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ニッポンの国境 (光文社新書 530) 新書 – 2011/7/15
近年、諸外国との間で続く
「領土問題」が日本の新たなリスクとなりつつある。
北方領土、竹島、尖閣諸島で何が起きているのか。
貴重な現地ルポを交え、その原因と真相に迫る。
◎ 内 容
近年、「領土」をめぐる問題が諸外国との間で再燃し、
国内での関心が高まるようになった。
メドベージェフ大統領が元首として初めて上陸するなど、
ロシアの実効支配が続く北方領土。
教科書問題などで度々衝突する、同じく韓国の実効支配が続く竹島。
一方、日本が領有しているものの、漁船や調査船が航行するなど、
領有権を主張する中国による不穏な動きが続く尖閣諸島。
これらの領土問題はなぜ発生し、現在もなおくすぶり続けるのか。
国境がなければ見向きもされないような小さな島が、衝突を引き起こすのはなぜか。
問題が必ず再燃するのはなぜか----。
歴史的背景や外交の舞台裏、さらには島民の声などを拾った貴重な現地ルポも交え、
その原因と真相に迫る。
◎ 目 次
プロローグ
第1章 国境の誕生
1−1 国境の誕生と領土のルール
1−2 あいまいな日本の領土
第2章 戦後の復興と領土問題の発生
2−1 東西に分断されていたかもしれない日本
2−2 サンフランシスコ講和条約という爆弾
第3章 冷戦の道具にされた島々 ---- 北方領土編
3−1 日本政府と北方領土
3−2 日本とロシアの影響力
3−3 四島返還へのこだわりが生んだもの
第4章 日韓に打ちこまれた楔 ---- 竹島編
4−1 日本と韓国の温度差
4−2 密約とアメリカの影
第5章 隔離された島々 ---- 尖閣諸島編
5−1 自由に行けない政治的秘境
5−2 動き始めた「禁断の島々」
エピローグ
◎ 著者プロフィール
西牟田靖(にしむたやすし)
1970年大阪府生まれ。神戸学院大学法学部卒業。
ノンフィクション・ライター。
著書に、四年をかけてアジア太平洋地域の日本の元領土を歩いた『僕の見た「大日本帝国」』(角川ソフィア文庫)、
北方領土や竹島など日本の国境の島々を旅した『誰も国境を知らない』(情報センター出版局)、
日本各地に残る廃墟や歴史的な遺構を見て回った『ニッポンの穴紀行』(光文社)などがある。
- 本の長さ250ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2011/7/15
- ISBN-104334036333
- ISBN-13978-4334036331
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2011/7/15)
- 発売日 : 2011/7/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 250ページ
- ISBN-10 : 4334036333
- ISBN-13 : 978-4334036331
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,232,671位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
70年大阪生まれ。神戸学院大学法学部卒。日本の領土問題や旧植民地に残る日本の足あと、引揚等、硬派なテーマを取材執筆しているうちに書斎が本で埋まる。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『〈日本國〉から来た日本人』『ニッポンの穴紀行』等
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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日本の領土は1945年の敗戦を機に縮小の一途であり、国境は容易に変わりうるものであること。竹島の帰属を曖昧にし、北方領土で現実的な二島返還論に待ったをかけたのは、東西冷戦のさなかに日本を西側諸国に留まらせたかったアメリカの深慮遠謀であったこと。
冷戦が終わった後も大国アメリカ・ロシアに翻弄される日本の姿が先鋭的な形で姿を現すのが国境であり、領土問題なのです。
国境の問題がどのように起こったのか,そして現状はどうなっているのかが理解しやすいと思います。
著者が実際に国境付近まで調査に行った経験を活かし,いまの現地の様子を“人と生活”の目線で解説しています。
一般には知られていない意外な情報もあり,現地調査の強みであると感心しながら読みました。
全体的に優しい文章で,スラスラ読むことが出来ました。
著者が考える将来への展望も所々で挟んでおり,興味深く読み進められると思います。
著者はこれらの地域へ実際に赴くなど、なかなかの行動力を持っており、
その実体験と過去の歴史的事実との組み合わせによって構成されています。
領土問題を扱った本は数多くありますが、とかく偏りがちな印象を受けやすいデリケートな話題であり、
その中にあって、かなりフラットな立ち位置を維持するように配慮されていると感じます。
新書の特性を活かして2010年の尖閣諸島沖の漁船との衝突事件というタイムリーな事実も扱っており、
現在の領土問題まとめ的な本として読んでおいていい本でしょう。
ただ、少し不満もあります。
・江戸時代以前の領土問題についてあまりにも貧弱です(特に竹島関連)。
・他著の考察をそのまま引用して論拠とする傾向にある。他人の考察は必ず自著では参考扱いにすべきです。
・尖閣諸島問題については憶測で書いている部分が多過ぎる。わずかな事実から話を膨らませすぎです。
著者はまだ若く、彼は専門家でも学者ではありません。
「普通よりちょっと詳しい日本人の一般人が一生懸命まとめてみた本」
という観点を持っていると、読む側も損することは無いと思います。
◆本書の目次
