本書は「紅鶴屋敷」と「五月雨殺し」の２編からなる。
浜町河岸で越後屋の番頭の死体が発見された。身分不相応の持物を身につけた番頭
の肩に赤い鶴の刺青があった。大名の絡んだ抜け荷事件と睨んだ遠州屋小吉に奉行
所与力から捜査打切りの圧力がかかる。思い余った小吉は若さまに相談。神奈川台
に紅鶴屋敷と呼ばれる越後屋の寮があると聞いた若さまは、剣難、女難をかいくぐ
って、紅鶴屋敷に乗り込む。
「五月雨殺し」は、二重生活者の殺人事件。ある寺の廃屋で、かつぎ小間物屋の死
体が発見された。現場をつぶさに調べた若さまは近所の質屋の身内を呼んで遺体を
見せたが、驚いたことに仏は質屋の主人だった。小吉親分は、質屋の番頭をお縄に
したが、若さまは持ち前の観察力と推理力で番頭の濡れ衣を晴らす。
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