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社会主義の誤解を解く (光文社新書 507) 新書 – 2011/2/17
欧州では社会主義政党が今も健在、
トンチンカンな和製左翼とは無関係
資本主義が行きづまった今、社会主義を一から正しく理解する
社会主義は、共産主義でも、マルクス主義でも、革命家の思想でもない!
わが国では、社会主義と聞くと、マルクスの唱えた共産主義、革命派の思
想、労働運動の精神、などといったイメージで理解される。しかし、社会
主義の誕生から、その辿った歴史を見ると、様々な紆余曲折を経ており、
一筋縄で解釈できるものではないことが分かる。実際、かつては社会主義
の唱道者と労働者は乖離し、また、労働運動とも連動していなかった時期
があるのだ。本書は、社会主義思想を生んだ産業革命以降の西欧とロシア、
さらに日本における受容と変遷を俯瞰しながら、可能な限り冷静かつ客観
的に、社会主義を捉えなおす試みである。
【著者プロフィール】
薬師院仁志(やくしいんひとし)
一九六一年大阪市生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程(教
育社会学)中退。京都大学助手、帝塚山学院大学専任講師、同大学助教授
を経て、二〇〇七年より同大学教授。主な専攻分野は社会学理論、現代社
会論、教育社会学。著書に『英語を学べばバカになる--グローバル思考とい
う妄想』『日本とフランス 二つの民主主義--不平等か、不自由か』(以上、
光文社新書)、『禁断の思考--社会学という非常識な世界』『地球温暖化論へ
の挑戦』(以上、八千代出版)、『民主主義という錯覚』(PHP研究所)が
ある。
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2011/2/17
- ISBN-104334036104
- ISBN-13978-4334036102
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2011/2/17)
- 発売日 : 2011/2/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 278ページ
- ISBN-10 : 4334036104
- ISBN-13 : 978-4334036102
- Amazon 売れ筋ランキング: - 489,672位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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気づかされた、私にとっては目からウロコの社会主義論。
「目からウロコ」7点
(1)デュルケムによる社会学的分類による共産主義と社会主義(『広辞苑』は定義混乱?)
・共産主義:私有財産制否定と共有財産制により貧富の差をなくそうとする運動
(プラトン、トマス・モア、カンパネラ、カベーら)
・社会主義:プロレタリア革命により実現される、生産手段公有による社会体制
(オーウェン、サン・シモン、フーリエ、マルクスら)
(2)マルクスが自らの運動を「共産主義」と名づけた理由は、学術的なものではなく政治的なもので
あったこと
(3)18世紀後半から19世紀にかけて、英国で貧困層救済や労働者保護立法に熱心だったのは、アシュリ
ー卿やサー・ロバート・ピールなどトーリー党(保守党)の政治家たちであったこと
(4)各国労働法に見られた性による雇用差別は、女性差別の残滓ではなく過酷な労働現場からの女性や
児童の保護の名残だったこと
(5)ナポレオン三世(馬上のサン・シモン)による「皇帝社会主義」の詳細
(6)20世紀以降における共産主義と社会主義の定義(共産主義は社会主義の高次段階)は、マルクス自
身ではなく革命派のマルクス主義に立つレーニンがロシア革命時に、非革命派との区別のために言
い出したものに過ぎないこと
(7)日本の社会主義政党の活動は、上記(6)の定義と合致しなかったこと(旧日本「社会」党が「社
