『永遠平和のために』
この課題と向き合う時、誰もが考えるのは「永遠平和」が現実に可能なのか、という事でしょう。
カントも、この疑問について本書で「政治と道徳の対立」という形で、かなりのページを割いて考察を述べています。
この点が克服されない限り人間の存在とは、戦争の単なる道具・手段に過ぎません。
しかし、戦争はあくまで人為的な不幸であり、人間の意思によって改善が出来るなら、「永遠平和」についての考察や行動が、とてつもなく大きな価値を持ってくるのです。
俗に言うマキャベリズム(権謀術数主義)に基づく平和否定論に対しては、カントは辛辣な非難を加えています。
以下、本文から抜粋。
「道徳家ぶった政治家たちは、人間の本性として、理性の命じる理念にしたがって善を行うことはできないという口実のもとで、法に反した国家原則を飾りたて、改善を不可能にし、法の毀損を永遠のものとするのである。」
(印刷書籍P.222・Kindle版.No.2251~2253)
「このような有害な理論は、みずから予言する悪をおのずから引き起こすものなのである。」
(印刷書籍P.234・Kindle版.No.2374)
この世から戦争を無くすことは不可能という意見自体が実は、消極的ながら戦争を支持しているのかもしれません。
最後にまた、カントの文章から。
「みずからと他者を欺く〈めくらまし〉を暴露して、永遠平和への意図が生まれる最高の原理を明確に示すこと、そして永遠平和の前にたちはだかるすべての悪が由来する根源を示すことが大切なのである。」
(印刷書籍P.229・Kindle版.No.2318~2320)
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永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2006/9/7
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中山元は在野で活躍する哲学者にして翻訳家。難解な思想を平易かつ鮮やかな日本語に置き換える力には定評がある。その彼が世に問う斬新な訳業。カントの著作には特有の難解な哲学用語があり、これまで読者を遠ざけてきた。新訳では〈悟性〉〈格律〉などの専門用語をいっさい使わずに翻訳している。この大胆な試みは哲学の翻訳では特筆すべき快挙。いま初めて、カントは、日本で読まれ始める。
- ISBN-104334751083
- ISBN-13978-4334751081
- 出版社光文社
- 発売日2006/9/7
- 言語日本語
- 本の長さ387ページ
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商品の説明
出版社からのコメント
■平和とは、自由とは、啓蒙とは
自分の頭で考える。カントが「啓蒙とは何か」で繰り返し説くのは、その困難と重要性である。「永遠平和のために」では常備軍の廃止、国家の連合を視野に入れた、平和論を展開している。他3編を含め、いずれもアクチュアルな問題意識に貫かれた、いまこそ読まれるべき論文集。
自分の頭で考える。カントが「啓蒙とは何か」で繰り返し説くのは、その困難と重要性である。「永遠平和のために」では常備軍の廃止、国家の連合を視野に入れた、平和論を展開している。他3編を含め、いずれもアクチュアルな問題意識に貫かれた、いまこそ読まれるべき論文集。
著者について
イマヌエル・カント
[1724-1804] ドイツ(東プロイセン)の哲学者。近代に最も大きな影響を与えた人物の一人。『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』のいわゆる三批判書を発表し、批判哲学を提唱して、認識論における「コペルニクス的転回」を促した。フィヒテ、シェリング、ヘーゲルとつながるドイツ観念論の土台を築いた。
[訳者]中山元
1949年生まれ。哲学者・翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』(以上、フロイト)、『呪われた部分 有用性の限界』(バタイユ)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)ほか多数。
[1724-1804] ドイツ(東プロイセン)の哲学者。近代に最も大きな影響を与えた人物の一人。『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』のいわゆる三批判書を発表し、批判哲学を提唱して、認識論における「コペルニクス的転回」を促した。フィヒテ、シェリング、ヘーゲルとつながるドイツ観念論の土台を築いた。
[訳者]中山元
1949年生まれ。哲学者・翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』(以上、フロイト)、『呪われた部分 有用性の限界』(バタイユ)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)ほか多数。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2006/9/7)
- 発売日 : 2006/9/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 387ページ
- ISBN-10 : 4334751083
- ISBN-13 : 978-4334751081
