『天帝のはしたなき果実』において、「鬼会計渡辺」としてほんのちょっとだけ登場した渡辺夕佳が主人公。
探偵役をつとめるのは、「元」超有名ピアニスト八重洲家康(どうやら古野まほろたちの同級生だったらしい)。
二人はとある冬、矢吹山(!)にある山荘『夢路邸』に招待される。そこには、同じように半ばだまされて集められた七人の男女。
彼らはマザーグースの童謡に見立てられながら、一人一人殺されていく-。
誰によって、どうやって殺されたのか。犯人の動機は何か-。
雪の山荘、見立て殺人、密室、ダイイングメッセージ等々、本格探偵小説のガジェットがこれでもかと登場する。
ただ、それが少しも過剰ではない。なぜなら古野まほろの他作品と同様に、無駄な仕掛けが全くないからだ。
提示された謎にはすべて合理的な解が提示され、読者のカタルシスを導く。
タイトルの「Yの悲劇」は有栖川有栖へのオマージュだし、アガサ・クリスティの影響ももちろんある。
作中には他にも、探偵小説を書き続けた先達への愛と尊敬を示す様な内容が多々見られる。
先達の築き上げた本格探偵小説の技法を用いつつ、少女が少年に向ける切ない思いを土台に「そうせざるを得なかった」事件の全容を暴き出し、エンタテインメントに仕上げる。これほどの「超絶技巧」を必要とする小説は、古野まほろにしか書けないだろう。
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群衆リドル Yの悲劇’93 単行本 – 2010/12/16
古野 まほろ
(著)
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購入オプションとあわせ買い
デビュー以後、立て続けに大作を発表し、話題を呼んだ異才、待望の再起動。純度、危険度、末端価格、すべて急上昇。孤立した雪の洋館〈夢路邸〉に集った9人の招待客を襲う、連続殺人の詭計。見え隠れする過去の罪業と、執拗に構築された不可能犯罪の構図。本格ミステリのあらゆるガジェットを駆使した、おそるべき傑作!
- 本の長さ372ページ
- 出版社光文社
- 発売日2010/12/16
- ISBN-104334927408
- ISBN-13978-4334927400
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/12/16)
- 発売日 : 2010/12/16
- 単行本 : 372ページ
- ISBN-10 : 4334927408
- ISBN-13 : 978-4334927400
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,615,107位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2014年6月18日に日本でレビュー済み
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2013年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初から衒学的な文章やヘンな言い回しが続きとても読みにくい小説です。(黒死館殺人事件よりはましですが) 想像力の乏しい小生には読んでいて情景が思い浮かばず読破するのに苦労しました。だけど内容はかなり凝ってて推理物としては高いレベルに位置すると思います。師匠である有栖川有栖氏のようにもうすこし平易な(普通の)文章でこの内容ならもっと売れただろうにと思います。(読みにくさのせいで、途中本を閉じて犯人を推理する気にもなれなかったです→残念)
2017年12月23日に日本でレビュー済み
・古典的名作トリックの寄せ集め(調理しきれてない)
・文系(法学部)の秀才が必死になって理系(医学・化学・生物学)の情報を調べ上げた
というのが作品自体の印象です。
サブタイトル「Yの悲劇'93」の意味合いは『月光ゲーム Yの悲劇'88』(有栖川有栖)への
オマージュでありそれ以上の意味はなく(エボラウイルスはこじつけすぎ),
動機は『そして誰もいなくなった』(クリスティ)と見せかけた『殺しの双曲線』(西村京太郎)なので
一定のラインは保っていると思うのですが、マニア以外の層に受けるかというと……?
あとは、主人公(探偵役)が「架空(平行)世界の日本に暮らす、特権階級である万能の天才大学生」
という凄まじい属性を受け入れられるかどうかでしょうね(笑)。
・文系(法学部)の秀才が必死になって理系(医学・化学・生物学)の情報を調べ上げた
というのが作品自体の印象です。
サブタイトル「Yの悲劇'93」の意味合いは『月光ゲーム Yの悲劇'88』(有栖川有栖)への
オマージュでありそれ以上の意味はなく(エボラウイルスはこじつけすぎ),
動機は『そして誰もいなくなった』(クリスティ)と見せかけた『殺しの双曲線』(西村京太郎)なので
一定のラインは保っていると思うのですが、マニア以外の層に受けるかというと……?
