ネットワーク分析の真似事をせざるを得なくなったので、巨人の肩に乗ろうと、関連書籍を渉猟したところ、まずはこれからと思って手に取った。自分が文系だから社会学研究者の本から入るのがいいかと思ったのと、新しい分野への取っ掛かりをつかむには一番薄くて一番カジュアルな本から入るのがいいという経験則があったからなのだけれど、上手くいったと思う。
本分は、ネットワークサイエンスの来歴・著名な学説・応用分野の説明のバランスが良い。
不意の連想・脱線、極めて叙情的なパラグラフ、著者の人間観・社会の吐露など、一直線に学びたい人は苛つくかもしれないが、私は楽しく読めた。安田先生の想いのようなものが、溢れ出て、発散していくような文章が、未来のネットワーク研究者を引き寄せていくのかもなぁと思った。
2011年の本だが、初学者にとっては十分新しい本だと思われる(たぶん)。
唯一、時代の隔たりを感じたのは SNS の趨勢についての記述だった。当時、地球がFacebook/InstagramやTwitterにすっぽりと、しかもこんなにあっという間に覆われてしまうと、誰が分かっただろう。ネットワーク分析の危険性を強調する記述の重要性はいや増しているように思われた。
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「つながり」を突き止めろ 入門!ネットワーク・サイエンス (光文社新書) 新書 – 2010/10/15
安田 雪
(著)
「つながり」を制す者、組織を制す
ビジネス、感染症、犯罪捜査......多様な分野で
応用される最新研究の「怖さ」と「魅力」。
ビジネス、感染症、犯罪捜査......多様な分野で
応用される最新研究の「怖さ」と「魅力」。
- ISBN-104334035884
- ISBN-13978-4334035884
- 出版社光文社
- 発売日2010/10/15
- 言語日本語
- 本の長さ254ページ
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商品の説明
著者からのコメント
私がここで語るネットワークは、性的接触、SNS、業務メール送受信関係、情報伝達実験など、とりあえず人間を主体としたものに限定しているが、それでも「いったいこれは何の学問なんだ」と思われるかもしれない。企業でも産業でも国家でも、データさえあれば、それこそ疾病、自殺、天下り、何だってネットワークとして分析してみせる。
(中略)
ネットワーク社会に生きるわれわれが、社会のさまざまな関係構造にどのように対峙し、関係情報に振り回されることなくそれを活用し、ネットワークを局所ながらもより良い形につなぎかえられるのかを、科学的に考えていきたい。
(本文より)
(中略)
ネットワーク社会に生きるわれわれが、社会のさまざまな関係構造にどのように対峙し、関係情報に振り回されることなくそれを活用し、ネットワークを局所ながらもより良い形につなぎかえられるのかを、科学的に考えていきたい。
(本文より)
著者について
安田雪(やすだゆき)
関西大学社会学部教授。1963年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。コロンビア大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。東京大学ものづくり経営研究センターなどを経て現職。組織や社会集団を中心に、分野横断的にネットワークの構造と影響を考察する「社会ネットワーク分析」に四半世紀、従事。理工系研究者、企業との共同研究も多数。関係構造の解析以上に、見える化した関係の解釈と、その見えざる影響力の解明に力を注ぐ。2008年より京都在住。著書に『ネットワーク分析』(新曜社)、『人脈づくりの科学』(日本経済新聞社)、『大学生の就職活動』(中央公論新社)など。
