対人地雷関係の短編六作と著者の処女作を含む。
前者はNGOメンバー絡みの作品と陸上自衛官絡み、両者が絡むもの、
どちらも絡まないものが混在します。
「地雷原突破」はまるで<ビートたけしのお笑いウルトラクイズ>のような
舞台設定で、犯人側の視点に立てば、いかに偽地雷を踏ませずに本物の地雷を
踏ませるかを巧緻な実践的論理で謀っています。
「利口な地雷」はテグス・ロッド・金槌という道具立てによる罠に陥ったかに
みえた被害者がじつは犯人の策略で別の殺害方法をとらされており、
物語に逆説的な効果をもたらしています。
「顔のない敵」はカンボジアの対人地雷埋設区域の村に住む代議士の息子が
地雷の被害にあう。頭と手首だけ吹き飛ばされていることを疑問視され
殺人事件と断定。ミステリ的興趣よりも毒をもって毒を制すという考えが招いた悲劇に
テーマの重さを痛感します。
「トラバサミ」は緊迫感に欠くものの罠探しのヒントが犯人の心理状態にあり、
一種のゲーム性を帯びている。
残る二編はやや質が落ちるような気がして竜頭蛇尾の感は否めないが、
総じて読み応えのある対人地雷ミステリといえるだろう。
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顔のない敵 (カッパ・ノベルス) 新書 – 2006/8/22
石持 浅海
(著)
- 本の長さ287ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2006/8/22
- ISBN-104334076394
- ISBN-13978-4334076399
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2006/8/22)
- 発売日 : 2006/8/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 287ページ
- ISBN-10 : 4334076394
- ISBN-13 : 978-4334076399
- Amazon 売れ筋ランキング: - 663,364位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西澤保彦が紹介していた『暗い箱の中で』(エレベーター内の密室殺人)を目当てに購入しましたが、対人地雷というテーマだけでこんなにバリエーションに富んだ状況、舞台、事件、謎を描いたミステリーが書けるのか、と驚愕した短編集。
少人数の登場人物のなかで緻密にロジックを積み重ねていくタイプの推理も好みでした。
少人数の登場人物のなかで緻密にロジックを積み重ねていくタイプの推理も好みでした。
2007年7月17日に日本でレビュー済み
殺人の凶器としての地雷が利用される物語、表題作『顔のない敵』などの
作品は、もちろん悪くは無いと思ったが、やはり残酷過ぎる気がして、
私にはどちらかというと、『銃声でなく、音楽を』などの
地雷に関わる人間の周囲で事件が起こるという作品の方が、興味深く感じられた。
特に、地雷の恐怖、地雷除去NGOの苦労というすぐ思い至る面だけでなく、
人間関係や資金繰りなどのボランティアや開発途上国の醜い現実などにも
スポットを当てた作品になっている点が、真実味や怖さ、命の重さを
改めて感じさせられたし、心に残った。
また、処女作は地震で停まってしまったエレベーター内という
すぐ犯人が判る中での犯罪に走る犯人の動機はいまひとつだが、
普通の日常で簡単に普通の人が殺人を犯すことが起こり得る怖さを
感じさせられ、なかなか面白く思えた。
作品は、もちろん悪くは無いと思ったが、やはり残酷過ぎる気がして、
私にはどちらかというと、『銃声でなく、音楽を』などの
地雷に関わる人間の周囲で事件が起こるという作品の方が、興味深く感じられた。
特に、地雷の恐怖、地雷除去NGOの苦労というすぐ思い至る面だけでなく、
人間関係や資金繰りなどのボランティアや開発途上国の醜い現実などにも
スポットを当てた作品になっている点が、真実味や怖さ、命の重さを
改めて感じさせられたし、心に残った。
また、処女作は地震で停まってしまったエレベーター内という
すぐ犯人が判る中での犯罪に走る犯人の動機はいまひとつだが、
普通の日常で簡単に普通の人が殺人を犯すことが起こり得る怖さを
感じさせられ、なかなか面白く思えた。
2018年1月15日に日本でレビュー済み
デビュー作と1999-2006年頃に書かれた対人地雷をテーマにした短編6編。舞台はカンボジアだったり、日本だったり、ベルギーだったりロンドンだったりとなかなか楽しい。日本人の対地雷に取り組む人々が主人公になっている。地雷関連の話は連作だが、ちょっとづつテーマも異なっており、あきさせない。最後に収められているエレベーター内の殺人をテーマにしたデビュー作もなかなか読み応えあり。
他の作品も読んだことがあるような気がするが、覚えていない。
他の作品も読んでみることにしようと思う。
他の作品も読んだことがあるような気がするが、覚えていない。
他の作品も読んでみることにしようと思う。
2015年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
トラップハウスを読んで作者がきになりました どのストーリー展開にい
楽しく読ませてもらいました
楽しく読ませてもらいました
2009年2月22日に日本でレビュー済み
著者の処女作を含む短編集。
ただ、この処女作がくせ者。
他の6編はいずれも対人地雷をテーマとし、登場人物もすこしずつオーバーラップしていて、
短編集として一貫したテーマを多彩な切り口で披露して見せた
高い完成度の申し分のない作品集といえます。
しかし処女作という「暗い箱の中で」がその統一感をぶち壊します。
この作品がそうまでしても収録したいできばえの作品かというと、
確かに動機とかエンディングとかいかにもこの著者らしい片鱗は伺えるのですが、
無理にここに収めるほどの価値があったかどうか疑問です。
この1作を除けば、大変優れた作品集だと思います。
ただ、この処女作がくせ者。
他の6編はいずれも対人地雷をテーマとし、登場人物もすこしずつオーバーラップしていて、
短編集として一貫したテーマを多彩な切り口で披露して見せた
高い完成度の申し分のない作品集といえます。
しかし処女作という「暗い箱の中で」がその統一感をぶち壊します。
この作品がそうまでしても収録したいできばえの作品かというと、
確かに動機とかエンディングとかいかにもこの著者らしい片鱗は伺えるのですが、
無理にここに収めるほどの価値があったかどうか疑問です。
この1作を除けば、大変優れた作品集だと思います。
2010年1月21日に日本でレビュー済み
対人地雷をテーマにしたミステリー短編+著者の処女作。
舞台やアプローチの仕方がバラエティに富み、本格ミステリーのパターンにもバラエティに富んでいる。
重いテーマーを扱っているが、エンターテインメント性も兼ね備えており読みやすい作品です。
舞台やアプローチの仕方がバラエティに富み、本格ミステリーのパターンにもバラエティに富んでいる。
重いテーマーを扱っているが、エンターテインメント性も兼ね備えており読みやすい作品です。