読者の好みによって、好き嫌いの表れる作品群だと思う。
日常を生きる者にとって、現実という世界は一見、規範や常識などに固く支配されているように映るかもしれない。だが、違和感を覚えることはないだろうか。
それは、たとえば漠然とした不安や疑問の形をとって現れる。おそらくは多くの人が心のどこかで感じ、あるいはこれから感じるかもしれない(人の死に際して、諍いの最中に……など)。
その違和感は、ありふれた(と信じている)世界の狭間に由来するのではないか。そこにある曖昧なものの本質を探るための、一つの側面を、この作品群は描き出している。
感じ方も生き方も人それぞれ、ゆえに好みが分かれるのではと思う。世界の狭間に惹きつけられる者ならば、この本からそれぞれの収穫を得られるのではないだろうか。
文章は平易な言葉の中に、微妙さが表現されている。
『牛乳のお椀』が秀逸。個人的には、あの三ページのために五百円を出しても惜しくないと思った。
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海に住む少女 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2006/10/12
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■海に浮かぶ不思議な町の少女……透きとおっていく、遥かな物語集
「フランス版・宮沢賢治」ともいえる、幻想的な詩人・小説家の、短編ベスト・コレクション。悲しみでも苦しみでもない、切ない気持ちで胸がいっぱいになり、涙がこぼれそうになる。(訳者)
「フランス版・宮沢賢治」ともいえる、幻想的な詩人・小説家の、短編ベスト・コレクション。悲しみでも苦しみでもない、切ない気持ちで胸がいっぱいになり、涙がこぼれそうになる。(訳者)
- 本の長さ189ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2006/10/12
- ISBN-104334751113
- ISBN-13978-4334751111
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商品の説明
出版社からのコメント
■不条理な世界を、必死に生きる
「海に住む少女」の大海原に浮かんでは消える町。「飼葉桶を囲む牛とロバ」では、イエス誕生に立ち合った牛の、美しい自己犠牲が語られる。不条理な世界のなかで必死に生きるものたちが生み出した、ユニークな短編の数々。時代が変わり、国が違っても、ひとの寂しさは変わらない。
「海に住む少女」の大海原に浮かんでは消える町。「飼葉桶を囲む牛とロバ」では、イエス誕生に立ち合った牛の、美しい自己犠牲が語られる。不条理な世界のなかで必死に生きるものたちが生み出した、ユニークな短編の数々。時代が変わり、国が違っても、ひとの寂しさは変わらない。
著者について
ジュール・シュペルヴィエル [1884-1960]
ウルグアイの首都、モンテヴィデオで生まれた。両親はフランス人。10歳のときにフランスに戻り、フランス語で書くことを選ぶ。2つの国に引き裂かれた人生から、独特の複眼的な視点による、幻想的な美しい作品を描いた。詩人、作家。短編集『海に住む少女』『ノアの箱舟』、詩集『重力』など。戦後日本の詩人たちに大きな影響を与え、現在に至るまで、コアなファンを持っている。
[訳者]永田千奈
東京生まれ。翻訳家。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒。主な訳書に『ある父親』(シビル・ラカン)、『それでも私は腐敗と闘う』(イングリッド・ベタンクール)、『サーカスの犬』(リュドヴィック・ルーボディ)などがある。
ウルグアイの首都、モンテヴィデオで生まれた。両親はフランス人。10歳のときにフランスに戻り、フランス語で書くことを選ぶ。2つの国に引き裂かれた人生から、独特の複眼的な視点による、幻想的な美しい作品を描いた。詩人、作家。短編集『海に住む少女』『ノアの箱舟』、詩集『重力』など。戦後日本の詩人たちに大きな影響を与え、現在に至るまで、コアなファンを持っている。
[訳者]永田千奈
東京生まれ。翻訳家。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒。主な訳書に『ある父親』(シビル・ラカン)、『それでも私は腐敗と闘う』(イングリッド・ベタンクール)、『サーカスの犬』(リュドヴィック・ルーボディ)などがある。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2006/10/12)
