ゲルニカ作品ができるまでの、ピカソの素描による模索や下描きの変化が日付とともにまとめられていて、とても時間経過がわかりやすいです。
ゲルニカの街に起こった歴史にも触れていたり、パリ万博でのゲルニカ作品の評価や、パリ万博後からゲルニカ作品が名画と言われる地位を確立していく様子が触れられていて、深く知ることができました。
私的には、事実を押さえた内容で、作者の思想に寄りすぎていない感じがよかったです。
ゲルニカを語りたい人にはオススメです。
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ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書) 新書 – 2008/1/17
宮下 誠
(著)
- 本の長さ225ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2008/1/17
- ISBN-104334034365
- ISBN-13978-4334034368
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商品の説明
著者について
宮下誠(みやしたまこと)
一九六一年東京都生まれ。現在、鎌倉在住。國學院大学文学部教授。スイス国立バーゼル大学哲学博士。早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。専攻は20世紀西洋美術史、美術史学史、画像解釈学、一般芸術学。著書に『20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す』『20世紀音楽 クラシックの運命』(以上、光文社新書)、『逸脱する絵画』『迷走する音楽』(以上、法律文化社)、『パウル・クレーとシュルレアリスム』(水声社)、訳書に『パウル・クレー』『マックス・エルンスト』(以上、PARCO出版)などがある。
一九六一年東京都生まれ。現在、鎌倉在住。國學院大学文学部教授。スイス国立バーゼル大学哲学博士。早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。専攻は20世紀西洋美術史、美術史学史、画像解釈学、一般芸術学。著書に『20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す』『20世紀音楽 クラシックの運命』(以上、光文社新書)、『逸脱する絵画』『迷走する音楽』(以上、法律文化社)、『パウル・クレーとシュルレアリスム』(水声社)、訳書に『パウル・クレー』『マックス・エルンスト』(以上、PARCO出版)などがある。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2008/1/17)
- 発売日 : 2008/1/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 225ページ
- ISBN-10 : 4334034365
- ISBN-13 : 978-4334034368
- Amazon 売れ筋ランキング: - 593,532位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とにかくゲルニカを習作から追っていく項が面白すぎる
天才の創造力が凄い勢いで進化していく様子が分かる
そこだけでも必読!!
天才の創造力が凄い勢いで進化していく様子が分かる
そこだけでも必読!!
2008年1月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ピカソの大作『ゲルニカ』についての詳細なモノグラフィー。はじめの方は、歴史学や美術史の基本的な方法を使いながらゲルニカの悲劇や『ゲルニカ』の成立が要領よく書かれ、また完成後『ゲルニカ』を見舞う、希有な運命がまるで小説のようにドラマチックに描かれている。しかし、この本の本領は後半。様式史やイコノロジーの方法を使って、ドライかつクールに『ゲルニカ』を捌くのだけれど(ちょっとクール過ぎて、美術史にあまり馴染んでいない人には退屈に思われるかもしれないが)、良く読むとこれまでの『ゲルニカ』像を揺るがせるような鋭利な分析が随所に隠れている。オリジナリティーの問題を扱ったところは著者の熱い思いと深い蘊蓄が伝わってくる。更にスペイン美術史、20世紀美術史、歴史画、戦争画として『ゲルニカ』を見てゆく件では、そのどれにも完全には当てはまらない、『ゲルニカ』の特異性が「ざわめいている」という一言に集約されるようにして論じられ思わず手に汗を握ってしまった。副題の示すとおり、筆者の視線は20世紀精神史、文明史にまで透徹し、また絵画を読む事の困難さと、その過程での「世界を読む」事、「私」を知る事の絶望と歓喜にまで言及し、新しい美術史のあり方へさえ読むものをいざなう。ピカソ・ファンは言うまでもなく、美術ファン、いやむしろ、これまで美術史に興味を持てなかった人にこそ読んでもらいたい。万人に勧められる、これはもう読まなければ損をしますよ。
2009年9月26日に日本でレビュー済み
本書を読むまで、習作がいろいろあることをはじめて知りました。
たしかに、よく考えてみれば、そういうこともありえることは想像できます。
実際に、現物をみてみたいと思いました。
たしかに、よく考えてみれば、そういうこともありえることは想像できます。
実際に、現物をみてみたいと思いました。
2014年10月17日に日本でレビュー済み
「ここまで“ゲルニカ”に焦点をあてた本を今まで読んだことがない!」
著者:宮下誠(早稲田大学卒、國學院大學文学部教授、西洋美術史専攻)
発行:2008.1.20 初版第1刷
読了:2014/10(141/09)★4.3
ピカソに関する本は何冊か読んできたけれど、これが予想以上に良書。
特に、ゲルニカに対する考察は今までになく、掲載されている習作(下書き)は50を越え、描かれているモチーフ一つ一つへの検証が半端ない。
今まで、出来上がった作品に対する背景や評価を読んでばかりで、こうやって習作を追っていると、ピカソがどんな思いでゲルニカを完成させるに至ったのかが、ピカソとともに作品を作るように見えてくる。
(何となくピカソのようなデフォルマシオンされた印象画や抽象画っていうのは、下書きもなしに一気呵成に書きあげるものだと思っていた)
今年、町田市立国際版画美術館にて「パブロ・ピカソ ―版画の線とフォルム―」を鑑賞したときには闘牛や馬のモチーフが多いことには驚いたが、本書を読んでその疑問がつとに腑に落ちたような気がする。
(ちなみに、本書にも掲載されている『フランコの夢と嘘Ⅰ』や『フランコの夢と嘘Ⅱ』のエッチング版画の現物を自分は見ました!)
