高校の「図書部」に集う若者たちの群像劇。
この部員たちが、とくにポピュラーでもオタクでもない
というところがまず面白い。こういう青春小説ってほかにあったか?
「ジャージの二人」もそうですがこの著者は限定された舞台で人を動かすのが上手い。
今回は小説のほとんどが図書室と部室で起こる(というか何も起こらない)のですが、
この場所がじつに居心地がよく、「まさに青春」な空気が流れています。
そしてその居心地のいい空間で、さまざまなテクニックを駆使した
ソロ演奏を聞いているような気分になる作品です。
(じつは相当凝っているのですが、それは意識せずただ楽しむことも可能。)
大事件が起こるわけでもないのに、1ページに一つぐらいの割合で
ハッとさせるフレーズやアイデアが出て来て、
その多さはこの小説がタイトルでオマージュを捧げている
「僕は模造人間」「ぼくは勉強ができない」にも負けていません。
部員の一人が書く小説内小説「横たわった世界」(SF!)が最高。
これを全部読んでみたかった。
そして186ページ〜191ページの流れるような素晴らしさ!
小説でしか書けない青春、友情。きっと泣きます。
光文社刊だから?「写写丸」に献辞が捧げられていたり
カバー裏にギミックがあったりと本のディテールにもこだわりがあって面白いです。
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ぼくは落ち着きがない 単行本 – 2008/6/20
長嶋 有
(著)
人って、生きにくいものだ。
みんなみんな、本当の気持ちを言っているのかな?
青春小説の金字塔、
島田雅彦『僕は模造人間』('86年)
山田詠美『ぼくは勉強ができない』('93年)
偉大なる二作に(勝手に)つづく、'00年代の『ぼくは~』シリーズとも言うべき最新作!
「本が好き!」連載中に第一回大江健三郎賞を受賞したことで、ストーリーまでが(過激に)変化。
だから(僕だけでなく)登場人物までがドキドキしている(つまり落ち着きがない)、
かつてみたことのない(面白)不可思議学園小説の誕生!
* ( )内は作者談
みんなみんな、本当の気持ちを言っているのかな?
青春小説の金字塔、
島田雅彦『僕は模造人間』('86年)
山田詠美『ぼくは勉強ができない』('93年)
偉大なる二作に(勝手に)つづく、'00年代の『ぼくは~』シリーズとも言うべき最新作!
「本が好き!」連載中に第一回大江健三郎賞を受賞したことで、ストーリーまでが(過激に)変化。
だから(僕だけでなく)登場人物までがドキドキしている(つまり落ち着きがない)、
かつてみたことのない(面白)不可思議学園小説の誕生!
* ( )内は作者談
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2008/6/20
- ISBN-104334926118
- ISBN-13978-4334926113
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2008/6/20)
- 発売日 : 2008/6/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 216ページ
- ISBN-10 : 4334926118
- ISBN-13 : 978-4334926113
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,510,320位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 35,679位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1972年生まれ。2001年に「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年に「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞、07年に『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞した(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 エロマンガ島の三人 (ISBN-13: 978-4167693046 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は女子高生の視点で描かれている為、若干文章が稚拙でも
それがかえってよいスパイスになってると思う。
文化部のゆるい雰囲気とそれぞれが
それなりに真剣に悩み生きてるのは素晴らしいと思う。
ただし、カバー裏の後日談てめぇだけはダメだ!
俺の感動を返せ!!アレは遊びで許される範囲じゃないぞ!!
ここだけは強調したい。
それがかえってよいスパイスになってると思う。
文化部のゆるい雰囲気とそれぞれが
それなりに真剣に悩み生きてるのは素晴らしいと思う。
ただし、カバー裏の後日談てめぇだけはダメだ!
俺の感動を返せ!!アレは遊びで許される範囲じゃないぞ!!
