1930年につくられた、木版画だけで「物語る」本。
文字はないし、何の解説も付属していないので、ストーリーと絵の解釈は読者にゆだねられています。
面白いのは、文章がないのに、勝手に絵が「物語る」という感覚を、はっきりと得られること。
恐ろしいのは、深読みすればどこまでも落ちていきそうな深さ。
当然、ストーリーを書くことは不可能、そこを無理に書くのは、野暮でしかない、だけど、どういうわけかその野暮を、どうしてもしたくなる本です。
これから読まれる方は、以下の私の勝手な解釈は読み飛ばして頂いた方が良いのですが、読まれても個人的な解釈はまた別に生まれる、と思います。
帯には最初に登場する男は奴隷商人で、奴隷を見つける国はアフリカ、とありますが、当然その説明も物語にはないので、私も省きました。
*
(注意・章にも名前やナンバーはなく、それぞれの章の区切りに、星型の記号のなかに砂時計のような絵と太陽と月のようなもの、が描かれています)
海の向こうからやってきた、長い刀剣を持った男が、他国にて色の黒い男を殺して太鼓を奪う。
男と仲間は船に人々も積み、人身売買により金を儲け、自国で豊かな暮らしをする。
彼には一人の息子がいた。
息子は立派な家に飾られていた太鼓を叩いて遊んで、父親に叱られ、本を読むことを勧められる。
家は静かになるが、父親は再び船に乗り、嵐にあって二度と帰ってこなかった。
息子は書籍を読み、母と共に教会に通い、論文が認められ、
さらに成長しても、十字架を大切にし、他の若者のように酒や女に溺れることなく過ごした。
しかしあるときスフィンクスの絵のついた書籍に出会う。
(神話のスフィンクスは半身が女性ですが、この絵はそうは見えないので、単純に権力・王権の暗喩ではないか?と考えました)
彼は十字架のあった壁にスフィンクスの絵を飾り、十字架を捨てる。
その因果にて母を亡くす。
窓から外を見ると、笛を吹く男が笑っている。
(この男の容貌はタロットカードの愚者・道化師に似ている、と思いました。一節によると放浪の民、つまり定職をもたず、集団社会のなかに入らない流れ者を示しています)
彼はスフィンクスの絵の下で別の論文を書き、またしても認められる。
結婚し、月日が流れ、二人の娘を持つが、妻は書籍に夢中な夫を嫌悪し他の男と家を出る。
書籍を読む男の背後で、幻の笛の男がニヤリと笑う。
まるで笛の音に呪われるように妻は死ぬ。
さらに月日が経ち、成長した娘の一人が、怪しげな書籍と怪しげな団体の男に興味を持つ。
彼は娘を正しさへ導くため、娘の親しい男を計略により法の名のもとで処刑するが、悲しんだ娘もまた死んでしまう。
(このとき、娘が読む書籍に書かれた絵は、タロットカードの正義の絵に酷似しています)
さらに月日が経ち、もう一人の娘も彼のすすめる書物を捨て、派手な男に誘われ家を出る。男は娘を騙している。
娘を探した彼は、女を売買する会場にて人々に訴えるが、人々は彼をただ笑う。
絶望した彼は墓場で立ち尽くすが、そこで太鼓を手にする。
昔父親から奪われた、あの太鼓だ。
ここで彼は初めて笑うが、年々その眼差しは人間ばなれしており、笑顔は、もはや、まともなものには見えない。
笛の男と共に、彼は「太鼓の男」となって、どこかに去っていく。
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狂人の太鼓 単行本 – 2002/10/1
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- 本の長さ1ページ
- 言語日本語
- 出版社国書刊行会
- 発売日2002/10/1
- ISBN-104336044554
- ISBN-13978-4336044556
商品の説明
出版社からのコメント
