過去にモリタク氏の著作は何作も読んでいる。
・シンプル人生の経済設計(中公新書ラクレ)
・「B」で生きる経済学(中公新書ラクレ)
・辞めるな!キケン!!(ニッポン放送)
・「家計破綻」に負けない経済学(講談社現代新書)
・モリタクの人たらしのうまいやつが成功する(中経出版)
・年収防衛(角川SSC新書)
・年収崩壊(角川SSC新書)
・「価値組」社会(角川SSC新書)
・庶民は知らないデフレの真実(角川SSC新書) →この本は後日別途レビューします
基本的な考えとしては、
・これからの社会は1%の富豪(エリート)と99%の貧民(ビンボー人)の世界
(エリートはその財力を元に子孫もエリートとして育ち、ビンボー人は財力が無いので子孫もビンボー人になるしかない)
・一攫千金が無ければ貧民が富豪に成り上がることはない
どの本においてもこの主張は全く揺らいでいない。
ただ、モリタク氏を一躍有名にした「年収300万」シリーズについては未読であったため、今回シリーズ2作の統合版として文庫化された本書を読んでみた。
結論から言えばこの本の主張も上記とほぼ変わらない主張であり、既読者にとっては物足りなさを感じる部分もあるかもしれない。
ただし、文庫化にあたる加筆として、モリタク氏の幼少から現在に至るまでの人生総括をまとめた章があり、この部分を知ることで彼のパーソナリティや主張の源流を知ることができる点で、購入価値のある本と言える。
※ネタバレになるが、父親の森永京一氏(毎日新聞記者[政治評論家・三宅久之氏の新聞社時代の上司でもある方]、後にモリタク自身と同じく獨協大学で教鞭を執った)の都合で海外赴任に同行し、言語の壁や現地での人種差別、欧州玩具に魅せられてのミニカー収集趣味、欧州の生活様式から得た価値観等を終章としてまとめている。
また、自らの現状の忙しさ(と収入の多さ)はあくまで「バブル」であり、いずれ「あの人は今?」的になると考え、生活水準を押さえていることと、収集物展示館を開くための資金稼ぎであることを告白する素直さ・潔さもモリタク氏の人間的魅力であると言えよう。
※後に展示館を開館することができたが、東日本大震災の影響で現在は閉館している(移転先を探しているとのこと)
話がそれたので本書のレビューに戻ります。
特徴的な主張としては、エリート内においても競争社会となっており、エリートで居続けるには非人道的手法を用いてでも他人を蹴落とし続ける必要があるが、それでも勝ち組を目指すか?がテーマであり、モリタク氏はそれに対してNoを回答としている。
寧ろ生活可能なレベルの水準(モリタク氏は300万と言っているが、個人的には400-500万は必要ではないかと思いますが...)の賃金は何とか確保し、後は自分の趣味追求や同水準の人々との暖かい交流にて、「カネは少ないが心は豊か」な生活を目指そうという考えである。
少なくとも、私はモリタク氏の”「カネは少ないが心は豊か」な生活”の思想で居続けたいと思う。
非人道的(=人間を捨てる、人間の尊厳を傷つける・蔑ろにする)なことまでして勝ち組を目指しても、その結果は空虚なものにしか思えない。
ただ、個人的意見として、「もう少しカネがあれば”本当にやりたいことのための軍資金、知識・資格習得のための資金”ができるのに」という悔しさ(ギリギリの生活水準にて、なかなか貯蓄にまで回せない[自動車免許取得費用すら捻出できない]自分が居ることの悔しさ)は持っていますが。
追伸:文庫化にあたって、解説を寄稿された東大・玄田有史教授の「どうか森永さんが”年収100万時代”の本を書く未来が来ませんように」という願いは、あまりにも激しい経済情勢変化の結果、残念ながら叶わなかった点は誠に悲しく、厳しい世の中を思い知らされた所でもある。
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新版 年収300万円時代を生き抜く経済学 (知恵の森文庫) 文庫 – 2005/5/10
森永 卓郎
(著)
小泉構造改革とは、ほんの一握りの金持ち階級と圧倒的多数の低所得層とに日本をわけるものだった! 9割のサラリーマンが「負け組」に向かうなか、可能性のない「成功」をめざすか、自分にとって「幸福」な人生をめざすのか。安定が崩れ去った日本社会での「森永流前向き生き方」。ベストセラー正続を新版にして文庫化!
