この作家さんの「午後のチャイムが鳴るまでは」という本を息子がとても気に入ったので、デビュー作である本作を購入してみました
とても面白いとのことです
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥2,200¥2,200 税込
ポイント: 66pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥2,200¥2,200 税込
ポイント: 66pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥487
中古品:
¥487

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
名探偵は嘘をつかない 単行本(ソフトカバー) – 2017/6/16
阿津川 辰海
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,200","priceAmount":2200.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,200","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"5GZ%2FzTm%2Ftq4HVvbJBoJpC4NXxxi%2FiYWZl1mOo%2FCgMMUnyG%2FRlqpLdjQ%2BbL9ATc5UL9Csd1%2BX8p7MAqH2MBu5z5Ih5RuvGIJbVHD0yR%2FkBnjSi5qLkFWnaHU5LsgNqC95jtUABbfaNls%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥487","priceAmount":487.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"487","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"5GZ%2FzTm%2Ftq4HVvbJBoJpC4NXxxi%2FiYWZ3cyvXFwXrar4BD2h9Tr2EJlcW1akYI5Wf%2BQ4B2MawRwtVJzecXxodJbxixnh2Eh0omvN8C0hgevDB5fRVTHFXGdB0Lxi%2B%2BP6CxJrxybaVXFQ0tQnNnCiZmPjhVXWEbnZPI7tu577MmopgzZnOS2s6g%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
本格ミステリ、その先へ。新人発掘プロジェクト、10年ぶりの再始動!
傲岸不遜にして冷酷非情な名探偵・阿久津透に、重大な疑惑が持ちあがった。それは、彼が証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したというものだった──。石持浅海、東川篤哉両選考委員絶賛! 新人発掘プロジェクト、KAPPA-TWO始動!
傲岸不遜にして冷酷非情な名探偵・阿久津透に、重大な疑惑が持ちあがった。それは、彼が証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したというものだった──。石持浅海、東川篤哉両選考委員絶賛! 新人発掘プロジェクト、KAPPA-TWO始動!
- 本の長さ470ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2017/6/16
- ISBN-104334911633
- ISBN-13978-4334911638
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2017/6/16)
- 発売日 : 2017/6/16
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 470ページ
- ISBN-10 : 4334911633
- ISBN-13 : 978-4334911638
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,051,872位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,646位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2021年9月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
【本作品を選んだ理由】
最近の若手作家で活躍中の人は?と探っていき、アンテナに引っかかったのが、本作品の作者。
大学在学中に応募した作品を、二人の推理作家の助言のもと、2年以上かけて、改稿、推敲したもの。
