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AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書) 新書 – 2018/4/17
井上智洋
(著)
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購入オプションとあわせ買い
未来社会は「脱労働社会」。
AI時代にBIは不可欠だ。
――注目の経済学者が考察。
◎ 内容紹介
ベーシックインカム(Basic Income,BI)とは、
「政府が、すべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する」制度を指す。
近年、特にヨーロッパ諸国を中心にBI導入をめぐる動きはかつてないほど盛んになっている。
主な理由は二つある。
一つは、格差の拡大や貧困の増大を改善する手段としての期待、
もう一つは、人工知能(AI)やロボットが
多くの人の雇用を奪うようになるのではないかという予想である。
日本での導入の可能性はどうか。財源はどうするのか。
現行の貨幣制度の欠陥とは何か。AI時代になぜBIが必要なのか。
最大の障壁となるものは何か。そして未来の社会とは――。
AIと経済学の関係を研究するパイオニアが、
BIに関する様々な問題を深く掘り下げて考察する刺激的な一冊。
◎ 目次
はじめに
【第1章】ベーシックインカム入門
1・1 ベーシックインカムとは何か?
1・2 ベーシックインカムvs. 生活保護
1・3 起源と歴史
1・4 現代のムーブメント
【第2章】財源論と制度設計
2・1 なぜ生活保護よりもベーシックインカムのほうが安上がりなのか?
2・2 負の所得税・生活保護との制度上の違い
2・3 所得税以外の財源
2・4 日本の財政危機は本当か?
2・5 貨幣発行益を財源としたベーシックインカム
【第3章】貨幣制度改革とベーシックインカム
3・1 貨幣発行益をベーシックインカムとして国民に配当せよ
3・2 貨幣制度の変遷
3・3 銀行中心の貨幣制度の問題点
3・4 国民中心の貨幣制度へ
【第4章】AI時代になぜベーシックインカムが必要なのか?
4・1 AIは雇用を奪うか? 格差を拡大させるか?
4・2 日本の雇用の未来
4・3 人間並みの人工知能が出現したら仕事はなくなるか?
4・4 脱労働社会にベーシックインカムは不可欠となる
4・5 資本主義の未来
【第5章】政治経済思想とベーシックインカム
5・1 右翼と左翼は対立しない
5・2 なぜ右派も左派もベーシックインカムを支持するのか?
5・3 儒教的エートスがベーシックインカム導入の障壁となる
5・4 なぜ怠け者も救済されるべきなのか?
5・5 労働は美徳か?
5・6 人が人であるために
おわりに
◎ 著者プロフィール
井上智洋(いのうえともひろ)
駒澤大学経済学部准教授。経済学者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。
IT企業勤務を経て早稲田大学大学院経済学研究科に入学。同大学院にて博士(経済学)を取得。
2017年から現職。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。
人工知能と経済学の関係を研究するパイオニア。
著書に『新しいJavaの教科書』(ソフトバンククリエイティブ)、
『人工知能と経済の未来』(文春新書)、『ヘリコプターマネー』(日本経済新聞出版社)、
『「人工超知能」』(秀和システム)などがある。
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2018/4/17
- ISBN-104334043461
- ISBN-13978-4334043469
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2018/4/17)
- 発売日 : 2018/4/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 296ページ
