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アメリカ第二次南北戦争 (光文社文庫 さ 28-1) 文庫 – 2010/4/8
佐藤 賢一
(著)
- 本の長さ504ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2010/4/8
- ISBN-104334747574
- ISBN-13978-4334747572
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/4/8)
- 発売日 : 2010/4/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 504ページ
- ISBN-10 : 4334747574
- ISBN-13 : 978-4334747572
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,134,881位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,370位光文社文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1968年、山形県鶴岡市生まれ。東北大学大学院文学研究科で西洋史学を専攻。93年、『ジャガーになった男』で第六回小説すばる新人賞を受賞。99年、『王妃の離婚』で第一二一回直木賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 フランス革命の肖像 (ISBN-13:978-4087205411)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年11月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
時は2016年,アメリカ第二次南北戦争は目下休戦中.主人公サトル(内閣官房調査官)は事情調査のため廃墟の Los Angeles に飛ぶ.ところがサトルはコンプレックスの塊みたいな人物で,まず肉体的劣等感に悩む.そこに肉体美と美貌を誇る17才の戦争孤児(自称イタリア娘)が現れる.サトルは劣等感を補おうと絶倫で答え,たちまち二人の間は抜き差しならぬ状態に陥る.南軍の New Orleans まで新婚と称して強行突破するが,ここで不完全人民こと有色人種の大暴動を惹き起し,休戦が破れる.フランス人の同僚に助けて貰い,廃墟の New York まで逃げるが,イラク人の経営する孤児収容所で母が日本人の5才の娘を養女にどうぞと押し付けられる.最後のParis便で Paris に着いた時は,サトルは一家の主.結果を見ればご立派なお手柄なのだ.この作品, 痛快で再読に耐える.
2011年1月18日に日本でレビュー済み
なんとなれば佐藤賢一だからだ
というわけで(どういうわけだか)久方ぶりの佐藤作品。氏の作品は現在進行形のシリーズものを除いて全て読んでいる。が、西洋歴史小説の雄、である佐藤氏においては相当に異色、なためにこれまで手を出さずにいたのが本作。この時期には本作と前後して『カポネ』や『女信長』といった、これまでと全く異なる時代・場所を舞台とする作品が発表されていたが、本書にいたっての題材はなんと「近未来のアメリカ」である。2013年1月3日、テキサス州ダラスでの大統領暗殺に端を発する「アメリカ合衆国」と「アメリカ連合国」とのthe civil war、つまるところアメリカを二分する内戦状態、というのが舞台になっている。そんな内戦状態の現場・背景を探るべく、本人は渋々ながらジャーナリストとして送り込まれた森山サトル(実は内閣官房広報室の職員)をレポーターにして物語は進む、、、
