6回以上の和訳がなされているらしい本書。以前に2つほど読んだ経験がありまして、こちらの新訳にて3度目のミセスダロウェイを体験しました。
ここまで読みやすくなっているとは…本当に驚きました。
日本語での文章を大切にされている方が翻訳しているんだな、ということがひしひし伝わってきます。
異国の話ではないかのよう…。それでいて、ロンドンの鐘の音がきこえてくるようなクリアな文章。
ものすごく良い買い物をしましたホクホク。
んで、シェイクスピアの「シンベリン」から引用された一文がこの作品を貫いていると思うんです。
もう恐るるな、ってやつです。こちらは、オソレルナではなくやっぱりオソルルナなんだなぁ~と。
冬将軍!この、現代とマッチしないような文章選択が、逆に胸に迫る。引っかかるからどうしても、心に残る。
なんというか、妙に納得しました。
読む人によっては、たましいと開眼の一書になるでしょう。
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ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫 Aウ 3-1) 文庫 – 2010/5/11
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- ISBN-104334752055
- ISBN-13978-4334752057
- 出版社光文社
- 発売日2010/5/11
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 1.5 x 15 cm
- 本の長さ377ページ
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/5/11)
- 発売日 : 2010/5/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 377ページ
- ISBN-10 : 4334752055
- ISBN-13 : 978-4334752057
- 寸法 : 10.5 x 1.5 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 137,301位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 329位光文社古典新訳文庫
- カスタマーレビュー:
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2023年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公に共感できない珍しい作品だった。中編にもかかわらず、登場人物が多すぎて、混乱する。
ここでは、ダロウェイ夫人に的を絞ってみる。
まず、登場するダロウェイ夫人は王室大好き人間であることが分かる。そして、首相を招いての夜会の準備に余念がない。思春期の友人も招かれている。そのなかには、昔の恋人ピーターもインドからロンドンに戻って参加する。文学青年のピーターを振って結婚相手に選んだのは、リチャード・ダロウェイ。この人はとうとうと「シェイクスピアのソネットはひとのプライバシーをあばき立てる品性下劣な作品だから、まともな人が読むようなものではない」と公言する。
ダロウェイ夫人は、保守系国会議員で首相を招くことのできる夫にほぼ満足している。リチャードは「頭が良くないから、閣僚になれなかった」と友人に言われる類の人物だ。
50才を過ぎた女性が、昔の恋人が今も自分を忘れられないらしいと内心こころときめかす。理解不能。昔の恋人などに会いたくもない。
ダロウェイ夫人が書かれた時は、女性参政権運動が盛り上がっていたのに全く関心を示さない。
ヴァージニア・ウルフは家父長制や英国の帝国主義を批判していたはずなのに。
ダロウェイ夫人と接点のないまま、戦争神経症を患い悲惨な最後を遂げるセプティマスの物語が進行する。この第一次世界大戦に政治家のリチャードは責任はなかったのか?それにも無関心。
娘のエリザベスに子供っぽいと言わせている。
エリザベスはドイツ系で大学教育を受けたにもかかわらず、不遇な家庭教師の女性に心酔していたが、やがて離れる。ダロウェイ夫人は娘をめぐって、嫉妬する。ここだけに焦点を当てて、作品を書いても良かったのにと思う。それも、意識の流れの手法を使って。
ウルフは「ダロウェイ夫人が夜会の後、命を落とすかわりにセプティマスが窓から身を投げた」と言っているけれど、ダロウェイ夫人はとてもそのような繊細さを持ち合わせた女性には思えなかった。
訳者の翻訳は滑らかで、先人の蓄積の上に出来上がっているのだろう、成功していると思う。
ただ、セプティマスが「僕」と自分を呼び、アッパーミドルクラスのはずのピーターが「おれ」と呼ぶ。訳者の判断をお聞きしたいと思った。
ここでは、ダロウェイ夫人に的を絞ってみる。