関西大学社会学部教授。1963年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。コロンビア大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。東京大学ものづくり経営研究センターなどを経て現職。組織や社会集団を中心に、分野横断的にネットワークの構造と影響を考察する「社会ネットワーク分析」に四半世紀、従事。理工系研究者、企業との共同研究も多数。関係構造の解析以上に、見える化した関係の解釈と、その見えざる影響力の解明に力を注ぐ。2008年より京都在住。著書に『ネットワーク分析』(新曜社)、『人脈づくりの科学』(日本経済新聞社)、『大学生の就職活動』(中央公論新社)など。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/10/15)
- 発売日 : 2010/10/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4334035884
- ISBN-13 : 978-4334035884
- Amazon 売れ筋ランキング: - 495,842位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 544位ネットワーク (本)
- - 1,716位光文社新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年10月17日に日本でレビュー済み
ネットワークに着目して、さまざまな領域を分野横断的に分析した一冊。かといって、決して研究論文然とした書物ではなく、著者がネットワーク・サイエンスという学問と格闘してきた、ドキュメントのような仕立てになっている。その格闘は迫力に富み、まるで著者の息づかいまで伝わってくるようである。
TwitterやFacebookの登場により、ソーシャルグラフというものが昨今、非常に身近なものとなっている。ただし、これらは可視化かつオープンになっている、ごく一部のネットワークに過ぎない。世の中にはまだまだ可視化できないソーシャルグラフ、クローズドに閉じたソーシャルグラフが、たくさんある。そして、そのような幾多のソーシャルグラフに、著者は負の側面、正の側面から真に迫っていく。
本書の最大の特長は、”お題設定のうまさ”に尽きると思う。ネットワーク・サイエンスという普段は縁遠い学問を、実に自然な流れで”自分ごと化”させてくれる。
◆本書において触れられているお題は、以下のようなもの
・社内における電子メールのやり取りから分析したハイパフォーマーの特徴とは?
・SNSの人脈連鎖と、実際の人間関係における人脈連鎖は、どう似てる?
・彼氏の元カノの元カレは何人いるか?
・新型インフルエンザ発生時の休校措置は正しいか?
・6次の隔たり(6人の知人を通せば世界中の人とつながる)は、過大推定か、過小推定か?
結論が明確に出ていないものもあったが、実に多種多様で、興味深い内容ばかり。
ネットワークという壮大な観点から世の中を見ていくと、まるで宇宙の歴史でも聞いているかのような気分になる。自分などネットワークの一部にすぎない、ちっぽけで相対的な存在であることを、痛感せずにはいられなくなるのだ。なんだか、多少鼻っ柱を折られた気分だ。
TwitterやFacebookの登場により、ソーシャルグラフというものが昨今、非常に身近なものとなっている。ただし、これらは可視化かつオープンになっている、ごく一部のネットワークに過ぎない。世の中にはまだまだ可視化できないソーシャルグラフ、クローズドに閉じたソーシャルグラフが、たくさんある。そして、そのような幾多のソーシャルグラフに、著者は負の側面、正の側面から真に迫っていく。
本書の最大の特長は、”お題設定のうまさ”に尽きると思う。ネットワーク・サイエンスという普段は縁遠い学問を、実に自然な流れで”自分ごと化”させてくれる。
◆本書において触れられているお題は、以下のようなもの
・社内における電子メールのやり取りから分析したハイパフォーマーの特徴とは?
・SNSの人脈連鎖と、実際の人間関係における人脈連鎖は、どう似てる?
・彼氏の元カノの元カレは何人いるか?
・新型インフルエンザ発生時の休校措置は正しいか?
・6次の隔たり(6人の知人を通せば世界中の人とつながる)は、過大推定か、過小推定か?
