最高におもしろい!
「ドストエフスキー」と聞くと多くの人は「難しそうw」と敬遠すると思う。その気持ちはわかる。まず名前が長い(笑)そして、物語全体に、いかにもロシア文学な暗さがある。
本書もたしかに冒頭の50ページぐらいまでは退屈だ。だが「アレクセイ」というイケメン好青年が登場してから、物語は一気におもしろくなるから辛抱して読んでみてほしい。アレクセイがほんとにいい奴で、自然に親近感というか愛着が湧くと思う。
登場人物はみんな個性的なので、「カタカナの名前を覚えるのが苦手」という人でもすっと覚えられると思う。
長男ドミトリー=体育会系オラオラ熱血漢
次男イワン=覇気のあるインテリ陰キャ
三男アレクセイ=博愛的なピュアボーイ 最初はこんなイメージでいいと思う。
「カラマーゾフ家」という破綻した家族が物語の中心となっている。父フョードルがとんでもないクソ野郎なのだが、そこがまた面白い。現代にも通じるエンタメ性があるし、登場人物への感情移入もしやすいと思う。
蛇足だが、実は「カラマーゾフの兄弟」という小説は、「2部構成の物語の第1部」に過ぎないのだ。そう、続きがあるのだ。作者ドストエフスキーは「第1部」である本書を完成させた後、「第2部」を書く前に、なんと亡くなってしまった!これは人類の大損失だと思う。
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カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2006/9/7
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世界最高の小説は何か。候補の筆頭につねに上げられるのが、こ
の作品だ。だが、日本では同時に、翻訳が難解とも言われてきた。ドストエフス
キー研究者・亀山郁夫は、この訳業を自分の課題として引き受けた。作者の壮絶
な「二枚舌」を摘出する新訳は、流れ、勢いを損なわない。人物たちが[立って
いる]。主人公アリョーシャが、初めてリアルな人間として描かれ、物語を導い
ていく。
の作品だ。だが、日本では同時に、翻訳が難解とも言われてきた。ドストエフス
キー研究者・亀山郁夫は、この訳業を自分の課題として引き受けた。作者の壮絶
な「二枚舌」を摘出する新訳は、流れ、勢いを損なわない。人物たちが[立って
いる]。主人公アリョーシャが、初めてリアルな人間として描かれ、物語を導い
ていく。
- 本の長さ443ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2006/9/7
- ISBN-104334751067
- ISBN-13978-4334751067
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商品の説明
出版社からのコメント
■未完にして空前絶後
文豪ドストエフスキーの遺作にして最大の作品。第2部も構想されたが1部のみで中断。しかし空前絶後のスケールをもった小説が完成した。帝政崩壊の予兆をはらむロシアのある町で殺人事件が起こり、ミステリータッチの衝撃的なストーリーが展開される。全4分冊、以下続刊。
文豪ドストエフスキーの遺作にして最大の作品。第2部も構想されたが1部のみで中断。しかし空前絶後のスケールをもった小説が完成した。帝政崩壊の予兆をはらむロシアのある町で殺人事件が起こり、ミステリータッチの衝撃的なストーリーが展開される。全4分冊、以下続刊。
著者について
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
[1821-1881] ロシア帝政末期の作家。60年の生涯のうちに、以下のような巨大な作品群を残した。『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』『地下室の手記』『罪と罰』『賭博者』『白痴』『悪霊』『永遠の夫』『未成年』そして『カラマーゾフの兄弟』。キリストを理想としながら、神か革命かの根源的な問いに引き裂かれ、ついに生命そのものへの信仰に至る。日本を含む世界の文学に、空前絶後の影響を与えた。
[訳者]亀山郁夫
1949年生まれ。東京外国語大学教授。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある。著書に『磔のロシア』『熱狂とユーフォリア』『ドストエフスキー父殺しの文学』『「悪霊」神になりたかった男』『大審問官スターリン』ほか多数。