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- - 38位ドイツ・オーストリアの思想
- - 54位西洋哲学入門
- - 92位光文社古典新訳文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年11月26日に日本でレビュー済み
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2019年12月27日に日本でレビュー済み
イマヌエル・カント(1724~1804年)は、プロイセン王国に生まれ、『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書を発表し、認識論における所謂「コペルニクス的転回」をもたらした。ヘーゲルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論哲学)の祖とされ、彼による超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
本書には、カントの政治哲学、歴史哲学に関連した重要な論考である、「啓蒙とは何か」、「永遠平和にために」のほか、「世界市民という視点からみた普遍史の理念」、「人類の歴史の憶測的な起源」、「万物の終焉」が収められている。
「啓蒙とは何か」のエッセンスは、冒頭の一段落に集約されている。「啓蒙とは何か。それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでることだ。未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができないということである。人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、他人の指示を仰がないと、自分の理性を使う決意も勇気ももてないからなのだ。だから人間はみずからの責任において、未成年の状態にとどまっていることになる。こうして啓蒙の標語とでもいうものがあるとすれば、それは「知る勇気をもて」だ。すなわち「自分の理性を使う勇気をもて」ということだ。」
本稿が発表されたのは1784年、近世から近代の転換点と言われるフランス革命(1789年)の直前で、「啓蒙」という概念がイギリス、フランスからプロイセンに入ってきて、一般市民にも教育の関心が高まってきた時代で、その時代の要請に応える形で書かれたと言える。しかし、それから2世紀以上を経た現在、我々は「自分の理性を使う勇気」を持ち得たのだろうか? 第二次大戦のファシズムは言うに及ばず、現在世界を席巻するポピュリズムも、「自分の理性を使う勇気」を放棄した結果の現象なのではないだろうか。。。今こそ読み返す価値のある短著である。
また、「永遠平和のために」は1795年に発表された。同年はフランスとプロイセンがバーゼルの和約を締結した年であるが、同和約は将来の戦争を防止するものではなく、戦争の戦果を調整する一時的な講和条約に過ぎず、こうした条約では永遠平和の樹立はできないと考え、カントには永遠平和の実現のための具体的な計画を示す必要があった。
そして本稿では、永遠平和を実現するための予備条項と確定条項が示されている。予備条約では、①将来の戦争の原因を含む平和条約、②継承・交換・売却・贈与等による国家の所有、③常備軍、④国家間の紛争を理由とした国債の発行、➄他国に対する暴力による内政干渉、⑥相互信頼を不可能にするような敵対行為、を禁止するとしている。また、確定条項では、平和の条件として、①各国の政治体制が共和的なものであること、②国際法は自由な国家の連合が基礎となること、③世界市民法は普遍的な歓待の条件に制限されるべきこと、が定められている。
しかし、カントは、永遠平和の実現は容易ではないとし、本書を「公法の状態を実現することは義務であり、同時に根拠のある希望でもある。これが実現されるのが、たとえ無限に遠い将来のことであり、その実現に向けてたえず進んでいくだけとしてもである。だから永遠平和は、これまでは誤って平和条約と呼ばれてきたものの後につづくものではないし(これはたんなる戦争の休止にすぎない)、たんなる空虚な理念でもなく、実現すべき課題である。この課題が次第に実現され、つねにその目標に近づいてゆくこと、そして進歩を実現するために必要な時間がますます短縮されることを期待したい。」と結んでいる。第二次世界大戦の後、(現代しか知らない我々には)未来永劫続くとさえ思われた東西冷戦は20世紀末に終結したが、その後の世界は、文明・宗教間の衝突の渦の中におり、解決は到底不可能なようにも思える。しかし、「永遠平和」は、カントの言うように、義務であり、根拠のある希望であり、実現すべき課題であり、人類として諦めることは許されないのだ。
今こそ、18世紀にカントが希求した啓蒙への夢とヨーロッパ的な共和国(=永遠平和)への夢を、改めて考えるべきときなのだと思う。
(2019年12月了)
本書には、カントの政治哲学、歴史哲学に関連した重要な論考である、「啓蒙とは何か」、「永遠平和にために」のほか、「世界市民という視点からみた普遍史の理念」、「人類の歴史の憶測的な起源」、「万物の終焉」が収められている。