結論が明確に出ていないものもあったが、実に多種多様で、興味深い内容ばかり。
ネットワークという壮大な観点から世の中を見ていくと、まるで宇宙の歴史でも聞いているかのような気分になる。自分などネットワークの一部にすぎない、ちっぽけで相対的な存在であることを、痛感せずにはいられなくなるのだ。なんだか、多少鼻っ柱を折られた気分だ。
2017年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
入門と書いてありますが、私には難解な部分が多く十分な理解ができなかったと感じています。
ネットワークサイエンスは難しい。
ネットワークサイエンスは難しい。
2018年1月11日に日本でレビュー済み
ネットワーク理論については、突っ込んだ記述はなく、社会人なら誰でも知っている常識的な内容。ほとんど世間話の軽い読み物。
2012年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「入門!ネットワーク・サイエンス」の副題通り身近で興味をひく例を用いて
ネットワークサイエンスとはどのような分野か著者の研究を中心に紹介している。
実例は知的好奇心を満たすという意味では興味深く読める。
ただ自分で現実に存在するネットワークへアプローチする
手掛かりが欲しいと思った時にはあまり参考にならない。
なぜなら本書では「シミュレーションするか実験する」という方法をとっているから。
これは結果を見たらこうなっていた、という話であってどこまで他のネットワークに
適用できるかわからない。
ネットワークサイエンスの重要性は理解できたし
ある企業の社内メール解析から見えたハイパフォーマーの傾向 や
mixiのスケールフリー性
など面白い話が紹介されているので読む価値はあると思いますが
実用性は高くないため星3つとしました。
ネットワークサイエンスとはどのような分野か著者の研究を中心に紹介している。
実例は知的好奇心を満たすという意味では興味深く読める。
ただ自分で現実に存在するネットワークへアプローチする
手掛かりが欲しいと思った時にはあまり参考にならない。
なぜなら本書では「シミュレーションするか実験する」という方法をとっているから。
これは結果を見たらこうなっていた、という話であってどこまで他のネットワークに
適用できるかわからない。
ネットワークサイエンスの重要性は理解できたし
ある企業の社内メール解析から見えたハイパフォーマーの傾向 や
mixiのスケールフリー性
など面白い話が紹介されているので読む価値はあると思いますが
実用性は高くないため星3つとしました。
2018年11月30日に日本でレビュー済み
背後にある難しい理論はさておき面白いイントロになる本である。
2012年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「ネットワーク・サイエンス」 というと幅がひろいが,この本は社会学者である著者が四半世紀にわたってつづけてきたという社会ネットワーク分析を中心としていて,ほとんどのページはひととひととの関係について書かれている. もっとひろい意味の 「つながり」 を期待するひとには,期待はずれになるだろう. SNS や「恋人連鎖」のような個人的な関係と,業務電子メールなどからわかる,エンロンなどの企業内の関係の両方が話題としてとりあげられている. こういう話題に興味があるひとなら,おもしろく読めるだろう.
2010年10月31日に日本でレビュー済み
最近読んだ新書の中で一番衝撃的な1冊。
「ネットワーク・サイエンス」とその実践について書かれた本です。
書かれている内容は難しい!
ネットワークの分析の目的、範囲、手法も様々。
とは言え、
「ネットワーク・サイエンス」という分野は、
とっても興味深く、一気読みしました。
「ネットワーク・サイエンス」がすごいのは、
従来、社会学や心理学で説明しようとした人間関係を、
メールでのコミュニケーション量やコミュニケーションの取り方によって、分析してしまうところ。
驚いたことに、
ネットワーク分析では、
人間関係や個人のパフォーマンスを定量化してしまいます。
そして実際にこの手法により、色んなことができてしまう。
例えば、
会社内の「キーパーソン」を探す。
ハイパフォーマーが用いてる頻出語を抽出する。
会社内の人間関係の濃淡を可視化する。
先々は友達の作り方も定量的な黄金律ができるかもしれません。
この応用の広がりに驚きと一抹の不安を感じます。
お勧めです。
「ネットワーク・サイエンス」とその実践について書かれた本です。
書かれている内容は難しい!
ネットワークの分析の目的、範囲、手法も様々。
とは言え、
「ネットワーク・サイエンス」という分野は、
とっても興味深く、一気読みしました。
「ネットワーク・サイエンス」がすごいのは、
従来、社会学や心理学で説明しようとした人間関係を、
メールでのコミュニケーション量やコミュニケーションの取り方によって、分析してしまうところ。
驚いたことに、
ネットワーク分析では、
人間関係や個人のパフォーマンスを定量化してしまいます。
そして実際にこの手法により、色んなことができてしまう。
例えば、
会社内の「キーパーソン」を探す。
ハイパフォーマーが用いてる頻出語を抽出する。
会社内の人間関係の濃淡を可視化する。
先々は友達の作り方も定量的な黄金律ができるかもしれません。
この応用の広がりに驚きと一抹の不安を感じます。
お勧めです。