2005年に早稲田大学で催された国際シンポジウムで、『想像の共同体』の著者であるベネディクト=アンダーソンが特別講義を行なった。本書は、その講義録と編著者による解題、それに14の質疑応答で構成されている。
ここでアンダーソンは、『想像の共同体』成立の前史と、ナショナリズム研究の基本書として余りに有名なこの本に対する自他の評価、そして自らがそれを越えてどこに向かおうとしているかといった点について、たいへん率直に語っている。こうしたアンダーソンの研究動向の紹介がそれ自体非常に興味をそそるし、彼自身が今なお『想像の共同体』を超えて旺盛に新たな目標に向けてチャレンジをしているという事実も刺激的である。
全体の1/3を占める長い解題も、講義で語られた内容の理解を助けて参考になる。
『想像の共同体』を読む前の人も、読んだことのある人も、ナショナリズムに関心がある人であれば、読んで損はしないだろう。
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ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書 301) 新書 – 2007/5/17
梅森 直之
(著)
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- ISBN-104334034012
- ISBN-13978-4334034016
- 出版社光文社
- 発売日2007/5/17
- 言語日本語
- 本の長さ227ページ
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2007/5/17)
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 227ページ
- ISBN-10 : 4334034012
- ISBN-13 : 978-4334034016
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2015年4月30日に日本でレビュー済み
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「国民とはイメージとして心に描かれた想像の政治共同体(imagined political community)である」という言葉で有名な『想像の共同体』の著者、ベネディクト・アンダーソンの早稲田大学での講演録です。本書の半分がアンダーソンの講義録で、残りは梅森教授の解説だったのです。講演本体もさることながら、特に一番最後の会場との質疑応答「アンダーソンを巡る14の対話」が興味深かったです。例えば、「アジア」という概念は、元々、古代ギリシャ人から出てきた概念で、「エーゲ海の向こう側の地域」という意味だったので、今でも自分を「アジア人」だと認識しているアジアの人はいないといった話などが。
2020年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本での講演を筆記した本である。散漫な講演だったようで、編集に苦労をしたようだった。
こういうときは上手な質疑があればいいのだが、それもなかった。
こういうときは上手な質疑があればいいのだが、それもなかった。
2013年2月13日に日本でレビュー済み
タイトルは本書第2部の章題から。
海外で流行っている議論にはすぐ飛びつくのだけど、その議論が置かれている文脈まで理解することをせずに、やがて忘れてしまう。明治以降に何度も繰り返された光景ですが、『想像の共同体』の受容についてもそのように言うことができるでしょう。たとえば評者(私)は歴史学が専門ですが、『想像の共同体』は国民国家「批判」論の古典として読まれ、同書におけるナショナリズムへの両義的な態度はあまり理解されてこなかったように思われます。ましてや『想像の共同体』以後の研究について触れられることはほとんどありませんでした。それに対して本書では、まず第1章でアンダーソン自身による『想像の共同体』が置かれている文脈についての解説が、第2章では『想像の共同体』以後にとりくんでいる研究について、非常にわかりやすい解説がなされています。アンダーソンがナショナリズム「だけ」を扱う研究者だと思っている人にぜひ読んでほしいです。
章立ては以下のとおり。
はじめに
第1部 ベネディクト・アンダーソン講義録
第1章 『想像の共同体』を振り返る
第2章 アジアの初期ナショナリズムとグローバルな基盤
第2部 アンダーソン事始(梅森直之)
1.アンダーソン、アンダーソンについて語る
2.『想像の共同体』再説
3.グローバリズムの思想史にむけて
アンダーソンをめぐる14の対話(聴衆とアンダーソンとの質疑討論)