ここだけは強調したい。
2008年12月14日に日本でレビュー済み
おもしろすぎる、長嶋有。朝日新聞の夕刊連載がおもしろすぎて(早く単行本になってほしい)、こっちも読みました。おもしろいっ。
カバーが親切(過ぎる?)。主人公・望美のかわいい絵が表紙だし、カバー裏には最終ページの続きまで書かれている(!)。このカバーは見なかったことにして、語り手の感情が極端に抑圧されてちらちらとしか垣間見られない本編だけでも十分楽しいです。
どこの場面を取っても、わくわくするような図書部の日常(っても、大したことは起こらない……って、高校生活ってそういうものだったことに気づかされるわけで)が綴られていて、好きな場面がいっぱい。「嫌だ」を「ヤドゥー」と言うのはもううちの家庭内流行語大賞になってるし。
編集者に「恋愛小説ばっかり依頼されて私、なんだかうんざりなんだ!」と言う金子先生は「最近なんだか編集者って皆、本当に本が好きなのかなあって、疑ってる」と呟く。わかる、それ。編集者だけでなく、読者も、本屋さんもね。こんなに沢山の本が溢れていて、数で言えばいい本もすごく沢山あるんだけど、本屋の中や新聞広告見て感じる言いようのない疎外感(としか言いようがない)……だから、この小説に出てくる本好きな図書部員たちに、ほっとするのかも知れない。で、小説好きのための小説です、これ。恋愛小説書け、とばかり言われて書いたアンチテーゼとも言える?
いや、「あなたくらいの時、恰好いい男の子みると、好きにならなかった。その人になりたいって思った!」という金子先生のせりふ読むと、十分恋愛小説だとも言える。そういうものだった、高校生活って。
カバーが親切(過ぎる?)。主人公・望美のかわいい絵が表紙だし、カバー裏には最終ページの続きまで書かれている(!)。このカバーは見なかったことにして、語り手の感情が極端に抑圧されてちらちらとしか垣間見られない本編だけでも十分楽しいです。
どこの場面を取っても、わくわくするような図書部の日常(っても、大したことは起こらない……って、高校生活ってそういうものだったことに気づかされるわけで)が綴られていて、好きな場面がいっぱい。「嫌だ」を「ヤドゥー」と言うのはもううちの家庭内流行語大賞になってるし。
編集者に「恋愛小説ばっかり依頼されて私、なんだかうんざりなんだ!」と言う金子先生は「最近なんだか編集者って皆、本当に本が好きなのかなあって、疑ってる」と呟く。わかる、それ。編集者だけでなく、読者も、本屋さんもね。こんなに沢山の本が溢れていて、数で言えばいい本もすごく沢山あるんだけど、本屋の中や新聞広告見て感じる言いようのない疎外感(としか言いようがない)……だから、この小説に出てくる本好きな図書部員たちに、ほっとするのかも知れない。で、小説好きのための小説です、これ。恋愛小説書け、とばかり言われて書いたアンチテーゼとも言える?
いや、「あなたくらいの時、恰好いい男の子みると、好きにならなかった。その人になりたいって思った!」という金子先生のせりふ読むと、十分恋愛小説だとも言える。そういうものだった、高校生活って。
2011年6月9日に日本でレビュー済み
青春といえば、なんだろう。
特に高校生だったりしたら、受験勉強、恋愛、部活、友達関係、親への嫌悪感、将来への不安…。
そう、とにかくドラマが転がっている。だから、誰もが青春小説を書きたがる。
ドラマがあるから描きやすいのだ。
何を書いてもドラマが生まれざるをえないのが青春小説だ。(ライトノベルが顕著な例だろう)
たが、この小説。
ドラマなんて一切描こうとしない。
徹底的にドラマ的な展開になることを主人公が抗おうとする。
なぜなら、この主人公、自分が物語の演者であることを理解し、その演技を過剰にしてしまうことを異常に嫌うからだ。
(このあたりは文庫版で俳優堺雅人さんがうまく解説されています。)
しかし、この青春小説にも、実はたくさんのドラマ(の要素)がある。
例えば、本をたくさん借りる謎の転校生の物語。
他人とうまくつきあえない頼子との物語。
小説家になった美人先生。
顧問の先生と付き合っていた図書部の部長。
転校生との物語は切ないラブストーリーになるし、頼子との物語は熱い友情もの、美人先生だったら夢をおいかける青春、部長の物語は友情にも恋愛にも社会問題にもなりそうだ。
