評を2011年に書いているので古くなった分★★★★だが、出版時点では★★★★★の書。
しんかい6500の本を読んだ後に本書を再読したのだが、新聞書評ではまだこの本が基本参考文献とのことだ。「ちきゅう」建造p.13の背景の本という概要だが、p.136までは教科書のような密度で知見が記載されている。バイフォスフェア2での土壌微生物による酸素消費、コンクリートによる二酸化炭素吸収の話が載っている本は貴重ですばらしいp.120。
・深海水温が2℃と低いのは太陽光の影響ではなくグリーンランドと南極での表面冷却のため!!p.101
・人類一人当たりの土地面積はたった0.025平方km p.116
・冬季の東北・日本海側の10mm沈降p.131
・海底下1,000mの地中に微生物が多いことp.212
・18,000年前の120mの海面下降p.224
コロンバスの提案に侍従が「同じ資金をすべての帆船の改良に回すべき」と進言したp.35、毛利衛氏も「海底掘削は無駄遣いというのが第一印象」p.245というあたりが日本の現状と思われる。石油会社と科学探査の合同作業決裂p.39というのは興味深い事例だ。どこでもプロジェクトマネージャーの人事が問題なようだp.191。大学助手の文は載っているがp.178、「学部生も乗ってほしい」p.84というところで学生の声がないのが残念。
図1-3の海底拡大説を証明するデータはp.45で後述される日本人の成果と思われるのだがしっかり宣伝していないのだろうか。p.240に米国人研究者が「日本人研究者は個人で参加してくる」という体制が残念だ。世界最高温の掘削は日本で行われたというのが誇らしいp.161。
資金の出所について詳述はないが、「地震予知」ではないのだろうか。さすがにこの本ではその語は出てこないが「地震予測」p.202の語は使われている。飛行機は目立つが、船は一般的にいろいろ資金が投下されているのに失敗例があまり報道されないきらいがあるp.165。今出版されたら「地球は明らかに温暖化している」p.115という記述はなかったかもしれない。
・p.37モホール掘削船コストが「127万ドル」で1966年に却下されたというのは桁が合っているのだろうか?
・図3-4の有孔虫の二葉の写真は入れ替わっているのでは?
口絵の番号が別で探しにくい。伝統にとらわれず図表・写真は通番にするという編集が望まれる。
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地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書) 新書 – 2005/7/15
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巨大地震、生命誕生、気候変動――。
地球を掘って、謎を解く!
地球科学の歩みと現在が、すっきりわかる入門書
なぜ巨大地震は起こるのか? 地球だけに見られる花崗岩質地殻はどのようにしてできたのか? 地下微生物は地球環境でどのような役割を果たしているのか? 地球の生命はどのように誕生したのか? 次世代の重要な資源といわれるメタンハイドレードと、地球温暖化の関わりは? われわれの住むアジアの風土はどのようにつくられ、人々はどこからやってきたのか? 大陸移動説、海洋底拡大説、プレートテクトニクス、地球システム科学、マントルトモグラフィー、プルームテクトニクス、全地球史解読などをふまえ、地球科学の最先端の見取図を示す。地球科学入門書としても最適。カラー口絵つき。
◆マントルに生命を探し、巨大地震の巣を目指す。海底下7000m、未踏の地下世界に
挑む!
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◆マントルに生命を探し、巨大地震の巣を目指す。海底下7000m、未踏の地下世界に
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- 本の長さ277ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2005/7/15
- ISBN-104334033148
- ISBN-13978-4334033149
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2005/7/15)
- 発売日 : 2005/7/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 277ページ
- ISBN-10 : 4334033148
- ISBN-13 : 978-4334033149
- Amazon 売れ筋ランキング: - 851,546位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年11月14日に日本でレビュー済み
地球深部探査船「ちきゅう」計画で主導的な役割をはたした3人による著作である。
「ちきゅう」は2005年に完成した大型の調査船で、深海底をボーリングすることで、地球内部の研究ができ、建造以後は世界中の海で活躍している。