面白いのはやはり第1部です。第1章ではアンダーソンが自らの学問形成をhybridと表現しているのが注目されるほか、アメリカにおける東南アジア研究とアメリカの戦略構想との関わりなどについて論じられています。第2章ではグローバリゼーションとナショナリズムが歩調を合わせながら成長していった「ナショナリストたちの国際ネットワーク」の歴史を掘り起こしながら(明治期日本の例が多く引用される)、グローバリゼーションという大きな舞台のなかにナショナリズムの運動を位置づけることの重要性を強調しています。我々は両者を対比的に捉えがちですが(反グローバリゼーション運動としてのナショナリズム)、本書の議論はそうした見方に反省を迫るものだと言えるでしょう。挙げられている事例も、歴史屋として結構面白かったです(明治期の政治小説にフィリピンの革命家が登場する話とか)。
第2部の梅森直之氏による解説は、基本的に本書第1部の内容をより平易に解説したもので、「アンダーソン事始」というタイトルはやや大げさかと思います。第1部を読んでわからないことは、第2部を読んでもやはりわかりませんが、とくに不満は感じませんでした。
海外で流行っている議論にはすぐ飛びつくのだけど、その議論が置かれている文脈まで理解することをせずに、やがて忘れてしまう。明治以降に何度も繰り返された光景ですが、『想像の共同体』の受容についてもそのように言うことができるでしょう。たとえば評者(私)は歴史学が専門ですが、『想像の共同体』は国民国家「批判」論の古典として読まれ、同書におけるナショナリズムへの両義的な態度はあまり理解されてこなかったように思われます。ましてや『想像の共同体』以後の研究について触れられることはほとんどありませんでした。それに対して本書では、まず第1章でアンダーソン自身による『想像の共同体』が置かれている文脈についての解説が、第2章では『想像の共同体』以後にとりくんでいる研究について、非常にわかりやすい解説がなされています。アンダーソンがナショナリズム「だけ」を扱う研究者だと思っている人にぜひ読んでほしいです。
章立ては以下のとおり。
はじめに
第1部 ベネディクト・アンダーソン講義録
第1章 『想像の共同体』を振り返る
第2章 アジアの初期ナショナリズムとグローバルな基盤
第2部 アンダーソン事始(梅森直之)
1.アンダーソン、アンダーソンについて語る
2.『想像の共同体』再説
3.グローバリズムの思想史にむけて
アンダーソンをめぐる14の対話(聴衆とアンダーソンとの質疑討論)
面白いのはやはり第1部です。第1章ではアンダーソンが自らの学問形成をhybridと表現しているのが注目されるほか、アメリカにおける東南アジア研究とアメリカの戦略構想との関わりなどについて論じられています。第2章ではグローバリゼーションとナショナリズムが歩調を合わせながら成長していった「ナショナリストたちの国際ネットワーク」の歴史を掘り起こしながら(明治期日本の例が多く引用される)、グローバリゼーションという大きな舞台のなかにナショナリズムの運動を位置づけることの重要性を強調しています。我々は両者を対比的に捉えがちですが(反グローバリゼーション運動としてのナショナリズム)、本書の議論はそうした見方に反省を迫るものだと言えるでしょう。挙げられている事例も、歴史屋として結構面白かったです(明治期の政治小説にフィリピンの革命家が登場する話とか)。
第2部の梅森直之氏による解説は、基本的に本書第1部の内容をより平易に解説したもので、「アンダーソン事始」というタイトルはやや大げさかと思います。第1部を読んでわからないことは、第2部を読んでもやはりわかりませんが、とくに不満は感じませんでした。
2007年10月9日に日本でレビュー済み
「想像の共同体」読後から数年経ち、中身の記憶があやふやになっていた自分にとって、ちょうどよい復習本でした。「想像の共同体、あとがき別冊版」と位置づけできるでしょうか。ベネディクト自身の生い立ちから東南アジア研究の取り組みにいたった経緯、内容の自己批判から最近のナショナリズム研究報告までを自身の言葉で語っており、学者としての真摯な取り組みとネーションを歴史的主体とせずに世界を捉えようとする観点には共感を得ずにいられません。
後半は、梅村氏自身の言葉で「想像の共同体」をわかりやすく解説しています。個人的には、そのシンプルな要約に少々肩透かしをくらいましたが、詳しくは「想像の共同体」を直にあたれ、読み返せということでしょう。しかし、できるだけわかりやすい言葉を選んで、日常生活の何気ない疑問を出発点として論を広げていく解説には、好感がもてました。こちらを先読みするのもありだと思います。
題には「グローバリゼーションを語る」とありますが、ベネディクト自身は、その歴史を19世紀後半にまでさかのぼり、電信や海上交通路などの発達による人的ネットワークの拡大から、その当時に世界各地で起きた革命や「テロリズム」の発生の連鎖を「初期グローバリズム」の特徴として説明しています。