その他、戦争画に対する他アーティストの作品や考え方、またそれらに感化されたピカソの様々な「時代」を追えるのもとても興味深い。
ピカソの本と言うと、様々な「時代」を追いながら、女性関係や世界情勢を織り交ぜつつ、単調に述べるものが多かったが、本書の完膚なきまでのゲルニカに対する紙幅の費やし方は是非一読してほしい。
本書の影響で“死ぬまでに見たい絵”にゲルニカが追加されました。
───このような「戦争画」のあり方は一考に値するだろう。「戦争画」の効用とはそもそも何なのか。見る者にその愚かしさを表明するために被害者が「利用」される。これは『ゲルニカ』のその後の運命にも関わることだ。『ゲルニカ』はほとんど常に反戦、厭戦の象徴として「利用」され祭り上げられてきた。しかし、それによって戦争が減っただろうか、暴力が抑えられただろうか。(p.137)
───だから私たちは『ゲルニカ』に異質なものを感じながら惹かれてゆくのだ。『ゲルニカ』は頑なにコード化を拒み続けてきたと言ってもよい。『ゲルニカ』は絵画である前に一つの「ものそのもの」として厳然としてあり続けてきたのだ。ここにこそ『ゲルニカ』のアクチュアリティはある。このような事態を前にして『ゲルニカ』の様式、イコノロジー、オリジナリティを問うのは不毛である。(p.212)
著者:宮下誠(早稲田大学卒、國學院大學文学部教授、西洋美術史専攻)
発行:2008.1.20 初版第1刷
読了:2014/10(141/09)★4.3
ピカソに関する本は何冊か読んできたけれど、これが予想以上に良書。
特に、ゲルニカに対する考察は今までになく、掲載されている習作(下書き)は50を越え、描かれているモチーフ一つ一つへの検証が半端ない。
今まで、出来上がった作品に対する背景や評価を読んでばかりで、こうやって習作を追っていると、ピカソがどんな思いでゲルニカを完成させるに至ったのかが、ピカソとともに作品を作るように見えてくる。
(何となくピカソのようなデフォルマシオンされた印象画や抽象画っていうのは、下書きもなしに一気呵成に書きあげるものだと思っていた)
今年、町田市立国際版画美術館にて「パブロ・ピカソ ―版画の線とフォルム―」を鑑賞したときには闘牛や馬のモチーフが多いことには驚いたが、本書を読んでその疑問がつとに腑に落ちたような気がする。
(ちなみに、本書にも掲載されている『フランコの夢と嘘Ⅰ』や『フランコの夢と嘘Ⅱ』のエッチング版画の現物を自分は見ました!)
その他、戦争画に対する他アーティストの作品や考え方、またそれらに感化されたピカソの様々な「時代」を追えるのもとても興味深い。
ピカソの本と言うと、様々な「時代」を追いながら、女性関係や世界情勢を織り交ぜつつ、単調に述べるものが多かったが、本書の完膚なきまでのゲルニカに対する紙幅の費やし方は是非一読してほしい。
本書の影響で“死ぬまでに見たい絵”にゲルニカが追加されました。
───このような「戦争画」のあり方は一考に値するだろう。「戦争画」の効用とはそもそも何なのか。見る者にその愚かしさを表明するために被害者が「利用」される。これは『ゲルニカ』のその後の運命にも関わることだ。『ゲルニカ』はほとんど常に反戦、厭戦の象徴として「利用」され祭り上げられてきた。しかし、それによって戦争が減っただろうか、暴力が抑えられただろうか。(p.137)
───だから私たちは『ゲルニカ』に異質なものを感じながら惹かれてゆくのだ。『ゲルニカ』は頑なにコード化を拒み続けてきたと言ってもよい。『ゲルニカ』は絵画である前に一つの「ものそのもの」として厳然としてあり続けてきたのだ。ここにこそ『ゲルニカ』のアクチュアリティはある。このような事態を前にして『ゲルニカ』の様式、イコノロジー、オリジナリティを問うのは不毛である。(p.212)
2008年1月24日に日本でレビュー済み
20世紀美術巨匠中の巨匠ピカソの、名作中の名作ゲルニカについて、
描かれた時代の歴史やピカソの代表作、西欧美術の名作群との比較等を通して、
美術初心者でもわかりやすく書かれています。
「芸術の本質」について考えさせられ、読み終えた後には、自分自身の、
今後の芸術との向き合い方や芸術についての考え方がより鮮明になりました。
したがって、ピカソについて、ゲルニカについて
知りたい方、興味のある方、より理解したい方だけではなく、
芸術とは何であるのか、芸術とどのように向き合えば良いのか、芸術についてどのように考えれば良いのか、
知りたい方、興味のある方、より理解したい方も必読の普遍的な一冊だと思います。