だが、この小説で、これらの物語の要素が焦点になることは一切ない。
これらは、ただの物語の要素でしかなく、例えば、部員のあだ名が金田一少年の事件簿の殺された男の名前であるとか、恰幅のいい文芸部の部長がハーフであることとと同列のものでしかない。
転校生は最後まで姿を現さず、また、主人公も会おうとはせず。
頼子は、不登校になったのに悲壮感があまりない。
美人先生は「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ」と突き放す。
部長は「そんなこと、実はどうでもいいんじゃない?」と頷くしかないことを言う。
そして、最後まで何も起こらずに終わる小説なのかというと、実は、全然違う。
この主人公は、自分が過度な演者になることを嫌悪しているが、実は演技しているという自意識を忘れて行動できる人に憧れている。
それは、人の目をきにしない頼子だったり、美人先生だったり、ナス先輩だったりする。
だから、主人公が心底感動するのは、ナス先輩が嫌味な先生に「うるせえ、俺はおまえが嫌いだ!」と叫ぶところだったり、学校に行けなかった頼子がそっと部室に来てくれたことだったりするのだ。
そして、最後の最後に、主人公も演技という自意識を超えた台詞を一言だけ発して物語は終わる。
なるほど、よくできた物語なのだ。
特に高校生だったりしたら、受験勉強、恋愛、部活、友達関係、親への嫌悪感、将来への不安…。
そう、とにかくドラマが転がっている。だから、誰もが青春小説を書きたがる。
ドラマがあるから描きやすいのだ。
何を書いてもドラマが生まれざるをえないのが青春小説だ。(ライトノベルが顕著な例だろう)
たが、この小説。
ドラマなんて一切描こうとしない。
徹底的にドラマ的な展開になることを主人公が抗おうとする。
なぜなら、この主人公、自分が物語の演者であることを理解し、その演技を過剰にしてしまうことを異常に嫌うからだ。
(このあたりは文庫版で俳優堺雅人さんがうまく解説されています。)
しかし、この青春小説にも、実はたくさんのドラマ(の要素)がある。
例えば、本をたくさん借りる謎の転校生の物語。
他人とうまくつきあえない頼子との物語。
小説家になった美人先生。
顧問の先生と付き合っていた図書部の部長。
転校生との物語は切ないラブストーリーになるし、頼子との物語は熱い友情もの、美人先生だったら夢をおいかける青春、部長の物語は友情にも恋愛にも社会問題にもなりそうだ。
だが、この小説で、これらの物語の要素が焦点になることは一切ない。
これらは、ただの物語の要素でしかなく、例えば、部員のあだ名が金田一少年の事件簿の殺された男の名前であるとか、恰幅のいい文芸部の部長がハーフであることとと同列のものでしかない。
転校生は最後まで姿を現さず、また、主人公も会おうとはせず。
頼子は、不登校になったのに悲壮感があまりない。
美人先生は「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ」と突き放す。
部長は「そんなこと、実はどうでもいいんじゃない?」と頷くしかないことを言う。
そして、最後まで何も起こらずに終わる小説なのかというと、実は、全然違う。
この主人公は、自分が過度な演者になることを嫌悪しているが、実は演技しているという自意識を忘れて行動できる人に憧れている。
それは、人の目をきにしない頼子だったり、美人先生だったり、ナス先輩だったりする。
だから、主人公が心底感動するのは、ナス先輩が嫌味な先生に「うるせえ、俺はおまえが嫌いだ!」と叫ぶところだったり、学校に行けなかった頼子がそっと部室に来てくれたことだったりするのだ。
そして、最後の最後に、主人公も演技という自意識を超えた台詞を一言だけ発して物語は終わる。
なるほど、よくできた物語なのだ。
2016年11月3日に日本でレビュー済み
■2008年6月・光文社
■とても面白かった。伏線の張り方が上手い。難点を言えば、望美がマグロ過ぎる。片岡のエピソードが死んでいる。頼子のエピソードも掘り方が浅い。他の登場人物も浅い。部長と先生の関係とか、金子先生とか。
そもそも題名はこれでいいのか?