「啓蒙とは何か」のエッセンスは、冒頭の一段落に集約されている。「啓蒙とは何か。それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでることだ。未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができないということである。人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、他人の指示を仰がないと、自分の理性を使う決意も勇気ももてないからなのだ。だから人間はみずからの責任において、未成年の状態にとどまっていることになる。こうして啓蒙の標語とでもいうものがあるとすれば、それは「知る勇気をもて」だ。すなわち「自分の理性を使う勇気をもて」ということだ。」
本稿が発表されたのは1784年、近世から近代の転換点と言われるフランス革命(1789年)の直前で、「啓蒙」という概念がイギリス、フランスからプロイセンに入ってきて、一般市民にも教育の関心が高まってきた時代で、その時代の要請に応える形で書かれたと言える。しかし、それから2世紀以上を経た現在、我々は「自分の理性を使う勇気」を持ち得たのだろうか? 第二次大戦のファシズムは言うに及ばず、現在世界を席巻するポピュリズムも、「自分の理性を使う勇気」を放棄した結果の現象なのではないだろうか。。。今こそ読み返す価値のある短著である。
また、「永遠平和のために」は1795年に発表された。同年はフランスとプロイセンがバーゼルの和約を締結した年であるが、同和約は将来の戦争を防止するものではなく、戦争の戦果を調整する一時的な講和条約に過ぎず、こうした条約では永遠平和の樹立はできないと考え、カントには永遠平和の実現のための具体的な計画を示す必要があった。
そして本稿では、永遠平和を実現するための予備条項と確定条項が示されている。予備条約では、①将来の戦争の原因を含む平和条約、②継承・交換・売却・贈与等による国家の所有、③常備軍、④国家間の紛争を理由とした国債の発行、➄他国に対する暴力による内政干渉、⑥相互信頼を不可能にするような敵対行為、を禁止するとしている。また、確定条項では、平和の条件として、①各国の政治体制が共和的なものであること、②国際法は自由な国家の連合が基礎となること、③世界市民法は普遍的な歓待の条件に制限されるべきこと、が定められている。
しかし、カントは、永遠平和の実現は容易ではないとし、本書を「公法の状態を実現することは義務であり、同時に根拠のある希望でもある。これが実現されるのが、たとえ無限に遠い将来のことであり、その実現に向けてたえず進んでいくだけとしてもである。だから永遠平和は、これまでは誤って平和条約と呼ばれてきたものの後につづくものではないし(これはたんなる戦争の休止にすぎない)、たんなる空虚な理念でもなく、実現すべき課題である。この課題が次第に実現され、つねにその目標に近づいてゆくこと、そして進歩を実現するために必要な時間がますます短縮されることを期待したい。」と結んでいる。第二次世界大戦の後、(現代しか知らない我々には)未来永劫続くとさえ思われた東西冷戦は20世紀末に終結したが、その後の世界は、文明・宗教間の衝突の渦の中におり、解決は到底不可能なようにも思える。しかし、「永遠平和」は、カントの言うように、義務であり、根拠のある希望であり、実現すべき課題であり、人類として諦めることは許されないのだ。
今こそ、18世紀にカントが希求した啓蒙への夢とヨーロッパ的な共和国(=永遠平和)への夢を、改めて考えるべきときなのだと思う。
(2019年12月了)
2022年11月15日に日本でレビュー済み
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ぐうの音も出ない。。
2024年1月30日に日本でレビュー済み
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読んだ印象は、哲学書というより宗教書。
カントの言う「自然」は創造主がつくったと書かれているが、日本語の自然とは異なる。それは言わば「神」である。「自然」を「神」と読み変えられる。
断定的な文章は、宗教書のそれである。歴史について、旧約聖書のはじまりをカントの言葉で言い換えている。
カントの使うタームである、理性、法、道徳、実践等々は、カント哲学を理解していることが前提であり、理解していないと分からない箇所がある。中でも、ほぼカントのタームで構成された箇所は解読できず意味不明であるが、そこを除けば内容的には難しくないようにも感じた。アンチノミーの多用は、屁理屈っぽくも感じた。
断定文を続けて読まされると、息が詰まって来る。洗脳されているように感じる、まさに宗教書のように。カントはこう言ったんだと、つい上から目線で口走るようになれば充分に洗脳されたと言えるかもしれない。
カントの言う「自然」は創造主がつくったと書かれているが、日本語の自然とは異なる。それは言わば「神」である。「自然」を「神」と読み変えられる。
断定的な文章は、宗教書のそれである。歴史について、旧約聖書のはじまりをカントの言葉で言い換えている。
カントの使うタームである、理性、法、道徳、実践等々は、カント哲学を理解していることが前提であり、理解していないと分からない箇所がある。中でも、ほぼカントのタームで構成された箇所は解読できず意味不明であるが、そこを除けば内容的には難しくないようにも感じた。アンチノミーの多用は、屁理屈っぽくも感じた。
断定文を続けて読まされると、息が詰まって来る。洗脳されているように感じる、まさに宗教書のように。カントはこう言ったんだと、つい上から目線で口走るようになれば充分に洗脳されたと言えるかもしれない。
2015年11月28日に日本でレビュー済み
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平和とは、自由とは、啓蒙とは、そして人間とは何か
