イラストレーターの和田誠さんの本で紹介されていた浅倉久志さんの本です。ちなみに本書の装丁は和田さんが担当していて、表紙に描かれたカンガルー親子がかわいい。約40年間の翻訳業の合間に書かれた45篇の文章で構成されています。ほぼSF小説に関わる内容で、その分野からとんと離れていた私は、おもしろさを充分味わえなかったかもしれません。でも浅倉さんの分析は熱っぽくてマニアック、かつ説得力があるので、この本で知った作品の中から気になったものを読んでみてもよいな、と思わせられました。ヴォネガットのことを教えてもらったのは、いちばんの収穫です。あと、「だから英語は嫌いだ」というのをぜひ読んでいただきたい。理由はあえて伏せておきましょう。
巻末についている「浅倉久志・翻訳リスト」には、圧倒されました。雑誌掲載588篇、単行本141冊、共訳書149冊、これらすべての出版社と刊行年月日、原題と作者名が記されています。この部分を読むだけで浅倉さんの英米文学への貢献が手にとるようにわかります。この書誌の大仕事を担当したのは国書刊行会編集者の樽本周馬さんで、調べてみるとこの人、本書が出版された2006年には、まだ30代前半ではありませんか。後世畏るべし。
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ぼくがカンガルーに出会ったころ 単行本 – 2006/7/1
浅倉 久志
(著)
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SF翻訳の第一人者浅倉久志、初のエッセイ集。SF・翻訳に関するコラムの他、訳者あとがき・解説、さらには膨大な翻訳作品リストも収録(単行本・雑誌発表短篇全リストなど)。装幀:和田誠
- 本の長さ387ページ
- 言語日本語
- 出版社国書刊行会
- 発売日2006/7/1
- ISBN-104336047766
- ISBN-13978-4336047762
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商品の説明
著者について
浅倉久志:1930年生まれ。英米文学翻訳家。SFを中心にエンターテインメント作品の翻訳を数多く手がける。訳書にヴォネガット『タイタンの妖女』、ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、ラファティ『九百人のお祖母さん』、ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』(以上ハヤカワ文庫SF)、F・ライバー《ファファード&グレイ・マウザー》シリーズ(創元推理文庫)など、編訳書に『ユーモア・スケッチ傑作展1~3』(早川書房)、『ユーモアSF傑作選1~2』(講談社文庫)、『グラックの卵』(国書刊行会・近刊)などがある。
登録情報
- 出版社 : 国書刊行会 (2006/7/1)
- 発売日 : 2006/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 387ページ
- ISBN-10 : 4336047766
- ISBN-13 : 978-4336047762
- Amazon 売れ筋ランキング: - 237,188位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 86位文学史
- - 7,704位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2011年9月23日に日本でレビュー済み
浅倉久志さんの唯一のエッセイ集。サイン本を購入しながら、実際に読んだのは亡くなられた後になってしまいました。
都会的でユーモアのある作品を好まれる浅倉さんのイメージそのままのエッセイは実に楽しいです。大阪ご出身の方なのになぜか江戸っ子っぽい印象で、まさに洒脱。
また通常のエッセイ以上に、ご本人が好まれた作家への「訳者あとがき」や「解説」の再録がうれしいです。
おしつけがましくなく、マニアックでない作品紹介。謙虚でありながら卑下はまったくない自己評価。なにより、その作品・作家を評価する他の作家の引用を多用してくれるおかげで、それら未読作家への興味をかきたててくれる見事なキュレーターぶり。
さほどのSF読みでない私が、これらの半分は記憶にあるということは、いかに浅倉さんが良質な作品を良質な文章で紹介してくれていたのかの証明といえます。