また、デビュー作である本作品以後も、順調な活躍をして、評価されているということで、手に取ってみた次第です。
【率直な感想】
この作品では、三つの特殊設定があります。
1. 国家資格としての探偵士
本作品の日本では、探偵大学校というものが設置されており、ここを卒業し、難関国家資格をパスすると、探偵士として、警察庁が所管する探偵機関に所属し、通常の犯罪捜査では解決できない難事件について、解決に導くという任務を負っています。
2. 名探偵弾劾裁判
この探偵士の中でも優れ者の、阿久津透。彼が関わったいくつかの事件に探偵士に相応しくない行為があったとして、彼の罷免を巡り、裁判官の弾劾裁判に準じた名探偵弾劾裁判が開かれることに。メインストーリーの部分でもあります。
3. 転生
人は死ぬと幽霊に。日本の伝統的な考えが本作品に登場。幽霊になった者も、ある要件を満たすと、死亡して間もない人間の中に入り込んで、その人物として生き返ることができる。これが転生であり、もちろん、その転生で甦った人物が登場します。
さて、2.で記した弾劾裁判の展開がメインストーリー。
そこでは、探偵士・阿久津透が関わった複数の事件が扱われますが、その中でも中心になるのは、19年前に彼が中学生の頃に関わった「相島早苗殺害事件」であり、この真相を巡っての推理が本作品の核心部分です。
本作品の楽しいところは、推理する人物が多彩なこと。
弾劾裁判で裁かれる、探偵士・阿久津透の推理はもちろんのこと、他の登場人物も、探偵を名乗れるくらいの推理力を持つ人物が登場し、推理の応酬が読みどころのひとつと言えると思います。
このように、正に本格ミステリと呼ぶに相応しい本作品ですが、後半の推理と意外な真相についてはどうだったでしょうか。
最近のミステリは巧妙化しており、後半で意外な真相が明らかになっても、そこで物語は終わらず、さらに意外な真相が待っている。こんな物語が多く、本作品でもそれを踏襲しています。
そこで、最初の意外な真相(第九章)ですが、これはミステリを読み慣れていて、ここは伏線ではないか、という勘が働くような方は、ある程度のところで予想がつくかもしれません。
一方、最後に用意された意外な真相(第十章)。これを見破るのは相当困難でしょう。
「論理のアクロバット」をいくつか組み合わせないと辿り着けません。
ただ、真相が明かされても、「驚き」は少なかったです。
それは、犯行状況の情景が今ひとつ思い浮かばず、「そう言われればそういう位置関係だけどな…」という感じだったから。
しかし、それはこの作品の低評価には繋がらないです。
本作品では、各章の名称が、既存のミステリ小説の題名になっていて、最後の真相が明かされる第十章は、「死者はよみがえる」。
これは、不可能犯罪ミステリの巨匠、カーの作品名です。
カーの諸作品は、密室トリックが解明されても、「そう言われればそういう位置関係だけどな…」で、今ひとつ犯行状況の情景が思い浮かばないものが多いのです。
この最終章は、カーの作品の特質である「そう言われればそういう位置関係だけどな…」へのオマージュだったりして…。
【全体評価】
応募作品そのままではなく、助言を受けながら、改稿、推敲してきた作品だけあって、紙の本なら500ページ超の長編にもかかわらず、緻密に構成され、破綻がないところは、さすがと言え、高品質の本格ミステリに仕上がっていました。
★の数は4つ。
最近の若手作家で活躍中の人は?と探っていき、アンテナに引っかかったのが、本作品の作者。
大学在学中に応募した作品を、二人の推理作家の助言のもと、2年以上かけて、改稿、推敲したもの。
また、デビュー作である本作品以後も、順調な活躍をして、評価されているということで、手に取ってみた次第です。
【率直な感想】
この作品では、三つの特殊設定があります。
1. 国家資格としての探偵士
本作品の日本では、探偵大学校というものが設置されており、ここを卒業し、難関国家資格をパスすると、探偵士として、警察庁が所管する探偵機関に所属し、通常の犯罪捜査では解決できない難事件について、解決に導くという任務を負っています。
2. 名探偵弾劾裁判
この探偵士の中でも優れ者の、阿久津透。彼が関わったいくつかの事件に探偵士に相応しくない行為があったとして、彼の罷免を巡り、裁判官の弾劾裁判に準じた名探偵弾劾裁判が開かれることに。メインストーリーの部分でもあります。
3. 転生
人は死ぬと幽霊に。日本の伝統的な考えが本作品に登場。幽霊になった者も、ある要件を満たすと、死亡して間もない人間の中に入り込んで、その人物として生き返ることができる。これが転生であり、もちろん、その転生で甦った人物が登場します。
さて、2.で記した弾劾裁判の展開がメインストーリー。
そこでは、探偵士・阿久津透が関わった複数の事件が扱われますが、その中でも中心になるのは、19年前に彼が中学生の頃に関わった「相島早苗殺害事件」であり、この真相を巡っての推理が本作品の核心部分です。
本作品の楽しいところは、推理する人物が多彩なこと。