聴け、太鼓の響きを!――リンド・ウォードの〈文字のない小説〉 画集? 絵本? 物語? あなたの目の前にある本『狂人の太鼓』は、きわめてユニークな書物だ。奴隷商人だった父親の教えを守り、書物に埋もれた学究生活を送る男とその家族を次々に見舞う恐るべき死と災厄を、グロテスクな想像力にあふれた120枚の木版画でつづったこの「小説」には、文字が一切存在しない。読者は1枚1枚の絵を丹念に読み解きながら、〈知〉に憑かれた主人公に下される過酷な運命を1つずつたどっていかねばならない。黒と白の強烈な明暗対比と鋭い描線で、欧米読書界に衝撃をあたえた特異な天才画家ウォードの「文字のない小説」は、あなたにスリリングな知的興奮にみちた読書体験をお約束する。
「リンド・ウォード! その名の魔術的響き。祈りにも似た営為から産みだされた文字のない小説の圧倒的迫力は、まことに類例のないものである。言葉という限界を取り払った故に成ったこの豊かで饒舌な物語の前では、我々はただ黙し、驚嘆し、瞠目するしかない。そして条理も愛も美も越えて、彼方から渉ってくるものにただ耳を澄ますのだ。聴け。存在の際から立ち昇る狂人の太鼓の響きを」――西崎憲氏(作家・翻訳家)
内容(「MARC」データベースより)
文字のない「小説」-。120点の木版画で語られるこの「小説」には、文字が一切存在しない。奴隷商人がアフリカから持ち帰った太鼓は何をもたらしたのか。父の教えを守り、学究生活を続ける男を次々に見舞う死と災厄の物語。
登録情報
- 出版社 : 国書刊行会 (2002/10/1)
- 発売日 : 2002/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 1ページ
- ISBN-10 : 4336044554
- ISBN-13 : 978-4336044556
- Amazon 売れ筋ランキング: - 970,757位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 280位版画 (本)
- - 316位その他の外国文学作品
- - 70,967位教育・学参・受験 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年1月4日に日本でレビュー済み
はっきりと申し上げて、私にはわけがわかりませんでした。
このレビュー欄に投稿された解釈を読んで、その読解力と想像力に完全に脱帽しました。
そして再び本を開いてみましたが、やはりこの書物がわけのわからない物体であることに依然として変化はありませんでした。
おそらくこの本を手に取る方は、常日頃から海外文学や幻想文学に親しみ、一見わけのわからないものへの理解もあるという点で、一般人とは少しばかり離れた層であるとは思いますが、
それでも大多数の読者にとってこの本がわけのわからないものであることは私が保証したいと思います。
わからないという理由で★1つをつけるのはためらわれますので、★2つです。
このレビュー欄に投稿された解釈を読んで、その読解力と想像力に完全に脱帽しました。
そして再び本を開いてみましたが、やはりこの書物がわけのわからない物体であることに依然として変化はありませんでした。
おそらくこの本を手に取る方は、常日頃から海外文学や幻想文学に親しみ、一見わけのわからないものへの理解もあるという点で、一般人とは少しばかり離れた層であるとは思いますが、
それでも大多数の読者にとってこの本がわけのわからないものであることは私が保証したいと思います。
わからないという理由で★1つをつけるのはためらわれますので、★2つです。
2005年2月23日に日本でレビュー済み
なんとも、ぜいたくな作りだった。
2重の意味で。
2ページ見開きだが、右側のページにずしりとくる版画。
向かって左は、白一色。
何枚めくっても、ひたすら真っ白。
この紙面の無駄遣いぶりが、じつに気持ちいい。
また、かたくて分厚い、白無垢の紙の質感が、うれしい。
手の込んだ木版画と調和する「木の味」がする紙質。
絵のない絵本。
だから、文字は無い(郵便馬車の側面に「POST」とあるのを除けば)。
1,2,3…といったページ番号さえ、無い。
いわば、モノクロの無声映画を鑑賞した気分になれる次第。
しかし、各々の絵の象徴性は、結局のところ、スムーズな物語に回収されてしまい、一度読めば、すっかり飲み込めるようなしろものである。
