「盗まれた細菌」「奇妙な蘭の花が咲く」「ハリンゲイの誘惑」「ハマーポンド邸の夜盗」「紫の茸」「パイクラフトに関する真実」「劇評家悲話」「失った遺産」「林檎」「初めての飛行機」「小さな母、メルダーベルクに登る」の11篇と、マックス・ビアボウムがウェルズの文体を真似して書いた「パーキンズと人類 第二十章」が収められている。
南條竹則さんによる新訳である。日本でも有名な作品もいくつか含まれているが、訳文が新鮮で面白かった。
いずれもユーモア小説の範疇に入るようなもの。ウェルズといえばSFというイメージが強いが、新たな切り口で興味深い。
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盗まれた細菌,初めての飛行機 (光文社古典新訳文庫 Aウ 4-1) 文庫 – 2010/7/8
- 本の長さ285ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2010/7/8
- ISBN-10433475208X
- ISBN-13978-4334752088
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/7/8)
- 発売日 : 2010/7/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 285ページ
- ISBN-10 : 433475208X
- ISBN-13 : 978-4334752088
- Amazon 売れ筋ランキング: - 965,369位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年11月3日に日本でレビュー済み
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ウェルズと言えば、SF(科学)小説の巨匠ですので、氏の書いたユーモア小説とかも、きっとヘンに理屈ぶった生真面目な笑いの作品なのではないかと思えそうですが、とんでもありません。
本書「盗まれた細菌/初めての飛行機」は、ウェルズの数多い短編の中から特にコミカル色の強いものばかりを選んだ珠玉集なのですが、嬉しい事に、初邦訳やあまり邦訳された事の無い作品ばかりが収録されています。特に終盤に収められている「小さな母、メルダーベルクに登る」は、科学性やリアリティをまるで無視したドタバタ小説であり、これが「タイム・マシン」や「宇宙戦争」と同じ作者の小説だとは、全く驚かされる次第です。
また、本書は、何よりも翻訳者(南條竹則)のウェルズ愛がひしひしと伝わってくるところも微笑ましいのでした。
本書「盗まれた細菌/初めての飛行機」は、ウェルズの数多い短編の中から特にコミカル色の強いものばかりを選んだ珠玉集なのですが、嬉しい事に、初邦訳やあまり邦訳された事の無い作品ばかりが収録されています。特に終盤に収められている「小さな母、メルダーベルクに登る」は、科学性やリアリティをまるで無視したドタバタ小説であり、これが「タイム・マシン」や「宇宙戦争」と同じ作者の小説だとは、全く驚かされる次第です。
また、本書は、何よりも翻訳者(南條竹則)のウェルズ愛がひしひしと伝わってくるところも微笑ましいのでした。
2020年4月11日に日本でレビュー済み
少し気分転換と何か面白いアイデアでも浮かべばいいなと、どういう話なのかも分からないまま、だらだらと一読しました。読み終わった直後の感想としては、面白いわけでもなく、意味もよく分からない、奇妙な話を掴まされたというものでした。具体的に何が奇妙かと考えると、お話の中に登場する母親がとりとめて奇妙なのです。実在する人物として描かれていますが、主人公だけに見えているお化けみたいで、つまりこう…変な人の変な話を聞かされている時に感じる不安感情のようなものをこの人物から感じるのです。
私はこの話はこのままよく分からないままに終わりにしようかとも考えたのですが、しかし、どうにも引っかかるものがあり読書感想にしようと、作者ウェルズの生い立ちなどをウィキペディアで簡易に調べました。
すると、彼の父はスポーツ選手や庭師で母はメイドだとありました。そういう読み方は是ではないのかもしれませんが、メイドという独特の職業の母親ということで、この話に感じた奇妙さに一本の線が引けた感覚を覚えました。なるほどと思いました。
このお話の母親は、自分では何一つ決断せず、自分の足で作中一歩も歩くことがなく、また周りの判断には「いいんじゃない」と頷くのみという人物です。それは、おそらくメイドだった母親の特徴の流用なのだと思いました。彼女はいい人物とも悪い人物とも描かれていませんが…。まあ個人的には大嫌いですが、働く女性が増えたといえど今の時代にも平日の昼間社会から壁や扉を挟んだ“家”という空間(あるいは父親の目にも触れない空間)で、人知れず子供にのみ変わった大人である自分をさらけ出している母親は多いでしょう。私の母親がそういう人間だったので、まあ今でもいるのだろうなと思うだけですが…。
……話を戻しますと、この話には主人公に対し母親のみが登場します。主人公は山に登ることを決意し、周りにお前には登山は無理だとからかわれつつ、自分では歩くことはしない母親をうぬと背に担いでは、無事登頂を果たします。そこから私が感じたことは、社会から隔離された家という壁の内側で、奇妙な母親と過ごした人間にのみ書かれた、一つのお話なのかなということです。そう思うと、私の読後感は心地よいものとなりました。それが私の読書感想です。
さて、おそらくこれが長編小説だと奇妙過ぎて読むのが嫌になる人が多いのかなと思いますが。
