岡本綺堂はかの元祖捕物帳と言える「半七捕物帳」の作者で、半七もの以外に怪奇ものや人情系の短編をたくさん執筆しています。
これはそのホラー系の作品を集めたもので、一つ一つの話は短いものの、江戸末期〜明治期に生きた作者ならではの時代背景や風俗の描写、劇作家でもあることによる切れ味のよい展開で、全く古さを感じさせない素晴らしい内容の短編ぞろいです。
個人的に印象深かったのは、「くろん坊」「怪獣」でした。
前者は幕末の山国を舞台にした妖怪譚、後者は一種の呪術小説で、ストーリーに引き込まれて一気に読破しました。
半七捕物帳と並び、心からお勧めします。
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鷲 (光文社文庫 お 6-11) 文庫 – 1990/8/1
岡本 綺堂
(著)
- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日1990/8/1
- ISBN-104334711960
- ISBN-13978-4334711962
登録情報
- 出版社 : 光文社 (1990/8/1)
- 発売日 : 1990/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 270ページ
- ISBN-10 : 4334711960
- ISBN-13 : 978-4334711962
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,360,420位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こういう話は好きです。明瞭な説明もないがすっと後をひくような余韻があってよい。いかにも何か因果因縁めいたものを感じる日本の怪談。また興醒めな仏教説話にしてないところもよい。岡本綺堂の語り口がきいた良作でした。
2018年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ホラーの性質が濃い内容を集めた短編集ですが、確かに恐怖や不吉など負のオーラを漂わせた雰囲気が個人的に好みではあります。しかし巻末に添えられた解説を読んで気づきましたが、一番の魅力は登場人物の心の描写であると教えられました。鰻に呪われた夫との縁を断つことなく待ち続ける女性、自分の子供を守るために自己犠牲を果たす母親、人間に裏切られた山人の無念とその亡霊を鎮める孤独な僧侶。
現代のホラー映画にすっかり欠けている大事なものを見つけました。
現代のホラー映画にすっかり欠けている大事なものを見つけました。
2009年3月1日に日本でレビュー済み
1990年に光文社文庫として出たものの新装版。文字が大きくなっている。
岡本綺堂の怪談を集めたもので、「鷲」「兜」「鰻に呪われた男」「怪獣」「深見夫人の死」「雪女」「マレー俳優の死」「麻畑の一夜」「経帷子の秘密」「くろん坊」の10篇が収められている。
綺堂らしく味わい深い怪談だ。幽霊とか怪物とかの生々しい恐怖ではなく、微妙な筆調と雰囲気で読ませる物語であった。大人の怪談とでもいうべきか。
印象に残ったのは「くろん坊」。飛騨山中の怪異を語ったものだが、なんともいえない恐さがある。「兜」も嫌な話だ。
日本の昔話やコナン・ドイルなど、東西の物語を利用したものが目に付いた。綺堂の創作の過程も見えてくるような一冊であった。
ただ、綺堂の怪談集としては、光文社文庫の他の選集とくらべて、少し落ちるかも知れない。
岡本綺堂の怪談を集めたもので、「鷲」「兜」「鰻に呪われた男」「怪獣」「深見夫人の死」「雪女」「マレー俳優の死」「麻畑の一夜」「経帷子の秘密」「くろん坊」の10篇が収められている。
綺堂らしく味わい深い怪談だ。幽霊とか怪物とかの生々しい恐怖ではなく、微妙な筆調と雰囲気で読ませる物語であった。大人の怪談とでもいうべきか。
印象に残ったのは「くろん坊」。飛騨山中の怪異を語ったものだが、なんともいえない恐さがある。「兜」も嫌な話だ。
日本の昔話やコナン・ドイルなど、東西の物語を利用したものが目に付いた。綺堂の創作の過程も見えてくるような一冊であった。
ただ、綺堂の怪談集としては、光文社文庫の他の選集とくらべて、少し落ちるかも知れない。