について切々と訴えてくる5編の論文。
時代背景を強く意識しながら人間への信頼を根底におき
カントの熱いエネルギーが時空を超えて伝わってくる。
光文社古典新訳文庫のシリーズは色々言われているが、
やはり新訳は良い。
違和感なく読めるし、すんなりと頭に入ってくる。
多くの人に読んでもらいたいが、なによりも政治家にこそ
読んでもらいたい一冊である。
について切々と訴えてくる5編の論文。
時代背景を強く意識しながら人間への信頼を根底におき
カントの熱いエネルギーが時空を超えて伝わってくる。
光文社古典新訳文庫のシリーズは色々言われているが、
やはり新訳は良い。
違和感なく読めるし、すんなりと頭に入ってくる。
多くの人に読んでもらいたいが、なによりも政治家にこそ
読んでもらいたい一冊である。
2018年2月18日に日本でレビュー済み
この本は、「永遠平和のために」と、カント哲学のエッセンスが凝縮された小論4本が収録された文庫です。中山元氏による訳文はとても読みやすいです。硬質で難解なカントの文章が読みやすい日本語に訳されていることに私は感動を覚えました。また、この本全体の1/3ぐらいは中山氏による詳細な巻末解説が占めています。読みやすい和訳と長大な巻末解説がこの文庫の特色だといえるでしょう。
カントは「啓蒙とは何か」で、公衆を啓蒙することの重要性を説きます。他人の指示を受けなくても自分で理性を使えるようになることを、カントは啓蒙と呼びます。
「世界市民という視点からみた普遍史の理念」と「人類の歴史の憶測的な起源」、そして「万物の終焉」は、三つとも歴史を考察する小論です。「世界市民という視点からみた普遍史の理念」はカント歴史論の根幹に、「人類の歴史の憶測的な起源」は歴史の始まりに、「万物の終焉」は歴史の終わりにまつわる論考です。
カントは「永遠平和のために」で、国家間に永遠平和をもたらすためのいろいろな条項を提示しています。条項の内容は、今後戦争が起こる可能性を平和条約から排除すること・戦争中に卑劣な行為を禁止すること…などで、応用すれば私たちの普段の日常生活を平和に過ごすヒントになるようなものでした。カントは人間の本性は邪悪なものだと考えており、人間たちの自然状態は戦争状態だと語っています。そのため、平和状態は目指すべき目標として「新たに創出すべきもの」(p.162)だとカントは考えています。こうした人間に対する洞察からカントが得た見解には現代人から見るとけっこう楽天的なところがあって、世界平和は自然によって保証されているとカントは考えていました。
私はこの本から、人間に生まれつき備わっている悪い傾向への洞察と、世界市民状態への希望を読み取りました。カントは人間の悪意を冷静に見つめる現実主義者のようでありますが、現代を生きる私たちから見ると、世界平和は自然のなりゆきから保証されていると考える楽天家であるようにも見えます。こうしたカントの両義的な面に気づけたので、このご時世にカントを読んでよかったと思いました。
カントは「啓蒙とは何か」で、公衆を啓蒙することの重要性を説きます。他人の指示を受けなくても自分で理性を使えるようになることを、カントは啓蒙と呼びます。
「世界市民という視点からみた普遍史の理念」と「人類の歴史の憶測的な起源」、そして「万物の終焉」は、三つとも歴史を考察する小論です。「世界市民という視点からみた普遍史の理念」はカント歴史論の根幹に、「人類の歴史の憶測的な起源」は歴史の始まりに、「万物の終焉」は歴史の終わりにまつわる論考です。
カントは「永遠平和のために」で、国家間に永遠平和をもたらすためのいろいろな条項を提示しています。条項の内容は、今後戦争が起こる可能性を平和条約から排除すること・戦争中に卑劣な行為を禁止すること…などで、応用すれば私たちの普段の日常生活を平和に過ごすヒントになるようなものでした。カントは人間の本性は邪悪なものだと考えており、人間たちの自然状態は戦争状態だと語っています。そのため、平和状態は目指すべき目標として「新たに創出すべきもの」(p.162)だとカントは考えています。こうした人間に対する洞察からカントが得た見解には現代人から見るとけっこう楽天的なところがあって、世界平和は自然によって保証されているとカントは考えていました。
私はこの本から、人間に生まれつき備わっている悪い傾向への洞察と、世界市民状態への希望を読み取りました。カントは人間の悪意を冷静に見つめる現実主義者のようでありますが、現代を生きる私たちから見ると、世界平和は自然のなりゆきから保証されていると考える楽天家であるようにも見えます。こうしたカントの両義的な面に気づけたので、このご時世にカントを読んでよかったと思いました。
2016年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あまり哲学は詳しくないのですが,「啓蒙とは何か」の中身が知りたくて買いました。
邦訳がどこまで原文と離れているかの判断できませんが,わかりやすい解説がついていたので,理解が進みました。
ついでに「永遠の平和のために」がありましたが,ちょうどEテレで取り上げた番組があったので,読む機会になりました。
西洋人と東洋人の考え方の違いがあるかもしれませんが,これはこれで理解できました。
邦訳がどこまで原文と離れているかの判断できませんが,わかりやすい解説がついていたので,理解が進みました。
ついでに「永遠の平和のために」がありましたが,ちょうどEテレで取り上げた番組があったので,読む機会になりました。
西洋人と東洋人の考え方の違いがあるかもしれませんが,これはこれで理解できました。