけれど、実は、内心は。。。。とハックの胸中を想像してしまったからです。
そんなこんなで、翻訳修行中の身としては大変勉強になり、
なおかつ、大好きなハックが生き生きと再現されて、何十倍も楽しい読書となりました。
つくづく、ハックはいい子です。優しい子です。
多くの子どもたちに読んでもらいたい物語です!