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ニッポンの穴紀行 近代史を彩る光と影 単行本(ソフトカバー) – 2010/12/16
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新潮ドキュメント賞候補作『僕の見た「大日本帝国」』から6年、
気鋭のライターが、12の穴から「日本」を見つめなおすノンフィクション。
◎ 目 次
はじめに
第一章 軍艦島(長崎県) --------捨てられた集合住宅と穴
第二章 釜石鉱山と東北砕石工場跡(岩手県) --------宮沢賢治ゆかりの穴
第三章 新内隧道と狩勝隧道(北海道) --------開拓の苦闘が印された穴
第四章 国立国会図書館(東京都) --------書庫になっている地下8階までの穴
第五章 滋賀会館地下通路(滋賀県) --------文化施設がコラボする宙ぶらりんの穴
第六章 人形峠夜次南第2号坑(岡山県) --------怪しい光を発する希望の穴
第七章 黒部ダム(富山県) --------高熱隧道とクロヨンの穴
第八章 日韓トンネル(佐賀県) --------全長200キロの穴
第九章 吉見百穴と巌窟ホテル(埼玉県) --------親子3代の夢の穴
第十章 諏訪之瀬島(鹿児島県) --------ヒッピーと巨大資本の抗争史
第十一章 友ヶ島第3砲台跡(和歌山県) --------使われなかった要塞の穴
第十二章 糸数壕と山城本部壕(沖縄県) --------沖縄戦の傷痕が残る穴
おわりに
◎【12の穴から浮かび上がる、知られざる日本】
・高度成長や戦争といった、その時代の国民が追求した大きな目的を達成するために利用しつくされ、
その後、置き去りにされ誰からも顧みられることがなくなってしまった暗がりのような「穴」
・知られてはいないが紹介する価値のある「穴」
・人々の心の喪失感があらわれている心の「穴」
・個々の時代が刻まれ、つながっている絵巻のような「穴」etc.
◎「はじめに」より
日本各地に残る廃墟や歴史的な遺構を見て回ることで、
明治以降、この国が経てきた近代化の経緯について思いをはせ、
自分が今までに気がつかなかった別の一面に光を当てられるのではないか、
これまでにない視点から日本像を浮かび上がらせることができるのではないか----。
そんな風に思ったのだ。
◎ 著者プロフィール
西牟田靖(にしむた・やすし)
1970年大阪府生まれ。神戸学院大学法学部卒業。
就職し8カ月間IT企業で働いたあと、地球一周の船旅を体験。
以降、ライターとしての道を歩む。近年は骨太なノンフィクション作品に取り組んでいる。
4年をかけてアジア太平洋地域の日本の元領土を歩いた旅の記録『僕の見た「大日本帝国」』(2005年)、
竹島や北方領土など日本の国境の島々を旅した記録『誰も国境を知らない』(2008年、以上、情報センター出版局)などがある。
- 本の長さ324ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2010/12/16
- ISBN-104334976344
- ISBN-13978-4334976347
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/12/16)
- 発売日 : 2010/12/16
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 324ページ
- ISBN-10 : 4334976344
- ISBN-13 : 978-4334976347
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,264,127位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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70年大阪生まれ。神戸学院大学法学部卒。日本の領土問題や旧植民地に残る日本の足あと、引揚等、硬派なテーマを取材執筆しているうちに書斎が本で埋まる。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『〈日本國〉から来た日本人』『ニッポンの穴紀行』等
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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連載という形をとっての取材と,毎月文章ににしなければいけないという制約があることが,内容を疎にし,面白さを半減させている。いままでの著者の本の密度と比べて,そのあたりが如実に現れていて残念。
とりあげるテーマひとつひとつは魅力あるものであったりするが,取材の薄さ(日程に原因があるのだろうか?)からか,「○○ではないだろうか?」のような文章が目立つ。文献や後追い取材によるフォローはあるものの,読んでいてなんだか物足りなくなってしまう。
単行本という形をとっての出版にしたのも残念さに拍車をかけていて,あまりにも大きな文字サイズ,1ページあたりでみても少ない文章量が物足りなさを感じてしまう。文庫や新書であれば・・・と思ってしまうのは言いすぎか。
ただ,著者のいままでの取材スタイルはところどころで面白さにつながっている。諏訪之瀬島の章では,著者が言うように確かに穴は出てこないものの,著者の表現したかったものに仕上がっている。
せっかく6年ぶりの新刊であるからこそ,あと1年ほど時間をかけて,良いものに仕上げて欲しかった。
これからの,さらなる活躍を願ってみたりする。
◆本書で紹介されている12か所の「穴」
第一章 軍艦島(長崎県) --------捨てられた集合住宅と穴
第二章 釜石鉱山と東北砕石工場跡(岩手県) --------宮沢賢治ゆかりの穴
第三章 新内隧道と狩勝隧道(北海道) --------開拓の苦闘が印された穴
第四章 国立国会図書館(東京都) --------書庫になっている地下8階までの穴
第五章 滋賀会館地下通路(滋賀県) --------文化施設がコラボする宙ぶらりんの穴
第六章 人形峠夜次南第2号坑(岡山県) --------怪しい光を発する希望の穴
第七章 黒部ダム(富山県) --------高熱隧道とクロヨンの穴
第八章 日韓トンネル(佐賀県) --------全長200キロの穴
第九章 吉見百穴と巌窟ホテル(埼玉県) --------親子3代の夢の穴
第十章 諏訪之瀬島(鹿児島県) --------ヒッピーと巨大資本の抗争史
第十一章 友ヶ島第3砲台跡(和歌山県) --------使われなかった要塞の穴
第十二章 糸数壕と山城本部壕(沖縄県) --------沖縄戦の傷痕が残る穴
いずれの「穴」も人工的に作られたものであり、そこに関わってきた大勢の人々がいる。著者は、その人々の気持ちにもしっかりと寄り添い、何らかの理由で光の当たっていない部分にも、クッキリと光を照らしてくれている。そこに見えるのは、無念さ、古い価値観、虚栄心など思わず目の逸らしたくなるものから、活気、エネルギーへの希求など、実にさまざまである。「穴」の話を読むにつれて見えてくるのは、自分の無知さと、その「穴」に関わった人々の”心の穴”の中である。
多くの「穴」に共通しているのが、人権などという意識が薄かった時代に、多くの人命の犠牲と引き換えに作られたものであるということだ。その当時、”個”は弱いものであったかもしれない。しかし、社会には未来への大きな希望があった。そして、我々は今、その未来の真っ只中にいる。”個”の時代などと言われてはいるが、今の我々の社会は、当時の人たちに胸を張れるようなものなのだろうか。