会主義革命の達成を歴史的使命」とし、日本「共産」党が旧ソ連と訣別するなど)
ということを言いたいのでしょうが、歴史的な変遷を語るだけで、最後まで「社会主義の誤解」とは何なのかがわかりませんでした。
ただ教科書で習ったロシア革命と相違する実態には説得力があり、また最後に言及された日本の社会党や共産党のスローガンや綱領に対する指摘には「なるほど」と笑えました。
投票権をもつ人は是非この本を読んで、社会のあり方や、資本主義がここまで来るのにはどんな苦労があったかを知ってほしい。そして、投票するときには必ず役立つ知識となるとお伝えしたい。
・社会主義と関係が無い脱線話があまりにも多い。
・文章が読みにくい。
・著者が何を主眼としているのか不明確。
以上3点を減点し、★2つとした。
内容が濃いのは結構だが、学術的でくどい。
研究論文のPDFを読まされている気分になる。
文章が読みにくく、論点が不明瞭な箇所がある。
歴史の経緯を書くのは重要なことだが、
本書の目的は歴史の学習が第一ではないはず。
社会主義とまるで関係の無いこと(戦争の経緯等)をダラダラと書いているのは頂けない。
まえがきには「本書の目的は客観的に社会主義とは何かを考えるもの」とあるが、
著者自身がそれを見失っているように見える。
社会主義と共産主義の違いを、本家と元祖の違い程度しかない、
などと分かりやすく書いている部分は良い。
資本家が自由勝手に富を貪る世の中に革命を起こそうとしたマルクスの気持ちがよく分かりました。著者である薬師院さんがあとがきで書いているように、今はコンピューターの魔術で億のマネーが飛び交い、一方で真面目なだけの人々は困窮する世の中、もう一度社会主義について理解を深めることは非常に重要だと思います。
非常に読み応えのある内容なのでボリュームのある要約になりますが、本書で書かれている内容です。
近代的な社会主義は多様であるが共通点として反自由主義、反自由競争経済である。社会主義や共産主義、社会民主主義をまとめて言えば、生産活動が私的なカネ儲けの手段にならないように理性的な意思決定の下に統制するものである。
私有財産の所有は否定せず、あくまでも生産手段の私的所有を否定する。つまり資本主義の廃絶であり、社会主義は資本主義の対立軸として生まれた。
19世紀後半にマルクスは資本主義が生産手段を持つ資本家と労働力を商品として売るしかない労働者との間に常に不平等が発生することを問題とした。
産業革命によって労働者は困窮するようになった。1942年の報告によればマンチェスターの労働者の平均死亡年齢はなんと17歳であった。
イギリスでは17、18世紀の王政時代において救貧法が存在して最低生活保障が存在したが19世紀に法改正が行われた、貧困は自己の道徳責任となり貧民は労役場で懲罰的収容を受けるようになった。しかしながら、労働者の窮状を鑑み、工場立法を設立し児童と女性については労働時間の制限を設けた。
女性の労働条件を区別していたのは女性を家庭に縛り付けるためではなく、過酷な労働から救うためであった。逆に家庭で主婦業ができるのは一部のブルジョワのみであった。
マルクスは、アメリカの黒人奴隷については資本家は死んでもらったら困るので生活の面倒を見るが、イギリスの労働者は、その日の労働者の契約さえ果たせば死のうが生きようが資本家にとってはどうでもいいことだと言う。
マルクスが本の題名を社会党ではなく「共産党宣言」にしたのはマルクスより少し前にエチエンヌ・カベーが生産手段のみならず私有財産の撤廃も含めて共産主義と名乗っていたが、マルクスは生産手段の私有化撤廃のみを持って共産党と名乗った。これは、私有財産をなくすのは余りにもユートピア的であるのに対して、マルクスの考えはより現実的に実践可能であるという考えが根底に存在する。しかし、これにより共産主義に二つの定義(カベーとマルクス)が生まれて混乱が発生した。ポルポト政権はカベーの解釈により貨幣すら撤廃する残酷な統制を行った結果悲惨な結果をもたらす。
労働者が困窮すること甚だしい資本主義の誕生であったが、イギリスの工場立法のような法的手段以外に、チャリティー団体や資本家による大規模な寄付や労働者保護活動が行われた。しかし、マルクスはこういった活動は征服者による偽善であり、根本的に労働者による構造改革が必要であると主張した。
一方で、労働者達は従来の親方を中心とした団体が力を持ち、一つの政府の下での国民の平等性を脅かすということで団結を禁止する法令が出されたが、逆に刺激された団体は機械を破壊するなどの手段に出たため、自由主義の観点もあり、団結の禁止は緩和されることとなり、これが労働組合が生まれるきっかけとなった。
だがしかし、これは資本主義を否定するようなものではなく、被雇用者が、労働力を売るのではなく、熟練工の集団が高い技能による成果を売るといった有利な関係に変えるための手段であった。
歴史的に見ると、労働者による改革は社会主義の推進とは違う路線であることがわかる。今でもイギリスでは社会主義党とは言わず労働党と名乗っている。構図としては、社会主義が、その推進のために労働者改革の動きに便乗しようとした流れになる。
フランスではイギリスで起こった産業革命の到来は遅く、従って労働運動もイギリスのように活発ではなかった。一方でフランス革命により平民の改革の機運は高く、こういった土壌に社会主義が醸成されて、初めてプロレタリアートによるブルジョワジーへの対立という平民同士の階級闘争である2月革命が発生したが、移民労働者との対立もあり一般労働者が団結するといったような状況には程遠いものであった。しかし、19世紀後半にイギリスで発足された労働者会議である第一インターナショナルにマルクスが関わってきて理念の後ろ盾が付き、普仏戦争でフランスが統一ドイツに敗北した機会に、労働者による社会主義による自治政権としてパリ・コミューンが宣言された。マルクスはこれをフランス全土に広めようとするが、元々社会主義の理念の実現を目指していたわけでない一般民衆の賛同を得られず、すぐに瓦解してしまう。
しかしながらイギリスにおいても機械生産により単純労働が増加するにつれ、熟練労働者の団体の力が弱まり一般労働者による労働組合が芽生える。フランスのように革命は発生しなかったが、社会主義の考え方に影響された政策が実行された結果、20世紀初頭からはイギリスが「ゆりかごから墓場まで」と言われる福祉国家への道を進む。
社会主義運動が国を超えて繋がる機運もあったが、イギリス、フランスや、マルクスの生地ドイツでも社会主義国家の誕生はなかった。これは第一次世界大戦により政治哲学に関わらず国対国の構図になることで決定的となった。ロシアでは、第一次世界大戦で苦悶した政権を倒した革命派レーニンが社会主義を信奉していたお陰で初の社会主義国家が誕生することとなった。日本も日露戦争に勝つために裏でレーニンを強力に支援していた。その頃はもう理想郷としての旧共産主義の考えを持つものはいなかったので、レーニンは西欧諸国と区別するために共産主義と名乗る。
ドイツにおいては帝政に対する反体制運動として民主主義と社会主義が一緒になって導入され、革命という段階を経ずして、帝国宰相ビスマルクの妨害があったにもかかわらず、社会民主党は議席を伸ばしていった。第一次世界大戦後は、両性平等のワイマール憲法が設立、共産党による革命派の動きがあったが義勇軍により鎮圧され、社会民主党は、6回連続、普通選挙により第一党に選ばれた。
レーニンはソ連を中心としてコミンテルンの名でヨーロッパに共産主義を広めようとするが、各国で共産党の樹立はあったものの、政権は取れず、各国はボルシェビキに対抗するため社会党、社会民主党、労働党を設立し、左派の内部での対立構造が鮮明になる。日本共産党も一時期コミンテルンの集会に参加している。
イタリアでは、親ボルシェビキ派によるゼネストや職場占拠といった革命活動が人々を不安におとしいれたが、黒シャツ隊を率いるムッソリーニがそれを蹴散らし国民の支持を得る。ムッソリーニ自身も社会主義者であったが、古代ローマの権力者が持つ束桿(そっかん)を意味するファスケスのような民族が束となり団結する民族主義が社会主義と一体となったものであった。これはエチオピア人やユダヤ人を排斥する元となる。