という設定にかねてよりの佐藤ファンはあまり芳しからぬ「軽さ」みたいなものを覚えるんじゃないかしらん。かくいう自分もそう。実際、この小説のウィークポイントもそこに在ったりはする。膨大な知識と情報量によって、一つの「史実」を、往時の「超人的」な人物の躍動をもって、劇的なスペクタクルとして再現してみせるその手法にこそ、作者の真骨頂がある、というようなことは『カポネ』でも書いたけど、同じ創作であるとはいえ「史実は小説よりも奇なり」という言葉もあるように、ヘタな仮想設定は必ずしも作者の本領を発揮する場とはなりえず、いわば二流のエンタメ小説になってしまうんじゃなかろうか、と思っていた。
ところがどっこい、そんな懸念を忘れさせのめり込ませるほどに面白かったよ本作。ようやくこっから感想に入るのだが(前置き長っ)、今作では「世界の警察」「世界のリーダー」たる「超大国アメリカ」を徹底的に見下しの視線で「差別」している。基本は森山サトルと大柄のアメリカ美女娘ヴェロニカ、義勇兵として内戦に身を投じている結城健人のトリオが、先の大統領暗殺事件の真相なんぞを追いかけながら全米を奔走するドタバタ調の活劇なんだが、行く先々で目にする「アメリカ的」な光景、思考、行動に大小の疑問符を投げ掛けながら、ついには「世界の厄介者」たるアメリカの素顔を冷徹なまでの視線で露わにしている。「あんた、ぴょこぴょこディックたちすぎよ」とかいうお口アングリな発言をところ構わずぶっ放すヴェロニカ嬢はじめ、猥談にも通じるパワフルさ、お馬鹿さ、自棄っぱちな自嘲テイスト満載で突き進む人間劇的エンターテイメントは並ならぬ活力を弾き出している。そんなドタバタ調だからか余計に、「世界の鼻つまみ者」たるアメリカの、しかも自省することのない「猿っぷり」、その行動原理なんぞはカルト教団のそれと全く変わらない、、、といったような蔑みと同質の批評が少なからぬショックで突き刺さる。それはこの物語の目である森山サトルの弁に同じく、戦後その姿を大いなる憧れをもって追いかけてきた日本人の、憐れみと反発と憎しみと擁護とがない混ぜになった複雑な感情の痛みなんだろうと思う。こんなクリティシズムを強烈に発揮し、しかも存分に効果させているという意味で、今作での佐藤氏の新たな試みは非常に魅力的な成果として結実している。読前の「ただのエンタメ小説化」は全く杞憂であった。付け加えると、感情の飛翔と急降下を乱暴なまでに繰り返すその独特の文体(なんとなれば、佐藤賢一だからだ)の威力は本作でも如何なく発揮されているので、従来からのファンで同じように喰わず嫌いしてる人は迷わず手に取り読むべし。
というわけで(どういうわけだか)久方ぶりの佐藤作品。氏の作品は現在進行形のシリーズものを除いて全て読んでいる。が、西洋歴史小説の雄、である佐藤氏においては相当に異色、なためにこれまで手を出さずにいたのが本作。この時期には本作と前後して『カポネ』や『女信長』といった、これまでと全く異なる時代・場所を舞台とする作品が発表されていたが、本書にいたっての題材はなんと「近未来のアメリカ」である。2013年1月3日、テキサス州ダラスでの大統領暗殺に端を発する「アメリカ合衆国」と「アメリカ連合国」とのthe civil war、つまるところアメリカを二分する内戦状態、というのが舞台になっている。そんな内戦状態の現場・背景を探るべく、本人は渋々ながらジャーナリストとして送り込まれた森山サトル(実は内閣官房広報室の職員)をレポーターにして物語は進む、、、
という設定にかねてよりの佐藤ファンはあまり芳しからぬ「軽さ」みたいなものを覚えるんじゃないかしらん。かくいう自分もそう。実際、この小説のウィークポイントもそこに在ったりはする。膨大な知識と情報量によって、一つの「史実」を、往時の「超人的」な人物の躍動をもって、劇的なスペクタクルとして再現してみせるその手法にこそ、作者の真骨頂がある、というようなことは『カポネ』でも書いたけど、同じ創作であるとはいえ「史実は小説よりも奇なり」という言葉もあるように、ヘタな仮想設定は必ずしも作者の本領を発揮する場とはなりえず、いわば二流のエンタメ小説になってしまうんじゃなかろうか、と思っていた。
