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ゼロ円ビジネスの罠 (光文社新書) 新書 – 2010/9/17
- 本の長さ203ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2010/9/17
- ISBN-104334035833
- ISBN-13978-4334035839
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商品の説明
出版社からのコメント
◎あらかじめ断っておくが、筆者自身は無料から利益を生み出す「ゼロ円ビジネス」の礼賛者ではない。
「ゼロ円ビジネス」は、あらゆる商品・サービスの分野に広がっていく流れにはならず、一過性の現象、局所的な現象にとどまる可能性が高いと見ている。
なぜなら、基本的に「ゼロ円ビジネス」が成功するのは、それが人々の意表をつくからであって、たくさんの追随者が出てくるようになれば、無料を謳ったとしても消費者の心をとらえることはできなくなるからだ。
「ゼロ円ビジネス」の台頭の後に訪れるのは、無料化の連鎖の波ではなく、それとは逆の有料化ビジネスの嵐になるかもしれない。 (本文を再構成)
◎インターネットの世界では、今のところ「ゼロ円ビジネス」が成果を上げているようにも見えるが、今後、インターネットでどういったサイトが最終的に勝利をおさめるかはまだ不確定であり、「ゼロ円ビジネス」でせっかく囲い込んだ顧客をまったく新しいサイトがすべて奪ってしまう恐れもある。
今成功しているように見える「ゼロ円ビジネス」であっても、もっと有利な条件(たとえば、無料で1つの商品を提供している企業に対抗して無料で2つの商品を提供するなど)を提示する企業が現れた瞬間に、顧客はそちらの企業へと殺到していくようになるだろう。 (本文より)
【著者紹介】
門倉貴史(かどくらたかし)
一九七一年神奈川県生まれ。エコノミスト。慶應義塾大学経済学部卒業後、銀行系シンクタンクの研究員となり、日本経済研究センター、東南アジア経済研究所(シンガポール)への出向。二〇〇二年に生保系シンクタンクに移籍し、経済調査部主任エコノミストとしてアジアやBRICs諸国についての論文を数多く発表。〇六年にBRICs経済研究所代表に就任。同志社大学大学院非常勤講師。〇九年五月、台湾の国際フォーラムでノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマンと講演。『統計数字を疑う』『ホワイトカラーは給料ドロボーか?』『官製不況』(以上、光文社新書)、『人妻の経済学』(プレジデント社)、『中国経済の正体』(講談社現代新書)など著書多数。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/9/17)
- 発売日 : 2010/9/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 203ページ
- ISBN-10 : 4334035833
- ISBN-13 : 978-4334035839
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,607,551位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について

1971年神奈川県生まれ。エコノミスト。慶應義塾大学経済学部卒業後、銀行系シンクタンクの研究員となり、日本経済研究センター、東南アジア経済研究所 (シンガポール)へ出向。2002年に生保系シンクタンクに移籍し、経済調査部主任エコノミストとしてアジアやBRICs諸国についての論文を数多く発 表。’06年にBRICs経済研究所代表に就任。同志社大学大学院非常勤講師(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『ゼロ円ビジネスの罠』(ISBN-10:4334035833)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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ゼロ円ビジネスのビジネスモデルとしては(1)広告依存型 (2)フリーミアム が紹介されている。これらは、クリス・アンダーソンの『フリー』を読まれた方なら既によくご存じの内容。日本での展開例も紹介されており、分かりやすい。
ゼロ円に惹かれる心理学については、「返報性の原理」「保有効果」など行動経済学ではおなじみの概念でうまく説明されている。
ゼロ円ビジネスの今後についても、「収穫逓増」の「知識・技術集約型産業」では今後も拡大し、「収穫逓減」の「資源集約型産業」では限界がある、という分析は妥当だ。
ただし、「ゼロ円ビジネスは価格競争の最果てであって、そこからは価格競争ではなく価値競争の局面に展開していく」というまとめはつまらない。『フリー』にもあるとおり、「ゼロ円」と「1円」とは質的に全く異なるものであり、その意味で価格競争の延長にあるものではない(本書でも心理学の項で触れているとおり)。少なくとも、収穫逓増のインターネットの世界ではビジネスモデルさえきちんとしていれば、フリーの流れは変わることはないものと思える。もちろん商品・サービスの価値向上は大切であるが、それは本書の分析とは無関係だろう。
とはいえ、重要な情報が非常に分かりやすくまとまっており、また、具体例が多く読んでいて面白い。気楽に読める新書としては非常に出来がよい本。
なお、タイトルの「ゼロ円ビジネスは罠だから気をつけろ」という部分は本旨でない気がするので少々違和感あり。
