本書をお読みになればおそらく同じ感想をお持ちになると思われますがそれはタイトルが内容と合致していないことです。『私ならマルクスをこう読む』が正しいのでしょう。なお、その読み方ですが、現代思想家の言説を使用したり余り使われない資料を紹介したりと一見新しい知見があるかのように構成されてはいますが、要のマルクス理解については旧いタイプの解釈が踏襲されていますので結論的にはどこかで聞いた話になっています。
ただ、その辺の自称入門書を読んだ後だと「なんだ、マルクスの本はこんなに凡庸な内容なのか」と感じるのに対して、本書は読んでいる最中に「あれ、マルクスってこんなこと言ってたかな」と確認のためにマルクスに手を伸ばすように促されるので、ある意味でマルクスへの誘いとしては成功しているのかもしれません。
さて、本書のタイトル問題は以下のように言うことができます。すなわち、タイトル通りであればマルクスが主体であるので、マルクスの視点から現在を見るいくことになります。従って、現代的解釈が主題となるのではなく、マルクスの生きた時代背景や彼自身の思想形成を考察することで、そこと現代との歴史的類比性を見出だしてマルクスの現代性を問うという方法を採るということです。
しかし、本書では古典的な解釈であるマルクスの三つの源泉を前提としたり様々な現代思想家の話を混入させたりとマルクス本人がどのように資本主義の矛盾と格闘したかよりも周辺的言説に重きが置かれているために議論が錯綜してマルクスの話はどれなのか逐一確認しなければならなくなります。
また、本書の特徴としては、愛だの希望だのといった対神徳のお題目のような言葉が登場します。それ、本当にマルクスから読み取れますか。もちろん書き手が自由に解釈するのは表現の自由によって保証されてはいます。しかし、あれ程までに資本主義の矛盾に対して冷静な分析を怒りを押さえ込みながら貫徹したマルクスの姿が無菌室で殺菌されたみたいに綺麗になってしまっています。
最も頭を抱えてしまった記述が、金持ちのほうが苦しいこともある、貧しく誠実な生活のほうが幸せなこともある、という類いの話です。なんだか、牧師さんの説教みたいですが、胡散臭い談話が逆に支配的宗教によって利用されて僅かな財産を巻き上げられてきたのが歴史的現実です。「心の貧しい者は幸い」やら「貧者の一灯」やらは決して美談ではなく、こうした標語の下で指導者たちは貧しい人々に到来するはずもない苦痛の救済と抑圧からの解放をちらつかせて彼らの財産を吸い上げて自分たちのどす黒い欲望で踏みにじってきたし、また今も踏みにじり続けているのです。貧しい者がさらに搾取される現実をこそ、マルクスは糾弾したのではなかったのではないのでしょうか。少なくとも全ての人々が安心して食べて暮らせるようになるまでは、マルクシストが口にすべき内容ではありません。
全般的な印象として、本書を読みつつマルクスの真意を確認するためのきっかけにはなりますが、それなら最初からマルクス読めばいいよねと思わなくもありません。
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マルクスだったらこう考える (光文社新書) 新書 – 2004/12/14
的場 昭弘
(著)
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- ISBN-104334032818
- ISBN-13978-4334032814
- 出版社光文社
- 発売日2004/12/14
- 言語日本語
- 本の長さ251ページ
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- 出版社 : 光文社 (2004/12/14)
- 発売日 : 2004/12/14
- 言語 : 日本語
- 新書 : 251ページ
- ISBN-10 : 4334032818
- ISBN-13 : 978-4334032814
