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寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫 Aム 1-1) 文庫 – 2008/9/9

4.4 5つ星のうち4.4 23個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 光文社 (2008/9/9)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/9/9
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 347ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4334751652
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4334751654
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 23個の評価

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ローベルト・ムージル
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カスタマーレビュー

星5つ中4.4つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2008年9月14日に日本でレビュー済み
ムージルに「敷居の高さ」を感じている人は多いのでは?
私もその一人で、ムージルといえば「難解」「孤高」「文学的」=ためにはなっても、楽しく読めなさそう・・・と思っていました。
今回、新訳&文庫化という条件がそろわなければ、ずっと敬遠し続けていたでしょう。

読んでみて、いい意味で予想を裏切られました。けっこう展開が速くて、エンターテインメントしているのです。一気に読めました。
催眠術を本気で試す同級生だとか、現代の読者からすると「えぇー?」と思う要素もてんこ盛り。飽きません。
でもテーマは、あくまでも少年テルレスの「混乱」。問題の「BL」部分やいじめというのは、単に未知とか謎のひとつの形として選ばれた題材にすぎないようにも思えます。もちろんそれも印象的で、そこに注目して読んでもおもしろいと思いますが。
とにかく起こるべくして事件が起こるのであって、読みどころはその事件によってテルレスがどう揺れていくかです。
そしてテルレスのもの思いシーンは、間違いなく素晴らしいです。「魂」とか「認識」とか、ややこしい言葉が出てくる部分もありますが、テルレスの中で何が起こっているかは伝わってくるはず。
鼻白むところのない訳のおかげも大きいと思いますが、私は感情移入できました。
「まだ考えてるのさ。あれが、どういうことなのか」というせりふの通り、テルレスは最後まで考え続けます。その中に、誰も口に出さない(し、出せない)「あいまいな感覚」がちゃんと息づいているように感じました。
そのリアリティは、自分自身の人生のどこかの瞬間を思い出さずにはいられないほどです。それだけで読む価値はあるし、こういうことができるのが小説の良さだなあ、としみじみ思いました。

そのように饒舌に、切実に描かれているにも関わらず、この話で語られているのは語りえないということそのものです。言葉の限界。しかし、わからないということをめぐる体験のあとでたどりつく場所もあるんだということをテルレスは教えてくれます。
一読すると微妙でも、よく読んでみると成長物語としてじゅうぶん納得のいく結末でした。

BLの古典・・・と聞いて読むと「?」かもしれませんが、萌えは感じなくても「少年」「性」「成長」などは堪能できるので、そんなにずるい売り文句でもないのではないのでしょうか。
それに、古典と思って甘く見ていたら、なかなかどうしてツボは押さえていたし。表現として上品というか、生々しくないので、誰でも抵抗なく読める程度だと思いますが。
BL好きがどう読むのか、興味があるところです。そういう意味でも、いろんなタイプの人にテルレスとの出会いのチャンスを与えたであろう今回の文庫化は価値があると思います。

読むことはないだろうと思っていたムージル。読んでよかったと思います。
魅力的な「混乱」をありがとう、といいたいです。
39人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年9月12日に日本でレビュー済み
 帯の「ボーイズラブの古典」という売り文句を見た時には反発を感じましたが、読み終わってみて、あながち嘘でもないことに驚いています。
 未分化の少年の混乱した内面と、それが現実世界に与える思いがけない重大な影響、そしてその現実の現象がまた少年の魂に跳ね返って変化させるという、「発達の一段階が完結」し「魂が新しい年輪をひとつつけ」るまでの、短くて激しい期間を描いた作品という点では、現代のボーイズラブというジャンルよりもはるか前にあった、ジュネ、あるいは24年組の少女漫画と非常に雰囲気が似ています。
 愛も性も混乱した時代の少年達の、閉塞的な状況下でのドラマが好きな方にはとてもおすすめです。後半一気に展開が速くなるので、ぜひ読み通していただきたい。最後のテルレスの告白は圧巻です。
 ボーイズラブの古典、と言い切ってしまうとまるで作者がこれをボーイズラブのつもりで書いたかのようで、語弊がありすぎますので、やはりもう少し言葉を選んでほしいですが。
 結局、私がこの作品を知ったのも、今はなき雑誌「小説イマージュclub」の「ゲイ文学リスト〜海外編〜」という記事でだったのです。20世紀末、まだボーイズラブという言葉のなかった時代のことでした。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年10月4日に日本でレビュー済み
1906年というからすでに100年以上前。全寮制の学校にいる主人公が抱く「空虚」感がたまりません。一応、両親から離れたことがその原因らしく書き初められていますが、そもそもこの世界に原則的・根源的に追い求めるべきものなどないのだという「感じ」はとんでもなく現代的。いじめあり、同性愛あり、思春期の反抗あり。盛りだくさんです。

「空虚」を充たそうとして主人公が向かうのが「知の世界」と「性の世界」。虚数や無限、カント哲学に魅了され、娼婦や美しい同級生男子によろめく。しかし、結局充たされないことを確信して成長するという正統的な、いかにもカントを勉強している「超越論的」小説です。現実が「空虚」で充たされないのは、あまりに理想を高く設定し、近づくとさらに高く設定し直すから、つまり、超越的なものの存在を信じているからです。だからこその思春期!

少しばかり説明過多な前半と比べて、加速度的に主題が展開する後半がすばらしいです。ぜひ高校生、大学生に読み通していただきたい古典的傑作。
31人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年9月10日に日本でレビュー済み
高価な著作集でしか読めなかったこの作品が、
安価な文庫で入手可能になったことを素直に喜びたいと思います。
この調子で光文社さん、名作はもちろん、
大作家の未邦訳作品の紹介もよろしくお願いします。

しかし、帯の宣伝文句や強引な解説はいただけません。
この作品をボーイズ・ラブの系譜に位置付けるのはいかがなものか。
そうまで新しい読者層を獲得しようとしなくてもいいではありませんか。

主人公テルレスは確かに同性に対する性の衝動に駆られますが、
それは未分化な性ともいうべきものであり、
男子だけの全寮制学校だったから、同性に向かったにすぎません。
それに、この物語はテルレスの精神の成長過程を描いたものであって、
性は重要な位置を占めているにしろ、それが作品の中心ではないのです。
このようにあまりに内容を単純化して説明することは、
それを信じて購入したすべての読者、そして何よりも
作者と作品に対する大変不誠実な行為であると私は考えます。

「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」の理念は、
作品の本質を歪めて伝えるということと同じではないはず。
過剰なコマーシャリズムに走るのはやめてください。
91人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート