著者はグローバリゼーションとしての帝国を肯定する。なぜなら、それこそが個人の自由な能力を全面的に開花させる自生的秩序を形成するからである。本書では、帝国の名のもとに金融と情報のグローバルな商品化さえ肯定し、個人の自由の普遍性を主張している。それはハイエクやフリードマンさらにネグリらのいうリバタリアニズムの全地球化を意味していよう。
けれどもリバタリアン的な自由の帝国は、本当に著者の説くような「自生的秩序」であろうか?かつて著者は青木孝平の『コミュニタリアニズム』を評価し、外部的な市場が社会内の秩序になることの「無理」を承認していた。なるほど自由な帝国は一種のユートピアであろうが、かつてのコミュニズムを裏返しにした単一の理性による普遍主義ではないか。それは皮肉にも自生性とはまったく逆に設計主義と同じ根をもつディスユートピアである。
個々人の創発性を活性化する自生的自由は、けっきょくグローバルな帝国ではなく、伝統に裏づけられ多様な共同体に支えられた厚い文化の堆積のなかにしか見出されないのではなかろうか。この点で本書は優れた反面教師である。
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帝国の条件 自由を育む秩序の原理 単行本 – 2007/4/5
橋本 努
(著)
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購入オプションとあわせ買い
9.11以降の世界を読み解き、ネグリ/ハート『帝国』を超える!
世界秩序の夢と想像力を次世代につなぐ21世紀の必読書。
世界秩序の夢と想像力を次世代につなぐ21世紀の必読書。
もう一つの世界は可能か?
2001年9月11日、世界貿易センタービルが爆破されたとき、著者はニューヨー
クで、この事件を間近に経験しました。炭疽菌事件などテロの恐怖に怯えながら
も、世界秩序の問題を考え続け、ついにこの1冊の書物に結実。
ポスト9.11の政治思想を理論化する、日本語で書かれた注目の「帝国論」。
<善き帝国>の世界を構想する倫理的実践の試み。
「本書は、崖っぷちから紡ぎ出されている。漠たる生の危機感から、私はある
種の不可能性に賭けている」。
希望を語る力強い思想は、励ましに満ちています。
- ISBN-104335460279
- ISBN-13978-4335460272
- 出版社弘文堂
- 発売日2007/4/5
- 言語日本語
- 本の長さ504ページ
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登録情報
- 出版社 : 弘文堂 (2007/4/5)
- 発売日 : 2007/4/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 504ページ
- ISBN-10 : 4335460279
- ISBN-13 : 978-4335460272
- Amazon 売れ筋ランキング: - 683,915位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2007年4月25日に日本でレビュー済み
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シュトラウスとヒンメルファーブ。ネオコンの思想を理解するには、このふたりがネオコン第二世代のクリストルやケーガンにどれだけ影響を与えているのかを知らなくてはいけない。巷にあふれる俗流ネオリベ理解や俗流ネオコン理解の過ちをクールに正しながら、一本の筋を浮かび上がらせるスリリングな展開。この部分だけでも「買い」の一冊。
2007年4月13日に日本でレビュー済み
「もう一つの世界」を具体的なユートピアのかたちで描いた、本格的な書物です。ネグリ/ハートの「帝国」以来、最大の収穫ではないでしょうか。
そもそもネグリ/ハートの「帝国」は、9.11テロ事件よりも前にかかれたものでしたよね。本書はしかし、9.11事件以降の世界状況の分析からはじまって、現代のグローバリズムの背後にある二つの思想、すなわち「新自由主義」と「ネオコン」を緻密に分析しています。とくに、イラク戦争の背後にある「ネオコン」のイデオロギーについては、貴重な分析でしょう。
一般に、多くの国際関係論系の書物は、現状分析で終わってしまうのですが、本書は最後の二つの章で、世界を変革するための、かなり具体的な提案をしているところが魅力的だと思います。人類は「世界共和国」のようなものを目指すとして、そのための財源確保や、貨幣の創出を、どのように企てるのか。グローバルな正義を満たすために、どのような国際貿易のルールを構築すべきなのか。そういった問題について、世界秩序の夢を描いています。
著者によれば、思想的にはマルクスとハイエクを融合する、ということなのですが、国際経済学の知見を駆使した、雄大なスケールの思想ですね。
そもそもネグリ/ハートの「帝国」は、9.11テロ事件よりも前にかかれたものでしたよね。本書はしかし、9.11事件以降の世界状況の分析からはじまって、現代のグローバリズムの背後にある二つの思想、すなわち「新自由主義」と「ネオコン」を緻密に分析しています。とくに、イラク戦争の背後にある「ネオコン」のイデオロギーについては、貴重な分析でしょう。
一般に、多くの国際関係論系の書物は、現状分析で終わってしまうのですが、本書は最後の二つの章で、世界を変革するための、かなり具体的な提案をしているところが魅力的だと思います。人類は「世界共和国」のようなものを目指すとして、そのための財源確保や、貨幣の創出を、どのように企てるのか。グローバルな正義を満たすために、どのような国際貿易のルールを構築すべきなのか。そういった問題について、世界秩序の夢を描いています。
著者によれば、思想的にはマルクスとハイエクを融合する、ということなのですが、国際経済学の知見を駆使した、雄大なスケールの思想ですね。
2007年4月26日に日本でレビュー済み
ネグリとハートの『帝国』以降、一時期ブームが興りましたが、あまり深められないままに沈静化した感があります。しかし、本当はまだまだ議論すべき論点はたくさんあるはずです。本書を読めば、ほとんどの帝国論の浅薄さに気づくでしょう。論争的な部分はありますが、それに賛同するにせよしないにせよ、無視することのできない著作といえます。