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2020年10月20日に日本でレビュー済み
2015年9月28日に日本でレビュー済み
グローバリズムは「労働者の国際連帯」の契機である。
マルクス主義は「国際的に連帯」することで初めて意味を持つ。逆に一国だけの連帯では、新たな差別を生むだけであるのだ。
「共産主義」とはあらゆる階級が融和した社会である。資本主義は「内部」と「外部」の関係で成り立つのであるが、「共産主義」では外部も内部も存在しない。
今までの「共産主義」という名目で存在した「ソ連型社会主義」は、徹底した「内部」と「外部」が存在した。基本的に国家への忠誠を強いられるからである。
(経営者=共産党幹部、従業員=労働者とみなせば、ソ連型社会主義国家はひとつの大きな企業のようなものであるとみなせるのですがね。)
やはり・・・今のなってやっと資本主義が本気を出してきたのかもしれませんね。
マルクスやレーニンの考えた「資本主義」が今になってやっと現れたのでしょう。
マルクス主義は「国際的に連帯」することで初めて意味を持つ。逆に一国だけの連帯では、新たな差別を生むだけであるのだ。
「共産主義」とはあらゆる階級が融和した社会である。資本主義は「内部」と「外部」の関係で成り立つのであるが、「共産主義」では外部も内部も存在しない。
今までの「共産主義」という名目で存在した「ソ連型社会主義」は、徹底した「内部」と「外部」が存在した。基本的に国家への忠誠を強いられるからである。
(経営者=共産党幹部、従業員=労働者とみなせば、ソ連型社会主義国家はひとつの大きな企業のようなものであるとみなせるのですがね。)
やはり・・・今のなってやっと資本主義が本気を出してきたのかもしれませんね。
マルクスやレーニンの考えた「資本主義」が今になってやっと現れたのでしょう。
2011年1月28日に日本でレビュー済み
『マルクスだったらこう考える』というタイトルから普通に想像すると、
今のたとえば格差問題や教育の問題、政治の問題などに対して、
「マルクスだったら、こう考えるよね。そうすると、こういった
問題も解決できるよね」という内容になっていて、マルクスの理論も
わかりやすく理解できて、今の社会の問題ともつながって考えられるんだ!
という印象をもたれると思いますが、まったく違います。
さらに、初心者向けの本でもありません。たとえば、
46ページの文章は次のような感じです。
歴史の発展を考察する際に、安易な弁証法的唯物論の適用は避けなければ
なりません。資本が世界市場を形成し、資本主義が歴史を世界史に変えて
しまった以上、多くの国はその外的ショックによって歴史を変容させて
いるからです。
弁証法的唯物論がどんなものなのかとか、歴史を世界史に変えてしまう
というのがどういう意味なのかなど、まったく説明されません。
つまりこの本は、かなりの程度、マルクスの理論をわかっていて
それでいて、マルクスなんてもう古いよ!と考えている人たちむけに、
新しいマルクス像を提示するための本なのです。
だから、本当のタイトルは、「私の考える新しいマルクス」とか
せいぜい、「甦るマルクス」とか、そんな感じなのです。
でも、著者を責めてはいけません。ちゃんと、あとがきに書いてあります。
だから本書の読者は、ここにマルクスの客観的な読解など期待しないで
ください。あくまでも「私のマルクス」にすぎません。
さらには、あとがきに、この本のタイトルは、編集者のアイデアです
とも書いてあります。
(ここは明らかに、私は賛成していませんが、編集者が勝手につけた
タイトルなのです、というメッセージを伝えています。)
売りたい気持ちはわかりますが、内容と齟齬のあるタイトルは
やめてもらいたいものです。
今のたとえば格差問題や教育の問題、政治の問題などに対して、
「マルクスだったら、こう考えるよね。そうすると、こういった
問題も解決できるよね」という内容になっていて、マルクスの理論も
わかりやすく理解できて、今の社会の問題ともつながって考えられるんだ!