[1821-1881] ロシア帝政末期の作家。60年の生涯のうちに、以下のような巨大な作品群を残した。『貧しき人々』『死の家の記録』『虐げられた人々』『地下室の手記』『罪と罰』『賭博者』『白痴』『悪霊』『永遠の夫』『未成年』そして『カラマーゾフの兄弟』。キリストを理想としながら、神か革命かの根源的な問いに引き裂かれ、ついに生命そのものへの信仰に至る。日本を含む世界の文学に、空前絶後の影響を与えた。
[訳者]亀山郁夫
1949年生まれ。東京外国語大学教授。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある。著書に『磔のロシア』『熱狂とユーフォリア』『ドストエフスキー父殺しの文学』『「悪霊」神になりたかった男』『大審問官スターリン』ほか多数。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2006/9/7)
- 発売日 : 2006/9/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 443ページ
- ISBN-10 : 4334751067
- ISBN-13 : 978-4334751067
- Amazon 売れ筋ランキング: - 27,603位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24位ロシア・ソビエト文学 (本)
- - 77位ロシア・東欧文学研究
- - 112位光文社古典新訳文庫
- カスタマーレビュー:
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イメージ付きのレビュー
5 星
【小説としての完成度の高さ】を実感したい誰かにもオススメ。
"『あのね、コーリャ、それはそうと君はこの人生でとても不幸な人になるでしょうよ』突然どういうわけか、アリョーシャが言った。"1880年発刊の本書は1800ページを越える著者最後の大長編かつ不朽の【小説の王様】として、様々なテーマを内包していて読み応えあります。(続編が読みたかった!)個人的には村上春樹が『ペットサウンズ』の後書きで『世の中には二種類の人間がいる。カラマーゾフの兄弟を読破したことのある人と読破したことのない人だ』と述べるなど、多くの作家が言及していたり。また文学史的にも有名な【大審問官】『神がいなければ、全てが許される』のシーンの部分は特にちゃんと読んでおきたいと思った事から、学生時代に挫折したトラウマを苦く思い出しつつ手にとりました。さて『親殺し』を主題とした3(4?)兄弟のそれぞれの人間模様を描いた【よく知られた内容に関しては割愛する】として。本書に限らずロシア文学に挫折してしまう理由として日本人には馴染みが薄く、また呼び名が作中内でコロコロ変わる登場人物の名前、そして本書に関しては前半部分のよく言えばサービス精神豊富、悪く言えば現在の感覚ではやや回りくどい饒舌さにあるのではと思うのですが。そんな今回は、あえて【ネットで入手した人物関係図】を手元に、そして【ロシア文学や本書に関する様々な解説書】を事前に読み込んだ上で万全の準備で再挑戦した事もあり、親殺しが起きてから、爆発的に加速していくかの様に丁寧に張り巡らせた伏線を見事に回収した上で【最後の法廷でのやり取りに結実する】圧巻の展開が見事に尽きる本書に集中することが出来て、読後の満足感はもちろん、予告されていたとされる続編を読みたかった!という叶わぬ気持ちを読後に抑える事が出来ませんでした。また。本書を課題図書にした読書会も別に主宰したのですが。参加者全員から【読後の満足度の高さ】に関しては全員が意見が一致した上で、約140年前に書かれたにも関わらず、それぞれの登場人物の鮮明かつ魅力溢れる描写もあり『こんな人、現在の職場に似た人いてる』などの人物に対する声がそれぞれにあがったのも興味深かった。(私的には長男のドミートリイ"ミーチャ"推しです)夏目漱石も絶賛する著者の挑みがいのある長編を探している誰かに。また様々なテーマを包括しつつシンプルに展開する本書の【小説としての完成度の高さ】を実感したい誰かにもオススメ。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月9日に日本でレビュー済み
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この名著をまだ読んだことがなかったが,やはり面白い。
2022年6月24日に日本でレビュー済み
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とてもクオリティの高い商品を購入させていただきました。ありがとうございます!