弾劾裁判で裁かれる、探偵士・阿久津透の推理はもちろんのこと、他の登場人物も、探偵を名乗れるくらいの推理力を持つ人物が登場し、推理の応酬が読みどころのひとつと言えると思います。
このように、正に本格ミステリと呼ぶに相応しい本作品ですが、後半の推理と意外な真相についてはどうだったでしょうか。
最近のミステリは巧妙化しており、後半で意外な真相が明らかになっても、そこで物語は終わらず、さらに意外な真相が待っている。こんな物語が多く、本作品でもそれを踏襲しています。
そこで、最初の意外な真相(第九章)ですが、これはミステリを読み慣れていて、ここは伏線ではないか、という勘が働くような方は、ある程度のところで予想がつくかもしれません。
一方、最後に用意された意外な真相(第十章)。これを見破るのは相当困難でしょう。
「論理のアクロバット」をいくつか組み合わせないと辿り着けません。
ただ、真相が明かされても、「驚き」は少なかったです。
それは、犯行状況の情景が今ひとつ思い浮かばず、「そう言われればそういう位置関係だけどな…」という感じだったから。
しかし、それはこの作品の低評価には繋がらないです。
本作品では、各章の名称が、既存のミステリ小説の題名になっていて、最後の真相が明かされる第十章は、「死者はよみがえる」。
これは、不可能犯罪ミステリの巨匠、カーの作品名です。
カーの諸作品は、密室トリックが解明されても、「そう言われればそういう位置関係だけどな…」で、今ひとつ犯行状況の情景が思い浮かばないものが多いのです。
この最終章は、カーの作品の特質である「そう言われればそういう位置関係だけどな…」へのオマージュだったりして…。
【全体評価】
応募作品そのままではなく、助言を受けながら、改稿、推敲してきた作品だけあって、紙の本なら500ページ超の長編にもかかわらず、緻密に構成され、破綻がないところは、さすがと言え、高品質の本格ミステリに仕上がっていました。
★の数は4つ。
2021年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
警察の下部組織として<探偵機関>という組織が存在し、その<探偵機関>の特務探偵士の1人で真相立証のためには手段を選ばない傲慢さで有名な阿久津が、助手の"つかさ"の兄の明が殉職してしまった事件(RPGを基にした見立て連続殺人で明の恋人の優子も被害者)で職務懈怠として史上初の<弾劾裁判>に掛けられるという大胆な構想のロジカル・ミステリ。この事件で、阿久津が真相立証のために明をワザと犯人に殺させたという事由で"つかさ"が阿久津に恨みを抱き、その"つかさ"の復讐を防ぐために明が"神様"の力を借りて<幽霊>としてこの世に舞い戻るという設定(やや幼稚な印象はロジックで吹き飛ばしている)にも意気込みを感じた。まず、各章の殆どの題名が状況に合わせた古典ミステリの名称という遊びがある。
そして、"優玲"という明担当の"神様"の下僕が実は阿久津が中学生の時に犯した殺人の被害者の早苗(9歳)である点、優子が既に誰かに<転生>した事、このため明が<転生>するための条件を"神様"に尋ねるが、そのルールの説明がロジカル・ミステリの香り満載。特に、"神様"の担当範囲が肉体(例えば、バラバラ死体でも修復出来る)であって<魂>は本人のモノがそのまま残るという<転生>のルールの障壁が可笑しいと共に肝("神様"は早苗をワザと<魂>のまま残している)。一方、告訴側の代表者は19年前の早苗の事件の担当刑事の黒崎。結局、早苗の事件が<弾劾裁判>の鍵となる訳だ。そして、この事件に関する阿久津(被疑者だが)の推理はロジックの連鎖で精緻を極めている。一方、早苗の陰謀(?)で阿久津のために自殺(自殺者が<転生>に相応しいというルール)に追いやられた星影へと明が<転生>して裁判に臨む("つかさ"を見守り、<転生>した優子と再会する)という展開も気が利いている。
そして、<弾劾裁判>が劇的な終幕を告げたと思った瞬間、地震が起きて裁判所が崩れ、そこから<非公式裁判>が行なわれるという点が作者の狙いだった。ここでも、それまでの伏線を全て回収して精緻なロジックを展開する作者の姿勢には感服した。「真相を明らかにする事が必ずしも人々を幸せにしない」という隠れテーマは後の「**館の殺人」と通底しているが、本作のエンターテインメントに徹した作風の方が数段優れていると思った。<転生>が多過ぎるといった瑕疵を"荒業"で乗り越える辺りの剛腕にも感心する傑作だと思った。
そして、"優玲"という明担当の"神様"の下僕が実は阿久津が中学生の時に犯した殺人の被害者の早苗(9歳)である点、優子が既に誰かに<転生>した事、このため明が<転生>するための条件を"神様"に尋ねるが、そのルールの説明がロジカル・ミステリの香り満載。特に、"神様"の担当範囲が肉体(例えば、バラバラ死体でも修復出来る)であって<魂>は本人のモノがそのまま残るという<転生>のルールの障壁が可笑しいと共に肝("神様"は早苗をワザと<魂>のまま残している)。一方、告訴側の代表者は19年前の早苗の事件の担当刑事の黒崎。結局、早苗の事件が<弾劾裁判>の鍵となる訳だ。そして、この事件に関する阿久津(被疑者だが)の推理はロジックの連鎖で精緻を極めている。一方、早苗の陰謀(?)で阿久津のために自殺(自殺者が<転生>に相応しいというルール)に追いやられた星影へと明が<転生>して裁判に臨む("つかさ"を見守り、<転生>した優子と再会する)という展開も気が利いている。