あとは、主人公(探偵役)が「架空(平行)世界の日本に暮らす、特権階級である万能の天才大学生」
という凄まじい属性を受け入れられるかどうかでしょうね(笑)。
2013年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ともかく読みにくい文体で損をしている本。
登場人物の台詞に「日本語で言って」というのがありましたが、それをそのまま作者にお返ししたいです。
関係なさそうなところはナナメ読みしても伏線は読み取れます。そういう読み方に慣れたら何とか最後まで行けるでしょう。
作者には内容をわかりやすい言葉で正確に伝えるという気はさらさらなく、自分の文体に酔っていて、自分の文体を誇示できることが最優先の様子。この文体についてこられないなら読まなくて結構、という傲慢さを感じます。
構成はある有名小説の転用ですが、相次いで事件が起こっていく過程は、それまでの無駄の多い流れと比べてテンポもよく、割とまともに読めます。
しかし謎解きは疑問。文体が読み取りにくいうえ、トリックは複雑で強引。「そんな方法、威張って言うなよ…」と言いたくなります。動機もやはり強引。あるいは事物を正確に伝える筆力の乏しさがそう思わせるのかもしれませんが、いずれにせよ作者の構成力に難ありです。
この文体が生理的に大丈夫な方なら一応お勧めします。適当に開いたページの一説を引用します。この部分がことさら象徴的というわけではありませんが。
「感極まったようなひろ子は、磨き立てのローファーのあざやかなピーチブラックを、たちまち新雪のスノーホワイトで悲しいほど重くして、おなじく磨き立てのエドワード・グリーンでそれを追うのはイエ先輩。あたしが磨いたのにっ!! イエ先輩いちど靴を脱いだら磨く(磨かせる)ひとだから……他にはそういう偏執狂的なひとはいないようで、前日来の土埃や雪にくすんだ靴がふたりに続く。」
登場人物の台詞に「日本語で言って」というのがありましたが、それをそのまま作者にお返ししたいです。
関係なさそうなところはナナメ読みしても伏線は読み取れます。そういう読み方に慣れたら何とか最後まで行けるでしょう。
作者には内容をわかりやすい言葉で正確に伝えるという気はさらさらなく、自分の文体に酔っていて、自分の文体を誇示できることが最優先の様子。この文体についてこられないなら読まなくて結構、という傲慢さを感じます。
構成はある有名小説の転用ですが、相次いで事件が起こっていく過程は、それまでの無駄の多い流れと比べてテンポもよく、割とまともに読めます。
しかし謎解きは疑問。文体が読み取りにくいうえ、トリックは複雑で強引。「そんな方法、威張って言うなよ…」と言いたくなります。動機もやはり強引。あるいは事物を正確に伝える筆力の乏しさがそう思わせるのかもしれませんが、いずれにせよ作者の構成力に難ありです。
この文体が生理的に大丈夫な方なら一応お勧めします。適当に開いたページの一説を引用します。この部分がことさら象徴的というわけではありませんが。
「感極まったようなひろ子は、磨き立てのローファーのあざやかなピーチブラックを、たちまち新雪のスノーホワイトで悲しいほど重くして、おなじく磨き立てのエドワード・グリーンでそれを追うのはイエ先輩。あたしが磨いたのにっ!! イエ先輩いちど靴を脱いだら磨く(磨かせる)ひとだから……他にはそういう偏執狂的なひとはいないようで、前日来の土埃や雪にくすんだ靴がふたりに続く。」
2010年12月20日に日本でレビュー済み
雪山、山荘、吊り橋、密室、童謡殺人、見立て人形……
これでもか!とばかりにちりばめられた「本格」アイテムに、思わず購入しました。
いわゆる本格という分野で発売される小説が目に見えて減少している昨今、
このような豪華なラインナップを並べられてしまうと、多少バカミスが予想されようと心をくすぐられてしまうのがファン心理というものではないでしょうか。
王道の素材をちりばめたうえで、どのような新しい調理方法を見せてくれるのか。
そこに期待を膨らませながら読みました。
結論を言えば、なかなか満足のいく内容だったと思います。
古野さんの作品を読むのは初めてでしたので、独特の文体がはじめは気になりましたが、すぐに慣れました。
登場人物の名前も奇妙ですが、よくキャラが立っていて、挿絵がなくてもひとりひとりの造形が目に浮かぶくらいです。
作者のフランス語の知識や音楽方面に関する造詣も深く、よく小説を読んだ時に感じる「これは違うんじゃないかなあ…」といった気持ちもあまり起きませんでした。
個人的に、クラシック音楽がとても好きなので、登場人物がピアニストだったりヴァイオリニストだったりするのも嬉しかったです(パラレル風なわりにアルゲリッチなど、現代の実在人物が登場するのに多少違和感は覚えましたが)。