ところがどっこい、そんな懸念を忘れさせのめり込ませるほどに面白かったよ本作。ようやくこっから感想に入るのだが(前置き長っ)、今作では「世界の警察」「世界のリーダー」たる「超大国アメリカ」を徹底的に見下しの視線で「差別」している。基本は森山サトルと大柄のアメリカ美女娘ヴェロニカ、義勇兵として内戦に身を投じている結城健人のトリオが、先の大統領暗殺事件の真相なんぞを追いかけながら全米を奔走するドタバタ調の活劇なんだが、行く先々で目にする「アメリカ的」な光景、思考、行動に大小の疑問符を投げ掛けながら、ついには「世界の厄介者」たるアメリカの素顔を冷徹なまでの視線で露わにしている。「あんた、ぴょこぴょこディックたちすぎよ」とかいうお口アングリな発言をところ構わずぶっ放すヴェロニカ嬢はじめ、猥談にも通じるパワフルさ、お馬鹿さ、自棄っぱちな自嘲テイスト満載で突き進む人間劇的エンターテイメントは並ならぬ活力を弾き出している。そんなドタバタ調だからか余計に、「世界の鼻つまみ者」たるアメリカの、しかも自省することのない「猿っぷり」、その行動原理なんぞはカルト教団のそれと全く変わらない、、、といったような蔑みと同質の批評が少なからぬショックで突き刺さる。それはこの物語の目である森山サトルの弁に同じく、戦後その姿を大いなる憧れをもって追いかけてきた日本人の、憐れみと反発と憎しみと擁護とがない混ぜになった複雑な感情の痛みなんだろうと思う。こんなクリティシズムを強烈に発揮し、しかも存分に効果させているという意味で、今作での佐藤氏の新たな試みは非常に魅力的な成果として結実している。読前の「ただのエンタメ小説化」は全く杞憂であった。付け加えると、感情の飛翔と急降下を乱暴なまでに繰り返すその独特の文体(なんとなれば、佐藤賢一だからだ)の威力は本作でも如何なく発揮されているので、従来からのファンで同じように喰わず嫌いしてる人は迷わず手に取り読むべし。
2007年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちょっと未来の、しかし荒唐無稽とは言えない物語。著者は歴史が好きで、フランスが好きで、乗り物(バイクとか・・・)が好きで、そういう好きなもの満載で書いています。そしてできるだけ極悪人は作らないで、人を生かそうとするところが、「毎度のことながら」と思いつつも、私には心地良かったです。こちらの歴史好きも試されているような設定。アメリカ合衆国やその国の人々の言う自由や愛国心とやらも、日本人(その他の)のアメリカへの目線も何だか皮肉が利いていて面白い。舞台がニューオリンズになった時には「ははーん、そうくるか」と思わずニヤついてしまいました。いつもちょっと気になるのは女性の描き方かと思うのですが。
2012年1月30日に日本でレビュー済み
いつも佐藤賢一氏の小説は、楽しく読ませていただき、今回の第2次南北戦争も楽しく読ませて頂きましたが
アメリカ在住の立場で何点か突っ込ませて頂きます
1 設定では合衆国政府が西海岸、東海岸の州を支配している。そしてアメリカ連合が内陸部を支配しているが
経済規模的に考えて、南部の州が独立戦争を起こしたとしても、経済的に立ちいかなくなる。
理由は、米国経済が海沿いの州の都市を中心とする貿易、もしくは貿易に付随する生産物で連邦政府を維持し、
仮に合衆国軍が、海岸部を無視した独立戦争を実施した場合、すぐに兵糧攻めにあい、立ち行かなくなる。
2 仮に独立をしたとしても
経済的な理由で、結局連邦に吸収されるのが関の山です。仮に五大湖工業地帯を支配していたとしても、
合衆国軍がその五大湖工業地帯を空爆した場合、一挙に連合軍は経済基盤を失い、失速するでしょう。
3 もし独立を現実的に考えるとするならば
カリフォルニア州を中心とするロッキー山脈以西の州が独立をする場合、連邦体制を無視することによって、
連邦に対する連邦税という名の上納金を支払う必要がなくなり、資源の殆どを自給自足することができる。
よって、合衆国の分裂を考えうる小説にするならば、実際の経済を考えて比較すると、
もうすこし違う視点で見て欲しかったと残念に思いますが、
1 日系連隊の自己満足集団化
この描写はまさにぴったりといっていいくらいに、マッチしているが、残念ながら、いわゆる日本生まれの日系人がそこまで英語力があるとは思えず、
もし三世、四世部隊だとするならば、完全にアメリカに同化している。
2 合衆国そのものが新興宗教という考え方。
なるほど、民主主義といわゆる清教徒に着目して、それがとんでもない暴挙を招いている推測は面白い