(黒々とした画風の『笑うせえるすまん』と比較しても面白かろう)
やはり、その意味では「豪華な豪華な絵本」なのだし「たかが絵本」のために極度の入念な配慮を凝らしたという、別の意味のぜいたくをしている気分にもなれる。
とにかく、イイ意味で無駄が多いのだ。
2重の意味で。
2ページ見開きだが、右側のページにずしりとくる版画。
向かって左は、白一色。
何枚めくっても、ひたすら真っ白。
この紙面の無駄遣いぶりが、じつに気持ちいい。
また、かたくて分厚い、白無垢の紙の質感が、うれしい。
手の込んだ木版画と調和する「木の味」がする紙質。
絵のない絵本。
だから、文字は無い(郵便馬車の側面に「POST」とあるのを除けば)。
1,2,3…といったページ番号さえ、無い。
いわば、モノクロの無声映画を鑑賞した気分になれる次第。
しかし、各々の絵の象徴性は、結局のところ、スムーズな物語に回収されてしまい、一度読めば、すっかり飲み込めるようなしろものである。
(黒々とした画風の『笑うせえるすまん』と比較しても面白かろう)
やはり、その意味では「豪華な豪華な絵本」なのだし「たかが絵本」のために極度の入念な配慮を凝らしたという、別の意味のぜいたくをしている気分にもなれる。
とにかく、イイ意味で無駄が多いのだ。
2003年4月2日に日本でレビュー済み
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2008年4月10日に日本でレビュー済み
表紙に「木版画による小説」と紹介されているので画集と勘違いすることは無いだろうが、パッと見は片面印刷の版画集のおもむき。
場面解説や会話文などは一切無い。文字らしきものは画中の書籍や手紙のなかに彫りこまれているがイメージだけで意味は持っていない。
本当に絵だけで表されたユニーク本。文章はないがストーリーは読み取れる。
1枚目:剣を腰に差し海辺に立つ男。沖には帆船が描かれている。
2枚目:太鼓を打つアフリカ系の男と、その後ろには近寄る剣を持った男。
3枚目:太鼓を持つ剣男。
4枚目:鎖につながれて海辺に立つアフリカ系の人たち。帆船に向けて漕ぎ出すボート。
ここまでで、奴隷商人が奴隷狩りをしていること、戦利品として太鼓を奪ったことがわかる。
読者にストーリーを考えながら読むことを要求する、ちょっと生意気で面倒な本だが、読み出すと1枚として無駄な絵が無く著者の描く世界に引き込まれていく。本当にユニークとしか言いようがない。
場面解説や会話文などは一切無い。文字らしきものは画中の書籍や手紙のなかに彫りこまれているがイメージだけで意味は持っていない。
本当に絵だけで表されたユニーク本。文章はないがストーリーは読み取れる。
1枚目:剣を腰に差し海辺に立つ男。沖には帆船が描かれている。
2枚目:太鼓を打つアフリカ系の男と、その後ろには近寄る剣を持った男。
3枚目:太鼓を持つ剣男。
4枚目:鎖につながれて海辺に立つアフリカ系の人たち。帆船に向けて漕ぎ出すボート。
ここまでで、奴隷商人が奴隷狩りをしていること、戦利品として太鼓を奪ったことがわかる。
読者にストーリーを考えながら読むことを要求する、ちょっと生意気で面倒な本だが、読み出すと1枚として無駄な絵が無く著者の描く世界に引き込まれていく。本当にユニークとしか言いようがない。
2006年11月9日に日本でレビュー済み
文字のない小説として全て版画で表現されている。
それゆえ若干社会的背景が分からないと、ストーリーが分からないが、これは理解しよ
うとするより、感じることの方が作者の意図なのだろう。版画は全てモノクロ(紺色に
近い)で、雰囲気を盛り立てている。
必ずしも順番に読まなくても(見なくても)、画集の特殊なものとしての価値があると
思う。
それゆえ若干社会的背景が分からないと、ストーリーが分からないが、これは理解しよ
うとするより、感じることの方が作者の意図なのだろう。版画は全てモノクロ(紺色に
近い)で、雰囲気を盛り立てている。
必ずしも順番に読まなくても(見なくても)、画集の特殊なものとしての価値があると
思う。