初めて読む作家。名前から想像しにくいけど女性作家。
タイトル通り、ぬるっとした感触の物語。
誰にも共感出来ない、というか誰の感情もうまく読み取れなった。
不倫物語だと、それが間違っているとか自己中心的だとかはあるにしても
不倫している理由とかきっかけが話の軸になると思うんだけど
この物語では、そのあたりはかなりさらっと流しててただの事実として扱われている感じ。
なんというか、作者すら主人公に距離をとっていて
そっちは勝手にやってくれみたいな。
夏休みの宿題の朝顔観察日記のよう。
それにしても、ジャンル分けの難しい小説だよなー。
恋愛小説に分類したいとこだけど、
主人公の主婦は別にちゃんとした恋愛してないし
不倫を軸にした家族小説でもないし
本人の成長物語でもないし
人間味薄い登場人物で人間ドラマって感じもないし。
文芸だからこそ成り立つ話。
映画やドラマでやったら、収集つかないわ、きっと。
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ヌルイコイ (光文社文庫) 文庫 – 2005/10/12
井上 荒野
(著)
- 本の長さ212ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2005/10/12
- ISBN-104334739504
- ISBN-13978-4334739508
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2005/10/12)
- 発売日 : 2005/10/12
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 212ページ
- ISBN-10 : 4334739504
- ISBN-13 : 978-4334739508
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,147,430位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。1989年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞し、デビュー。2004年『潤一』(新潮文庫)で第11回島清恋愛文学賞、2008年『切羽へ』(新潮社)で第139回直木賞を受賞。『あなたがうまれたひ』(福音館書店)など絵本の翻訳も手掛けている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年6月25日に日本でレビュー済み
「とてもとても恥ずかしい」かなw
から騒ぎの原因になった医者を相当恨むw有難がるより恨む。
オチに行くまでは「ンでもいいやん?身体の症状出て痛い苦しいしてるより、精神の葛藤の方がマシだからねえ」で、読後は「感染症だよね?部位によって違うの?」が気になり所でした。
個人的には滑稽話くくりです。
から騒ぎの原因になった医者を相当恨むw有難がるより恨む。
オチに行くまでは「ンでもいいやん?身体の症状出て痛い苦しいしてるより、精神の葛藤の方がマシだからねえ」で、読後は「感染症だよね?部位によって違うの?」が気になり所でした。
個人的には滑稽話くくりです。
2004年10月18日に日本でレビュー済み
雰囲気的には、
小川洋子さんに川上弘美さん色と江國香織さん色が入って、
生々しいところが無くなった。という感じか・・・?
恋愛小説は好んでは読まないのだけど、
恋愛なのか、人生観なのか、不思議物語なのかよく分からないまま
冷たい転びのぬるさの中で物語が進行してゆく。
虚無に近い寂しさを予感することもなく。
不思議そうなのだけど、現実感はきちんとあって。
登場人物はスッキリと美しい。
題と同じ温度感のある文体が好い。
読後に何か残るかというと、この温さ以外は無いかもしれないが、
そういった浸透度の高い作品が好きな方に。
小川洋子さんに川上弘美さん色と江國香織さん色が入って、
生々しいところが無くなった。という感じか・・・?
恋愛小説は好んでは読まないのだけど、
恋愛なのか、人生観なのか、不思議物語なのかよく分からないまま
冷たい転びのぬるさの中で物語が進行してゆく。
虚無に近い寂しさを予感することもなく。
不思議そうなのだけど、現実感はきちんとあって。
登場人物はスッキリと美しい。
題と同じ温度感のある文体が好い。
読後に何か残るかというと、この温さ以外は無いかもしれないが、
そういった浸透度の高い作品が好きな方に。
2003年9月2日に日本でレビュー済み
売れっ子童話作家である不倫相手に見下されている若くない、売れない童話作家の女・・・、これは負け女話かと楽しみに思い読み進める。
いくらもしないうちに、女が結婚していることがわかりがっかり。ただのW不倫か。(しかも彼女の夫はなかなかの良い男)