ナショナリズム発生の起源の解説だけでなく、質疑応答での「アメリカが余りに新しいものに執着するので、私はその反対をいこうとしました。」というベネディクトの率直な人柄も実感できるお勧めできる一冊です。
後半は、梅村氏自身の言葉で「想像の共同体」をわかりやすく解説しています。個人的には、そのシンプルな要約に少々肩透かしをくらいましたが、詳しくは「想像の共同体」を直にあたれ、読み返せということでしょう。しかし、できるだけわかりやすい言葉を選んで、日常生活の何気ない疑問を出発点として論を広げていく解説には、好感がもてました。こちらを先読みするのもありだと思います。
題には「グローバリゼーションを語る」とありますが、ベネディクト自身は、その歴史を19世紀後半にまでさかのぼり、電信や海上交通路などの発達による人的ネットワークの拡大から、その当時に世界各地で起きた革命や「テロリズム」の発生の連鎖を「初期グローバリズム」の特徴として説明しています。
ナショナリズム発生の起源の解説だけでなく、質疑応答での「アメリカが余りに新しいものに執着するので、私はその反対をいこうとしました。」というベネディクトの率直な人柄も実感できるお勧めできる一冊です。
2007年8月20日に日本でレビュー済み
なんとなく書名に惹かれて読んだ。全く事前知識も基礎知識も無い。なのに読み終わっていろいろなことについての見方・考え方が変わっていることに気づく。これまで生きてきた「日本人」という人生が実は何であったのかを考えさせられるとともに、自分を規定していた枠をいとも簡単に取り外してもらい、自由に、そして大きな可能性を感じることができるようになった気がする。
本書の内容そのものがすべての人に私と同じように受け止められることは無いかもしれないが、ここで語られるグローバリゼーションが、我々の身近で語られる「経済的」なものとは異なり、もっと「人間の可能性」に関連するものであることは感じられるのではないだろうか。
本書の内容そのものがすべての人に私と同じように受け止められることは無いかもしれないが、ここで語られるグローバリゼーションが、我々の身近で語られる「経済的」なものとは異なり、もっと「人間の可能性」に関連するものであることは感じられるのではないだろうか。
2012年11月27日に日本でレビュー済み
「日本人は勤勉だ」というように日本人と括られる人々が元々なんらかの性質を持っているという考え方を「本質主義」、それに対し多くの人々が日本人は「勤勉である」と思い描くことによって日本人像が形成されるという考え方を「構造主義」というそうだ。ベネディクト・アンダーソンという人物はは後者のアプローチのもと、国家や国民という括りは人々の想像によって形作られる「想像の共同体」を提唱したことで知られている。
例えば自分以外の他人を思い浮かべる時に、あの人は自分と同じだと考えるか、あの人は自分と違うと考えるか。これは当然、人によって違うだろうし、社長が自分と同じ中学の出身なのだとか、同年代なのにスポーツで凄い活躍をしている人が自分とは違う世界にいる、といった具合に他人との壁の作り方も千差万別である。アンダーソンが提唱した想像の共同体というのは、会ったこともない他人に対して、「同じ人」か「異なる人」かを判断することによって形成されるものであり、その境界を国家や国民という括りで敷いたものがナショナリズムである。
と、このように解釈したものの、やはりアンダーソンの著作である「想像の共同体」や「比較の亡霊」を理解しないことにはナショナリズムについてもグローバリズムについても、余計に意味不明なものに見えてきてしまうような気もする。日本人とアメリカ人は結局「違う」のか?その感覚はすべての「日本人」に当てはまるのか?といった疑問は宙ぶらりんのままになった。
ただこの本自体はとにかく分かりやすく書かれていると思う。著作が難解なことで知られるアンダーソンによる一般向けの講演の収録に加えて、政治学のプロである筆者梅森氏の解説も付いている。おまけに講演の聴衆からの質疑応答も記載されており、複数の方向からナショナリズム、ひいてはグローバリゼーションを読み解くことができる。まとまりに欠ける分、何かひとつは納得のいくトピックに出会えるような「読みやすさ」がとても心地よかった。
例えば自分以外の他人を思い浮かべる時に、あの人は自分と同じだと考えるか、あの人は自分と違うと考えるか。これは当然、人によって違うだろうし、社長が自分と同じ中学の出身なのだとか、同年代なのにスポーツで凄い活躍をしている人が自分とは違う世界にいる、といった具合に他人との壁の作り方も千差万別である。アンダーソンが提唱した想像の共同体というのは、会ったこともない他人に対して、「同じ人」か「異なる人」かを判断することによって形成されるものであり、その境界を国家や国民という括りで敷いたものがナショナリズムである。