描かれた時代の歴史やピカソの代表作、西欧美術の名作群との比較等を通して、
美術初心者でもわかりやすく書かれています。
「芸術の本質」について考えさせられ、読み終えた後には、自分自身の、
今後の芸術との向き合い方や芸術についての考え方がより鮮明になりました。
したがって、ピカソについて、ゲルニカについて
知りたい方、興味のある方、より理解したい方だけではなく、
芸術とは何であるのか、芸術とどのように向き合えば良いのか、芸術についてどのように考えれば良いのか、
知りたい方、興味のある方、より理解したい方も必読の普遍的な一冊だと思います。
2008年2月6日に日本でレビュー済み
『ゲルニカ』の解説書と思わなくていいかもしれません。思い切って言ってしまうなら『ゲルニカ』を巡る物語。
他の方々が書いているように美術史の中での位置付けや他の名作との比較といった美術解説書的な内容もあるのですが、
前半の『ゲルニカ』が完成するまでを習作と一緒に追いかけていく部分はゲルニカと向き合うピカソの物語のようでした。
想像力を妨げない程度の説明と習作の図版のおかげで、『ゲルニカ』を完成させていくピカソの姿と頭の中を
うしろから見ているような感覚を味わえます。
普段は美術関係の本なんか読まないのですが、美術を意識しないでも読めてしまいました。
そんなわけで、美術に興味はあるけど「むずかしいかも」なんて躊躇している人には最適の入門書かも。
他の方々が書いているように美術史の中での位置付けや他の名作との比較といった美術解説書的な内容もあるのですが、
前半の『ゲルニカ』が完成するまでを習作と一緒に追いかけていく部分はゲルニカと向き合うピカソの物語のようでした。
想像力を妨げない程度の説明と習作の図版のおかげで、『ゲルニカ』を完成させていくピカソの姿と頭の中を
うしろから見ているような感覚を味わえます。
普段は美術関係の本なんか読まないのですが、美術を意識しないでも読めてしまいました。
そんなわけで、美術に興味はあるけど「むずかしいかも」なんて躊躇している人には最適の入門書かも。
2008年1月29日に日本でレビュー済み
例えば、あなたが思春期と呼ばれる時期を過ぎて、西洋美術に関心を抱く。図版がふんだんに載っていて、分厚くない西洋美術史の本をあなたは手にする。それは一般的な事。エジプト、メソポタミア…もしあなたが、歴史が苦手だったら、これはなかなかの悲劇だ。あなたが子どもだったらどんなに良かっただろう。子どもは興味ある事なら何でも覚える。棒を飲むように覚える。しかしあなたは子どもではない。大人としての志向性を持っている。大人にとって通史は、取っ掛かりがなくて、つるつるした物の様に手から滑り落ちる。あなたは、もどかしい思いのまま本を閉じる。今度は、分厚い通史を手にすれば良いのだろうか?あるいは各論?
あなたは西洋美術をめぐる広大な言説空間の中で、久しぶりの迷子を経験する。
こんな経験をしたことがある人は、『ゲルニカ』を読んでみよう。この本は、イコノロジーや、歴史画など、様々な美術をめぐる言葉を、「ゲルニカ」を題材に、これ以上ないほど丁寧に解りやすく教えてくれる。さらに、それら言葉の根底にある様々な世界観まで透けて見える記述は、ほとんど奇跡と言って良い。そして、美術を「知る」と言う事は、我々にとって、あなたにとって、どの様な経験なのか?と、この本は問いかけてくる。
美術を深く知りたいけど、なかなか取っ掛かりが掴めない人、あるいは深く知る事で何が得られるのか疑問に思っている人に、強くこの本を薦めたい。
勿論、この本だけで、美術をめぐる様々な言葉や、眼差しを全て知る事は不可能だ。この本は、西洋美術と言うワンダーランドへの旅券なのだ。世界が、あなたを、待っている。
あなたは西洋美術をめぐる広大な言説空間の中で、久しぶりの迷子を経験する。
こんな経験をしたことがある人は、『ゲルニカ』を読んでみよう。この本は、イコノロジーや、歴史画など、様々な美術をめぐる言葉を、「ゲルニカ」を題材に、これ以上ないほど丁寧に解りやすく教えてくれる。さらに、それら言葉の根底にある様々な世界観まで透けて見える記述は、ほとんど奇跡と言って良い。そして、美術を「知る」と言う事は、我々にとって、あなたにとって、どの様な経験なのか?と、この本は問いかけてくる。
美術を深く知りたいけど、なかなか取っ掛かりが掴めない人、あるいは深く知る事で何が得られるのか疑問に思っている人に、強くこの本を薦めたい。
勿論、この本だけで、美術をめぐる様々な言葉や、眼差しを全て知る事は不可能だ。この本は、西洋美術と言うワンダーランドへの旅券なのだ。世界が、あなたを、待っている。