- 発売日 : 2006/10/12
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 189ページ
- ISBN-10 : 4334751113
- ISBN-13 : 978-4334751111
- Amazon 売れ筋ランキング: - 138,064位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 166位フランス文学研究
- - 208位フランス文学 (本)
- - 346位光文社古典新訳文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年10月13日に日本でレビュー済み
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2020年5月10日に日本でレビュー済み
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北村薫さんの本で触れられてて読んでみました。良かったです。
2017年3月20日に日本でレビュー済み
翻訳者の永田氏がシュペルヴィエルのことをどう表現すればいいのか悩むのも至極当然であろう。
神話的要素あり、童話的要素あり、叙事詩的要素あり、純文学的要素あり。
それがシュペルヴィエルの作品である。
表題作となっている海に住む少女以外にも神秘的な作品が多々ある。
値段も手ごろで一読を勧める。
神話的要素あり、童話的要素あり、叙事詩的要素あり、純文学的要素あり。
それがシュペルヴィエルの作品である。
表題作となっている海に住む少女以外にも神秘的な作品が多々ある。
値段も手ごろで一読を勧める。
2016年10月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題作をもっと古典的な別の翻訳で既読だったことが先入観になっているかもしれませんが。
どの作品も決して優しい作品ではない。さして心温まるわけでもないし、明確に残酷でもない。シンプルなようでいて、実はそうシンプルではない短編ばかりだと思います。
が、翻訳はこれらを「シンプルな寓話」として読ませたがっているような...だって何故「です、ます調」なんでしょう。
現代日本で、三人称であるにもかかわらず「です、ます調」で語られるフィクションって、普通は童話か寓話じゃないですか?
そう思って読んでしまうとこの作品を非常に単純化してしまうようで、好ましくない方向に印象を持っていかれるようで、正直あまり評価できる文体ではありません。
作者を宮沢賢治になぞらえるのはご意見として伺いますが、印象操作になりかねない翻訳手法はまた別の話です。
どの作品も決して優しい作品ではない。さして心温まるわけでもないし、明確に残酷でもない。シンプルなようでいて、実はそうシンプルではない短編ばかりだと思います。
が、翻訳はこれらを「シンプルな寓話」として読ませたがっているような...だって何故「です、ます調」なんでしょう。
現代日本で、三人称であるにもかかわらず「です、ます調」で語られるフィクションって、普通は童話か寓話じゃないですか?
そう思って読んでしまうとこの作品を非常に単純化してしまうようで、好ましくない方向に印象を持っていかれるようで、正直あまり評価できる文体ではありません。
作者を宮沢賢治になぞらえるのはご意見として伺いますが、印象操作になりかねない翻訳手法はまた別の話です。
2009年12月31日に日本でレビュー済み
(前略)仮説はどれも信じがたいものばかりで、サハラの空にエーテルが蒸発するかのように消えてゆきました。(「空のふたり」より)
この文庫に収められた作品たちは、たとえるなら、サハラ砂漠に、エーテルで描かれた地上絵、ではないだろうか。あるいは、撥水加工が施されたキャンバスに、水で描かれた絵画、ではないだろうか。
へたなたとえをしたが、要するに作品たちから受けた印象は、はかなく、あわいものだった。
訳者永田千奈氏は、解説の箇所で、シュペルヴィエル作品にたびたび登場する<キーワード>を挙げながら、作品案内を試みている。氏が挙げている<キーワード>は、本書を手にとって確認いただくとして、私は、そのほかに<キーワード>を挙げ、作品案内の一助としたい。
「空のふたり」と、「足跡と沼」。両作品に共通して登場するのが、<箱>と<びっこ>という<キーワード>だ(ちなみに「ノアの箱舟」には、<箱>が登場している)。
前者では主人公とヒロインとはいずれも<びっこ>で、ふたりを別の世界へといざなうツールとして、<箱>が登場している。