第1章 国境の誕生
1−1 国境の誕生と領土のルール
1−2 あいまいな日本の領土
第2章 戦後の復興と領土問題の発生
2−1 東西に分断されていたかもしれない日本
2−2 サンフランシスコ平和条約という爆弾
第3章 冷戦の道具にされてきた島々 ― 北方領土編
3−1 日本政府と北方領土
3−2 日本とロシアの影響力
3−3 四島返還へのこだわりが生んだもの
第4章 日韓に打ちこまれた楔 ― 竹島編
4−1 日本と韓国の温度差
4−2 密約とアメリカの影
第5章 隔離された島々 ― 尖閣諸島編
5−1 自由に行けない政治的秘境
5−2 動き始めた「禁断の島々」
著者は、北方領土と竹島の両方に上陸したことのある、数少ない日本人である。その詳細は、前著『誰も国境を知らない』に詳しいが、本書でもそのルポの模様がダイジェスト的に紹介されている。北方領土へも竹島へも、日本政府の姿勢は「行かないように要請する」というものである。しかし、実態としては、いずれもロシア経由、韓国経由で渡航することは可能なのだ。日本政府が行かないように要請しているのは、それを認めるが、日本の領土ではないと認めることと同義になってしまうからである。
これらのルポの模様が興味深い。対日戦勝碑と古い日本家屋が共存している国後島では、室内アンテナを変えると「笑っていいとも!」が映しだされたという。地理的、心理的に日本を身近なものと感じている現地の人々の声は、非常に印象的だ。また、韓国から竹島へ移動する際には、船が日本製だったというエピソードなども紹介されている。
しかし、本書の本質は、そのルポの模様よりも、国境の変遷を丹念につなぎ合わせ、その全体像を浮かび上がらせようとしているところにある。見えてきたのは、アメリカの影。いずれの問題も、根底にはアメリカの二枚舌が潜んでいるのである。どうやら領土問題の火種の要因は、ポツダム宣言の受諾から占領状態を脱したサンフランシスコ平和条約調印までの間にあるようだ。
1946年1月のSCAPIN677の規定において、一度は、竹島や北方領土は日本の領土から切り離されたものとして線引きされている。しかし、その後1951年に調印されたサンフランシスコ平和条約では、竹島、尖閣諸島という地名は消えあいまいなものになっていたほか、千島列島の範囲も言及されていなかった。また、領土がどの政府に対して放棄されたのかも、明記されておらず、非常にあいまいなものであった。
著者の見立てによると、これらはアメリカが日本と近隣国の間に楔を打つことが目的であるそうだ。ソ連や中国という共産国はもちろん、韓国も朝鮮戦争の結果いかんでは共産国になる可能性もあり、火種を残しておいた方が日本を西側諸国の一員として担保できるということなのである。領土問題は、冷戦の道具として利用されたものに過ぎないのだ。
しかしその領土問題と引き換えに、アメリカとの特別な関係を保ち、日本が経済発展を築いてきたのも事実なのである。領土問題と経済発展はコインの表と裏の関係だったのだ。正念場を迎えるのは、これまでのような経済発展を期待できない今後の姿勢にあり、どのように解決に向き合っていくべきか課題は多い。
著者の夢想する特区構想は、ナーバスな問題に触れながらも、本書の読後感を爽やかなものに仕立て上げている。いずれにしても大切なのは、この問題を風化させないという一点に尽きる。3.11の後、戦後は終わったという声が、数多く聞こえてきた。確かに精神的な意味においてはそうかもしれないが、領土をはじめとする物理的な問題は、今だ戦後のままなのである。
戦後、急速に東西対立(共産圏と資本主義圏の対立)に直面したアメリカが、それまでの日本に厳しい内容で厳格・明確に国境線を引いた条約案から、日本に有利であいまいさを残した条約案に転換した様子が記述されています。そして、この方針転換は「日本を西側陣営に引き込む」という効果だけでなく、日本と周辺国(共産圏であるロシアや中国、ひょっとすると東側陣営に取り込まれてしまうかもしれない朝鮮)との紛争のタネを残しておくことで、「日本と共産圏国家との接近を防ぐ」という効果を狙っていたというものです。
本書によれば、後に「北方領土の2島返還」によって日本・ソビエトが接近しようとした際に、アメリカが横ヤリを入れて交渉の妥結を妨害したとのことです。
これらの記述は、それがどの程度正鵠を得ているかはともかくとして、認識しておくべき重要な視点と思います。
そして本書には、北方領土、竹島を訪問したり、尖閣諸島に飛行機で接近しようとしたレポートも盛り込まれています。関係国のスタンスや複雑な事情、住民の考え方、自国領土にこだわる温度差さなど、けっこう興味深い記述です。
このように、本書は、なかなか興味深い視点を提供してくれます。とても意義のある本であり、☆5つでもいいと思います。
ただし、著者の領土問題に対するスタンスは、(a) 北方領土は2島返還でいい、(b) 韓国に実効支配される竹島は還ってこない、(c) 尖閣諸島についてはアメリカ軍の助力は期待できず日本・中国の国力・軍事力次第で中国に占領されるかもしれない、というような(悪い意味で)理性的なものであり、「領土を守ろう」という覚悟も気概も感じられません。
中国のように要求を軍事力(暴力)と策謀で押し通そうとする隣国があり、他の国々も国家利益を守るためにシノギを削っている中で、こんなふんわりとした、毅然としていない態度は大いに疑問を感じます。
有益な本であり、読むべき本と思いますが、その点で1つ減点して☆4つにします。
サンフランシスコ平和条約の中に、これらの領土を日本のものとはっきり示さなかったアメリカの意図、竹島を守るために一応は日本も努力していた事実があること、韓国や中国の言い分など、今まで知らなかったことが満載で、読んでよかったと思いました。
筆者の視点も、右や左に偏ることなく公平で、好感が持てます。
昨今の領土を巡る紛争に、とりあえず基礎知識をと思ったとき、おびただしい数の書物が出ていて迷ってしまいますが、これを読めば肝心なことがほぼわかります。イチオシの一冊です。