松本清張と言えば、点と線、ゼロの焦点、が2大名作だろうか。
推理小説としては、点と線のほうが完成度が高いだろう。
犯人捜し、トリックあばきという推理小説の王道を追いかけたものだから。
では、「小説」としてはどうだろう。
こちらはゼロの焦点に軍配が上がる。
ただ不思議なのだ。人物設定も、それぞれの人物の行動も不自然なのだ。
中心人物の鵜原憲一はなぜ、偽名を使ってたやすく他人になりすませられたのか?
なぜ鵜原憲一は、過去の知人、千佐子と久子に、偶然出会うのか?
何故、真犯人はたやすく人を殺せるのか?
そしてついに、主人公の禎子は、名探偵でもないのだけれど、周りの協力者たちの動きを逐次整理して、やがて真犯人に迫るのだった。
真犯人は、人殺しなのだけれど、その罪を感じさせないのは、戦後の混乱期のやるせない状況を背負っているから。
ぼくは、その時代を知らないけれど、まったく「戦争は悪」だということがよくわかる。
あるいは、犯行シーンを松本清張は描かないから?
ただ、金沢や石川県は、そんな暗い街ではないのにね。
ほころびはいくつも見えるのに、とらえて放さない、不思議な小説、ゼロの焦点
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ゼロの焦点 (カッパ・ノベルス 11-1) 新書 – 1959/12/1
松本 清張
(著)
A広告社の腕利き社員は、若く美しい妻を得て、独身生活に別れを告げたばかりだった。
健康で、仕事も順調。順風満帆の人生に何の不満も、不安もないはずの彼が、新婚一週間にして突如失踪した。ひとりとりのこされた若妻は、夫の行方をさぐるため、深い謎の中に踏み込むべく、古都金沢へ旅立つ。夫は何のために失踪したのか、あるいは失踪させられたのか?
北陸の冷たい風光を背景に、追いつめられた人間の孤独と恐怖を描きつくし、恐ろしい緊迫感に読者を引きこんでゆく傑作。過去何度も映画化され、著者自ら「僕の代表作」だと宣言する作品。
健康で、仕事も順調。順風満帆の人生に何の不満も、不安もないはずの彼が、新婚一週間にして突如失踪した。ひとりとりのこされた若妻は、夫の行方をさぐるため、深い謎の中に踏み込むべく、古都金沢へ旅立つ。夫は何のために失踪したのか、あるいは失踪させられたのか?
北陸の冷たい風光を背景に、追いつめられた人間の孤独と恐怖を描きつくし、恐ろしい緊迫感に読者を引きこんでゆく傑作。過去何度も映画化され、著者自ら「僕の代表作」だと宣言する作品。
- 本の長さ271ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日1959/12/1
- ISBN-104334030017
- ISBN-13978-4334030018
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (1959/12/1)
- 発売日 : 1959/12/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 271ページ
- ISBN-10 : 4334030017
- ISBN-13 : 978-4334030018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,153,535位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1909-1992)小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年4月25日に日本でレビュー済み
清張の初期の代表作。新婚旅行後、数日にして失踪したヒロインの夫。ヒロインには失踪の心当たりがない。それどころか、自分が夫の事を如何に知らなかったかを思い知り慄然とする。この、身近な人間の事を実は良く分かっていない、という点が前半のテーマである。このテーマに焦点を当てた戦慄のサスペンス小説にW.カッツの「恐怖の誕生パーティー」がある。ヒロインは直感で夫の失踪の陰に女がいると感じ、追跡を始める。焦燥感の中、夫が金沢で二重生活を送っていた事を突き止める。ところが、夫は不可解な死を遂げ、夫の兄、部下が続いて殺される。
後半は殺人事件の解決に入るが、清張らしく裏に戦後の暗部が隠されている。この点、森村誠一氏の「人間の証明」の先取りとも言える。清張の作品は一言で社会派ミステリと呼ばれるが、良く読むと様々なミステリ的要素が詰め込まれている事が分かる。
人間関係の虚実を戦後の過酷な運命を背景に描いた、清張の初期を代表する傑作。
後半は殺人事件の解決に入るが、清張らしく裏に戦後の暗部が隠されている。この点、森村誠一氏の「人間の証明」の先取りとも言える。清張の作品は一言で社会派ミステリと呼ばれるが、良く読むと様々なミステリ的要素が詰め込まれている事が分かる。
人間関係の虚実を戦後の過酷な運命を背景に描いた、清張の初期を代表する傑作。
2008年10月9日に日本でレビュー済み
松本清張は基本的に社会派作家なんで、今の若い人が読めばちょっと分からないシチュエーションだと思う。まずお見合いってほとんどなくなってしまった。昔は結婚式で初めて会ったというカップルもあったようです。「パンパン」知らないですよねえ・・・。米軍相手の売春婦さんたちのこと。動機は分かるような気がする。それにしても主人公の禎子さんはしっかりしている。謎はそれほど突飛でもなくトリックというほどの仕掛けもなく。心理・戦後時代小説ですね。あとは汽車に乗るシーンが多く、カバーの絵が時刻表というのもうなづけます。昔は食堂車っていうのがありましたよね。食堂車の記号が載ってます。それと北陸の寒そうな風景の模写が多く、秘められた犯人とその周りの人々の暗い心の内側を表しているような・・吹雪の中で読んでいるような気がしました。しかし京都から金沢まで6時間(夜行ですが)、今はサンダーバードで2時間・・。やはりこの小説は移動に時間がかかる汽車の時代の産物のような気がします。
2011年9月10日に日本でレビュー済み
当時としては、女性問題や、パンパン、労働組合、広告代理店、等新鮮な話題を中心としたテーマだったろうが、今読んでみるとあまり面白くない作品とも言える。もちろん当時の特有の事情が現在から見ても興味をそそるものであれば別だが、どちらかといえば人間の証明におけるパンパンの背景のほうが面白い。全体として、警察にたよらず私的な推理を女性が行うのには新鮮さがないわけでもないが、特段大きなトリックや人間模様があるわけでもなく、また当人らからの自白もなく、基本的に禎子の推理に終始するこの作品には一種の迫力が欠けている。点と線のほうが出来が良いのではないかと思ってしまう。