- ISBN-10 : 4334043461
- ISBN-13 : 978-4334043469
- Amazon 売れ筋ランキング: - 287,704位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 291位経済思想・経済学説 (本)
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- - 1,205位光文社新書
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2018年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ベーシックインカムは、仕組みが難しいと言う人が、多いですが、この本は、文章も分かりやすく、説明が明確でした。
2022年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
AI時代になぜベーシックインカムが必要かはわかりやすく納得感がありました。
しかし、特に、第3章の「銀行の信用構造の問題点を挙げ、信用構造を禁止し、中央銀行のみがお金を創造して政府を介してそのお金を国民にベーシックインカムとして給付する。すると、国民は全ての貨幣発行益を直接享受できる」という理論が難しかった。
つまり、銀行はお金の預かりだけをするのが良いってこと?また、経済成長させ続けることが前提の考え方に思え、人口減少・脱成長社会で成り立つのか気になります。
(いろいろ間違っているかもなので解説欲しいところです)
しかし、特に、第3章の「銀行の信用構造の問題点を挙げ、信用構造を禁止し、中央銀行のみがお金を創造して政府を介してそのお金を国民にベーシックインカムとして給付する。すると、国民は全ての貨幣発行益を直接享受できる」という理論が難しかった。
つまり、銀行はお金の預かりだけをするのが良いってこと?また、経済成長させ続けることが前提の考え方に思え、人口減少・脱成長社会で成り立つのか気になります。
(いろいろ間違っているかもなので解説欲しいところです)
2020年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1章から3章まではBIについてかいてはあるが、AIについてはまったく関係がない。
4章はAIとBIの関係が書いてあり、非常に面白かった。
終わりの5章は専門的ではない浅い内容がとりとめもなく続く。そのほとんどがAIともBIとも関係がない。たとえばBIと儒教の相性の悪さを述べるためにだけ数十ページも儒教や他の思想などが述べられている。また、VRについて何らかの見識がある者なら誰でも、著者がVRを使った経験がほとんどないことが分かるだろう。
しかし、4章は読んでよかった。これからの読者は、まず4章を読み、時間があったら他の章も目をとしてみるという読み方でいいのではないか。
4章はAIとBIの関係が書いてあり、非常に面白かった。
終わりの5章は専門的ではない浅い内容がとりとめもなく続く。そのほとんどがAIともBIとも関係がない。たとえばBIと儒教の相性の悪さを述べるためにだけ数十ページも儒教や他の思想などが述べられている。また、VRについて何らかの見識がある者なら誰でも、著者がVRを使った経験がほとんどないことが分かるだろう。
しかし、4章は読んでよかった。これからの読者は、まず4章を読み、時間があったら他の章も目をとしてみるという読み方でいいのではないか。
2018年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
BIもAIも浅くて展望もなく、ただの引用の積み重ねのような本が多くありましたが、この本は見通しのよい展開です。なおかつ、現状を「変革しよう」という意思も明確です。久々に、いい本に出会えました。次の本に期待します。
2018年6月3日に日本でレビュー済み
近代的労働を超えたビジョンの提示。この点で、本書は、経済学を超えた思想書といっても良いだろう。