後者では、行商人の携えていた荷物の一部として<箱>が登場し、彼が訪れた家の長男が<ひどく足をひきずって歩いていました>と言う形で<びっこ>は登場している。
(前略)男も女も子供たちも、全世界共通で、箱が好きなのです。地球が箱を求めているのです。運命が生まれ、身を潜め、策を弄する場所のひとつが、箱なのですから。(「足跡と沼」より)
最後に、私が気にいった箇所を紹介して、このレヴューを閉じたい(他にも数箇所あるんですが)
ベツレヘムへの途上、ヨセフの引くロバの背には、マリアが乗っていました。マリアは重くありませんでした。未来のほかに、何も持っていないからです。(「飼葉桶を囲む牛とロバ」)
この文庫に収められた作品たちは、たとえるなら、サハラ砂漠に、エーテルで描かれた地上絵、ではないだろうか。あるいは、撥水加工が施されたキャンバスに、水で描かれた絵画、ではないだろうか。
へたなたとえをしたが、要するに作品たちから受けた印象は、はかなく、あわいものだった。
訳者永田千奈氏は、解説の箇所で、シュペルヴィエル作品にたびたび登場する<キーワード>を挙げながら、作品案内を試みている。氏が挙げている<キーワード>は、本書を手にとって確認いただくとして、私は、そのほかに<キーワード>を挙げ、作品案内の一助としたい。
「空のふたり」と、「足跡と沼」。両作品に共通して登場するのが、<箱>と<びっこ>という<キーワード>だ(ちなみに「ノアの箱舟」には、<箱>が登場している)。
前者では主人公とヒロインとはいずれも<びっこ>で、ふたりを別の世界へといざなうツールとして、<箱>が登場している。
後者では、行商人の携えていた荷物の一部として<箱>が登場し、彼が訪れた家の長男が<ひどく足をひきずって歩いていました>と言う形で<びっこ>は登場している。
(前略)男も女も子供たちも、全世界共通で、箱が好きなのです。地球が箱を求めているのです。運命が生まれ、身を潜め、策を弄する場所のひとつが、箱なのですから。(「足跡と沼」より)
最後に、私が気にいった箇所を紹介して、このレヴューを閉じたい(他にも数箇所あるんですが)
ベツレヘムへの途上、ヨセフの引くロバの背には、マリアが乗っていました。マリアは重くありませんでした。未来のほかに、何も持っていないからです。(「飼葉桶を囲む牛とロバ」)
2006年11月13日に日本でレビュー済み
「この世界」と「別の世界」を自由に行き来しています。
いわゆる「トランスナショナル」的な文学だと思いました。
「この世界」と「別の世界」との交流は、静謐であり、
そして詩的な美しさがありました。
不思議な読書体験をさせてくれた一冊です。
いわゆる「トランスナショナル」的な文学だと思いました。
「この世界」と「別の世界」との交流は、静謐であり、
そして詩的な美しさがありました。
不思議な読書体験をさせてくれた一冊です。
2022年10月15日に日本でレビュー済み
どう表現したら良いのかわからない読後感に襲われた。
ファンタジーなのか、童話、訓話、たとえ話、散文詩、一体何が言いたいのか。
短編の作風は同じ人物が書いたのかと思えないほど、世界観は異なる。
しかし、澄み切った空気のような静かで穏やかな諦念に至りきれぬ、
人間らしい生々しさも残していて、心引かれるものの、
どこまで受け入れれば良いか、悩ましい気持ちにもさせられる。
読み返したくなる短編集。
ファンタジーなのか、童話、訓話、たとえ話、散文詩、一体何が言いたいのか。
短編の作風は同じ人物が書いたのかと思えないほど、世界観は異なる。
しかし、澄み切った空気のような静かで穏やかな諦念に至りきれぬ、
人間らしい生々しさも残していて、心引かれるものの、
どこまで受け入れれば良いか、悩ましい気持ちにもさせられる。
読み返したくなる短編集。
2011年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題作「海に住む少女」の一番のポイントは、唯一の少女のセリフにあると思います。そのセリフの中に、この短編の意味がギュッと凝縮されているような気がしました。そして「セーヌ河の名なし娘」では、人間界から離れて河の底の不思議な娘が、結局は人間でなくなることを拒み、溺死体へと戻っていく過程に、人間は原罪を拭うことはできないというようなメッセージを感じました。それとは別に、「ラニ」や「競馬の続き」と言ったダークなお話もありましたが、基本的に好きなのは不思議なお話。少し期待していたものとは違いましたが、シュペルヴィエルの作品からは、とても奥深い何かを感じることができたので満足です。終わり方に納得できな自分がいたとしたら、それは自分を責めなければいけません。最後に「牛乳のお椀」について。このわずかなページでここまで含みのある文章を描くということは、とても素晴らしいことだと思いました。