本書では、前提知識となるプレートテクトニクスの仕組みから解説を始め、「ちきゅう」で何ができるのかが丁寧に解き明かされていく。地球の構造や地震の仕組みを明らかにすることへの期待感があふれている。
関わった多数のひとたちがコラムを寄せており、賑やかな論集といった感じの本だ。
ただ、本書が出た時点では「ちきゅう」はまだ完成していない。タイトルにあるような問題については、その後の実際の調査を扱った本にあたるべきだろう。
「ちきゅう」は2005年に完成した大型の調査船で、深海底をボーリングすることで、地球内部の研究ができ、建造以後は世界中の海で活躍している。
本書では、前提知識となるプレートテクトニクスの仕組みから解説を始め、「ちきゅう」で何ができるのかが丁寧に解き明かされていく。地球の構造や地震の仕組みを明らかにすることへの期待感があふれている。
関わった多数のひとたちがコラムを寄せており、賑やかな論集といった感じの本だ。
ただ、本書が出た時点では「ちきゅう」はまだ完成していない。タイトルにあるような問題については、その後の実際の調査を扱った本にあたるべきだろう。
2005年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昨年、スマトラで大津波が起きたが、こういった巨大津波を起こした地震の原因を解明するには地球の内部を調査するしかない。日本が作った地球深部探査船「ちきゅう」は地殻を突きぬけ7000mのマントルまで掘削可能な世界最大の掘削研究船である。この「ちきゅう」には様々な期待が寄せられている。地震メカニズムの解明。地中微生物の地球環境の役割。地球内部と地球温暖化のかかわり。メタンハイドレート。こういったものの解明は地球そのもののシステムを解明することであり、新たな地球観が形成されてゆくことに繋がる。ちきゅうプロジェクトにかかわった科学者が一般の人にそのプロジェクトの意義を平明に語ったのが本書である。これからは「ちきゅう」がもたらしてくれる発見に興味が沸き立つことになるだろう。地球、「ちきゅう」号に関心をお持ちの方には是非ともお勧め。昔の科学少年は胸熱くすることでしょう。
2009年11月11日に日本でレビュー済み
っていうタイトルの方がよりふさわしい。
だって後半はほとんど地球の話はそっちのけで、将来のプロジェクトの話ばっかりなんで。
それはそれで面白いんだけど、現在までに地球についてわかっていることを簡潔に知りたいなら別の本を読んだ方が良いと思う。
だって後半はほとんど地球の話はそっちのけで、将来のプロジェクトの話ばっかりなんで。
それはそれで面白いんだけど、現在までに地球についてわかっていることを簡潔に知りたいなら別の本を読んだ方が良いと思う。
2016年7月19日に日本でレビュー済み
著者の1人である平氏が四半世紀前に書かれた『日本列島の誕生』を読んで非常に感銘を受け、文中に調査中と書かれていた研究の結果も記載されているのだろうと思っていたのですが、その記載はなく(なかったようで)、しかも、後半は「某某」さんが書かれているような内容で、個人的には残念でした。『日本列島の誕生』の続編を強く望む。
2006年6月4日に日本でレビュー済み
最新ニュースから書き起こした興味ひかれる導入部、研究の経緯と成果を概説する前半部、システムとしての地球を総括する中盤、そしてメインである深海掘削の重要性を説く後半まで非常に読みやすい。広く地球科学と呼ばれる複数の分野の研究成果がまとめられているが、巻頭にあるカラー図版と、本文中に織り込まれるモノクロ図版が適度な分量で理解の助けになり、難解な部分はない。巻末の用語集と、コメント付きの参考文献の充実も入門者用には親切だ。内容として特に感心したのは実験の研究課題の審査方法や、実験船の建造運営、実験船搭乗者の選出など研究推進体制を研究者が自ら組織化している点だ。今の研究者というのは大変だ。
自然科学ではその成果が一般に還元される形がわかりにくい。したがって研究資金を集めるのが大変だ。特にビッグサイエンスと呼ばれる巨額の資金が必要な分野ではそれが顕著で、はやりのバイオ分野などに比べると台所は苦しいと聞く。そこで本書のような一般向けの啓蒙本では研究内容とその意義を大衆に分かりやすく説明して理解して貰うことと、同時に研究者予備軍となる若者をリクルートする事が重要になる。
こういう目的を意識しすぎると本の作り自体がいやらしくなってしまうのだが、本書では第一線研究者のショートエッセイを交えたり、宇宙開発における米国の主導的役割を海洋掘削における日本のそれになぞらえたりして、研究活動のアグレッシブさをうまく印象づけている。巧妙、周到に作られている入門本だ。
自然科学ではその成果が一般に還元される形がわかりにくい。したがって研究資金を集めるのが大変だ。特にビッグサイエンスと呼ばれる巨額の資金が必要な分野ではそれが顕著で、はやりのバイオ分野などに比べると台所は苦しいと聞く。そこで本書のような一般向けの啓蒙本では研究内容とその意義を大衆に分かりやすく説明して理解して貰うことと、同時に研究者予備軍となる若者をリクルートする事が重要になる。