著者は資本主義の特徴である、技術革新を極限まで高めて、近代的労働イデオロギーから脱する、というビジョンを提示している。
浅田彰『構造と力』、岩井克人『貨幣論』、柄谷行人『マルクスその可能性の中心』、これらの書物の延長線上にこの書物をあえて位置づけてみてはどうだろうか。すなわち、反時代的ポストモダンの書物として。一見誤解を招くかもしれないが、近代的(モダン)労働観を超える点では本書は正にポストモダンの系譜に位置づけられるといえよう。(ちなみに、著者も以前ツイッターで柄谷への評価を示していた気がする。)
ところで、日本におけるポストモダンは、経済状況、すなわちバブル崩壊により説明能力を失ったという見方もできる。ちょうど、田中角栄の『日本列島改造論』がオイルショックとそれに伴う狂乱物価で実現しなかった様に。その後、浅田や柄谷らは「左旋回」(仲正昌樹)したが、左派は具体的ビジョンを提示できずにいた。せいぜいが、本書でも指摘されているが、ブレアの「第三の道」位であった。
新自由主義か第三の道か。このどっちへ行っても行き止まりのようなビジョンがバブル崩壊後の失われた10年(まだ10年!)の頃の経済思想状況だったのかもしれない。以下、長くなるが評者の個人史とも合わせつつ、本書のビジョンについて考えてみる。
著者より少し年少の評者は奇しくも、著者の大学院と同じ早稲田政経(学部)に入学した。著者の経歴からすると、著者が企業を辞めて早稲田経済研究科へ入学するのとほぼ同時期位である。なお、その頃は、早稲田の教授では元経済企画庁経済研究所長貞廣彰、現日銀副総裁若田部昌澄らが、すでに金融政策の重要性を説いていた。ちなみに、残念ながら受講しなかったが高橋洋一も確か土曜に非常勤講師として出講していた。また、著者の指導教官(?)の笹倉和幸のマクロ経済学を評者は受講した。ちなみに、相当ケインジアン的なブランシャール『マクロ経済学』が教科書とされていた。著者のリフレ的政策観点にも彼らの影響があるのかもしれない。ちなみに、ネットで検索できるが、著者の博士論文の副査の一人はリフレ派の浅田統一郎である。
リフレは今ではアベノミクスの政策に取り入れられ、日銀はインフレターゲットを導入しているものの、あの頃はそのような政策を訴える人は極めてマイノリティーであり、ネット掲示板(いちごびびえす)での議論が主な情報元だった。
不況に対するろくな政策も発動されない状況のもと、就職市場は買い手市場であり、やたら自己分析が重視されていた。さらに、仕事を通じた自己実現、労働イデオロギーが強化された時期でもあった様に思う。
左派からはその様なイデオロギーを批判したりネグリやアウトノミア運動やダメ連なんどの代替案は示されたものの、政策的なビジョンにはなり得ない様にも思えた。数少ない、左派的ビジョンも包括し得る説得的な議論としては、稲葉振一郎『経済学という教養』が金融緩和とシバキ主義批判をし、代替案を示した位であった。このビジョンはのちのリベラル懇話会へと繋がったかのように思えるが、現在でさえ、多数の野党政治家は残念ながらこの立場は未だとっていない。
著者もちょうどロスジェネ世代であり、あの頃の時代の雰囲気への批判が本書に反映されているのかもしれない。学問もろくにせずに、ゼミを休んでまで就活に励む、というのも、厳しい就職状況のもとではやむを得ないのかもしないが。せっかく大学へ行ったのだからきちんと就職したい、というのも当然ではあるが。本書でも引かれてるアーレントの言葉を借りれば、政策の失敗で「労働」があまりに重視され、「仕事」や「活動」があまりに蔑ろにされた状況であったのでないか。
しかし、最近では、主に金融政策の影響と考えられるが、新卒就職市場は相当な売り手市場となったものの、依然として就活は相当学生を拘束する悪習が残存している様にも思え、労働イデオロギーは弱まる気配もない。この意味で、本書は反時代的である。(ちなみに、長期的には、就活により大学生に人的資本が十分に蓄積せず、経済成長への阻害要因となっているのではないか、とすら思える。