まず、登場するダロウェイ夫人は王室大好き人間であることが分かる。そして、首相を招いての夜会の準備に余念がない。思春期の友人も招かれている。そのなかには、昔の恋人ピーターもインドからロンドンに戻って参加する。文学青年のピーターを振って結婚相手に選んだのは、リチャード・ダロウェイ。この人はとうとうと「シェイクスピアのソネットはひとのプライバシーをあばき立てる品性下劣な作品だから、まともな人が読むようなものではない」と公言する。
ダロウェイ夫人は、保守系国会議員で首相を招くことのできる夫にほぼ満足している。リチャードは「頭が良くないから、閣僚になれなかった」と友人に言われる類の人物だ。
50才を過ぎた女性が、昔の恋人が今も自分を忘れられないらしいと内心こころときめかす。理解不能。昔の恋人などに会いたくもない。
ダロウェイ夫人が書かれた時は、女性参政権運動が盛り上がっていたのに全く関心を示さない。
ヴァージニア・ウルフは家父長制や英国の帝国主義を批判していたはずなのに。
ダロウェイ夫人と接点のないまま、戦争神経症を患い悲惨な最後を遂げるセプティマスの物語が進行する。この第一次世界大戦に政治家のリチャードは責任はなかったのか?それにも無関心。
娘のエリザベスに子供っぽいと言わせている。
エリザベスはドイツ系で大学教育を受けたにもかかわらず、不遇な家庭教師の女性に心酔していたが、やがて離れる。ダロウェイ夫人は娘をめぐって、嫉妬する。ここだけに焦点を当てて、作品を書いても良かったのにと思う。それも、意識の流れの手法を使って。
ウルフは「ダロウェイ夫人が夜会の後、命を落とすかわりにセプティマスが窓から身を投げた」と言っているけれど、ダロウェイ夫人はとてもそのような繊細さを持ち合わせた女性には思えなかった。
訳者の翻訳は滑らかで、先人の蓄積の上に出来上がっているのだろう、成功していると思う。
ただ、セプティマスが「僕」と自分を呼び、アッパーミドルクラスのはずのピーターが「おれ」と呼ぶ。訳者の判断をお聞きしたいと思った。
2022年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めてすぐに、次々と入れ替わる人物の思考に引き込まれました。
そして自分ものそのひとりである中年期というものを考えさせられる思考に頷いたり、関心したり。
今から100年前だと50代前半はもう晩年だったのでは、と思うのですが、
意外にも「まだ若い」という感覚。
と内容は非常に良かったのですが、図書館で借りて良かったのでKindle版を買って失望。
ページ開きは選択できず、少なくない注に飛べるものの、戻るためのリンクはない。
まるでやる気がない。
英書では考えられないレベルでした。
ということで
内容★★★★★
Kindle★
総合★★★
そして自分ものそのひとりである中年期というものを考えさせられる思考に頷いたり、関心したり。
今から100年前だと50代前半はもう晩年だったのでは、と思うのですが、
意外にも「まだ若い」という感覚。
と内容は非常に良かったのですが、図書館で借りて良かったのでKindle版を買って失望。
ページ開きは選択できず、少なくない注に飛べるものの、戻るためのリンクはない。
まるでやる気がない。
英書では考えられないレベルでした。
ということで
内容★★★★★
Kindle★
総合★★★
2023年1月9日に日本でレビュー済み
アラフィフ世代に激推ししたい。というかそれ以上の方も。
今この瞬間を生きることと、過去の自分を振り返ることがある。振り返るだけの過去が蓄積されたということだ。それは今を生きると同時に過去をも生きていることであるという。
主人公のクラリッサ・ダロウェイは50を過ぎている。クラリッサに恋をしていたがこっぴどく振られてインドへ行ったピーター、同性同士の不思議な気持ちを感じたサリー、完璧な英国紳士ヒュー、同じ街のとあるところで飛び降り自殺をしたセプティマス。
最初、なんか読みにくいと思った。段落が変わると誰が主語なのかわからないところがあった。場面が変わると言うより、誰の意識を語っているかが変わる。これが読み進めるうちに登場人物を一人残さず自分の中に強烈に印象づけられる理由なのだと思った。全員の生きる一瞬一瞬の意識をトレースするのだ。
自分はぼーっとしているようで、瞬間たくさんのことを考えていると思う。それが文章で再現されているのに等しいのだ。会話で語った言葉以上のものが自分の中に入ってくる。
ロンドンの上流階級のダロウェイ夫人が開催するホームパーティーの開かれる一日。
クラリッサの自分が年を取ったと感じている自分の吐露。過去の自分を思い起こして出てくる感情。その過去にまつわる人たちがその日に目の前に現れてくる。なんとも言えない読後感。
著者のバージニア・ウルフは女性運動のシンボルのように扱われていたらしい。女性の同性愛に関する描写や女性が政治に関わっていく姿勢に関しての表現はなるほどと思う。