■とても面白かった。伏線の張り方が上手い。難点を言えば、望美がマグロ過ぎる。片岡のエピソードが死んでいる。頼子のエピソードも掘り方が浅い。他の登場人物も浅い。部長と先生の関係とか、金子先生とか。
そもそも題名はこれでいいのか?
2008年10月28日に日本でレビュー済み
長嶋さんの作品はとっても好きなのだけれども
この作品に限ってはど〜も???だった
自分が若くないから?と思ったりもしたけれども
青春小説だってそれなりに読んでたりするからそれも考えづらい
どうしてなんだろうと考えあぐねて
ようやくその世界観がダメなんだということに気づいた
このふわふわとしたおたくっぽい雰囲気が大丈夫な人は
存分に長嶋ワールドを楽しめることでしょう
長嶋さんは脱力系で好きなのだけれども…なんとも残念!
この作品に限ってはど〜も???だった
自分が若くないから?と思ったりもしたけれども
青春小説だってそれなりに読んでたりするからそれも考えづらい
どうしてなんだろうと考えあぐねて
ようやくその世界観がダメなんだということに気づいた
このふわふわとしたおたくっぽい雰囲気が大丈夫な人は
存分に長嶋ワールドを楽しめることでしょう
長嶋さんは脱力系で好きなのだけれども…なんとも残念!
2009年2月3日に日本でレビュー済み
まず読みずらい。高校なのだから登場人物が多いのはしょうがないけど、いかんせんキャラが薄く、それを補う為に人物の小ネタを多く書く。しかし、多く挟み過ぎてテンポが悪く見える。
あと、謎の転校生が中盤で重要人物のように描かれているのに、本編では結局何もなしでカバー裏で補完というちょっとがっかりな感じになっている。
しかも○○人って……
それに、カバー裏では登場人物のその後が書かれているのだが、作者を投影しているであろうどうでもいい登場人物のその後が多く書かれていているのに、理由も説明されないまま不登校になった友達のその後は文字通り文の途中でちょん切られている。
正直この一連の事件?を踏まえて主人公が成長したという結末は慌てて取ってつけたようで、落ちが考え付かなかったとしか思えないです。
もしくは、最初から成長物語として結末だけ決めていて、そこに向かっていく為のストーリーが等閑でちぐはぐな印象を受けただけか。
例えるなら柄の違うパズルのピースをヤスリで削ってはめ込んだような。
それと物語の最後、部室が無くなる事になり荷物を整理しろと言いに来た先生に部員の男子が部室に漫画を持ってきていることを注意され、イヤミを言われ逆切れして先生を突き返し走り去って行くシーンがあるのですが、怒りをぶつける相手を間違えたあげく逃げていくその場面を見た主人公が「格好いい方が勝つ」などと言ってますが、明らかに格好悪く負けてるだろと思いました。
全てが中途半端で、逆にそれがこの高校生達を表現していると言われても正直納得は出来ない。
風呂敷を広げるだけ広げて後は主人公自体も「上手くコトバには出来ないけど納得した」「成長した」なんて言うのは、適当に書いたものを畳めないから誤魔化しているだけだと感じました。
こういうだらだらとした青春物は好きなんだけど、登場人物に魅力も無く読んでいて居心地の良さも感じられず星1です。
あと、謎の転校生が中盤で重要人物のように描かれているのに、本編では結局何もなしでカバー裏で補完というちょっとがっかりな感じになっている。
しかも○○人って……
それに、カバー裏では登場人物のその後が書かれているのだが、作者を投影しているであろうどうでもいい登場人物のその後が多く書かれていているのに、理由も説明されないまま不登校になった友達のその後は文字通り文の途中でちょん切られている。
正直この一連の事件?を踏まえて主人公が成長したという結末は慌てて取ってつけたようで、落ちが考え付かなかったとしか思えないです。