ところで、評者が学生時代はちょうど柄谷行人『トランスクリティーク』が出たころであり、実際の運動としては、NAM(地域通貨)が試されたが、このビジョンはまさに本書で批判されている、貨幣発行の分権化であり、案の定失敗してしまった。本来は、本書で提案されている、貨幣発行の集権化がなされるべきであり、通貨発行益を国民(人民)のものとすべきであろう。それによって、生産性の高まりに見合った需要を発生させることができる。そもそも、現代の資本主義の問題は、サイプライサイドではなくディマンドサイドにある。これは、本書でも指摘されているが、ケインズも指摘していることであり、これから、AIで生産性が劇的に高まるとすると、需要の喚起の重要性が決定的に重要となり、ベーシックインカムこそがそれを解決する手段であり、労働からの解放へとつながる。(しかし未だ政策当局は生産性、すなわちサプライサイドを問題とする傾向がある様であり、この認識はなかなか改まらないのかもしれない。)
最後に、著者への要望としては、柄谷行人と対談してほしいものだ。柄谷は、経済学部出身ではあるものの、マクロ経済学に詳しくなかったので方法論は間違っていたが、結局、目指したかったのは本書のようなことなのではないか、と思う。
著者は資本主義の特徴である、技術革新を極限まで高めて、近代的労働イデオロギーから脱する、というビジョンを提示している。
浅田彰『構造と力』、岩井克人『貨幣論』、柄谷行人『マルクスその可能性の中心』、これらの書物の延長線上にこの書物をあえて位置づけてみてはどうだろうか。すなわち、反時代的ポストモダンの書物として。一見誤解を招くかもしれないが、近代的(モダン)労働観を超える点では本書は正にポストモダンの系譜に位置づけられるといえよう。(ちなみに、著者も以前ツイッターで柄谷への評価を示していた気がする。)
ところで、日本におけるポストモダンは、経済状況、すなわちバブル崩壊により説明能力を失ったという見方もできる。ちょうど、田中角栄の『日本列島改造論』がオイルショックとそれに伴う狂乱物価で実現しなかった様に。その後、浅田や柄谷らは「左旋回」(仲正昌樹)したが、左派は具体的ビジョンを提示できずにいた。せいぜいが、本書でも指摘されているが、ブレアの「第三の道」位であった。
新自由主義か第三の道か。このどっちへ行っても行き止まりのようなビジョンがバブル崩壊後の失われた10年(まだ10年!)の頃の経済思想状況だったのかもしれない。以下、長くなるが評者の個人史とも合わせつつ、本書のビジョンについて考えてみる。
著者より少し年少の評者は奇しくも、著者の大学院と同じ早稲田政経(学部)に入学した。著者の経歴からすると、著者が企業を辞めて早稲田経済研究科へ入学するのとほぼ同時期位である。なお、その頃は、早稲田の教授では元経済企画庁経済研究所長貞廣彰、現日銀副総裁若田部昌澄らが、すでに金融政策の重要性を説いていた。ちなみに、残念ながら受講しなかったが高橋洋一も確か土曜に非常勤講師として出講していた。また、著者の指導教官(?)の笹倉和幸のマクロ経済学を評者は受講した。ちなみに、相当ケインジアン的なブランシャール『マクロ経済学』が教科書とされていた。著者のリフレ的政策観点にも彼らの影響があるのかもしれない。ちなみに、ネットで検索できるが、著者の博士論文の副査の一人はリフレ派の浅田統一郎である。
リフレは今ではアベノミクスの政策に取り入れられ、日銀はインフレターゲットを導入しているものの、あの頃はそのような政策を訴える人は極めてマイノリティーであり、ネット掲示板(いちごびびえす)での議論が主な情報元だった。
不況に対するろくな政策も発動されない状況のもと、就職市場は買い手市場であり、やたら自己分析が重視されていた。さらに、仕事を通じた自己実現、労働イデオロギーが強化された時期でもあった様に思う。
左派からはその様なイデオロギーを批判したりネグリやアウトノミア運動やダメ連なんどの代替案は示されたものの、政策的なビジョンにはなり得ない様にも思えた。数少ない、左派的ビジョンも包括し得る説得的な議論としては、稲葉振一郎『経済学という教養』が金融緩和とシバキ主義批判をし、代替案を示した位であった。このビジョンはのちのリベラル懇話会へと繋がったかのように思えるが、現在でさえ、多数の野党政治家は残念ながらこの立場は未だとっていない。