この本を読もうと思ったのが、哲学系のお薦め図書であがっていたため。
あと、古典文学を読むのであれば、光文社古典新訳文庫を個人的にはお薦めする。Kindle Unlimitedにもよくあるし、巻末に訳者のあとがき、著者の生涯の紹介などすごく充実している。難解な本も100分で名著や解説本をワンクッションおいてを読むより光文社古典新訳文庫で書かれた本をダイレクトに読む方がわたしはすごくいい。
今この瞬間を生きることと、過去の自分を振り返ることがある。振り返るだけの過去が蓄積されたということだ。それは今を生きると同時に過去をも生きていることであるという。
主人公のクラリッサ・ダロウェイは50を過ぎている。クラリッサに恋をしていたがこっぴどく振られてインドへ行ったピーター、同性同士の不思議な気持ちを感じたサリー、完璧な英国紳士ヒュー、同じ街のとあるところで飛び降り自殺をしたセプティマス。
最初、なんか読みにくいと思った。段落が変わると誰が主語なのかわからないところがあった。場面が変わると言うより、誰の意識を語っているかが変わる。これが読み進めるうちに登場人物を一人残さず自分の中に強烈に印象づけられる理由なのだと思った。全員の生きる一瞬一瞬の意識をトレースするのだ。
自分はぼーっとしているようで、瞬間たくさんのことを考えていると思う。それが文章で再現されているのに等しいのだ。会話で語った言葉以上のものが自分の中に入ってくる。
ロンドンの上流階級のダロウェイ夫人が開催するホームパーティーの開かれる一日。
クラリッサの自分が年を取ったと感じている自分の吐露。過去の自分を思い起こして出てくる感情。その過去にまつわる人たちがその日に目の前に現れてくる。なんとも言えない読後感。
著者のバージニア・ウルフは女性運動のシンボルのように扱われていたらしい。女性の同性愛に関する描写や女性が政治に関わっていく姿勢に関しての表現はなるほどと思う。
この本を読もうと思ったのが、哲学系のお薦め図書であがっていたため。
あと、古典文学を読むのであれば、光文社古典新訳文庫を個人的にはお薦めする。Kindle Unlimitedにもよくあるし、巻末に訳者のあとがき、著者の生涯の紹介などすごく充実している。難解な本も100分で名著や解説本をワンクッションおいてを読むより光文社古典新訳文庫で書かれた本をダイレクトに読む方がわたしはすごくいい。
2022年2月20日に日本でレビュー済み
2022年初のNHK100分で名著で取り上げられ、意識の流れ という手法、時代背景に興味を持ち、本書を手に取った。
まだ半分を超えたところだけど、初めての感触を持ち面白い。それは意識の主体が次々に変わるという実験的手法で飽きさせないことにあると思うが、その上、その意識が表面的でなく深みを持っているからだと思う。
実際ここまで心象を曝け出して描いた文章に出会ったことがあっただろうか。それは私の読書の経験の乏しさとも関係するとは思うが。それにしても、当時の考え方、常識や良識 対 常識など吹っ飛ばしてしまう程の狂気、絶望ー時代に翻弄されてのー、偽善、医療への批判などなど読みごたえがある。
それはとりもなおさず、バージニアウルフ自身の心象の現れだし想像力だと思うと、名著として時代を超えても読み継がれる理由がわかる。
私の年齢もちょうどクラリッサと同じくらいだから、時代が違うとはいえ世界や人生に対しての感想にも親近感を感じる。もういつのまにか、まだ若いって言われなくなってるのですよ、、ほんとにいつの間にか。だからこそ見えるものもあり、失ったものもある。
親近感は、共感、というのとは異なるが。
それにしてもこんなに沢山の登場人物の群像劇、書くとしたら、能力と湧き上がる情熱が必要。バージニアの人生、他の作品にも興味持ちました。
また、本作の主人公クラリッサは、スペイン風邪に罹りその後遺症で心臓が悪く白髪が増えたとのことだけど、今はコロナ禍。パンデミックだからこそ、私はこうやって落ち着いて読書する時間がとれるし、じっくり読む気にもなるのだろうと思う。
まだ半分を超えたところだけど、初めての感触を持ち面白い。それは意識の主体が次々に変わるという実験的手法で飽きさせないことにあると思うが、その上、その意識が表面的でなく深みを持っているからだと思う。
実際ここまで心象を曝け出して描いた文章に出会ったことがあっただろうか。それは私の読書の経験の乏しさとも関係するとは思うが。それにしても、当時の考え方、常識や良識 対 常識など吹っ飛ばしてしまう程の狂気、絶望ー時代に翻弄されてのー、偽善、医療への批判などなど読みごたえがある。
それはとりもなおさず、バージニアウルフ自身の心象の現れだし想像力だと思うと、名著として時代を超えても読み継がれる理由がわかる。
私の年齢もちょうどクラリッサと同じくらいだから、時代が違うとはいえ世界や人生に対しての感想にも親近感を感じる。もういつのまにか、まだ若いって言われなくなってるのですよ、、ほんとにいつの間にか。だからこそ見えるものもあり、失ったものもある。