もしくは、最初から成長物語として結末だけ決めていて、そこに向かっていく為のストーリーが等閑でちぐはぐな印象を受けただけか。
例えるなら柄の違うパズルのピースをヤスリで削ってはめ込んだような。
それと物語の最後、部室が無くなる事になり荷物を整理しろと言いに来た先生に部員の男子が部室に漫画を持ってきていることを注意され、イヤミを言われ逆切れして先生を突き返し走り去って行くシーンがあるのですが、怒りをぶつける相手を間違えたあげく逃げていくその場面を見た主人公が「格好いい方が勝つ」などと言ってますが、明らかに格好悪く負けてるだろと思いました。
全てが中途半端で、逆にそれがこの高校生達を表現していると言われても正直納得は出来ない。
風呂敷を広げるだけ広げて後は主人公自体も「上手くコトバには出来ないけど納得した」「成長した」なんて言うのは、適当に書いたものを畳めないから誤魔化しているだけだと感じました。
こういうだらだらとした青春物は好きなんだけど、登場人物に魅力も無く読んでいて居心地の良さも感じられず星1です。
2014年11月9日に日本でレビュー済み
長嶋有さんの『ぼくは落ち着きがない』は、高校生の図書部員 望美の日々をつづった作品である。
舞台は図書室と、図書室に併設された部室であって、他に場所を移す場面はほとんどない。登場人物たちは、図書室と部室へ姿を現しては、夢を語ったり、諍いをしたり、じゃれあったりする。図書部員それぞれが、クラスでは浮いた存在なのだろう。居場所を求めて、図書室へ、部室へ入り浸っている。
主人公 望美を中心に、淡々と日々が過ぎていく。突拍子もない出来事を期待してしまうのだが、起こる予感すらないまま終わりを迎えてしまう。多方の高校生は、こんなものじゃないだろうか。毎日が波乱万丈でっていうのは、ほんの極々少数で、普通の子らはちょっとしたさざ波程度に一喜一憂してしまう。そういう意味で、本作品はとってもリアル。リアルではあるが、わざわざそれを求めて作品を読む必要はないような気もする。
長嶋有さんの作品は、そこはなとなく寂しさが見え隠れする作品が多いように思う。そこが僕が長嶋作品を気に入っている理由なのだが、本作品には残念ながらそれがない。タイトルの「ぼくは落ち着きがない」っていうのも、結局、何を意味しているかわからなかったし、いまいちだったかな。
なお、『祝福』には、本作品のスピンオフが収録されているようだね。それはそれで、楽しみではあるか。
舞台は図書室と、図書室に併設された部室であって、他に場所を移す場面はほとんどない。登場人物たちは、図書室と部室へ姿を現しては、夢を語ったり、諍いをしたり、じゃれあったりする。図書部員それぞれが、クラスでは浮いた存在なのだろう。居場所を求めて、図書室へ、部室へ入り浸っている。
主人公 望美を中心に、淡々と日々が過ぎていく。突拍子もない出来事を期待してしまうのだが、起こる予感すらないまま終わりを迎えてしまう。多方の高校生は、こんなものじゃないだろうか。毎日が波乱万丈でっていうのは、ほんの極々少数で、普通の子らはちょっとしたさざ波程度に一喜一憂してしまう。そういう意味で、本作品はとってもリアル。リアルではあるが、わざわざそれを求めて作品を読む必要はないような気もする。
長嶋有さんの作品は、そこはなとなく寂しさが見え隠れする作品が多いように思う。そこが僕が長嶋作品を気に入っている理由なのだが、本作品には残念ながらそれがない。タイトルの「ぼくは落ち着きがない」っていうのも、結局、何を意味しているかわからなかったし、いまいちだったかな。
なお、『祝福』には、本作品のスピンオフが収録されているようだね。それはそれで、楽しみではあるか。