前半の部分は、知らなかったビジネスもあり、大変参考になった。
「タダコピ」というただでコピーできるビジネスは知っていたが、最近では「エコフル」というタダでルーズリーフを配るビジネスがあるらしい。
ルーズリーフの両面下の部分に企業の広告が入っているとのこと。
また、結構驚いたのはチェコには無料の売春宿というのがあるらしい。
「ビッグ・シスター」というのがこのビジネス。
無料となっている理由は売春宿の個室に、たくさんのカメラ(50台以上)が設置されていて、客と売春婦の情事のすべてがあらゆる角度から撮影されており、撮影された動画はリアルタイムでインターネット配信される仕組み。
動画を見るのは有料であるが、そこそこの会員を獲得しているとのこと。
発想が斬新だなと感心した。
ゼロ円ビジネスのビジネスモデルに興味がある方におすすめ。
我々はその背景にかなり無自覚だということに気がつかされる。
ウェブ、フリーペーパーを代表とする「ゼロ円ビジネス」の無料のからくりを、
明快に解説してくれています。
マーケティング的であり、宣伝広告であり、一部騙しビジネス的な匂いもあることが分かります。
読み終わると、「ゼロ円」が決して心地いいものではないことに気づきます。
十把一絡げの顔のない消費者として記号化された存在におとしめられている感覚を持ちます。
消費者との関係性を強化しているかのようで、
「セロ円ビジネス」とは、
実は真逆のベクトルが働くビジネスモデルです。
とは言え世界中に無料ビジネスが存在しており、
人々は無料が好きだということもまた真実だと分かる。
門倉先生らしい1冊です。
第1章でとりあげている「広告依存型」はずっと以前からあるビジネスモデルであり、「わざわざ、とりあげるようなテーマ?」という感じもする。
第2章でとりあげているテーマも、結局、「客寄せにゼロ円を利用する」ということであり、これもあまり目新しいものではない。
第3章は「なぜ人は無料に飛びついてしまうのか」をとりあげており、ゼロ円ビジネスについつい引き込まれてしまう消費者の心理について記述している。このあたりはなかなか興味深い。
第4章は、タダと思わせて消費者をだます詐欺手口を紹介している。
そして第5章は、「ゼロ円ビジネスは経済的にどういった影響を与えるか?」を記述している。
本書は、第1章のようなまっとうなビジネスも第4章のような詐欺も「ゼロ円ビジネス」を共通項として1冊の本を作っているが、これほど違うものを同じ「ゼロ円ビジネス」で論じていいのかという感じがする。
しかし、その一方、本書はわかりやすく興味をもって様々なビジネスの実態を記述した本でもある。「ぜひ読むべき本」という感じはしませんが、それなりに楽しんで読める本でもあり、読んでもいいかもしれません。
ゼロ円ビジネスが内包する問題点や今後の課題について論じている。
広告依存型は、「タダコピ」や「ホットペッパー」など広告収入が収益の柱になっているものだが、
これらは景気変動の影響を受けやすく、リーマンショック後は収益環境が悪化している。
フリーミアムとは、基本サービスを無料で提供してオプションは有料にするもので、
「グリー」や「モバゲータウン」といった無料ゲームサイトがその代表。
海外には料金ゼロの売春宿まであるのには驚いた。
この世界で最も成功しているゼロ円ビジネスは民放のテレビ局だと私は思うのだが、
(しかも規制によって守られている)本書では何故か無視されている。
本書で著者が提起しようとする議論の核心は後半。ゼロ円ビジネスの問題点を二つ指摘している。1つはサービスの一部は無料に見えてもほかのサービスが割高に設定され、トータルだと有料ビジネスと変わらない料金システム、無料と思っていたのがいつの間にか有料へスライドしてしまう点など、フリー販売の問題が論じられている。催眠商法やパチンコ必勝法商法など違法なものを「ゼロ円ビジネス」の問題点として一括りにするのはどうかと思うが。もう一つは経済学的な問題点、ゼロ円で市場を独占した後のサービス劣化の可能性、コスト意識欠落による資源濫費など(無料コピーで紙が無駄になる)。最初の問題点はこれまでも指摘されていたが、フリーによる市場の歪みはあまり紹介されていなかったように思う。最後に、あるべきゼロ円ビジネスについて、寄付やウィキペディアのような見返りを求めないのが理想といい、知的財産を無償開放することで企業が協力し合い新たな技術が生まれる「オープンイノベーション」の可能性を指摘している。特許を取らなかったことでデファクトとなった、2010年ノーベル化学賞はまさにその典型的な事例だった。
毎月のように旬のネタを新書化してしまうが、著者の本の平均点は高い。インドやイスラムのように、単なるデータをまとめて楽観的な予想でくるんだだけの本もあるが、国内の経済問題については著者のまとめは分かりやすく、独自の視点も価値がある。池上彰や著者のような「ニュースのまとめ」需要が多いんだなあ、とつくづく思う。
身近なゼロ円ビジネスとしてGoogle、ホットペッパー、マクドナルドの期間限定コーヒーなどは何度も利用しているが、ゼロ円ビジネスとしてGoogleやホットペッパのような広告収入依存型と、マクドナルドのように一部を無料とすることで他の有料商品の販売につなげるフリーミアムという概念がある。どうやって利益をあげているかは考えていた通りだったが、改めて整理してみると同じ広告依存型やフリーミアムでも色々なパターンがあることが分かり、参考になった。
現代のように消費が飽和状態にある場合、ゼロ円をアピールして生き残り戦略を行う企業も多くなってきているが、結局は価格競争に疲弊して共倒れになるかもしれない。最後に著者が述べている「価格競争」から「価値競争」への転換というのは納得できる考え方だと思った。