実は自分の母親は普通の人からは酷く逸脱した母親だという人、あるいはそのことを夜遅くに家に帰ってくる父親や親戚に訴えても、理解してもらえなかったというコンプレックスを持っている人には是非読んでみて欲しいと思います。何だか変な気分になる奇妙な話であることうけあいですが、短い時間で読めるので是非是非。
私はこの話はこのままよく分からないままに終わりにしようかとも考えたのですが、しかし、どうにも引っかかるものがあり読書感想にしようと、作者ウェルズの生い立ちなどをウィキペディアで簡易に調べました。
すると、彼の父はスポーツ選手や庭師で母はメイドだとありました。そういう読み方は是ではないのかもしれませんが、メイドという独特の職業の母親ということで、この話に感じた奇妙さに一本の線が引けた感覚を覚えました。なるほどと思いました。
このお話の母親は、自分では何一つ決断せず、自分の足で作中一歩も歩くことがなく、また周りの判断には「いいんじゃない」と頷くのみという人物です。それは、おそらくメイドだった母親の特徴の流用なのだと思いました。彼女はいい人物とも悪い人物とも描かれていませんが…。まあ個人的には大嫌いですが、働く女性が増えたといえど今の時代にも平日の昼間社会から壁や扉を挟んだ“家”という空間(あるいは父親の目にも触れない空間)で、人知れず子供にのみ変わった大人である自分をさらけ出している母親は多いでしょう。私の母親がそういう人間だったので、まあ今でもいるのだろうなと思うだけですが…。
……話を戻しますと、この話には主人公に対し母親のみが登場します。主人公は山に登ることを決意し、周りにお前には登山は無理だとからかわれつつ、自分では歩くことはしない母親をうぬと背に担いでは、無事登頂を果たします。そこから私が感じたことは、社会から隔離された家という壁の内側で、奇妙な母親と過ごした人間にのみ書かれた、一つのお話なのかなということです。そう思うと、私の読後感は心地よいものとなりました。それが私の読書感想です。
さて、おそらくこれが長編小説だと奇妙過ぎて読むのが嫌になる人が多いのかなと思いますが。
実は自分の母親は普通の人からは酷く逸脱した母親だという人、あるいはそのことを夜遅くに家に帰ってくる父親や親戚に訴えても、理解してもらえなかったというコンプレックスを持っている人には是非読んでみて欲しいと思います。何だか変な気分になる奇妙な話であることうけあいですが、短い時間で読めるので是非是非。
2010年8月8日に日本でレビュー済み
古典名作「タイムマシン」「透明人間」「宇宙戦争」等々で名高い「SFの父」と呼ばれた英国文学作家ウェルズの意外な一面を紹介する軽妙でユーモラスな日本オリジナル短編集です。本書に収められた作品は何処か妖しげな怪奇幻想の雰囲気を帯びており作家の料理の仕方によっては悲劇に終わりかねない不吉な題材が多いのですが、著者は元来楽天的な性格と見えて決して暗い悲劇にはせず、多かれ少なかれ必ず読み手を微笑ませてくれます。また本編11編と共に巻末付録2編も味があって楽しめます。
『盗まれた細菌』無政府主義者の男が細菌学者の研究室からコレラ菌を盗み出し緊迫の追跡劇となるが・・・鍵を握る菌「青の破滅」の正体が笑激的です。『奇妙な蘭の花が咲く』蘭収集家が手に入れた奇妙な蘭が恐るべき災厄を招くが・・・読後感の良さに安堵します。『ハリンゲイの誘惑』画家が描いた絵の中で悪魔と出逢う嘘みたいな真実の話。『ハマーポンド邸の夜盗』画家を装いハマーポンド邸のダイヤを狙った男の目論見は大きく狂うのだが・・・。『紫の茸』妻と喧嘩し家を飛び出した夫が絶望し自殺を決意するが・・・正に「災い転じて福と為す」話です。『パイクラフトに関する真実』ロンドン一太った男の身に起きた苦笑を誘う奇妙奇天烈な出来事。『劇評家悲話』劇評家になった為に失恋した男の話で本人には気の毒だが思わず笑ってしまいます。『失った遺産』伯父の遺産を相続し損ねた男が不運を嘆きながらも自業自得と運命を受け入れます。『林檎』列車で会った男から貰った不思議な由来の林檎を疑って捨ててしまった男の一生の後悔。『初めての飛行機』飛行機に乗りたいと熱望する青年が無謀にも初飛行に挑戦し起こした破茶滅茶な大騒ぎ。『小さな母、メルダーベルクに登る』前作の青年が今度はスイスで小さな母を登山に挑ませる。無茶を非難する人々に対し「結果が良ければ」と常に前向きな青年の心意気が清々しいです。
『盗まれた細菌』無政府主義者の男が細菌学者の研究室からコレラ菌を盗み出し緊迫の追跡劇となるが・・・鍵を握る菌「青の破滅」の正体が笑激的です。『奇妙な蘭の花が咲く』蘭収集家が手に入れた奇妙な蘭が恐るべき災厄を招くが・・・読後感の良さに安堵します。『ハリンゲイの誘惑』画家が描いた絵の中で悪魔と出逢う嘘みたいな真実の話。『ハマーポンド邸の夜盗』画家を装いハマーポンド邸のダイヤを狙った男の目論見は大きく狂うのだが・・・。『紫の茸』妻と喧嘩し家を飛び出した夫が絶望し自殺を決意するが・・・正に「災い転じて福と為す」話です。『パイクラフトに関する真実』ロンドン一太った男の身に起きた苦笑を誘う奇妙奇天烈な出来事。『劇評家悲話』劇評家になった為に失恋した男の話で本人には気の毒だが思わず笑ってしまいます。『失った遺産』伯父の遺産を相続し損ねた男が不運を嘆きながらも自業自得と運命を受け入れます。『林檎』列車で会った男から貰った不思議な由来の林檎を疑って捨ててしまった男の一生の後悔。『初めての飛行機』飛行機に乗りたいと熱望する青年が無謀にも初飛行に挑戦し起こした破茶滅茶な大騒ぎ。『小さな母、メルダーベルクに登る』前作の青年が今度はスイスで小さな母を登山に挑ませる。無茶を非難する人々に対し「結果が良ければ」と常に前向きな青年の心意気が清々しいです。