そして、<弾劾裁判>が劇的な終幕を告げたと思った瞬間、地震が起きて裁判所が崩れ、そこから<非公式裁判>が行なわれるという点が作者の狙いだった。ここでも、それまでの伏線を全て回収して精緻なロジックを展開する作者の姿勢には感服した。「真相を明らかにする事が必ずしも人々を幸せにしない」という隠れテーマは後の「**館の殺人」と通底しているが、本作のエンターテインメントに徹した作風の方が数段優れていると思った。<転生>が多過ぎるといった瑕疵を"荒業"で乗り越える辺りの剛腕にも感心する傑作だと思った。
2022年1月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
探偵機関という組織があるので、まずそこが現実世界と違う。そして、死者が神様の力を借りて幽霊としてこの世に他人の体の借りて生前の記憶を持ったまま戻ってくるという特別な設定の上に出来上がってる作品。レビューを読んで買ったはずなのに、そのことを忘れていて、いきなりの展開にびっくりした。
どうなるのかな・・と思いながら読んでいたけれど、そこはちゃんと辻褄があるようになっていて、ちゃんと納得のいく結末がまっている。なかなか読み応えのある作品だった。ただ、私の理解力が低いせいか、推理の内容がなんど読んでも、ん?と思ってしまう。なので、そこはなんとなく読み進めてしまったが、それでも十分楽しめた。ただ、ネタバレになってしまうかもしれないけれど、幽霊として戻った兄の存在をしって、簡単に姉さんと呼べるようになるものか・・・それがずっと気になっていました(笑)
そして、"優玲"という明担当の"神様"の下僕が実は阿久津が中学生の時に犯した殺人の被害者の早苗(9歳)である点、優子が既に誰かに<転生>した事、このため明が<転生>するための条件を"神様"に尋ねるが、そのルールの説明がロジカル・ミステリの香り満載。特に、"神様"の担当範囲が肉体(例えば、バラバラ死体でも修復出来る)であって<魂>は本人のモノがそのまま残るという<転生>のルールの障壁が可笑しいと共に肝("神様"は早苗をワザと<魂>のまま残している)。一方、告訴側の代表者は19年前の早苗の事件の担当刑事の黒崎。結局、早苗の事件が<弾劾裁判>の鍵となる訳だ。そして、この事件に関する阿久津(被疑者だが)の推理はロジックの連鎖で精緻を極めている。一方、早苗の陰謀(?)で阿久津のために自殺(自殺者が<転生>に相応しいというルール)に追いやられた星影へと明が<転生>して裁判に臨む("つかさ"を見守り、<転生>した優子と再会する)という展開も気が利いている。
そして、<弾劾裁判>が劇的な終幕を告げたと思った瞬間、地震が起きて裁判所が崩れ、そこから<非公式裁判>が行なわれるという点が作者の狙いだった。ここでも、それまでの伏線を全て回収して精緻なロジックを展開する作者の姿勢には感服した。「真相を明らかにする事が必ずしも人々を幸せにしない」という隠れテーマは後の「**館の殺人」と通底しているが、本作のエンターテインメントに徹した作風の方が数段優れていると思った。<転生>が多過ぎるといった瑕疵を"荒業"で乗り越える辺りの剛腕にも感心する傑作だと思った。
どうなるのかな・・と思いながら読んでいたけれど、そこはちゃんと辻褄があるようになっていて、ちゃんと納得のいく結末がまっている。なかなか読み応えのある作品だった。ただ、私の理解力が低いせいか、推理の内容がなんど読んでも、ん?と思ってしまう。なので、そこはなんとなく読み進めてしまったが、それでも十分楽しめた。ただ、ネタバレになってしまうかもしれないけれど、幽霊として戻った兄の存在をしって、簡単に姉さんと呼べるようになるものか・・・それがずっと気になっていました(笑)
そして、"優玲"という明担当の"神様"の下僕が実は阿久津が中学生の時に犯した殺人の被害者の早苗(9歳)である点、優子が既に誰かに<転生>した事、このため明が<転生>するための条件を"神様"に尋ねるが、そのルールの説明がロジカル・ミステリの香り満載。特に、"神様"の担当範囲が肉体(例えば、バラバラ死体でも修復出来る)であって<魂>は本人のモノがそのまま残るという<転生>のルールの障壁が可笑しいと共に肝("神様"は早苗をワザと<魂>のまま残している)。一方、告訴側の代表者は19年前の早苗の事件の担当刑事の黒崎。結局、早苗の事件が<弾劾裁判>の鍵となる訳だ。そして、この事件に関する阿久津(被疑者だが)の推理はロジックの連鎖で精緻を極めている。一方、早苗の陰謀(?)で阿久津のために自殺(自殺者が<転生>に相応しいというルール)に追いやられた星影へと明が<転生>して裁判に臨む("つかさ"を見守り、<転生>した優子と再会する)という展開も気が利いている。