親近感は、共感、というのとは異なるが。
それにしてもこんなに沢山の登場人物の群像劇、書くとしたら、能力と湧き上がる情熱が必要。バージニアの人生、他の作品にも興味持ちました。
また、本作の主人公クラリッサは、スペイン風邪に罹りその後遺症で心臓が悪く白髪が増えたとのことだけど、今はコロナ禍。パンデミックだからこそ、私はこうやって落ち着いて読書する時間がとれるし、じっくり読む気にもなるのだろうと思う。
2011年9月9日に日本でレビュー済み
土屋氏訳のものを読みましたが、素晴らしかったです。
これから先、これ以上の小説に出会う事がはたして出来るのか?と思えるくらい。
「他人があれこれ言うことなど、みな表面的、みな断片的。心の中でもっと深く掘り下げてみたら、わたしが生と呼んでいるものはいったいどんな意味をもっているのかしら」
「意識」がある人物の中に入り込み、その心情を内側から語った後で、また別の人物の中へ移動するという独特の形式をとることで、人々の内面と、その人が外側からどのように見えているかという、その微妙な「ずれ」の掬い取り方が絶妙で、さすがはウルフと唸ってしまいます。
クラリッサ(ダロウェイ夫人)は周囲からは俗物と思われていますが、本当はアーティストなのだと思えました。
芸術家が何か素晴らしく決定的な瞬間を絵や音楽に閉じ込めようとするように、クラリッサは人々の記憶にいつまでも残るような、そんなパーティを作り上げたいと願っていた。
いつか離れ離れになっていく人達も、「その時、その場所で一緒にいた事」を思い出すことで、それから先の未来でもずっと繋がっていけるように。(そしてその記憶や人々の関係性の中で、自分がいつまでも生き続けていけるように)
残念ながら周囲には出世のための手段と思われていますが…。(涙)
それにもめげず、「だからパーティを開くの」と言い切ったクラリッサの心意気は天晴れです。我が成すことは我のみぞ知る。この精神。惚れます。
6月のある日のパーティでは、思いもかけず30年前と同じく元恋人ピーターや旧友サリーまでもが一堂に会し、皆にとって(特にピーターにとって)忘れられない記憶となったのではないでしょうか。
狂気(正常な人間からはみだした者)を排除しようとする社会に抗議したセプティマス。
彼の人生は決して悲劇ではなかった。狂気に飲み込まれたことも含め、美しいものだった。だけど社会は「狂ったこと=悲劇」とみなす。
彼は叫ぶ。「悲劇が欲しいなら、くれてやる!」
セプティマス、そしてウルフの人生を悲劇とみなすなら、それこそウルフが一番してほしくなかったことなのではないでしょうか?
狂気が見せるビジョンは時に恐ろしいほど美しく、ウルフに作家としてのインスピレーションと、なによりも彼女の生き甲斐である創作の喜びを与えてくれたのですから。
これから先、これ以上の小説に出会う事がはたして出来るのか?と思えるくらい。
「他人があれこれ言うことなど、みな表面的、みな断片的。心の中でもっと深く掘り下げてみたら、わたしが生と呼んでいるものはいったいどんな意味をもっているのかしら」
「意識」がある人物の中に入り込み、その心情を内側から語った後で、また別の人物の中へ移動するという独特の形式をとることで、人々の内面と、その人が外側からどのように見えているかという、その微妙な「ずれ」の掬い取り方が絶妙で、さすがはウルフと唸ってしまいます。
クラリッサ(ダロウェイ夫人)は周囲からは俗物と思われていますが、本当はアーティストなのだと思えました。
芸術家が何か素晴らしく決定的な瞬間を絵や音楽に閉じ込めようとするように、クラリッサは人々の記憶にいつまでも残るような、そんなパーティを作り上げたいと願っていた。
いつか離れ離れになっていく人達も、「その時、その場所で一緒にいた事」を思い出すことで、それから先の未来でもずっと繋がっていけるように。(そしてその記憶や人々の関係性の中で、自分がいつまでも生き続けていけるように)
残念ながら周囲には出世のための手段と思われていますが…。(涙)
それにもめげず、「だからパーティを開くの」と言い切ったクラリッサの心意気は天晴れです。我が成すことは我のみぞ知る。この精神。惚れます。
6月のある日のパーティでは、思いもかけず30年前と同じく元恋人ピーターや旧友サリーまでもが一堂に会し、皆にとって(特にピーターにとって)忘れられない記憶となったのではないでしょうか。
狂気(正常な人間からはみだした者)を排除しようとする社会に抗議したセプティマス。
彼の人生は決して悲劇ではなかった。狂気に飲み込まれたことも含め、美しいものだった。だけど社会は「狂ったこと=悲劇」とみなす。
彼は叫ぶ。「悲劇が欲しいなら、くれてやる!」
セプティマス、そしてウルフの人生を悲劇とみなすなら、それこそウルフが一番してほしくなかったことなのではないでしょうか?
狂気が見せるビジョンは時に恐ろしいほど美しく、ウルフに作家としてのインスピレーションと、なによりも彼女の生き甲斐である創作の喜びを与えてくれたのですから。