2019年6月3日に日本でレビュー済み
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何かの本で一生に一度は読むべき大作と紹介されていた。
試しに買ってみたが・・・。 冊数の多さでひいてしまい、しばらく本棚で眠っていた。
数か月後、気になっていたのでトライ。
数十ページで挫折。登場人物の多さ、場合によって名前の変化等。
しかし、2年後再びトライ。今度はしおりにある登場人物をある程度暗記した状態での挑戦。
何年かかってもよし、1日5分でもよし、内容があまり理解できなくてもよし、としての挑戦。
すると、何故か分からないが前回よりスルスルと読める。
カラマーゾフの3兄弟たちが父親とともに妖艶な美人をめぐって繰り広げられる葛藤、登場人物の独特の個性。
面白くなって2週間で読了。
自分にとっては、今までで一番長いページであり、買ってからは3年が経過してましたが、1度読む価値はあると思います。
自分には無理と思っている人に是非トライしてもらいたいです。
試しに買ってみたが・・・。 冊数の多さでひいてしまい、しばらく本棚で眠っていた。
数か月後、気になっていたのでトライ。
数十ページで挫折。登場人物の多さ、場合によって名前の変化等。
しかし、2年後再びトライ。今度はしおりにある登場人物をある程度暗記した状態での挑戦。
何年かかってもよし、1日5分でもよし、内容があまり理解できなくてもよし、としての挑戦。
すると、何故か分からないが前回よりスルスルと読める。
カラマーゾフの3兄弟たちが父親とともに妖艶な美人をめぐって繰り広げられる葛藤、登場人物の独特の個性。
面白くなって2週間で読了。
自分にとっては、今までで一番長いページであり、買ってからは3年が経過してましたが、1度読む価値はあると思います。
自分には無理と思っている人に是非トライしてもらいたいです。
2021年4月10日に日本でレビュー済み
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3年ぶり2周目。二度目の緊急事態宣言期間の約2か月で読了。
前回は第3部で力尽き、犯人が誰かも、裁判の結果もよく分からず只がむしゃらにゴールしただけだったが、
今回は一応最後までそれなりに理解できたのち息も絶え絶えでゴールした(力尽きて解説は未だ手つかず)。
この作品は、とにかく気力と体力と時間と集中力を根こそぎ奪われると思った。
本気で理解したかったら、他の生活をほとんど投げうつ位の気合でドストエフスキーの言う事にただただ耳を傾け続けないと無理なんじゃないかと思った。
あと作中の一日の流れがとにかく遅いので、一日数十分程度の「スキマ読書」ではまず流れを理解できないだろう、せめて一日2~3時間はスマホをオフにしてドストエフスキーに全て捧げないと無理だろう(勿論、500ページ程度の複雑な文脈の流れを1時間で詳細に頭へ叩き込める人なら別だろうが)。
つまり何が言いたいかというと、この作品はたしかに一つの「極北」ではあるものの、なにもこれだけが「頂点」ではないという事(私は「アンナ・カレーニナ」のほうが好きだ)。
これが読めなかったからと言って、古典文学全てを倦厭しないで欲しいという事。
あと、これを第一に勧めてくる人達はおそらく「挑戦状」の意味も兼ねている可能性があるんじゃないかと、そして多分その人たちも何処まで理解できているか怪しい可能性があるという事だ。
ためしに私はこう尋ねてみたい;あなたの「推しキャラ」を此処から一人抜き出して、その人物について熱く感想を語ってくれませんか、と。
ちなみに私はグルーシェニカが大好きだ。
彼女は、中島みゆきの歌のヒロインを体現していると思う。
第7編後半の彼女の心境吐露には思わず胸がキュンとなってしまった。
破滅しそうなので恋人には絶対したくないタイプだが、善き友達になりたいと思った、アリョーシャがそうした様に。
(グルーシェニカが「中島みゆき型」なら、カテリーナはさしずめ「ユーミン型」だろうか?)
でも、まあ、ゴールした後の達成感が半端ないことは断言できる。
(後、読み終えたことを自慢したくもなる……?)
まるでフルマラソンや富士山登頂を終えた後の様だ。
どうせチャレンジするなら、楽しみましょう。
前回は第3部で力尽き、犯人が誰かも、裁判の結果もよく分からず只がむしゃらにゴールしただけだったが、
今回は一応最後までそれなりに理解できたのち息も絶え絶えでゴールした(力尽きて解説は未だ手つかず)。
この作品は、とにかく気力と体力と時間と集中力を根こそぎ奪われると思った。
本気で理解したかったら、他の生活をほとんど投げうつ位の気合でドストエフスキーの言う事にただただ耳を傾け続けないと無理なんじゃないかと思った。
あと作中の一日の流れがとにかく遅いので、一日数十分程度の「スキマ読書」ではまず流れを理解できないだろう、せめて一日2~3時間はスマホをオフにしてドストエフスキーに全て捧げないと無理だろう(勿論、500ページ程度の複雑な文脈の流れを1時間で詳細に頭へ叩き込める人なら別だろうが)。
つまり何が言いたいかというと、この作品はたしかに一つの「極北」ではあるものの、なにもこれだけが「頂点」ではないという事(私は「アンナ・カレーニナ」のほうが好きだ)。
これが読めなかったからと言って、古典文学全てを倦厭しないで欲しいという事。
あと、これを第一に勧めてくる人達はおそらく「挑戦状」の意味も兼ねている可能性があるんじゃないかと、そして多分その人たちも何処まで理解できているか怪しい可能性があるという事だ。
ためしに私はこう尋ねてみたい;あなたの「推しキャラ」を此処から一人抜き出して、その人物について熱く感想を語ってくれませんか、と。
ちなみに私はグルーシェニカが大好きだ。
彼女は、中島みゆきの歌のヒロインを体現していると思う。
第7編後半の彼女の心境吐露には思わず胸がキュンとなってしまった。
破滅しそうなので恋人には絶対したくないタイプだが、善き友達になりたいと思った、アリョーシャがそうした様に。
(グルーシェニカが「中島みゆき型」なら、カテリーナはさしずめ「ユーミン型」だろうか?)
でも、まあ、ゴールした後の達成感が半端ないことは断言できる。
(後、読み終えたことを自慢したくもなる……?)
まるでフルマラソンや富士山登頂を終えた後の様だ。
どうせチャレンジするなら、楽しみましょう。
2017年3月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・サノーさん一言コメント
「文学史上に燦然と輝く金字塔。読んだ人、読まない人で、その後の人生が分岐するほどの衝撃と変化を与える」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「カラマーゾフ家の葛藤を中心に、人間とは、信仰とは、罪とは、裁きとはなにかに挑む、比類なき大作です。読まない訳にはいかない一冊です」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
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ウノーさん(以下ウ):34日目にして、この大作に入りますか!
サノーさん(以下サ):遅かれ早かれ登場する作品だし、ちょうど再読のタイミングだったんだよ。それにしても、読めば読むほど凄まじい本だ。
ウ:この物語が、その後の世界に与えた衝撃は凄いですよね。父と子、村社会、宗教界、国家、それらに対する生々しい感情が、これでもかと伝わってきます。
サ:「文学の在り方」そのものへ、衝撃を与えている。その後、数多の作家が、この領域に挑み、いまだに至れない高みに、この小説は存在している。
ウ:亀山先生訳の文庫本は、1~5巻で構成されていますね。5巻は、短いエピローグのあと、亀山先生による解説だから、初回は1巻から読んでいって、再読時は5巻を読んでから、1巻から読むのがオススメです。
サ:あるいは、カラマーゾフ関連の演劇や映像、当時のロシアの記録画像を、WEBで確認してから、読むのも面白い。
ウ:まず、この小説の凄いところは、単純に面白いんですよね。登場するキャラも、時代背景も、背後で横たわる「ロシアにおけるキリスト教」の葛藤も、全て新鮮で面白い。
サ:この本を、わりと偏見で読まない人は多いよな。難しそうとか、理屈っぽそうとか、高尚すぎてツマらなそうとか。
