清水氏による自伝的小説シリーズ「青山物語」最終巻。書く時間が欲しい、上京してはや8年、若者文化研究所フィールドのナンバー2の座にまで登りつめた義彦は、正社員から嘱託になる。義彦にもフィールドにも転機が訪れようとしていた・・・。
清水氏が意図しているかどうか、主人公が人生のステージにあわせて、変化していくところがこのシリーズの良さだと思います。若くて希望に満ちた1971、スランプに落ち込む1974と本書の大きな違いは、主人公が大人になり、現実的になっていることではないでしょうか? 知恵も自信もついて、淡々とトラブルをのりきって行けるようになっています。加えて、8年間の蓄積が何だかんだ言ってものになっていく様子が、素晴らしいです。初心忘れるべからず、石の上にも三年、そんな言葉が浮かびました。作家を目指す人にはぜひ勧めたいシリーズです。
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青山物語1979 郷愁完結編 (光文社文庫 し 6-19) 文庫 – 2004/1/1
清水 義範
(著)
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2004/1/1
- ISBN-104334736165
- ISBN-13978-4334736163
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2004/1/1)
- 発売日 : 2004/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 280ページ
- ISBN-10 : 4334736165
- ISBN-13 : 978-4334736163
- Amazon 売れ筋ランキング: - 695,135位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2005年1月7日に日本でレビュー済み
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2009年12月5日に日本でレビュー済み
平岡義彦という主人公を作りながら、清水義範の青年時代を彷彿とするような自伝的小説です。ファッション評論の仕事に従事していた1979年当時の青山での会社生活を中心に描いています。清水特有のテレもあるでしょうし、作風であるパロディによる人生の切り取りかと思いましたが、読み進めるうちに軽さの中にも、もがき悩む作者の分身と取り巻く人々の私生活が浮き彫りになり、青春の書といえる性質も持っていることに気付きました。
本書の解説は、清水義範の友人で、本書にも登場する花田吾一氏によって書かれています。虚実ないまぜの小説ですが、実際の姿や登場人物について、花田氏が解説でしっかりと書いていることもあり、小説の登場人物が本当に存在する人々として認識できました。様々なエピソードも脚色はあるにせよ、形やシチュエーションを変えて小説にして語られていますので、同時代の雰囲気が漂ってくるのもそのリアルな裏付けによるものなのでしょう。
1981年にCBSソニー出版から清水義範の最初の一般向け小説『昭和御前試合』がでたわけですが、そのいきさつも出版社名や状況を変えてそのまま書かれていますので、清水義範ファンとしては別の側面から、その作家生活のスタートを読むことになります。
『青山物語 1971』『青山物語 1974』に続く完結編ですが、筆者の青春をたどることで、あの時代の空気も感じ取ることができました。
本書の解説は、清水義範の友人で、本書にも登場する花田吾一氏によって書かれています。虚実ないまぜの小説ですが、実際の姿や登場人物について、花田氏が解説でしっかりと書いていることもあり、小説の登場人物が本当に存在する人々として認識できました。様々なエピソードも脚色はあるにせよ、形やシチュエーションを変えて小説にして語られていますので、同時代の雰囲気が漂ってくるのもそのリアルな裏付けによるものなのでしょう。
1981年にCBSソニー出版から清水義範の最初の一般向け小説『昭和御前試合』がでたわけですが、そのいきさつも出版社名や状況を変えてそのまま書かれていますので、清水義範ファンとしては別の側面から、その作家生活のスタートを読むことになります。
『青山物語 1971』『青山物語 1974』に続く完結編ですが、筆者の青春をたどることで、あの時代の空気も感じ取ることができました。
2004年5月16日に日本でレビュー済み
著者が青山でサラリーマンをしていた70年代を描いた自伝的小説三部作の完結編.
70年代最後の年,著者をモデルとする主人公は小説家として一歩踏み出すべく,自ら望んで嘱託となる.バブルの80年代を前に,この年は,著者自身にとっても,会社にとっても,そして時代的にも大きな転換期となったのだ.
10年近いサラリーマン生活を経てたくましく成長した主人公の姿は,彼の「青春時代」の終わりを告げるものでもあった.
過ぎ行く青春時代への郷愁がこの自伝的小説の背景に香る.社会風俗描写にも重点を置いた前二作と比べると,主人公の会社を舞台にした人間関係の描写にこの小説では重点が置かれている.
『青山物語』前二作およびエッセイ『青二才の頃』と読み比べれば,いっそう興味深いだろう.
70年代最後の年,著者をモデルとする主人公は小説家として一歩踏み出すべく,自ら望んで嘱託となる.バブルの80年代を前に,この年は,著者自身にとっても,会社にとっても,そして時代的にも大きな転換期となったのだ.
10年近いサラリーマン生活を経てたくましく成長した主人公の姿は,彼の「青春時代」の終わりを告げるものでもあった.
過ぎ行く青春時代への郷愁がこの自伝的小説の背景に香る.社会風俗描写にも重点を置いた前二作と比べると,主人公の会社を舞台にした人間関係の描写にこの小説では重点が置かれている.
『青山物語』前二作およびエッセイ『青二才の頃』と読み比べれば,いっそう興味深いだろう.