最初から最後まで、電車の中やお風呂の中も含めて一気に読んでしまいました。
世界観がかなり確立されていて、耽美的な雰囲気もややあるので、映像化されても面白いかもしれません。
昔の横溝映画のような風合いで観てみたいです。
総じて満足できる出来でしたが、本格のキモであるトリックに関してはやや「それ!?」という感じが否めなかったので、星4つで。
これでもか!とばかりにちりばめられた「本格」アイテムに、思わず購入しました。
いわゆる本格という分野で発売される小説が目に見えて減少している昨今、
このような豪華なラインナップを並べられてしまうと、多少バカミスが予想されようと心をくすぐられてしまうのがファン心理というものではないでしょうか。
王道の素材をちりばめたうえで、どのような新しい調理方法を見せてくれるのか。
そこに期待を膨らませながら読みました。
結論を言えば、なかなか満足のいく内容だったと思います。
古野さんの作品を読むのは初めてでしたので、独特の文体がはじめは気になりましたが、すぐに慣れました。
登場人物の名前も奇妙ですが、よくキャラが立っていて、挿絵がなくてもひとりひとりの造形が目に浮かぶくらいです。
作者のフランス語の知識や音楽方面に関する造詣も深く、よく小説を読んだ時に感じる「これは違うんじゃないかなあ…」といった気持ちもあまり起きませんでした。
個人的に、クラシック音楽がとても好きなので、登場人物がピアニストだったりヴァイオリニストだったりするのも嬉しかったです(パラレル風なわりにアルゲリッチなど、現代の実在人物が登場するのに多少違和感は覚えましたが)。
最初から最後まで、電車の中やお風呂の中も含めて一気に読んでしまいました。
世界観がかなり確立されていて、耽美的な雰囲気もややあるので、映像化されても面白いかもしれません。
昔の横溝映画のような風合いで観てみたいです。
総じて満足できる出来でしたが、本格のキモであるトリックに関してはやや「それ!?」という感じが否めなかったので、星4つで。
2011年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古野さんの作品は全部読んでますが、本格推理小説としては読んでなかったので、嵐の山荘ネタとか、大丈夫かなーと思って読み進めました。
読みにくい文体は作者の味だと思っているので気にならないんですが今回は内容的にちょっと残念でした
致命的なのは、動機にもなっているとある病気の症状があまりにも現実からかけ離れていると言うこと。文系畑の人なようなのでそのあたりに詳しくないんでしょうが、もうすこし下調べしていただければ、と思いました。
あと、サブタイトルのYの悲劇'93は、いくら何でも風呂敷広げすぎ、内容とはなーんにも関係有りませんでした。このあたりのこじつけも脱力感満点でした。
2000円近くするハードカバーと言うことで気合い入れて読んだのも失敗だったのかもしれませんが、相変わらずキャラクターは良かったので、次回作に期待というところでしょうか
読みにくい文体は作者の味だと思っているので気にならないんですが今回は内容的にちょっと残念でした
致命的なのは、動機にもなっているとある病気の症状があまりにも現実からかけ離れていると言うこと。文系畑の人なようなのでそのあたりに詳しくないんでしょうが、もうすこし下調べしていただければ、と思いました。
あと、サブタイトルのYの悲劇'93は、いくら何でも風呂敷広げすぎ、内容とはなーんにも関係有りませんでした。このあたりのこじつけも脱力感満点でした。
2000円近くするハードカバーと言うことで気合い入れて読んだのも失敗だったのかもしれませんが、相変わらずキャラクターは良かったので、次回作に期待というところでしょうか
2015年10月9日に日本でレビュー済み
有栖川さんの推薦文につられて購入しましたが、後悔しました。
多くの方が書いておられる通り、文章が装飾過多で非常に読みづらいです。建物の外観や内装など、本筋とは何ら関係ない部分の描写に何行割けば気がすむのでしょうか。しかも日常的にはおよそ使わないであろう色名や建築様式の名称を並べたて、一体どれだけの読者がありありと情景を思い浮かべられたのだろうかと疑問です。作者が自分の文体に酔っていて「伝える」という事を放棄しているのでしょう。
『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる舞台設定は魅力的ですが、読み終えて「作者が設定した架空の日本だし何とでも出来るよね」という感想です。犯人の動機にも、こんな凝った舞台を用意するほどの深さを感じませんでした。
更に登場人物に全く魅力を感じません。作者の性格がそのまま投影されたのかと思われる傲慢なイエ先輩には反発しか感じず、何よりも孤立した状況で惨劇が始まろうとしている中、「イエ先輩はあたしを抱こうとしない」などと言い出すヒロインにドン引きしました。