3 登場人物の国家比喩
最終的に主人公を含めたキーパーソンが、それぞれの国家比喩に直結した手法は見事
よって、今回大変面白かったですが、三ツ星にさせて頂きます
アメリカ在住の立場で何点か突っ込ませて頂きます
1 設定では合衆国政府が西海岸、東海岸の州を支配している。そしてアメリカ連合が内陸部を支配しているが
経済規模的に考えて、南部の州が独立戦争を起こしたとしても、経済的に立ちいかなくなる。
理由は、米国経済が海沿いの州の都市を中心とする貿易、もしくは貿易に付随する生産物で連邦政府を維持し、
仮に合衆国軍が、海岸部を無視した独立戦争を実施した場合、すぐに兵糧攻めにあい、立ち行かなくなる。
2 仮に独立をしたとしても
経済的な理由で、結局連邦に吸収されるのが関の山です。仮に五大湖工業地帯を支配していたとしても、
合衆国軍がその五大湖工業地帯を空爆した場合、一挙に連合軍は経済基盤を失い、失速するでしょう。
3 もし独立を現実的に考えるとするならば
カリフォルニア州を中心とするロッキー山脈以西の州が独立をする場合、連邦体制を無視することによって、
連邦に対する連邦税という名の上納金を支払う必要がなくなり、資源の殆どを自給自足することができる。
よって、合衆国の分裂を考えうる小説にするならば、実際の経済を考えて比較すると、
もうすこし違う視点で見て欲しかったと残念に思いますが、
1 日系連隊の自己満足集団化
この描写はまさにぴったりといっていいくらいに、マッチしているが、残念ながら、いわゆる日本生まれの日系人がそこまで英語力があるとは思えず、
もし三世、四世部隊だとするならば、完全にアメリカに同化している。
2 合衆国そのものが新興宗教という考え方。
なるほど、民主主義といわゆる清教徒に着目して、それがとんでもない暴挙を招いている推測は面白い
3 登場人物の国家比喩
最終的に主人公を含めたキーパーソンが、それぞれの国家比喩に直結した手法は見事
よって、今回大変面白かったですが、三ツ星にさせて頂きます
2010年4月25日に日本でレビュー済み
2013年、ダラスで女性大統領が暗殺され、黒人の副大統領が大統領に昇格。これを不満に思った南部諸州は軍事蜂起し、第二次南北戦争が勃発した。
主人公は休戦状態の両軍を取材に来たジャーナリスト。その取材で明かされる義勇兵の実態、大統領暗殺の真相、両陣営のかけひき、外国勢力の暗躍。そのレポートという体裁で、アメリカに対する文化批判を随所にちりばめながら、この大ボラを絵空事とは言わせない迫力ある物語に仕立て上げてゆく。もちろん、この作者一流の大活劇もいたるところに仕掛けられており存分に楽しめる。
ただ、こんな事態になっても、日本はきっとこの物語のような行動はとらないだろうな・・・。
主人公は休戦状態の両軍を取材に来たジャーナリスト。その取材で明かされる義勇兵の実態、大統領暗殺の真相、両陣営のかけひき、外国勢力の暗躍。そのレポートという体裁で、アメリカに対する文化批判を随所にちりばめながら、この大ボラを絵空事とは言わせない迫力ある物語に仕立て上げてゆく。もちろん、この作者一流の大活劇もいたるところに仕掛けられており存分に楽しめる。
ただ、こんな事態になっても、日本はきっとこの物語のような行動はとらないだろうな・・・。
2009年7月20日に日本でレビュー済み
佐藤賢一の新作。日本の戦国時代を描いた『女信長』に続いて、今度はアメリカ、しかも近未来を題材にしたものだ。
随所に過去の彼の作品の登場人物の名前、たとえばデュマやドニ・クルパンなどがちりばめられていて、ファンにとっては、ちょっと面白い作品になっている。
政治的な小説だ。自由、平等といったフランス革命以降、その名の下にどれほどの血が流されてきたか。アメリカの内戦を描くことにより、そういった大義名分により、殺しあうことの愚かさを痛烈に風刺している。
おそらく、作品の評価は2つに分かれると思うが、私自身はかなり面白いと思った。
随所に過去の彼の作品の登場人物の名前、たとえばデュマやドニ・クルパンなどがちりばめられていて、ファンにとっては、ちょっと面白い作品になっている。