こういう目的を意識しすぎると本の作り自体がいやらしくなってしまうのだが、本書では第一線研究者のショートエッセイを交えたり、宇宙開発における米国の主導的役割を海洋掘削における日本のそれになぞらえたりして、研究活動のアグレッシブさをうまく印象づけている。巧妙、周到に作られている入門本だ。
2005年9月14日に日本でレビュー済み
本書は、地球科学の入門書を謳っていますが、実は海洋研究開発機構という
国家機関が行おうとしている『地球深部探査船「ちきゅう」』プロジェクトを紹介する本です。
その内容については、本書を読んでください。
近年の科学はビッグサイエンスという言葉があるように、莫大な税金を投入して巨大な設備を作り、
研究を進めるという方法がとられることがあります。
小柴昌俊さんのノーベル賞受賞に至ったスーパーカミオカンデもその一つと言えるでしょう。
結構な額の税金が投入されているにもかかわらず、その研究の実態は一般の人たちには
なかなか伝わらないのがこれまでの常でした。
そんな中、この「ちきゅう」プロジェクトの責任者たちが共著で本章のような一般啓蒙書を
プロジェクトの成果が上がる前に出版するというのは画期的なことだと思います。
いかなる目的を持って税金を使おうとしているのかが非常によく伝わってきます。
こういう話を聞けば、税金払ってもいいなと思わされます。
惜しむべきは、この「ちきゅう」プロジェクトにどれくらいの税金が投入されているのか、
具体的な金額をもとにした突っ込んだ報告が無いということです。
大量の税金が投入されるんだという前提のもとに、如何に重要な研究が行われるのか、
税金を使う意義があるんだという議論まで発展してくれればなお良かったと思いました。
国家機関が行おうとしている『地球深部探査船「ちきゅう」』プロジェクトを紹介する本です。
その内容については、本書を読んでください。
近年の科学はビッグサイエンスという言葉があるように、莫大な税金を投入して巨大な設備を作り、
研究を進めるという方法がとられることがあります。
小柴昌俊さんのノーベル賞受賞に至ったスーパーカミオカンデもその一つと言えるでしょう。
結構な額の税金が投入されているにもかかわらず、その研究の実態は一般の人たちには
なかなか伝わらないのがこれまでの常でした。
そんな中、この「ちきゅう」プロジェクトの責任者たちが共著で本章のような一般啓蒙書を
プロジェクトの成果が上がる前に出版するというのは画期的なことだと思います。
いかなる目的を持って税金を使おうとしているのかが非常によく伝わってきます。
こういう話を聞けば、税金払ってもいいなと思わされます。
惜しむべきは、この「ちきゅう」プロジェクトにどれくらいの税金が投入されているのか、
具体的な金額をもとにした突っ込んだ報告が無いということです。
大量の税金が投入されるんだという前提のもとに、如何に重要な研究が行われるのか、
税金を使う意義があるんだという議論まで発展してくれればなお良かったと思いました。
2006年1月7日に日本でレビュー済み
三菱重工の長崎造船所(橋が通れないので湾口の香焼工場とのこと)で建造されているのを見て以来、70mという巨大な櫓を持つ地球深部探査船「ちきゅう」が何のための船か興味を持ってきた。この本はそのような興味に答える本である。
記載されているのは、地球物理学?の進展と新しい地球観、「ちきゅう」のミッション、「ちきゅう」が解決すると期待される謎(日本海誕生のメカニズム、巨大地震発生のメカニズム、地下微生物の実体、海洋地地殻とマントルについての更なる理解)、と大まかに言えばこういったところであろうか。
ただ、この本はこういうこと以外に随所に新しい知見がちりばめられており、地球史で起こってきたことは必然でなく、実はいろいろな偶然を前提とした各種の相互作用によって生じたことが示され、地球上の現象で何一つ無関係なものはないのではないかという気すらしてくる。
「新しい地球観」(上田誠也)、「全地球凍結」(川上紳一)、「プルームテクトニクスと全地球史解読」、あるいは松井孝典氏の著作あたりに興奮した人は必読であろう。ただ、正直に言えば、「ちきゅう」のミッション決定プロセスに関する記載はやや退屈かもしれない。
記載されているのは、地球物理学?の進展と新しい地球観、「ちきゅう」のミッション、「ちきゅう」が解決すると期待される謎(日本海誕生のメカニズム、巨大地震発生のメカニズム、地下微生物の実体、海洋地地殻とマントルについての更なる理解)、と大まかに言えばこういったところであろうか。
ただ、この本はこういうこと以外に随所に新しい知見がちりばめられており、地球史で起こってきたことは必然でなく、実はいろいろな偶然を前提とした各種の相互作用によって生じたことが示され、地球上の現象で何一つ無関係なものはないのではないかという気すらしてくる。
「新しい地球観」(上田誠也)、「全地球凍結」(川上紳一)、「プルームテクトニクスと全地球史解読」、あるいは松井孝典氏の著作あたりに興奮した人は必読であろう。ただ、正直に言えば、「ちきゅう」のミッション決定プロセスに関する記載はやや退屈かもしれない。