という印象をもたれると思いますが、まったく違います。
さらに、初心者向けの本でもありません。たとえば、
46ページの文章は次のような感じです。
歴史の発展を考察する際に、安易な弁証法的唯物論の適用は避けなければ
なりません。資本が世界市場を形成し、資本主義が歴史を世界史に変えて
しまった以上、多くの国はその外的ショックによって歴史を変容させて
いるからです。
弁証法的唯物論がどんなものなのかとか、歴史を世界史に変えてしまう
というのがどういう意味なのかなど、まったく説明されません。
つまりこの本は、かなりの程度、マルクスの理論をわかっていて
それでいて、マルクスなんてもう古いよ!と考えている人たちむけに、
新しいマルクス像を提示するための本なのです。
だから、本当のタイトルは、「私の考える新しいマルクス」とか
せいぜい、「甦るマルクス」とか、そんな感じなのです。
でも、著者を責めてはいけません。ちゃんと、あとがきに書いてあります。
だから本書の読者は、ここにマルクスの客観的な読解など期待しないで
ください。あくまでも「私のマルクス」にすぎません。
さらには、あとがきに、この本のタイトルは、編集者のアイデアです
とも書いてあります。
(ここは明らかに、私は賛成していませんが、編集者が勝手につけた
タイトルなのです、というメッセージを伝えています。)
売りたい気持ちはわかりますが、内容と齟齬のあるタイトルは
やめてもらいたいものです。
2007年1月21日に日本でレビュー済み
ペンギンから出たGreat Ideaシリーズの「共産党宣言」英語版を読んでみました。そのときに、的場氏の考えておられるようなことを考えながら読みました。
自分が考えていて、感じているのだけど、上手く言葉にできない・・・そういう痒いところに手が届くような、親切な本で、決して学者向けに難解に書かれた本ではありません。
マルクスがいまさら・・という人は多いかもしれませんが、一度あらためて読んでみてからにしてください。
英語版のテキストを読むと、その予言者ぶり、正確さに鳥肌が立つ思いがしました。
もはや既成事実で、後戻りのきかないグローバリゼーション。ホワイトカラーエグゼンプション法案なども話題になるなかで、グローバル資本への反発、抵抗、といった感情論だけで語っていても始まらない。新しいテクノロジーもどんどん出てきて、ますます世界が小さくなるなか、我々はどうすればいいのかを考える時に、とても貴重な視点を提供してくれる良書だと思いました。
自分が考えていて、感じているのだけど、上手く言葉にできない・・・そういう痒いところに手が届くような、親切な本で、決して学者向けに難解に書かれた本ではありません。
マルクスがいまさら・・という人は多いかもしれませんが、一度あらためて読んでみてからにしてください。
英語版のテキストを読むと、その予言者ぶり、正確さに鳥肌が立つ思いがしました。
もはや既成事実で、後戻りのきかないグローバリゼーション。ホワイトカラーエグゼンプション法案なども話題になるなかで、グローバル資本への反発、抵抗、といった感情論だけで語っていても始まらない。新しいテクノロジーもどんどん出てきて、ますます世界が小さくなるなか、我々はどうすればいいのかを考える時に、とても貴重な視点を提供してくれる良書だと思いました。
2008年6月1日に日本でレビュー済み
資本主義というシステムは限界に近づいている…。そんな言葉を昨今良く耳にしますが、これは単なる資本主義の終焉に止まるものではなく、人類の滅亡を意味しているということに気付いて欲しいのです。
けっして大袈裟なことではなく、このままいけば第三次世界大戦の勃発が予見される要因が、世界中に散見されます。原油高、食糧危機、温暖化、テロ、独裁…ここの要因がいつか連動して、大きな恐慌となる日が近づいているのではないか?そんな気持ちに暗澹たる思がします。
マルクスが現代の日本に現れたら、どう感じるだろうかとの予想から始まるこの書は、現代こそが共産主義化への前夜であると主張する。議会制民主主義を経験し、資本主義の最大価値を享受した場所でこそ、共産主義は恋慕され渇仰され、真の革命を現実化するという。
しかし、我々は第一次?とでも呼べばいいのか、人類史に一度、共産主義の社会実験が失敗したことを教訓として学んでいる。粛清の名のもとに大勢の人々が殺戮され、世界は核戦争の危機を常に眼前に見ていた。こんなことはもう二度と御免だ!との思いもある。
マルクスが本当に意図していた資本主義後の世界とはどんなものであったのか?ユートピアは訪れるのか?そんな疑問にとらわれずにはいられない。