この作者の本は二度と読みません。
多くの方が書いておられる通り、文章が装飾過多で非常に読みづらいです。建物の外観や内装など、本筋とは何ら関係ない部分の描写に何行割けば気がすむのでしょうか。しかも日常的にはおよそ使わないであろう色名や建築様式の名称を並べたて、一体どれだけの読者がありありと情景を思い浮かべられたのだろうかと疑問です。作者が自分の文体に酔っていて「伝える」という事を放棄しているのでしょう。
『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる舞台設定は魅力的ですが、読み終えて「作者が設定した架空の日本だし何とでも出来るよね」という感想です。犯人の動機にも、こんな凝った舞台を用意するほどの深さを感じませんでした。
更に登場人物に全く魅力を感じません。作者の性格がそのまま投影されたのかと思われる傲慢なイエ先輩には反発しか感じず、何よりも孤立した状況で惨劇が始まろうとしている中、「イエ先輩はあたしを抱こうとしない」などと言い出すヒロインにドン引きしました。
この作者の本は二度と読みません。
2014年9月23日に日本でレビュー済み
「雪の山荘」もの本格ミステリである。古野作品は初読。
帯紙などには有栖川有栖の刺激的な推薦文が躍る。いわく、「本格ファンならこの作品を横目に素通りできようか」。
実は1年ほど前に買って、積読になっていたのをようやく読了。
ちなみにタイトルの「'93」というのは、作品世界がおおむね90年代前半(雪の山荘もののクローズドサークルを壊してしまう、アレがまだ普及していないということですね)という意味で、作品自体は2010年発表のようだ。
謎の招待状によって人里離れた山荘に呼び集められた面々、一部を除き互いの面識はなく、そして晩餐の後に蓄音機から流れる断罪の声・・・、とくればクリスティの「そして誰もいなくなった」を想起しない者はいないだろう。唯一の異分子は、探偵役?としてまぎれこんでいるとおぼしき「イエ先輩」か(ちょっと苦しい)。翌朝さっそく血みどろの事件が勃発し、さらに続く見立て殺人はマザーグースの歌詞にのって、、、という話の展開。
読者への挑戦が2度にわたって挿入されるなど、内容や仕掛けの重厚さの割に、全体的に文体が口語的でふわふわしているのが気になる。読みやすいような読みにくいような作品だ。
そして最後まで読み切って・・・。
論理的に犯人を指摘することの可否にこだわった作品なのは良いのだが、張り巡らされた伏線が織りなすカタルシスとか、意表を突いた動機の提示とか、あっと驚く超絶新作トリックというようなものを期待してはいけない様子。
犯行動機として描かれる某ウイルスの話はまさに時事ネタだし、よく言えば実験的に本格ミステリの形式含めてこだわった作品、しかし悪く言えば、動機、舞台、進行、密室トリック、どれも古典的名作のつまみ食いではないのか。
個人的には、面白く読めるけれど、何年も残る作品としては扱われない気がする。
帯紙などには有栖川有栖の刺激的な推薦文が躍る。いわく、「本格ファンならこの作品を横目に素通りできようか」。
実は1年ほど前に買って、積読になっていたのをようやく読了。
ちなみにタイトルの「'93」というのは、作品世界がおおむね90年代前半(雪の山荘もののクローズドサークルを壊してしまう、アレがまだ普及していないということですね)という意味で、作品自体は2010年発表のようだ。
謎の招待状によって人里離れた山荘に呼び集められた面々、一部を除き互いの面識はなく、そして晩餐の後に蓄音機から流れる断罪の声・・・、とくればクリスティの「そして誰もいなくなった」を想起しない者はいないだろう。唯一の異分子は、探偵役?としてまぎれこんでいるとおぼしき「イエ先輩」か(ちょっと苦しい)。翌朝さっそく血みどろの事件が勃発し、さらに続く見立て殺人はマザーグースの歌詞にのって、、、という話の展開。
読者への挑戦が2度にわたって挿入されるなど、内容や仕掛けの重厚さの割に、全体的に文体が口語的でふわふわしているのが気になる。読みやすいような読みにくいような作品だ。
そして最後まで読み切って・・・。
論理的に犯人を指摘することの可否にこだわった作品なのは良いのだが、張り巡らされた伏線が織りなすカタルシスとか、意表を突いた動機の提示とか、あっと驚く超絶新作トリックというようなものを期待してはいけない様子。
犯行動機として描かれる某ウイルスの話はまさに時事ネタだし、よく言えば実験的に本格ミステリの形式含めてこだわった作品、しかし悪く言えば、動機、舞台、進行、密室トリック、どれも古典的名作のつまみ食いではないのか。
個人的には、面白く読めるけれど、何年も残る作品としては扱われない気がする。