著者もちょうどロスジェネ世代であり、あの頃の時代の雰囲気への批判が本書に反映されているのかもしれない。学問もろくにせずに、ゼミを休んでまで就活に励む、というのも、厳しい就職状況のもとではやむを得ないのかもしないが。せっかく大学へ行ったのだからきちんと就職したい、というのも当然ではあるが。本書でも引かれてるアーレントの言葉を借りれば、政策の失敗で「労働」があまりに重視され、「仕事」や「活動」があまりに蔑ろにされた状況であったのでないか。
しかし、最近では、主に金融政策の影響と考えられるが、新卒就職市場は相当な売り手市場となったものの、依然として就活は相当学生を拘束する悪習が残存している様にも思え、労働イデオロギーは弱まる気配もない。この意味で、本書は反時代的である。(ちなみに、長期的には、就活により大学生に人的資本が十分に蓄積せず、経済成長への阻害要因となっているのではないか、とすら思える。
ところで、評者が学生時代はちょうど柄谷行人『トランスクリティーク』が出たころであり、実際の運動としては、NAM(地域通貨)が試されたが、このビジョンはまさに本書で批判されている、貨幣発行の分権化であり、案の定失敗してしまった。本来は、本書で提案されている、貨幣発行の集権化がなされるべきであり、通貨発行益を国民(人民)のものとすべきであろう。それによって、生産性の高まりに見合った需要を発生させることができる。そもそも、現代の資本主義の問題は、サイプライサイドではなくディマンドサイドにある。これは、本書でも指摘されているが、ケインズも指摘していることであり、これから、AIで生産性が劇的に高まるとすると、需要の喚起の重要性が決定的に重要となり、ベーシックインカムこそがそれを解決する手段であり、労働からの解放へとつながる。(しかし未だ政策当局は生産性、すなわちサプライサイドを問題とする傾向がある様であり、この認識はなかなか改まらないのかもしれない。)
最後に、著者への要望としては、柄谷行人と対談してほしいものだ。柄谷は、経済学部出身ではあるものの、マクロ経済学に詳しくなかったので方法論は間違っていたが、結局、目指したかったのは本書のようなことなのではないか、と思う。
2018年8月21日に日本でレビュー済み
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近い将来、汎用AIが登場すれば、現在の労働者が従事している業務のうち、かなりの部分がAIに奪われことが懸念される。「クリエイティブな分野の仕事は依然として人間が担う必要がある」という意見があるが、著者の立場は「音楽界や芸能界で、食えるほど稼げる者はわずかしかいないことから見ても、楽観できない」である。
では、生活困窮者の大量発生にどう対処すべきか。現行の生活保護制度は、要件が厳しく、審査に時間とカネがかかる上に、自治体窓口での水際排除により、有資格者でも実際に受給するのは困難という問題点があるし、働いて収入を得ただけ支給額が減らされる仕組みなので、「貧困の罠」に陥りやすい。したがって、最低限度の生活を保証する金額を国民全員に一律支給するベーシックインカム(BI)制度(「国民一律に月7万円支給」)を導入すべきだと提案する。
著者は既に別著「人工知能と経済の未来」、「ヘリコプターマネー」等でAIとBIについて論じてきているので、本レビューでは、本書での新しい論点(第5章)についてコメントする。
第5章で著者は、BI制度導入に向けての大きな社会的障害として、政治家のイデオロギー的反発と勤労者の拒否反応がありうるとして考察している。
1つ目の政治家のイデオロギー的反発では、右派・左派の双方にBI支持者がいる反面、右派の中には「高福祉・高負担で経済的な自由を脅かす施策ではないか」と反発する者があり、逆に左派の中には「社会福祉政策をBIに一本化することにより福祉後退を招くのではないか」と懸念する者もいるという。同じBI制度を右派・左派が真逆の理由で批判しているわけだが、著者は、右派・左派を互いに一本の評価軸の反対側と考えると上記のような奇妙な対立に見えるのであって、「自由経済=統制経済」と、「経済的平等を指向=不平等を許容」という2軸で考えれば、著者のBI案は、「自由経済の下で、国が整備するセーフティーネット」と整理されるというのである。