政治的な小説だ。自由、平等といったフランス革命以降、その名の下にどれほどの血が流されてきたか。アメリカの内戦を描くことにより、そういった大義名分により、殺しあうことの愚かさを痛烈に風刺している。
おそらく、作品の評価は2つに分かれると思うが、私自身はかなり面白いと思った。
2006年9月19日に日本でレビュー済み
日本が世界から厄介者扱いされ、経済的にも苦境に陥っているという近未来小説が多い中で、日本が政治面でも世界で有力な存在になっている一方、アメリカが政治的にも経済面でも凋落しているという、日本人の手になるものとしては珍しい小説。
2015年の内戦停戦後のアメリカが舞台で、内戦に至った理由もいろいろ説明されてはいるが、人種差別、原理主義の高まり、銃の野放し、極端な中華思想など、新味のないアメリカの問題をあげつらうことに主眼が置かれているように感じる。環境意識の低さ、ガソリン車への固執なども繰り返し出てくるが、現在でも新技術の発信地は依然アメリカであること(開発者の国籍に関わらず、アメリカで開発している点は看過できないでしょう)、アメリカの消費者の間では燃費志向が急激に高まっていることを考えると、冷静なアメリカ分析というよりは、ネガティブな偏向が感じられる。「小説宝石」への初出は2004年3月ー2005年5月ということで、着眼の早さは評価するものの、内戦の可能性や現在のアメリカ国内の動きを知りたいと思って本書を手に取った私にとっては期待はずれの内容だった。また米国内の戦争で日本を含めた諸外国が経済的に潤うという説明が度々出てくるが、既にしてアジア諸国は消費財の輸出でアメリカに大きく依存しているのに、この部分で打撃を受けずにはいられないし、巨大な対外債務を抱え、さらに内戦状態のアメリカに武器輸出をするといっても支払い能力の制約は大きいわけで、お気楽すぎる見方ではないかと思う。
またヴェロニカというアメリカ人女性が登場する部分は、不適切な言動をするのが予見できるのに仕事のインタビューに同行させるなど不自然な部分も含めて全てが下品かつ無意味で、読み続けている自分自身の知性を試されているような気持ちにさえなった。最後の方でヴェロニカがアメリカを象徴していることが分かるのだが、作者の認識を戯画化したものだといわれればそれまでだが、日本人といえばハラキリ、芸者というステレオタイプな見方を、日本人が他国の人間にやってしまったという後味の悪さはぬぐえない。
2015年の内戦停戦後のアメリカが舞台で、内戦に至った理由もいろいろ説明されてはいるが、人種差別、原理主義の高まり、銃の野放し、極端な中華思想など、新味のないアメリカの問題をあげつらうことに主眼が置かれているように感じる。環境意識の低さ、ガソリン車への固執なども繰り返し出てくるが、現在でも新技術の発信地は依然アメリカであること(開発者の国籍に関わらず、アメリカで開発している点は看過できないでしょう)、アメリカの消費者の間では燃費志向が急激に高まっていることを考えると、冷静なアメリカ分析というよりは、ネガティブな偏向が感じられる。「小説宝石」への初出は2004年3月ー2005年5月ということで、着眼の早さは評価するものの、内戦の可能性や現在のアメリカ国内の動きを知りたいと思って本書を手に取った私にとっては期待はずれの内容だった。また米国内の戦争で日本を含めた諸外国が経済的に潤うという説明が度々出てくるが、既にしてアジア諸国は消費財の輸出でアメリカに大きく依存しているのに、この部分で打撃を受けずにはいられないし、巨大な対外債務を抱え、さらに内戦状態のアメリカに武器輸出をするといっても支払い能力の制約は大きいわけで、お気楽すぎる見方ではないかと思う。
またヴェロニカというアメリカ人女性が登場する部分は、不適切な言動をするのが予見できるのに仕事のインタビューに同行させるなど不自然な部分も含めて全てが下品かつ無意味で、読み続けている自分自身の知性を試されているような気持ちにさえなった。最後の方でヴェロニカがアメリカを象徴していることが分かるのだが、作者の認識を戯画化したものだといわれればそれまでだが、日本人といえばハラキリ、芸者というステレオタイプな見方を、日本人が他国の人間にやってしまったという後味の悪さはぬぐえない。