ウ:その一因は、登場人物の名前ですよね。主人公が「アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ」が本名で、呼び名は「アリョーシャ」で、愛着を込めた呼び方だと「アリョーシェニカ」になっちゃうという。他の登場人物の名前も、ことごとく馴染みのない発音ですから「登場人物の名前だけでムリ」とか思っちゃいますよね。
サ:この訳本では「アリョーシャ」で統一しているから、多少は緩和されているがな。他の「難しく感じる要因」としては、やはりロシアの社会、民族性、ロシア正教と歴史について、難易度が高いことがある。
ウ:ソ連だったときの印象が強くて。ロシアってキリスト教の国だったんだって、驚く人もいますよね。
サ: この1巻目から描かれる「人名の難しさ」「当時のロシア辺境の村とロシアの教会」に、つい難しいと思えてしまうが、そんなことを無視して読む進めれば、すぐに、この本の「ただならぬ面白さ」を確認できる。
ウ:1巻目では、やっぱり「フョードルさん」ですね。強欲、道化、背徳、神を恐れず、ただひたすら金を信じ、色好を追い求めるという人物ですが、その背中に積もる「業の深さ」「悲しさ」が描かれています。『罪と罰』のお婆さんを超えてるかも。
サ:その対極が「ゾシマ長老」か。単純に整理すると「俗」と「聖」の対比なんだが、それで片付かないのが、この物語の凄さなんだよな。
ウ:ええ「カラマーゾフ的」な凄さを、このあと次から次へと楽しめるわけです。
【了】
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ウノーさん(以下ウ):34日目にして、この大作に入りますか!
サノーさん(以下サ):遅かれ早かれ登場する作品だし、ちょうど再読のタイミングだったんだよ。それにしても、読めば読むほど凄まじい本だ。
ウ:この物語が、その後の世界に与えた衝撃は凄いですよね。父と子、村社会、宗教界、国家、それらに対する生々しい感情が、これでもかと伝わってきます。
サ:「文学の在り方」そのものへ、衝撃を与えている。その後、数多の作家が、この領域に挑み、いまだに至れない高みに、この小説は存在している。
ウ:亀山先生訳の文庫本は、1~5巻で構成されていますね。5巻は、短いエピローグのあと、亀山先生による解説だから、初回は1巻から読んでいって、再読時は5巻を読んでから、1巻から読むのがオススメです。
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ウ:まず、この小説の凄いところは、単純に面白いんですよね。登場するキャラも、時代背景も、背後で横たわる「ロシアにおけるキリスト教」の葛藤も、全て新鮮で面白い。
サ:この本を、わりと偏見で読まない人は多いよな。難しそうとか、理屈っぽそうとか、高尚すぎてツマらなそうとか。
ウ:その一因は、登場人物の名前ですよね。主人公が「アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ」が本名で、呼び名は「アリョーシャ」で、愛着を込めた呼び方だと「アリョーシェニカ」になっちゃうという。他の登場人物の名前も、ことごとく馴染みのない発音ですから「登場人物の名前だけでムリ」とか思っちゃいますよね。
サ:この訳本では「アリョーシャ」で統一しているから、多少は緩和されているがな。他の「難しく感じる要因」としては、やはりロシアの社会、民族性、ロシア正教と歴史について、難易度が高いことがある。
ウ:ソ連だったときの印象が強くて。ロシアってキリスト教の国だったんだって、驚く人もいますよね。
サ: この1巻目から描かれる「人名の難しさ」「当時のロシア辺境の村とロシアの教会」に、つい難しいと思えてしまうが、そんなことを無視して読む進めれば、すぐに、この本の「ただならぬ面白さ」を確認できる。
ウ:1巻目では、やっぱり「フョードルさん」ですね。強欲、道化、背徳、神を恐れず、ただひたすら金を信じ、色好を追い求めるという人物ですが、その背中に積もる「業の深さ」「悲しさ」が描かれています。『罪と罰』のお婆さんを超えてるかも。
サ:その対極が「ゾシマ長老」か。単純に整理すると「俗」と「聖」の対比なんだが、それで片付かないのが、この物語の凄さなんだよな。
ウ:ええ「カラマーゾフ的」な凄さを、このあと次から次へと楽しめるわけです。
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