「SFっておもしろいの?何がおすすめ?」と訊かれたら、下手に作家を薦めるより、まず本書を読んでもらったほうがいいかもしれません。
都会的でユーモアのある作品を好まれる浅倉さんのイメージそのままのエッセイは実に楽しいです。大阪ご出身の方なのになぜか江戸っ子っぽい印象で、まさに洒脱。
また通常のエッセイ以上に、ご本人が好まれた作家への「訳者あとがき」や「解説」の再録がうれしいです。
おしつけがましくなく、マニアックでない作品紹介。謙虚でありながら卑下はまったくない自己評価。なにより、その作品・作家を評価する他の作家の引用を多用してくれるおかげで、それら未読作家への興味をかきたててくれる見事なキュレーターぶり。
さほどのSF読みでない私が、これらの半分は記憶にあるということは、いかに浅倉さんが良質な作品を良質な文章で紹介してくれていたのかの証明といえます。
「SFっておもしろいの?何がおすすめ?」と訊かれたら、下手に作家を薦めるより、まず本書を読んでもらったほうがいいかもしれません。
2007年1月14日に日本でレビュー済み
SFだけでなく、ユーモア小説の翻訳紹介で活躍されている浅倉久志氏の初エッセイ集です。
表題となっている「ぼくがカンガルーに出会ったころ」は、その昔、カンガルーマークの入ったペーパーバックが全盛だったころの懐かしい話です。短いエッセイながら、しっかりオチもついているところが、いかにも著者らしいエンターテイナーぶりを感じさせてくれます。
今まで翻訳されてこられた本の「あとがき」も多数収録されています。
特に、ヴォネガットやディックの「あとがき」はこうしてまとめて読むと、一種の作家論としても読めます。
全編を通して読むと、控えめながら英米のおもしろいエンターティメントに寄せる暖かい気持ちが伝わってきます。
好きな本の翻訳ができるって、ほんとに楽しそうですね。
ぜひ、エッセイの第2集を出してください。その時は、私の大好きな「銃、ときどき音楽」のあとがきも入れてくれるとうれしいのですが…
表題となっている「ぼくがカンガルーに出会ったころ」は、その昔、カンガルーマークの入ったペーパーバックが全盛だったころの懐かしい話です。短いエッセイながら、しっかりオチもついているところが、いかにも著者らしいエンターテイナーぶりを感じさせてくれます。
今まで翻訳されてこられた本の「あとがき」も多数収録されています。
特に、ヴォネガットやディックの「あとがき」はこうしてまとめて読むと、一種の作家論としても読めます。
全編を通して読むと、控えめながら英米のおもしろいエンターティメントに寄せる暖かい気持ちが伝わってきます。
好きな本の翻訳ができるって、ほんとに楽しそうですね。
ぜひ、エッセイの第2集を出してください。その時は、私の大好きな「銃、ときどき音楽」のあとがきも入れてくれるとうれしいのですが…
2010年3月3日に日本でレビュー済み
先日亡くなった浅倉久志氏のあとがきや、雑誌などに書いた記事を集めたエッセイ集。
普段基本的に、翻訳者を意識して小説を読むことは無かったが、氏の追悼記事等で上げられていた訳書のリストなどを見てみると、当然それらは氏の仕事の本のごく一部でしかないにも拘らず、これまで自分が読んできた作品がいくつも並んでいるし、読んでいないけれど、タイトルだけは知っている、という作品はさらに多かった。改めて、この方の仕事の凄さというものを認識した。
エッセイの内容は、かつての訳書のあとがきであったり、雑誌記事などを集めたもので、いろいろと当時の苦労話や、同じ翻訳の仕事をしている人の話、また、作家の話などが中心になっているが、そのどれもが非常に楽しそうな雰囲気の伝わる文章で書かれている。これだけ楽しそうに書かれているのを読んで、最近はSFを読む機会はあまり無かったが、また、読んでみようか、という気になってきた。
普段基本的に、翻訳者を意識して小説を読むことは無かったが、氏の追悼記事等で上げられていた訳書のリストなどを見てみると、当然それらは氏の仕事の本のごく一部でしかないにも拘らず、これまで自分が読んできた作品がいくつも並んでいるし、読んでいないけれど、タイトルだけは知っている、という作品はさらに多かった。改めて、この方の仕事の凄さというものを認識した。
エッセイの内容は、かつての訳書のあとがきであったり、雑誌記事などを集めたもので、いろいろと当時の苦労話や、同じ翻訳の仕事をしている人の話、また、作家の話などが中心になっているが、そのどれもが非常に楽しそうな雰囲気の伝わる文章で書かれている。これだけ楽しそうに書かれているのを読んで、最近はSFを読む機会はあまり無かったが、また、読んでみようか、という気になってきた。