ドイツにおいても、第一党であった社会民主党に加えて共産党があったが、ヒットラーはそれに加えて、「国民社会主義ドイツ労働者党」を立ち上げ、共産党と歩調を合わせて社会民主党を数で抑え、ついに第一党の座を奪い、首相に就任し、さらに民主的に大統領も兼任する。ヒットラーが掲げたのは国家社会主義であったが、彼はムッソリーニのように社会主義についての教養はなく、反資本主義の皮を被った反ユダヤ、反ソ主義と表裏一体の東方領土拡大、そして社会から落伍者扱いされた劣等感が生み出したすさまじい権力欲に突き動かされていた。社会民主党と共産党を合わせればナチスを抑えることができたのに、左派の内部争いにかまけてヒットラーに漁夫の利を取られた結果となった。
日和見主義の英仏を良いことに破竹の勢いで領土拡大を進めるナチスドイツは、遂に独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵入する。これにより、政治思想に関わらず、ソ連と英仏が反ファシズムで連合することとなり、スターリンは英仏の共産党がソ連の手先となり英仏の主権を争う構図を嫌い、コミンテルンを解消させる。
東西冷戦時代は、共産党というのはソ連傘下であることを意味し西欧諸国においては凋落するが、労働党をふくめた社会主義勢力は時おり政権を取るなどしてある程度の勢力を保った(ミッテランが社会党、トニーブレアは労働党)。自由を重んじる小さな政府を目指す右派(リベラル)と、平等を重んじる大きな政府の左派(ソシアル)のバランスが政治を動かす構図となる。
アジア諸国においては近代化の中で、民主主義、社会主義に資本主義も一緒になって混沌とした形で輸入される形となった。日本では、ソ連と繋がった革命型の共産主義として共産党が誕生したが、国民の支持を得られず64年にはソ連と袂を分かつ。今の日本共産党は党名以外、「共産」という言葉は使っていない。一方、社会党については戦後の反保守、反共産スローガンで集まった寄り合い所帯にすぎず一貫した政治思想を持たない。党名を社会民主党に変えた後も、スローガンを意味不明な「社民リベラル」にするなど混迷した状態が続いている。
世界史の細かい部分に触れているが、理解しやすい。
私自身の認識では、政治システムのあり方しての民主主義と社会主義、経済システムのあり方としての資本主義と共産主義という対立概念として勝手にとらえていたが、本書の最初からその考えが覆された。
また、社会主義が生き延びる背景に全体主義たるファシズムが存在していたなど、新たな驚きもあり、とても面白い。
本書の歴史的な流れを自分なりに捉え直してみると、社会主義というのは資本主義の矛盾を解決しようとしたものであるが、しかしその理念を純粋に貫き通すことができず、またそれだけでなく独裁者の権力欲を満たすために利用されたただの道具にすぎない。
その点で、人の欲をうまく社会全体の発展に活かすことができるのが、やはり現行の資本主義というシステムであるとしかいわざるを得ない。
しかし、著者の言うとおりやはり資本主義でさえもそこには多くの問題が含められており、その会計つ作のための一つの手段として社会主義から学ぶことはまだまだあると感じた。
結果としては面白かったです。中立的に描かれているので、単純に経緯を知ることができたし良かったです。どちらかといえば淡々と話は進み、結構きつい突込みも入ります。別に全否定するわけでもなく、手放しで称賛するわけでもない。歴史的経緯を正確にとらえて、政治闘争から分離した学問として追及している姿勢が濃厚です。
ただ、おかしなレビューがあるのが気になって仕方がありません。なので以下、反論。
このレヴェルの文章が読みにくい?小説じゃないんだからね。思想系の新書では読みやすいほうだと思いますよ。
学術的?研究論文の様?こんな簡単な論文はないでしょう。論文じゃなくて上級者向けの本でももう少し難しいですよ。明らかに入門書でしょう。論文ではこんなに詳細に解説してくれませんよ。私は社会主義関連の本は初めてですが、すらすら読めましたよ。特に難しい理論とか出てませんし。
ダラダラと歴史経緯が長過ぎる?この方本当は読んでないんじゃないかと。そもそも辞書的な社会主義の定義をするだけなら1ページですんじゃいますよ。そうじゃなくて、なぜそうなのか、どうしてそうなったのか、を解説するためには歴史経緯を記すしかないでしょう。頭ごなしにそれはそういうものだから文句言うなって言われれば安心するのかしら?