そして、<弾劾裁判>が劇的な終幕を告げたと思った瞬間、地震が起きて裁判所が崩れ、そこから<非公式裁判>が行なわれるという点が作者の狙いだった。ここでも、それまでの伏線を全て回収して精緻なロジックを展開する作者の姿勢には感服した。「真相を明らかにする事が必ずしも人々を幸せにしない」という隠れテーマは後の「**館の殺人」と通底しているが、本作のエンターテインメントに徹した作風の方が数段優れていると思った。<転生>が多過ぎるといった瑕疵を"荒業"で乗り越える辺りの剛腕にも感心する傑作だと思った。
2017年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
実にいい味のエンタテインメントである。この手のミステリは苦手という向きもあるだろうけれど、僕は素直に楽しませてもらった。
実によく勉強し、実によく考え抜いたものだと思う。著者は東大の現役学生で、当初20歳でこれの元原稿を書き上げたということだが、まったく大したものである。
僕は、もう50代も半ばのおっさんで、以前には20年近く物書きで飯を食わせてもらってきたが、20歳そこそこで、これだけのものが書けるとは、頭の下がる思いである。表題に「奇想天外」と書いたが、単なる奇抜などというものではなく、発想のパラダイムそのものが、まずもって自由で知性的であり、しなやかな奥行きと、哲学的なきらめきに満ちている。決してうすっぺらな思いつきではないということ。だが、それを何気にさらりと書いているところが心憎い。時代感覚もなかなか鋭く、若い人が読んでも、中年が読んでも、年配者が読んでも、楽しむことができるものに仕上げてある。
もちろん、細かいところで突っ込みを入れることはできるが、この作品においては、それは野暮というものだ。読んでみれば判る。だから、ここは敢えて提灯を持っておく。
「師シャーロック・ホームズ」なんてセリフが、全篇にきら星のごとく著者の熱い素敵な想いがいっぱいつまっているセリフが散りばめられていることを象徴している。
ただ、終章からエピローグに至るところで、透君の「思い」に少し触れてほしかったのと、つかさの決着点までが少し甘過ぎる気がしたことだけ、言い添えておきたい。が、もちろん、著者には、そんなことに左右されることなく、自分の世界を思う通りに書き続けていただきたい。
コナン・ドイル全篇、アガサ・クリスティの大半、クロフツやディクスン・カー、ヴァン・ダインやエラリー・クイーン、エドガー・アラン・ポーや江戸川乱歩をはじめとする様々な作品、また、松本清張、東野圭吾、黒川博行、森博嗣、萩尾望都、池井戸潤、柚月裕子の全作品(松本清張以外は今日現在までのという意味ですが)を読み尽くしてきた、僕の率直な感想である。
皆さん、不思議で、残酷で、華麗で、ミステリアスで、心温まる、未知との遭遇を、ご堪能あれ。
実によく勉強し、実によく考え抜いたものだと思う。著者は東大の現役学生で、当初20歳でこれの元原稿を書き上げたということだが、まったく大したものである。
僕は、もう50代も半ばのおっさんで、以前には20年近く物書きで飯を食わせてもらってきたが、20歳そこそこで、これだけのものが書けるとは、頭の下がる思いである。表題に「奇想天外」と書いたが、単なる奇抜などというものではなく、発想のパラダイムそのものが、まずもって自由で知性的であり、しなやかな奥行きと、哲学的なきらめきに満ちている。決してうすっぺらな思いつきではないということ。だが、それを何気にさらりと書いているところが心憎い。時代感覚もなかなか鋭く、若い人が読んでも、中年が読んでも、年配者が読んでも、楽しむことができるものに仕上げてある。
もちろん、細かいところで突っ込みを入れることはできるが、この作品においては、それは野暮というものだ。読んでみれば判る。だから、ここは敢えて提灯を持っておく。
「師シャーロック・ホームズ」なんてセリフが、全篇にきら星のごとく著者の熱い素敵な想いがいっぱいつまっているセリフが散りばめられていることを象徴している。
ただ、終章からエピローグに至るところで、透君の「思い」に少し触れてほしかったのと、つかさの決着点までが少し甘過ぎる気がしたことだけ、言い添えておきたい。が、もちろん、著者には、そんなことに左右されることなく、自分の世界を思う通りに書き続けていただきたい。
コナン・ドイル全篇、アガサ・クリスティの大半、クロフツやディクスン・カー、ヴァン・ダインやエラリー・クイーン、エドガー・アラン・ポーや江戸川乱歩をはじめとする様々な作品、また、松本清張、東野圭吾、黒川博行、森博嗣、萩尾望都、池井戸潤、柚月裕子の全作品(松本清張以外は今日現在までのという意味ですが)を読み尽くしてきた、僕の率直な感想である。
皆さん、不思議で、残酷で、華麗で、ミステリアスで、心温まる、未知との遭遇を、ご堪能あれ。