・サノーさん一言コメント
「修道僧見習いのアリョーシャを軸に、二人の父、二人の兄、二人の女の在り様が、浮かび上がっていく。神の存在から二分法の矛盾を問う『大審問官』により、新たな価値観が驚きとともに、読む人の内側に、拡がっていく」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「特徴的な登場人物が、だんだんステージに上がっていく過程の巻です。当時の社会や思想とともに、人間が生来持つ悲哀を、容赦なく暴いていきます」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
ウノーさん(以下ウ):2巻は、少しゆったりと話しが進みますね。修道院の解説や人間関係、当時の影響力や、当時の人々の価値観などが感じられました。
サノーさん(以下サ):だが、相変わらず衝撃は大きい。父親フョードルと長男ミーシャ、次男イワンとの関係性、三男アリョーシャの特異性が、伏線としてどんどん張り巡らされていきながら「神の存在」「父の存在」「男女と欲望の存在」について、読むものに息もつかせず、問いかけてくる。
ウ:初めて読んだときは「カラマーゾフ家殺人事件」だと思っていたので、あれ?なかなか死なないなって、思いました。
サ:フョードル、元気いっぱいだもんな。出てくる話も、アリョーシャの修道院、長老ゾシマのエピソード、兄ミーシャの乱暴者ぶり、そしてイワンの「大審問官」。殺人事件とは関係ない。
ウ:「大審問官」は、やばいです。初読で受けた衝撃は忘れられません。アリョーシャでなくとも「イワンのバカ~!」って叫びたくなります。
サ: いや、そのセリフはトルストイだから。内容としては、大昔からある神学者の検討テーマで、珍しい挿話ではない。
ウ:いえ、あんなに深く、鋭く、つきささるような問いかけは、他には知りません。しかも、あの状況下で、自分の弟に論じるような内容ではないです。
サ:それが「カラマーゾフ的」である、ということなんだよ。一貫して「カラマーゾフ一家」にコピーされている人間性が、ひとつのテーマなんだから。
ウ:神の存在を「神を信奉するべき人間」が抹殺する、わけわかんないです。
サ:そして、神の存在が「悪」の存在と同時性を持つという構造を、読むものに突き付けてくる。二分法の根幹にある矛盾を問う。これは、問われたくない人は、多いだろう。
ウ:アリョーシャ、かわいそうですよね。一人のお兄ちゃんは、暴れん坊でナイーブ、そして酒乱。もう一人のお兄ちゃんは理屈っぽくて、なに考えてるかわからなくて、無神論者。この二人の間で、散々振り回されるんですよ。
サ:そして、なんといっても父「フョードル」のゲスっぷりだよな。突き抜けていて、むしろ痛快。
ウ:普通の小説とかだと「実は隠された良心が」とかあると思うのですけど、そういった面は、キレイさっぱりないんです。潔いほど「どーしようもない」のが、衝撃です。まあ「衰えない恋心」に関しては、ロマンチストで、ちょっぴりかわいい面も、描かれていますが。
サ:極端で変人揃いの登場人物たちだが、リアリティがないわけではないんだ。三人の「カラマーゾフの兄弟」も、それぞれが、きちんと破たんせずに、人格と要素と行動が、一致している。
ウ:脇役も、ですよね。二人の美女もそうだし、子供たちも、個性的で変なのに、きちんと空間のなかで並行して存在しています。そして、読み進めると、向かっていく先が少しずつ明らかになっていく、そのあたりも、この小説の面白さですね。
【了】
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カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2006/11/9
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- 本の長さ501ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2006/11/9
- ISBN-104334751172
- ISBN-13978-4334751173
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2006/11/9)
- 発売日 : 2006/11/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 501ページ
- ISBN-10 : 4334751172
- ISBN-13 : 978-4334751173
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2017年3月18日に日本でレビュー済み
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2019年8月12日に日本でレビュー済み
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kindle版を購入しました。
内容はもちろん素晴らしいのですが、移動しようとすると、編単位でしか目次がないのが不便でした。改善できないでしょうか?
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他の巻は対応できているようなのですが…
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2013年12月31日に日本でレビュー済み
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キリスト教に関する基礎的知識の不足を感じ、一旦、カラマーゾフの兄弟は休み、それらの本を読むこととした。
つまり、この小説は、よほどキリスト教に詳しくないと本当に理解は出来ないと言うことであろう。
つまり、この小説は、よほどキリスト教に詳しくないと本当に理解は出来ないと言うことであろう。
2019年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イワンの大審問官のくだりなど、周りから難解だと言われてついつい身構えてしまったが何のことはない。
キリストの示した「高み」、あまりに高尚すぎる理想は、大部分の人間にとって非現実的である。との訴えに過ぎない。
弱き人々のために地上に築き上げられた秩序を、天の神秘で乱してくれるなと。
ドストエフスキーを読む際、知識だ読解力だを盾にとって複雑化、高尚化する「読書家」には耳を貸さなくていい。亀山さんの真にわかりやすく、楽しげな解説で充分である。
キリストの示した「高み」、あまりに高尚すぎる理想は、大部分の人間にとって非現実的である。との訴えに過ぎない。
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ドストエフスキーを読む際、知識だ読解力だを盾にとって複雑化、高尚化する「読書家」には耳を貸さなくていい。亀山さんの真にわかりやすく、楽しげな解説で充分である。
2019年9月20日に日本でレビュー済み
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やや重い2巻である、カラマーゾフでクリアするのはここくらいだろうと思う 重たいが話は進むので続きは気になる、相変わらず登場人物の解説を載せたしおりが役に立つ このしおりがあるとないとでは全然違う とにかく名前がややこしいのだ ゾシマ長老が良い味だしていて好きだ
2019年6月27日に日本でレビュー済み
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20代と30代に1度ずつ途中で挫折しました。20年振りに読み始め、最後まで読めました。こんなに面白かったとは。村上春樹が影響を受けた3冊の本にあげているだけあります。死ぬまでにもう一回読みたい本です。