マルクスは神格化を望んではいない。ただ、悲惨の二字を絶滅しようとしたに過ぎない。人類の未来は、究極の二択を迫られている。アダム=スミスが道徳感情論で述べたような、道徳的な資本家の登場に期待するか、システムとしての小欲知足を実現する共産主義を世界標準=グローバルスタンダードとするか。
けっして大袈裟なことではなく、このままいけば第三次世界大戦の勃発が予見される要因が、世界中に散見されます。原油高、食糧危機、温暖化、テロ、独裁…ここの要因がいつか連動して、大きな恐慌となる日が近づいているのではないか?そんな気持ちに暗澹たる思がします。
マルクスが現代の日本に現れたら、どう感じるだろうかとの予想から始まるこの書は、現代こそが共産主義化への前夜であると主張する。議会制民主主義を経験し、資本主義の最大価値を享受した場所でこそ、共産主義は恋慕され渇仰され、真の革命を現実化するという。
しかし、我々は第一次?とでも呼べばいいのか、人類史に一度、共産主義の社会実験が失敗したことを教訓として学んでいる。粛清の名のもとに大勢の人々が殺戮され、世界は核戦争の危機を常に眼前に見ていた。こんなことはもう二度と御免だ!との思いもある。
マルクスが本当に意図していた資本主義後の世界とはどんなものであったのか?ユートピアは訪れるのか?そんな疑問にとらわれずにはいられない。
マルクスは神格化を望んではいない。ただ、悲惨の二字を絶滅しようとしたに過ぎない。人類の未来は、究極の二択を迫られている。アダム=スミスが道徳感情論で述べたような、道徳的な資本家の登場に期待するか、システムとしての小欲知足を実現する共産主義を世界標準=グローバルスタンダードとするか。
2015年3月7日に日本でレビュー済み
スピノザ、ヘーゲル、フーコーあたりの予備知識がないとついてゆくのは厳しいが、
それらの知識を持ち合わせている人にとって本書を読む必要があるのか疑わしい。
たとえば第二章は要約するに「巨大資本が中国やミャンマーのような新しい投資先を常に必要とし、
やがては世界をたいらげる。」といった内容だが、ネグリとハートの<帝国>論を用いてこねくった文章で綴られている。
やはりネグリとハートに関する説明が欠如しているので内容が単純な割りに不明瞭な文章だ。
・
「マルクスが現在の社会を見たら」という設定はすぐに反故にされて、最終的に著者のストレートな言いぶんに終わっている。
第5章から引用してみよう。
「移民労働者などと連合なんてできないと主張する人は、もはや今の時代についていくことはできないでしょう。」
要するにこの程度の単純なスローガンなんですよ。それを近代思想を散りばめて語っているという本でした。
それらの知識を持ち合わせている人にとって本書を読む必要があるのか疑わしい。
たとえば第二章は要約するに「巨大資本が中国やミャンマーのような新しい投資先を常に必要とし、
やがては世界をたいらげる。」といった内容だが、ネグリとハートの<帝国>論を用いてこねくった文章で綴られている。
やはりネグリとハートに関する説明が欠如しているので内容が単純な割りに不明瞭な文章だ。
・
「マルクスが現在の社会を見たら」という設定はすぐに反故にされて、最終的に著者のストレートな言いぶんに終わっている。
第5章から引用してみよう。
「移民労働者などと連合なんてできないと主張する人は、もはや今の時代についていくことはできないでしょう。」
要するにこの程度の単純なスローガンなんですよ。それを近代思想を散りばめて語っているという本でした。
2005年5月9日に日本でレビュー済み
レヴィ=ストロース、フーコー、アルチェセール等の考えを加えると、マルクスは、こんなことを考えたのではないか?あるいは、このように考えるのでは?という本です。テーマは、アメリカ主導で進む現代社会。その中での資本主義、労働者、戦争、環境、差別等の問題です。
問題が問題だけに、「解がすばっと」という内容ではなく、問題の分析、乗り越えるべき課題が示されています。その中で、マルクスの問題意識、思考(方法)やそれに対する批判、修正などが示されています。
個人的には、現代を、このような視点で分析できるんだなぁ、と新しい見方を教わった気がします。マルクスは、ホトンド知りませんが、興味深く読めました。
問題が問題だけに、「解がすばっと」という内容ではなく、問題の分析、乗り越えるべき課題が示されています。その中で、マルクスの問題意識、思考(方法)やそれに対する批判、修正などが示されています。
個人的には、現代を、このような視点で分析できるんだなぁ、と新しい見方を教わった気がします。マルクスは、ホトンド知りませんが、興味深く読めました。