人は名もなき毒にやられ、見えない傷を負う。時間と共に癒える傷もあるが、毒を吐く源になる傷もある。現代社会に潜む狂気を、嘘や貧困、暴力、妬み、絶望で顕在化させ、そこに人物を配置する。
杉村さんの視点で全編語られる。杉村さんの見る対象の一つひとつは、どこにでもあるリアルな事柄だけれども、それが妙な角度で重なると途轍もない怪物になることを示してくれる。
この物語は一見、どこまでもリアルを追求しているように思えるのだが、唯一リアルでないのは、杉村さんだ。彼みたいな男性がいるのだろうか。人間というもの、もっとするくて、もっとエロくて、もっと臆病で、もっと計算高いと思う。宮部さんの頭の中にいる男性というのは、ここまで穏やかなのだろうか。
一方で、杉村さんの「事件」への首の突っ込み方は普通ではない。もっと保身が働き、計算高く振る舞うはずなのに・・・「どうして、そうするの」「どうして、そこに行くの」と何度も何度も何度も思いながら、読み進めた。
物語なのだとは理解している。主人公のリアリティの無さが、そこで起きる事件を際立たせているのは確かで、これは、宮部さん的小説的手法なのだと無理やり納得している。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
サンプル サンプル
名もなき毒 (カッパ・ノベルス) 新書 – 2009/5/21
宮部 みゆき
(著)
第41回(2007年) 吉川英治文学賞受賞
- 本の長さ461ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2009/5/21
- ISBN-104334076831
- ISBN-13978-4334076832
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 光文社; 初版 (2009/5/21)
- 発売日 : 2009/5/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 461ページ
- ISBN-10 : 4334076831
- ISBN-13 : 978-4334076832
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,045,838位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1960年生まれ。東京都出身。東京都立墨田川高校卒業。
法律事務所等に勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。
1992年 「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞長編部門、 同年「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞。1993年 「火車」で第6回山本周五郎賞。1997年 「蒲生邸事件」で第18回日本SF大賞。1999年 「理由」で第120回直木賞。2001年 「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞 、 第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門をそれぞれ受賞。2007年 「名もなき毒」で第41回吉川英治文学賞受賞。2008年 英訳版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award 受賞。2022年 第70回菊池寛賞受賞。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
杉村三郎シリーズ第2弾も、宮部みゆきさんの筆力で読ませる、読み応えのある作品だった。逆玉の腰で、資産家の娘と結婚した杉村三郎は、平凡な男で、彼が自分なりに奮闘するも、原田いずみに振り回されて、散々な目にあうのが、リアリティの感じられる所だ。原田いずみが、自分の兄に乱暴されたと虚言を吐き、兄の結婚式を台無しにしたエピソードで、彼女の虚言が本当なら、と考える場面がある。それなら彼女が傷付き、人格が破綻した事に説明が付くのだ。が実際には、そのような分かり易い理由などないのに、彼女の人格は破綻してしまった。その理由を考えるに、人の心を蝕む「毒」があったのではないか、と読者に思わせる作者の筆致が素晴らしい。一見本筋と無関係に思える、杉村の妻が新居に抱いた不安が、利いて来るのだ。
そして、杉村の娘が危機一髪の苦境に陥った時、毒殺犯の気弱な青年が割って入る、ストーリーテリングが見事。タイトルもそうだが、「毒」にこだわった面白いストーリーだった。杉村が決して名探偵でなく、むしろ犯人に翻弄される情けない男なのが、多少消化不良気味だけど、単純な勧善懲悪でなく、読者に考えさせる作品である。
そして、杉村の娘が危機一髪の苦境に陥った時、毒殺犯の気弱な青年が割って入る、ストーリーテリングが見事。タイトルもそうだが、「毒」にこだわった面白いストーリーだった。杉村が決して名探偵でなく、むしろ犯人に翻弄される情けない男なのが、多少消化不良気味だけど、単純な勧善懲悪でなく、読者に考えさせる作品である。
2022年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本、ホントに宮部みゆきさんの著作?と思うくらい、軽く読み進むことができます。青酸カリの事件、トラブルメーカーのもと社員の件、サクサク読めます。宮部みゆきさんの作品は、いつも眠れないくらい、ドキドキして読みますが、このシリーズは、2~3ページ行かないうちに寝てしまいます。普通の小説です。たまには、こういう作品があっても良いか、と感じました。
2021年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本郵便の配達でしたが土、日をはさんでいたのか
4日には届きませんでした
品物はきれいでした
4日には届きませんでした
品物はきれいでした
2015年12月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古い作品のようですが 病院の待ち時間にそこの書棚のを ふと読み始め 続きが読みたく ネットで探し購入しました 宮部みゆきさんは 読み進んでいる時が楽しい時間です ストーリーが良いのでしょうね
2021年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
宮部みゆきは、天才。どの作品も引き込まれて読みます。人を一面で判断できない存在と、改めて考えさせられます‼️
2018年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は知らない方が楽しめるのでふれずにおきます
人間の心の闇と光を描いており読みごたえがあり感動します
人間の心の闇と光を描いており読みごたえがあり感動します