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2005/5/10
- ISBN-104334783554
- ISBN-13978-4334783556
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2005/5/10)
- 発売日 : 2005/5/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4334783554
- ISBN-13 : 978-4334783556
- Amazon 売れ筋ランキング: - 347,667位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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経済アナリスト。1957年、東京都生まれ。1980年、東京大学経済学部卒業。経済企画庁総合計画局、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所を経て、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。堅苦しい経済学をわかりやすい語り口で説くことに定評があり、執筆活動のほかにテレビ・ラジオでも活躍中(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『「経済ニュース」見方を変えればこんなに儲かる (ISBN-10: 4413019830)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
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2013年9月11日に日本でレビュー済み
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2019年12月30日に日本でレビュー済み
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経済評論家の森永卓郎さんの著書。経済がデフレ真っ只中の2005年に出版された本で平均年収の低下を予測している。2019年の今読んでも学ぶところが多くデフレによって実際には何が起きるのか学ぶことができた。経済動向を説明した後に、年収が下がっても生きていくための具体的なアドバイスや年収の増加を目指さない生活スタイルを確立するための心の持ちよう等を説いている。森永さんが今これと同じ趣旨の本を書いたら経済をどう読み解くのだろうなると思った。
2010年9月7日に日本でレビュー済み
森永氏はその個性的な立ち位置で、テレビで使われているが、経済評論家としてはものすごくレベルが低い気がしてならない。本書を読んでもその感が強くした。
特に森永さんの経済予測は驚くほど正確に外す。2002年の段階で不動産価格がさらに下がると予想しているのに対し、2006年に不動産プチバブルが起きたことは記憶に新しい。また、日経平均が2万円と2年間連続で予測して、これもまた完全に真逆の方向をたどった。
だから、この人の経済的な観測を読んで勉強しようという人がいることにとても驚く。この本も評価が高いし。300万円という水準に2002年の段階で焦点をしぼり、格差社会の台頭を訴えている点は評価できるし、今にも通じる。ただ、その対応策が、貧しくっても豊かに生きる生き方がある。ヨーロッパを見ろ。日本は働き過ぎとのメッセージだけでは、なんとも心もとない。
特に森永さんの経済予測は驚くほど正確に外す。2002年の段階で不動産価格がさらに下がると予想しているのに対し、2006年に不動産プチバブルが起きたことは記憶に新しい。また、日経平均が2万円と2年間連続で予測して、これもまた完全に真逆の方向をたどった。
だから、この人の経済的な観測を読んで勉強しようという人がいることにとても驚く。この本も評価が高いし。300万円という水準に2002年の段階で焦点をしぼり、格差社会の台頭を訴えている点は評価できるし、今にも通じる。ただ、その対応策が、貧しくっても豊かに生きる生き方がある。ヨーロッパを見ろ。日本は働き過ぎとのメッセージだけでは、なんとも心もとない。
2021年1月29日に日本でレビュー済み
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どうもありがとうございました。すべてに満足です。
2020年12月3日に日本でレビュー済み
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radikoで森永さんのお話聞いてますが、もう生活レベルを下げて
つつましく生きようと提言してる。すごく大事な事を書いてあると
本だと思います。
つつましく生きようと提言してる。すごく大事な事を書いてあると
本だと思います。
2016年1月1日に日本でレビュー済み
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老後の生活を考える際、どうやって小さくまとめるかが大事だと思います。
そのヒントがありました。
そのヒントがありました。
2020年6月11日に日本でレビュー済み
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コロナ禍の影響で年収300万円すら厳しい現実があることを感じます。ベーシックインカムの導入など社会の在り方を変えなければならないのではないかと考えさせられました。
2012年3月24日に日本でレビュー済み
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低所得者の不満の空気を抜くために つくられたタレントだとおもっていたいたが、この本を読んで人間味のある著者にとても好感をもちました。
生き方も私とよく似ています。
生き方も私とよく似ています。