不倫相手以外にも女たらしと噂の若い男とトキメキあったり、不治の病を宣告されたり、でも最後には・・・。
そのあまりの展開が、かえって笑える。
この主人公が実際にいるならば、その勝ちへの嗅覚に是非弟子入りしたい。
主婦の童話とでもいうか、するりと読める文体です。
いくらもしないうちに、女が結婚していることがわかりがっかり。ただのW不倫か。(しかも彼女の夫はなかなかの良い男)
不倫相手以外にも女たらしと噂の若い男とトキメキあったり、不治の病を宣告されたり、でも最後には・・・。
そのあまりの展開が、かえって笑える。
この主人公が実際にいるならば、その勝ちへの嗅覚に是非弟子入りしたい。
主婦の童話とでもいうか、するりと読める文体です。
2008年12月1日に日本でレビュー済み
行き詰った仕事、崩壊した夫婦生活、セックスの道具としてただ利用されるだけの不倫関係、不治の病。
街でさまよううちに出会う男の子や老女たちにも死の臭いがただよっている。
ここまでのどん底でも、あきらめの中に、未来への静かな好奇心が、物語を前進させる。
結末はあっけにとられたが、作者にはいつかもう一度取り組んで欲しいテーマかもしれない。
街でさまよううちに出会う男の子や老女たちにも死の臭いがただよっている。
ここまでのどん底でも、あきらめの中に、未来への静かな好奇心が、物語を前進させる。
結末はあっけにとられたが、作者にはいつかもう一度取り組んで欲しいテーマかもしれない。
2005年11月12日に日本でレビュー済み
藤田香織の解説が、あまりに型通りな解説だけれども大きな役に立った解説だった。ここ暫く響く解説に出会わなかったが、この解説は役に立つことがあった。
それは、どうしてなつ恵が浜見に呼び出されるだけの不倫を続け、しかもそれが惰性ではなくはっきり好きだというのかということだ。理不尽でも、一方的でも、セックスだけでも、好きで終わらせられないこともあるということはもちろん随分前から頭では理解している。それでも何か完全には腑に落ちないところがあったのだが、藤田香織の解説ではっきりした。
「相手の不機嫌に慣れ、傷つくことに慣れ、諦めることにも慣れた。芸能マネージャーをしている夫は多忙で、ほとんど顔を合わせることもない。待つことをやめ、期待することをやめ、考えることをやめた。」
つまり、女は生きることをやめたとき、あんなふうに囚われてしまうんだ。理不尽な相手でも、理不尽な相手だから、嵌りこんでしまう。
彼女は迫る「死」を受け止め、それを夫に伝えられるようになったという事実が更に自分自身が「死」を受け止められているという認識となり、やめていた「生」を再び生き始めたのだ。だから、あの囚われから決別したのだ。
それは、どうしてなつ恵が浜見に呼び出されるだけの不倫を続け、しかもそれが惰性ではなくはっきり好きだというのかということだ。理不尽でも、一方的でも、セックスだけでも、好きで終わらせられないこともあるということはもちろん随分前から頭では理解している。それでも何か完全には腑に落ちないところがあったのだが、藤田香織の解説ではっきりした。
「相手の不機嫌に慣れ、傷つくことに慣れ、諦めることにも慣れた。芸能マネージャーをしている夫は多忙で、ほとんど顔を合わせることもない。待つことをやめ、期待することをやめ、考えることをやめた。」
つまり、女は生きることをやめたとき、あんなふうに囚われてしまうんだ。理不尽な相手でも、理不尽な相手だから、嵌りこんでしまう。
彼女は迫る「死」を受け止め、それを夫に伝えられるようになったという事実が更に自分自身が「死」を受け止められているという認識となり、やめていた「生」を再び生き始めたのだ。だから、あの囚われから決別したのだ。
2003年3月7日に日本でレビュー済み
前作「もう切るわ」というタイトルのひやりとした感じが忘れられず購入してしまった。余命いくばくもない、と宣告された人妻が若者と恋に落ちる…と、
あらすじだけを書くと随分メロドラマのようだ。だが、読んだ感触は全く違っていて、もうすぐ死んでしまう、という主人公の不安定さと登場する老婆や若者の不安定さが奇妙にシンクロしてそうっと関係が培われていく。そのそろそろ、ゆらり、とした感じこそが「ヌルイコイ」という所以なのだ。
中途半端なことをヌルイというのなら、このタイトルのヌルイは、ちょっと違うだろう。不確かなものに囲まれて、やっとわかる確かなもの。著者が伝えたいのはヌルイ水の中でちかっと痛みを感じるような熱なのかもしれない。
あらすじだけを書くと随分メロドラマのようだ。だが、読んだ感触は全く違っていて、もうすぐ死んでしまう、という主人公の不安定さと登場する老婆や若者の不安定さが奇妙にシンクロしてそうっと関係が培われていく。そのそろそろ、ゆらり、とした感じこそが「ヌルイコイ」という所以なのだ。
中途半端なことをヌルイというのなら、このタイトルのヌルイは、ちょっと違うだろう。不確かなものに囲まれて、やっとわかる確かなもの。著者が伝えたいのはヌルイ水の中でちかっと痛みを感じるような熱なのかもしれない。