と、このように解釈したものの、やはりアンダーソンの著作である「想像の共同体」や「比較の亡霊」を理解しないことにはナショナリズムについてもグローバリズムについても、余計に意味不明なものに見えてきてしまうような気もする。日本人とアメリカ人は結局「違う」のか?その感覚はすべての「日本人」に当てはまるのか?といった疑問は宙ぶらりんのままになった。
ただこの本自体はとにかく分かりやすく書かれていると思う。著作が難解なことで知られるアンダーソンによる一般向けの講演の収録に加えて、政治学のプロである筆者梅森氏の解説も付いている。おまけに講演の聴衆からの質疑応答も記載されており、複数の方向からナショナリズム、ひいてはグローバリゼーションを読み解くことができる。まとまりに欠ける分、何かひとつは納得のいくトピックに出会えるような「読みやすさ」がとても心地よかった。
2007年8月8日に日本でレビュー済み
前半はアンダーソンの講義録、後半は梅森氏によるアンダーソンの思想の解説。
もうすぐしたら古典になるだろう「想像の共同体」だが、その思想の核の部分を上手に説明している。
他のレビュワーさんも書いているが、こうした難しい思想をわかりやすく書くのこそ新書の役割だろう。
ただ多少気になったところも。
まず、梅森氏の解説のところで、グローバリズムが直面するだろう問題と、そうした問題を乗り越えるという場面で、
ナショナリズム及びその意義を批判する際、「しんどい」「情けない」「みっともない」といった、読者の常識に依存するような、ある種の感情論の形でそのまま進めてしまっているのが残念である。
国家がフィクションだからといって直ちに不要になるわけではなく、やはりここはもう少しきちんと論証して欲しかった。
あと、アンダーソンへの質問で、東アジアにおけるナショナリズムについて、というのがあって、これは私も彼がどう答えるか気になって読みすすめたが、
彼は「日本も中国もアメリカも、そのナショナリズムはみんなよくない」といった、ありきたりな、いわゆる「優等生的な回答」であったのにはがっかりした。
いくら理念上よくないことがわかっていたとしても、現実問題としては実際にどのような方法でもって解決するのか、というものが示されないことにはどうしようもない。
特に、ただ「みんなナショナリズムを止めましょう」といっても、例えばその発言が日本語でなされるかぎり、結果としては日本のナショナリズムのみが批判されるだけであり、中国のナショナリズムなどが相対的に強まるようになる可能性が高いので、こうした凡庸な「優等生的な回答」では現実には問題を解決できないだろう。
これを見ると、現実の力の均衡によって維持される関係にある政治というものがあまり考慮されておらず、どうもアンダーソンは理論が先行しており、現実においてはどこまで力を持ちうるかは疑問である。
実際にアンダーソンの論を実際の政治の場に持ち込めるのはあと50年ほどはかかる気がする。
とはいっても、この本の内容自体はとてもすばらしい。
ともかくもアンダーソンの思想を知るにはベストの本だろう。
もうすぐしたら古典になるだろう「想像の共同体」だが、その思想の核の部分を上手に説明している。
他のレビュワーさんも書いているが、こうした難しい思想をわかりやすく書くのこそ新書の役割だろう。
ただ多少気になったところも。
まず、梅森氏の解説のところで、グローバリズムが直面するだろう問題と、そうした問題を乗り越えるという場面で、
ナショナリズム及びその意義を批判する際、「しんどい」「情けない」「みっともない」といった、読者の常識に依存するような、ある種の感情論の形でそのまま進めてしまっているのが残念である。
国家がフィクションだからといって直ちに不要になるわけではなく、やはりここはもう少しきちんと論証して欲しかった。
あと、アンダーソンへの質問で、東アジアにおけるナショナリズムについて、というのがあって、これは私も彼がどう答えるか気になって読みすすめたが、
彼は「日本も中国もアメリカも、そのナショナリズムはみんなよくない」といった、ありきたりな、いわゆる「優等生的な回答」であったのにはがっかりした。
いくら理念上よくないことがわかっていたとしても、現実問題としては実際にどのような方法でもって解決するのか、というものが示されないことにはどうしようもない。
特に、ただ「みんなナショナリズムを止めましょう」といっても、例えばその発言が日本語でなされるかぎり、結果としては日本のナショナリズムのみが批判されるだけであり、中国のナショナリズムなどが相対的に強まるようになる可能性が高いので、こうした凡庸な「優等生的な回答」では現実には問題を解決できないだろう。
これを見ると、現実の力の均衡によって維持される関係にある政治というものがあまり考慮されておらず、どうもアンダーソンは理論が先行しており、現実においてはどこまで力を持ちうるかは疑問である。
実際にアンダーソンの論を実際の政治の場に持ち込めるのはあと50年ほどはかかる気がする。
とはいっても、この本の内容自体はとてもすばらしい。
ともかくもアンダーソンの思想を知るにはベストの本だろう。