「相手方が支持するから、当方は反対する」という類いの政策ではないという趣旨だろう。
2つ目の勤労者の拒否反応とは、「働こうとしない怠け者にまでなぜ一律支給するのだ」という反発で、この儒教的エートス(この場合は「勤勉の美徳」)が最大の障害になりうる。本書によると、西欧諸国にしろ、日本にしろ「勤勉の美徳」が一般国民に刷り込まれたのは近世以降、隣国との総力戦に勝利する目的だったので、意外に歴史の浅いものに過ぎないらしい。したがって、勤勉が我が国の美徳であるかのごとく考える必要などないし、また、「怠け者は、努力する能力を運悪く欠如して生まれた・育った者だと考えれば一種のハンディキャップと考えられないか(勤勉な者は努力する能力を運良く獲得できた)」と指摘する。詳細は本書を読んでいただきたいが、すぐに納得できる内容ではないもののなかなか興味深く、BI導入の検討を始めている国々では既にそのような議論がなされているのかもしれない。
怠け者が含まれるからといって、BI全体を否定してしまうのも如何なものかとは感じた。
また、BIを固定部分(税財源)と変動部分(貨幣発行益)の2階建てに設計するという話もアイデアとしては面白い。著者のBI論が徐々に深化しており、おススメである。
では、生活困窮者の大量発生にどう対処すべきか。現行の生活保護制度は、要件が厳しく、審査に時間とカネがかかる上に、自治体窓口での水際排除により、有資格者でも実際に受給するのは困難という問題点があるし、働いて収入を得ただけ支給額が減らされる仕組みなので、「貧困の罠」に陥りやすい。したがって、最低限度の生活を保証する金額を国民全員に一律支給するベーシックインカム(BI)制度(「国民一律に月7万円支給」)を導入すべきだと提案する。
著者は既に別著「人工知能と経済の未来」、「ヘリコプターマネー」等でAIとBIについて論じてきているので、本レビューでは、本書での新しい論点(第5章)についてコメントする。
第5章で著者は、BI制度導入に向けての大きな社会的障害として、政治家のイデオロギー的反発と勤労者の拒否反応がありうるとして考察している。
1つ目の政治家のイデオロギー的反発では、右派・左派の双方にBI支持者がいる反面、右派の中には「高福祉・高負担で経済的な自由を脅かす施策ではないか」と反発する者があり、逆に左派の中には「社会福祉政策をBIに一本化することにより福祉後退を招くのではないか」と懸念する者もいるという。同じBI制度を右派・左派が真逆の理由で批判しているわけだが、著者は、右派・左派を互いに一本の評価軸の反対側と考えると上記のような奇妙な対立に見えるのであって、「自由経済=統制経済」と、「経済的平等を指向=不平等を許容」という2軸で考えれば、著者のBI案は、「自由経済の下で、国が整備するセーフティーネット」と整理されるというのである。
「相手方が支持するから、当方は反対する」という類いの政策ではないという趣旨だろう。
2つ目の勤労者の拒否反応とは、「働こうとしない怠け者にまでなぜ一律支給するのだ」という反発で、この儒教的エートス(この場合は「勤勉の美徳」)が最大の障害になりうる。本書によると、西欧諸国にしろ、日本にしろ「勤勉の美徳」が一般国民に刷り込まれたのは近世以降、隣国との総力戦に勝利する目的だったので、意外に歴史の浅いものに過ぎないらしい。したがって、勤勉が我が国の美徳であるかのごとく考える必要などないし、また、「怠け者は、努力する能力を運悪く欠如して生まれた・育った者だと考えれば一種のハンディキャップと考えられないか(勤勉な者は努力する能力を運良く獲得できた)」と指摘する。詳細は本書を読んでいただきたいが、すぐに納得できる内容ではないもののなかなか興味深く、BI導入の検討を始めている国々では既にそのような議論がなされているのかもしれない。
怠け者が含まれるからといって、BI全体を否定してしまうのも如何なものかとは感じた。
また、BIを固定部分(税財源)と変動部分(貨幣発行益)の2階建てに設計するという話もアイデアとしては面白い。著者のBI論が徐々に深化しており、おススメである。